広報業務に「コーポレート広報」と「サービス広報」があるように、企業のホームページにも「コーポレートサイト」と「サービスサイト」があります。
本記事では、企業の紹介やブランドイメージを醸成していくコーポレートサイトについて、広報としてどのように関わるか、掲載したいコンテンツなどをご紹介します。
コーポレートサイト(企業サイト)の役割
まずは、冒頭で述べた「コーポレートサイト」と「サービスサイト」について詳しく解説します。
サービスサイトは、企業が提供する商品・サービスに関する情報を提供しているサイトであるのに対し、コーポレートサイトでは、顧客やエンドユーザとなる一般生活者、採用応募者など様々なステークホルダーに対し、企業の情報を提供します。
コーポレートサイトとサービスサイトは分かれていることもあれば、同じサイト上に統一されていることもあります。
コーポレートサイトでは、どのような会社なのか、どのような商品・サービスを扱っているのか、どんな社風なのかなどを紹介しており、いわば会社のプロフィール情報のような役割を持ちます。掲載しているコンテンツや内容によって、企業のブランドイメージを印象づけることになる重要なページです。
コーポレートサイトの運用に広報が関わる意義とは?
前述の通り、コーポレートサイトには企業に関する様々な情報が掲載されており、言ってみれば「広報メディア」としての役割も兼ねています。
広報活動を行っているものの、メディアとのコネクションが少ない中小企業の場合などは、コーポレートサイトを活用して積極的な広報活動を行うことも有益な方法です。
また、既に知名度もありメディアとの関係も築けている大企業であっても、企業ブランディングに一貫性をもたせ、ステークホルダーの信用を得るために、広報がコーポレートサイトに関わることは意義があるといえるでしょう。
【基礎編】広報としてコーポレートサイトに必ず準備しておきたい基本コンテンツ5選
コーポレートサイトには広報として必ず準備しておきたい、5つのコンテンツがあります。以下で紹介する5つの内容が自社のサイトに含まれているのか確認してみましょう。
基本コンテンツ1.会社概要
コーポレートサイトに準備しておきたい1つ目のコンテンツは、会社概要です。
会社概要は、自社に関する基本的な情報を簡潔に記載しましょう。以下のような項目が挙げられているとよいでしょう。
- 会社名
- 代表者名
- 所在地
- 資本金
- 設立日
- 事業内容
- 取引銀行
- 役員名
この他に、電話番号やFAX番号、従業員数、主要取引先、関連企業などの情報も別途追記すると、より信用度を高められます。
基本コンテンツ2.最新情報・ニュースリリース
コーポレートサイトに準備しておきたい2つ目のコンテンツは、自社に関する最新情報です。新商品発売やサービス開始などのニュースリリースや自社に関する最新情報について、コーポレートサイト上にリアルタイムで掲載していきましょう。
最新情報を発信する際は、コーポレートサイトのトップページの目立つ場所に、ニュースのタイトルと日付を付けを掲載するのがおすすめです。
更新が多いほど、丁寧にステークホルダーとのコミュニケーションを取ろうとしている姿勢も伝わるので、定期的な更新を心がけましょう。
基本コンテンツ3.商品・サービスの紹介
コーポレートサイトに準備しておきたい3つ目のコンテンツは、商品・サービスの紹介です。
コーポレートサイトと別に、商品やサービスに関するサービスサイトを運用・制作している場合は、コーポレートサイトから誘導リンクを設置しておくと親切です。
コーポレートサイトに掲載する商品やサービスに関する概要や詳細が、サービスサイトの情報と整合性が取れているか、関係部署とのコミュニケーションや連携をしっかり取ることも念頭におくといいですね。
基本コンテンツ4.IR情報
コーポレートサイトに準備しておきたい4つ目のコンテンツは、IR情報です。特に、上場企業の場合、IR情報はコーポレートサイトに必須の項目でしょう。
投資のプロから一般投資家が見ることを想定して、財務情報や業績情報など幅広く提供し、企業への理解度をより深め、投資対象としての魅力を持ってもらえるページを目指しましょう。
また、別途IRサイトを運用・制作している企業も少なくありません。この場合は、コーポレートサイトに誘導リンクを設定するなどの配慮をし、わかりやすい導線作りを心がけましょう。
基本コンテンツ5.お問い合わせ
コーポレートサイトに準備しておきたい5つ目のコンテンツは、お問い合わせページです。顧客からのお問い合わせのページは、電話番号を掲載するだけでなく、お問い合わせフォームを設けて、いつでも連絡できるようにしておくとよいでしょう。
また、顧客から問い合わせの多い内容をQ&A形式で一覧にして掲載しておくと、顧客が問い合わせることなく疑問を解決することにも繋がり、顧客満足度も向上します。さらに、社内で対応にかかる時間や労力も減るので効率的です。
お問い合わせフォームを設置する際には、お客様の氏名やメールアドレスなど個人情報を受け取ることになりますので、「個人情報保護方針」もあわせて記載することも留意しましょう。
【応用編】+αで実施したいコーポレートサイトの5つの広報施策・コンテンツ
前述の【基礎編】では、コーポレートサイトに必ず入れたいコンテンツを5つ紹介しました。以下では、【応用編】として広報施策の観点から見て取り入れたい+αのコンテンツ5つを解説します。
企業の方針によっては、応用編を充実させたサイトにしたい場合もあるかもしれません。基礎編のコンテンツとのバランスを図りながら、発信したいコンテンツとユーザーに求められているコンテンツの偏りのないサイト作りを意識してみるのも心掛けましょう。
1.企業理念・ミッション・バリュー
企業理念・ミッション・バリューなどをコーポレートサイトに掲載するのも一案です。社内のスタッフが一丸となるための道筋としてだけでなく、一般生活者・顧客・株主などあらゆるステークホルダーに対して企業のスタンスを示せます。
それぞれ似ているようですが、
ミッション=「会社が抱く使命」
ビジョン=「将来、実現したい会社の在り方」
バリュー=「社員が持つべき価値観や行動基準」
といった明確な違いがあります。齟齬なく理解してもらえるように、図やイラストなどを工夫して自社らしさをアピールするコンテンツを目指しましょう。
2.代表メッセージ
創業者や代表の考えや想いを掲載する代表メッセージは、顧客や社外の人が会社のイメージをつかむ手立てになるコンテンツです。
代表者メッセージを確認して、商品やサービスの購入をしたり、商談を検討する際に信用できるかどうかを判断したり、応募を検討している新入社員や中途社員の応募者の判断材料にもなったりと、様々な役割を持ちます。実際にコーポレートサイトの中では、アクセス数も多いページです。
代表メッセージでは、会社や社員に対する想い・お客様への感謝の気持ち・事業を始めたきっかけなどを人柄が伝わるような内容にすることがポイントです。
また、商品やサービスに関するエピソードやストーリーなども盛り込み、読み手をぐっと引き込めるコンテンツを意識してみましょう。
3.最新の採用情報
採用情報もまた自社の強みをアピールできるコンテンツです。募集している職種・求める人材・応募方法・エントリー方法などをわかりやすく掲載しましょう。
募集職種で活躍している社員から新卒・中途入社社員へ、社員の体験談や業務のやりがいなどメッセージを掲載するのもおすすめです。
また、楽しそうに仕事を取り組んでる社員やオフィスの雰囲気など画像も盛り込めば、「ここで仕事がしたい!」「この人たちと一緒に働きたい!」と思ってもらえる機会になります。
より多くの優秀な人材を得るためにも、コーポレートサイトの採用情報は充実した内容にしていきましょう。
4.公式SNSアカウントへの導線
企業がSNSの公式アカウントを所有している場合は、コーポレートサイトとSNSの連携をさせることもポイントです。SNSからコーポレートサイトへのアクセスを高められますし、コーポレートサイトで伝えきれなかったことをSNSで伝えることもできます。
コーポレートサイトには、SNSそれぞれのアイコンを並べて表示させる方法が一般的。サイトのトップページなど目につきやすく気付きやすい場所に設置することがポイントです。
また、アカウントは所有しているけれど実際の運用や更新頻度が充実していない場合は、SNSの運用を見直し、発信力を上げ企業へのエンゲージメントを高め、コーポレートサイトとの連携を効果的なものにしていきましょう。
5.社員ブログ
職場の雰囲気や働く社員のイメージなど会社の魅力を発信できる社員ブログは、コーポレートサイトへのアクセスを伸ばすために欠かせないコンテンツです。
社員のオフィスでの些細な日常や、親しみやすい内容から、企業や取り組み、担当している業務に関する想いなど、働く社員のリアルな雰囲気を知ってもらい自社に親近感をもってもらえるような内容を発信していきましょう。
広報がコーポレートサイトの運用をするときの3つの注意点
最後に、広報がコーポレートサイトを運用するときに知っておきたい3つの注意点を紹介します。
注意点1.企業ブランディングを一貫させる
コーポレートサイトに掲載している情報は、会社概要や企業理念、商品やサービスに関するニュース、採用情報など多岐に渡ります。それぞれのコンテンツやページで伝えているメッセージにばらつきがあると、企業ブランディング自体もブレてしまいます。
トーン&マナーの統一や情報を更新する際のチェックリストなどを作成しておき、発信する中核メッセージの一貫性を重視するようにしましょう。
注意点2.情報の新規追加や更新を怠らない
企業のコーポレートサイトが数ヵ月、または1年以上も古いままの状態であれば、閲覧者(ユーザー)は「この情報は最新のものなのだろうか?」など不安を持たせてしまいます。そして、ホームページの更新ができていないと、顧客を大切にする姿勢や経営状況へ悪印象を持たれる可能性も否めません。
特にニュース欄の更新頻度は重要です。新しい情報をもとにユーザーが問い合わせをしたり、資料請求を行ったりするなど、最終的には商品購入やサービス受注に辿り着く可能性も期待できます。また、お問い合わせに関するQ&Aも、情報の修正や更新の必要があるにもかかわらず情報を古いままにしておけば、混乱やトラブルにも繋がってしまいます。
コーポレートサイトの更新は、あらゆるステークホルダーに安心感や信用できる企業イメージを持ってもらうために重要です。新規顧客の獲得や顧客満足度も見据えた運用を行い、定期的な更新を行いましょう。
注意点3.トラブル発生時のルールを作る
コーポレートサイトでは、「問い合わせのページが繋がらない」や「リンク先が開かない」といったトラブルが起きてしまうこともあります。また、コーポレートサイトの公開やリニューアルした直後はトラブルが頻発することも。
トラブルが発生した際は、第一に経緯を把握し、原因をつきとめ、機能の改善を行う必要があります。スムーズに対応するためにも、日頃からシステムの関連部署やエンジニアチームと連携して、トラブル対応時のマニュアルやルールを作る、エスカレーション先を明確にしておくなど、コミュニケーション方法を明確にしておきましょう。
ステークホルダーから信頼を得られるコーポレートサイト作りは広報においても重要
企業に関するあらゆる情報を発信するコーポレートサイトは、今や会社の顔としてなくてはならない存在になっています。インターネット上での広報、マーケティングやセールスが当たり前になっている今、しっかりとしたコーポレートサイトの制作、運用は企業にとって重要です。
本記事でお伝えしたコーポレートサイトを作成する際に取り入れたいコンテンツ内容やポイントを参考にし、社内だけでなく、社外のステークホルダーにも有効なアプローチができる、充実したコーポレートサイトを作成したうえで広報活動に取り組んでみてはいかがでしょうか。
コーポレートサイトに関するQ&A
PR TIMESのご利用を希望される方は、以下より企業登録申請をお願いいたします。登録申請方法と料金プランをあわせてご確認ください。
PR TIMESの企業登録申請をするPR TIMESをご利用希望の方はこちら企業登録申請をする