記事検索

コーポレートブランディングとは?効果・ステップ・具体的な施策・事例などの基本情報を紹介

コーポレートブランディングは、短期間で特定の層に向けてマーケティングする製品ブランディングとは異なり、企業としてのブランド価値を5年あるいは10年先を見据えた計画をもとにブランディングします。取り組む期間も長く、プロセスも大きく異なるため、実際に何から始めたらいいか悩むことも多いでしょう。

本記事では、コーポレートブランディングとは何かという基本情報から、効果やステップ、具体的な施策などを事例もあわせてご紹介します。

コーポレートブランディングとは?

コーポレートブランディングとは、企業が社会に存在する理由を明らかにすることで消費者や株主などのステークホルダーから正しく認知されるとともに、応援してもらえる体制を作り出すことを指します。

シンプルに企業イメージを向上させることと捉えている方は多いですが、それはコーポレートブランディングの活動によるメリットの一側面でしかありません。企業の存在価値を明確にすることが、社内の意識改革と体質改善を促し、そのことにより企業イメージがアップデート・再構築に繋がります。コーポレートブランディングにより与えられる効果は、社外・社内の互いに結びついているといえます。

そのため起点にすべきは、利益目標など企業都合の目的ではなく、企業として商品やサービスを通してどのように社会に貢献していくのか、どのような社会を創りあげたいと考えているのかです。この点を忘れないように頭にとどめておきましょう。

企業がコーポレートブランディングを行う目的・効果(メリット)

コーポレートブランディングは長期的に行うことで、ひとつの施策に対して3つの面での成果を期待することが可能です。それぞれの効果の詳細を確認していきましょう。

コーポレートブランディングイメージ

1.インナーブランディング効果

企業がコーポレートブランディングを行う1つ目の効果は、インナーブランディングです。

企業が社会に存在する目的や理由、社会への貢献を通して、新たな組織文化が形成されていきます。自社のビジネスが社会によりよい影響を与えるビジネスだという一貫した姿勢は、社員に自社で働いていることに誇り持ってもらい、仕事へのロイヤリティを高めることに繋がります。

社員一人ひとりが高いモチベーションで自走しつつ、組織全体で同じ方向を向くことで強い組織へと変化していけるのです。

2.人材採用面でのブランディング効果

企業がコーポレートブランディングを行う2つ目の効果は、人材採用面でのブランディングです。

コーポレートブランディングの活動を通して、社会的に対して意義のある仕事であること、同じ価値観を持つ社員と働けることを示すことで、報酬や待遇以外の面で働きたいと思ってもらえる機会を創出できます。

企業理念や企業文化とのマッチングにズレがない状態を作り出すことは、優秀な人材の確保をする上で重要な要素です。

3.マーケティング面でのアウターブランディング効果

企業がコーポレートブランディングを行う3つ目の効果は、マーケティング面でのアウターブランディング効果があげられます。

環境問題や社会問題など企業で取り組んでいる内容を発信することにより、社会における企業の信頼を高めることが期待できます。企業の信頼は製品への信頼にも繋がり、顧客に自社の商品やサービスを選んでもらえる機会も増やすことができます。結果として他社との差別化にもつながるでしょう。

コーポレートブランディングを進める5つのステップ

コーポレートブランディングは全社を巻き込んだ大きなプロジェクトです。企業のブランドイメージを大きく左右するため、スピードのみを重視しすぎず、適切なステップで進めることを意識しましょう。

プロジェクトイメージ

STEP1.全社のタイミングを捉える

コーポレートブランディングを進める1つ目のステップは、全社のタイミングを捉えることです。コーポレートブランディングは企業全体の取り組みとなるため、始めるタイミングを見極めることは重要なポイントとなります。

タイミングとしては、上場、周年、新中期経営計画策定、企業合併、業容拡大、社長交代、人材採用が難しくなったタイミングなどがあげられます。これらのタイミングであればコーポレートブランディングの決済が通りやすいため、タイミングを捉えるために普段から社内の動きに注意して、情報が集まってくる状況を整えておくとよいでしょう。

STEP2.プロジェクトチームを編成する

コーポレートブランディングを進める2つ目のステップは、プロジェクトチームの編成です。決済が通ったら、プロジェクトを動かすためのチームメンバーをアサインします。コーポレートブランディングは全社に関わるプロジェクトなので、部署を横断してチーム編成を組むことを目標としましょう。

適任なのは、企業全体の視点に立ち、問題意識をもって主体的に取り組める社員です。コーポレートブランディングを行ううえで、企業が変化することは避けては通れません。反発や抵抗もある中で、問題解決のためにプロジェクトを遂行する強い信念がある社員の存在は、チームメンバーにとって頼もしい存在となるはずです。

STEP3.現状を把握する

コーポレートブランディングを進める3つ目のステップは、コーポレートブランディングの現状の把握です。具体的な施策を考える前に、まず外部分析・内部分析を通して自社のイメージを客観的に認識します。現状と目指すべき企業ブランドのイメージに、どれだけギャップがあるのかの確認です。

社内資料の収集、企業トップへのインタビュー、他社のブランドデザイン関連資料の収集などを通して、現状を多角的に捉えます。自社が社会から求められている役割について自社製品の利用者にアンケートを行うのもよいでしょう。

STEP4.コーポレートアイデンティティの策定

コーポレートブランディングを進める4つ目のステップは、コーポレートアイデンティティの策定です。これまでのステップを通して収集した情報をもとに、今後の自社の目指すべき方向性、社会目的などを明確にしていきます。

情報を課題と企業として期待されていることに分けて分析し、解決すべき課題を導き出します。そこに期待されている企業の姿勢をゴールに設定することで、ポジティブなスタートを切ることができます。

コーポレートブランディングが企業の現状課題解決であり、目指すべき像に向かった前向きな姿勢で取り組むプロジェクトであることを念頭に置きながら、ミッションステートメントやタグラインを作っていきましょう。

STEP5.ビジュアルアイデンティティの開発

コーポレートブランディングを進める5つ目のステップは、ビジュアルアイデンティティの開発です。言語化したコーポレートアイデンティティはそのままでは概念にとどまってしまうため、ビジュアルに落とし込んで視覚化しなくてはなりません。

具体的には、ブランドロゴや、企業のスローガンを含めたビジュアルアイデンティティを策定します。ビジュアルアイデンティティの策定はデザイナーとの協同作業になります。未来に向かって変化していく企業を適切に表現できるブランドロゴを制作するには、コーポレートブランディングで解決したい課題や企業としての姿勢を深く理解してもらい、何度も話し合いをしながら進める必要があるでしょう。

広報がコーポレートブランディングを行うときの具体的な5つの施策

コーポレートブランディングにはいくつかの具体的な施策が考えられます。そのうちもっとも一般的なのはロゴ変更ですが、そのほかにも商品デザインの一新や、オフィスデザインの変更、大きなものでは社名変更なども考えられます。

この章では、上記を含めた5つの施策をご紹介します。

1.社名変更、ロゴ変更

1つ目のコーポレートブランディング施策は、社名変更ロゴ変更です。企業が提供しているサービスや商品と、企業の認知度が伴っていない場合に行われる施策です。

社会からの企業への認識にもっとも大きな影響を与える上に、既存顧客へのネガティブな影響をもたらす可能性もあります。施策を行う必要性については何度も検討する必要があるでしょう。

2.商品デザインを一新する

2つ目のコーポレートブランディング施策は、商品デザインの一新です。この施策は社名変更、ロゴ変更と連動して行うことが多く、商品ブランディングまで一貫して行うことで、企業へのイメージや認知度を大きく変えることができます。新規顧客開拓にもつながる一手です。

3.Webサイトの開設

3つ目のコーポレートブランディング施策は、Webサイトの開設です。採用面でのコーポレートブランディングを行いたいと考えた際、採用に繋がりやすいオウンドメディアの開設は適しています。

Webサイトの開設で気を付けるべき点は、運営面まで設計をして開設をしなければならないということです。開設して終わりになってしまったり、途中で運営が止まってしまったりすることを避けるために、開設後の運営体制を整えることも施策を考える上で重要なことです。

4.オフィスデザインの変更

4つ目のコーポレートブランディング施策は、オフィスデザインの変更です。社内に向けた施策であり、組織文化面でインナーブランディングの効果を発揮します。

単純におしゃれなデザイン・レイアウトのオフィスに変更するのではなく、機能的かつ企業アイデンティティを想起させるようなオフィスデザインにすることで、自然にインナーブランディングを行うことが可能です。

コロナの影響を受け、ニューノーマルな働き方が浸透し、今後はますますオフィスの必要性が問われます。このようなタイミングで、モチベーションがあがり、仕事が楽しくなるようなオフィスデザインに変更するのもいいかもしれないですね。

5.行動指針などが記載されたクレドカードの制作・配布

5つ目のコーポレートブランディング施策は、クレドカードの制作・配布です。コーポレートアイデンティティを目にする機会を意図的に増やすことで、より自然に行動指針や企業としてのあり方を社内で浸透させることができます。

新たなコーポレートアイデンティティは、誰にとってもすぐには馴染まないもの。変更の幅が大きければ大きいほど、迷う機会も増えるでしょう。社員全員が同じ方向を向いて成長を遂げていくために、クレドカードの制作は効果を発揮してくれます。

参考にしたいコーポレートブランディング事例3選

いざコーポレートブランディングをしていくとなると、ほかの企業での事例が気になるものです。本章では参考にしたいコーポレートブランディングの事例を3つご紹介します。

事例1.Apple

1つ目の事例としてご紹介する企業は、Appleです。新型iPhoneの発売日当日には多くのファンが店頭に並び、開封動画やその使い方に毎回注目が集まります。熱狂的なファンが生まれた裏側には、スティーブ・ジョブズによるブランディングが大きく関係しています。

Appleは、デバイスの使用体験を重視し、デザイン、OSの提供、情報の出し方、製品の見せ方すべてにこだわっています。

従来、デバイスにとってデザインとは、差別化するための手段のひとつでしかありませんでした。それをスティーブ・ジョブズは、ユーザーの感性や感情に訴えるデザインと使用体験を重視。その結果、洗練された印象、革新的なデザインなどの認知を顧客に対して根付かせることができました。

日本国内初のApple Storeをラグジュアリーブランドの店舗が立ち並ぶ銀座にオープンさせることで、Apple製品が単なるデバイスではないと示すことにも成功しています。

事例2.株式会社ZOZO

2つ目の事例としてご紹介する企業は、ZOZOです。ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営する株式会社スタートトゥデイは、2018年10月1日に社名を株式会社ZOZOに変更し、それにともないロゴも変更したことを発表しました。

社名とブランドロゴを変えるに至った理由は、サービス名に対して企業名の認知度が大きく下回っていたことです。同社が行った「ZOZOTOWN」、「スタートトゥデイ」に関する認知度調査(※)によると、「ZOZOTOWN」の認知度は93.1%であったのに対し、「スタートトゥデイ」の認知度は19.6%という結果でした。

認知度の高いサービス名を社名にすることで、より企業としての認知度を高めていくことを狙った施策です。

※参考:株式会社スタートトゥデイ、「株式会社ZOZO」へ

事例3.レッドブル社

3つ目の事例としてご紹介する企業は、レッドブル社です。レッドブル社は、競合他社がエナジードリンクの機能的な訴求をする中、印象的なキャッチコピーとともに情緒的な訴求をすることで、エナジードリンクならレッドブルというイメージを浸透させることに成功しています。

同社の知名度を一気に高めたのは「翼をさずける」というキャッチフレーズですね。印象的なフレーズをTVCMで繰り返し伝えることで、レッドブル社の製品のイメージを徐々に定着させました。その結果、エナジードリンク=中年男性の嗜好品ではなく、若者に親しまれる飲み物として認識されるようになりました。

イメージキャラクターに若いスポーツ選手を起用するなど、ブランドイメージを壊さない姿勢を貫いています。

プロジェクト終了後の一貫した姿勢が表層的なコーポレートブランディングを避けることにつながる

コーポレートブランディングを成功に導く鍵は、施策終了後のコーポレートアイデンティティに寄り添った一貫した姿勢にあります。日常業務の中で意図的に触れる機会を作り出し、インナーブランディングを進めることで、マーケティング面でのアウターブランディング効果も徐々に感じられるようになるでしょう。

プロジェクトを進めるにあたって迷いが生じた時はコーポレートブランディングを行う目的に立ち戻ることがおすすめです。企業イメージを変えるためには何をすべきかをチームメンバーで何度も話し合いを行い、本質的なコーポレートブランディングに繋げていきましょう。

このシリーズの記事

前の記事 学校広報は具体的に何をするの?メリット・役割・注意したい4つのポイントとは
次の記事 広報としてコーポレートサイトに掲載したい5つのコンテンツ・運用時の注意点
最初から読む 【PR TIMESノウハウ】メディアリストの作成・設定方法
このシリーズの記事一覧へ

この記事のライター

佐藤杏樹

フリーのライター・編集者。PR TIMESに新卒入社しメディア事業部にてコンテンツ編集者・SNS運用・イベントなど担当。現在も執筆業に携わりながら広報・PRの仕事もしています。広報実務を通して得た知見や実践しやすい広報ノウハウ、最初に知っておきたい広報の基礎など、みなさまに分かりやすくお伝えします。

この記事に関連する記事

今注目の記事