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学校広報は具体的に何をするの?メリット・役割・注意したい4つのポイントとは

「学校広報」は、広報という言葉から、学校の宣伝活動を担い、児童や生徒の募集を行うイメージが強くあるかもしれません。そのイメージは間違いではありませんが、学校広報の仕事はさらに幅広く、もっとも期待されるのは学校の利害関係者との友好的な協力関係の形成・維持です。

本記事では、学校広報の業務を任された方に向け、学校広報の役割、メリット、具体的な活動内容などを注意したい4つのポイントと共にご紹介します。

学校広報とは?

学校広報とは、学校と学校関係者の間で相互に理解を深め、友好的かつ協力的な関係を構築・維持するために行う活動のことです。

まず、広報という言葉そのものを深掘りしていきましょう。広報は英語でPublic Relation(パブリックリレーションズ)と言い、パブリック=公衆・大衆、リレーションズ=関係をそれぞれ意味します。その頭文字を取って、一般的にはPRと呼ばれています。

つまり広報・PRの本来の意味は、利害関係者を含む大衆との友好的な関係を築くことです。学校広報の業務担当者はまず、このことを頭に入れておくことが重要です。

広報・PR・広告の正しい認識については以下の記事にて詳細に説明しているので、参考にしてみてください。

学校が広報活動を行う対象(ステークホルダー)とは?

ステークホルダーはもともと、企業の行動が及ぼす利害の直接的・間接的な関係にある相手を指します。学校もまた社会と繋がりを持つ機関であることから、その範囲は広く捉え直す必要があるでしょう。

次に、学校のステークホルダーについて、顕在的ステークホルダーと潜在的ステークホルダーの2つに分けてご紹介します。

1.顕在的ステークホルダー

顕在的ステークホルダーは、学校が直接関わりを持つ相手を指します。まず真っ先に考えられるのが、児童・生徒やその保護者です。そのほか、教育団体や学校が所属する地域の自治体、納税者などがあげられます。

意外に見落としがちですが、学校内部の管理職や教職員も顕在的ステークホルダーのひとつです。

2.潜在的ステークホルダー

潜在的ステークホルダーは、学校が関わりを持たず、現時点で直接認識していない不特定多数の相手を指します。例えば、わかりやすいのが転入学希望者です。転入学先を探す保護者は、転居先付近の学校を候補として入念に下調べを行います。その際、学校Webサイトに掲載されている情報が整備されていることで、効果的な情報伝達が可能となります。

ほかにも、学校の卒業生、地域社会や地域の市民なども潜在的ステークホルダーとしてあげられます。

学生面談イメージ

学校広報の主な4つの役割

学校広報は、児童生徒や保護者などの利害関係者と良好な関係の形成・維持を行う役割を担っています。次に、その役割をさらに詳細に分け、ご説明します。

1.学校教育への正しい理解を促す

学校広報の1つ目の役割は、学校教育への正しい理解の促進です。

学校と利害関係者間で起こる多くのトラブルは、学校教育に対して正しい理解を促せていないことから起こることが多いです。学校広報は、保護者はもちろん周辺地域の方や広く社会一般の方々から学校教育が正しく理解されるために、積極的に働きかけをする必要があります。

学校の現場や、教育現場の構造や課題を整理し丁寧に説明する機会を設けることで、少しずつ認識を深めてもらえるでしょう。

2.学校と保護者、周辺地域の信頼関係を形成する

学校広報の2つ目の役割は、学校と保護者、周辺地域との信頼関係の形成です。

学校に関する基本的な情報をわかりやすく明示し、良い点も悪い点も包み隠さず伝えることが、利害関係者から学校への信頼や評価に繋がります。あわせて、今後取り組みたいと考えている事柄なども公表することで、協力も仰ぎやすくなるでしょう。

3.学校運営、教育への積極的な参加を促進

学校広報の3つ目の役割は、学校運営、教育への積極的な参加を促すことです。

学校教育への正しい理解を促し、学校と保護者、周辺地域の方々と信頼関係を構築することで、学校教育への積極的な参加を促進することができます。その中にはもちろん、学校行事への参加も含まれます。

学校運営に対しても建設的な意見をもらう場を設け、学校単体ではなく児童に関わる全員で教育を行うという意識を高めていけるでしょう。

4.学校関係者との良好な関係維持

学校広報の4つ目の役割は、学校関係者との良好な関係維持です。

良好な関係を構築した後、その関係を安定させ、維持につとめるのも学校広報の役割です。学校広報も、在籍する児童や保護者も1年ごとに変化します。属人的な学校広報ではなく、誰が担当しても良好な関係を維持していけるよう、学校広報の仕事や運営は標準化していく必要があります。

学校側の一定した運営体制があることで、説得や交渉リスクの軽減にも繋がります。

学校が広報活動を行うメリット

「学校に広報は必要なのか」と疑問に思う人もいらっしゃるかもしれません。特に、学校法人として運営する場合、広報活動を行うメリットは多々あります。

次に、積極的な広報活動を行うことで考えられる主な3つのメリットを紹介します

メリット1.社会的評判が上がる

学校が広報活動を行う1つ目のメリットは、学校の社会的評判が上がることです。もともと評判のよい学校も、そうではない学校も、広報活動を行うことで学校の評判の維持・認知度の向上が期待できます。

運営状況を日々アップデートし正しく広報することで、実情とズレのない評判をつけることができるでしょう。

メリット2.正確な情報を伝えられる

学校が広報活動を行う2つ目のメリットは、誤解や根拠のない噂話が軽減されることです。

学校側としては一度伝えたから問題ないと思うことでも、正確な情報は何度も伝えなければどこかで誤解が生まれてしまいます。広報活動を行うことで、学校への一方的な思い込みを防ぎ、不必要なトラブルの発生を防ぐことができます。

メリット3.円滑な学校運営を行える

学校が広報活動を行う3つ目のメリットは、円滑な学校運営を行えることです。

学校は、地域の支援と協力があってこそ成り立つものです。児童生徒にとって利益になる取り組みを行う際、広報活動を通してあらかじめ良好な関係構築ができていれば、説得の時間は必要最低限で済みます。

学校運営において補足的な役割を果たす広報活動。活動の成果はすぐには見えてきませんが、ひとつの行動がさまざまな面で活き、結果として学校運営そのものを円滑に物事を進めることに効果を発揮してくれるでしょう。

学校広報が行う具体的な5つの広報活動

学校広報を行う場合、具体的にどのような活動をしたらいいか悩む人も多いのではないでしょうか。学校広報の活動は、一般的な企業広報の活動とは少し内容が異なります。

次に、具体的な5つの広報活動について説明します。

学校の廊下イメージ

1.学校のホームページの運用

学校広報の活動でまず取りかかりたいのは、学校ホームページの運用です。学校のホームページでは、タイムリーな情報をできるだけ多くの学校関係者に届けることができます。

保護者や学校に関心のある方は最新情報を知るためにアクセスしてくるので、年度始めや季節ごとのイベント情報などの情報をこまめに更新する必要があります。最新情報を得る以外に、過去の学校の活動などもログとして蓄積し、学校の活動を正しく理解してもらうための資料として活かすこともできるでしょう。

特に、学校に関しての情報は学生や保護者達の「噂」となり、情報が誤って広まる可能性も考えられます。学校公式として正しい情報を示すためにも、オフィシャルな発言の場は必須です。後ほど紹介するSNSでも公式情報を発信することになる場合でも、重要な決定事項については、公式ホームページに掲載すると、正しい情報を把握してもらいやすくなります。

2.学校要覧の作成

学校広報で次に取りかかりたいのは、学校要覧の作成です。学校要覧とは、学校の教育計画や経営計画がわかりやすくまとめられた冊子のこと。学校の実態をまったく知らない方でも、学校要覧を読めば全体像を把握できるような内容で構成します。

学校要覧は、学校によってページ構成が異なりますが、その内容は学校概要、学校経営、教育課程と主に3つの共通する掲載項目で成り立っています。各項目に割くページ数は、学校の特色などを考えながら割り振るのがよいでしょう。

冊子だけではなく、PDFファイルとしてオンラインからもアクセスできるようにしておきましょう。

3.印刷物の制作・配布

印刷物の制作・配布も広報活動のひとつです。

先述した学校要覧も印刷物のひとつですが、そのほかに例えば定期的に発行される学校広報誌があげられます。学校広報誌は、児童生徒の保護者から有志で募ったメンバーと共に作り上げることが多いです。小学校の場合はPTAが作成することもあるでしょう。

これらの印刷物は紙として配布するのはもちろん、データ化して学校のホームページを経由してダウンロードできる形にしておくことも忘れないようにしましょう。

【合わせて読みたい】

▶広報誌とは?「広報紙」との違い・作成時の7つのポイント【事例紹介あり】

▶【初めて小学校のPTA広報誌を作成する方へ】作成の流れ・企画15選など基本事項を紹介

4.SNSを活用した広報活動

今後の学校広報は、SNSを活用した広報活動も徐々に取り入れていく必要があります。

学校法人・教育機関において、SNSを活用した広報活動はまだまだ積極的には行われていません。仕事が多忙な保護者の中には、学校のウェブサイトにアクセスして確認するよりも、SNSを経由して発信された情報をダイレクトに受け取る方が便利だと考える方もいるでしょう。

ただし、SNSの運用前にはガイドラインを策定して運用ルールを決め、発信する情報は複数人の目で精査することは欠かせません。

以下の記事も参考にしながら、SNSでの広報活動についても検討してみてはいかがでしょうか。

【合わせて読みたい】

▶企業がSNSの運用をするメリットは?SNSの選び方・始め方・注意点まで徹底解説

▶企業がSNSアカウント作成時に知っておきたい5つのこと

▶【企業のSNSルール】ソーシャルメディアガイドライン・ポリシーとして制定しておきたい10のこと【事例あり】

5.保護者や地域関係者を対象としたアンケートの実施

保護者や地域関係者向けのアンケートも、広報活動のひとつに入ります。

広報活動は、学校から保護者、地域の方々への一方的な情報発信になってしまいがちです。利害関係者が求めている情報を届け、情報に偏りを起こさないため、アンケートで定期的にフィードバックをもらい、広報活動の内容に反映させていくのがよいでしょう。

今後は、対面での行事は来場者の人数を制限して行うことも増えます。学校に関係するすべての方の参加が叶わない中で、外部から見て不透明になっている部分はないかなど、率直な意見を聞くアンケートでの広報活動は重要となっていくはずです。

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学校が広報活動を行う際に注意しておきたい4つのポイント

学校広報が企業広報と大きく違うのは、利害関係者の数が多いことや、広報活動の重要性が浸透しきっていないことです。そのため広報活動前の注意点も異なります。

最後に、学校が広報活動を行う際に注意しておきたい4つのポイントについてご説明します。

ポイント1.学校管理職からの理解を得る

学校が広報活動を行う際の1つ目のポイントは、学校管理職からの理解を得ることです。

学校の広報活動は、学校経営の重要な要素のひとつです。円滑に運用するためにはまず、理事長、校長、副校長、教頭など学校管理職からの理解を得ることが欠かせません。

学校広報を積極的に行うことによって、学校の教育活動全般への理解促進が学校の社会的価値を向上させ、ひいては学校関係者が積極的に関わることによる学校教育の質の向上に繋がるメリットを、まずは理解してもらえるよう努めましょう。

ポイント2.現状の把握と課題の洗い出し

学校が広報活動を行う際の2つ目のポイントは、現状の把握と課題の洗い出しを行うことです。

闇雲に広報活動を始めるのではなく、まずは現状を把握します。以前に広報活動が行われていたなら、活動報告書や議事録などに目を通し、その活動からどんな結果を得たのか、学校関係者との現状の関係値を把握します。

そのうえで、目指すべき理想の状態に対して足りていない要素や課題を洗い出し、必要な手段を選択します。

【合わせて読みたい】

▶【現役広報が教える】広報における目標設定とKPIの立て方3つのポイント

▶広報の目標「OKR」はどう作る?設定する内容の例・流れ・運用の注意点を紹介

ポイント3.広報手段を選択する

学校が広報活動を行う際の3つ目のポイントは、広報手段の選択を行うことです。

適切なタイミングで適切な量の情報を、より多くの学校関係者に届けるため広報手段の選択は必要です。印刷物にするのか、学校のウェブサイトに掲載するのか、あるいは校内掲示板を活用するのか。ひとつの手段に固執せず、伝えたい情報を適切に伝えられる手段は何かを考えて、手段の取捨選択を行いましょう。

ポイント4.継続的に発信しやすい情報から始める

学校が広報活動を行う際の4つ目のポイントは、継続的に発信しやすい情報から始めることです。

広報活動における発信の内容は、必ずしも特別であったり、非日常である必要はありません。ポジティブなことや綺麗な面だけを見せると、正しい現状理解に繋がらなくなってしまいます。

例えば給食の紹介や、児童が取り組んでいる実習での様子など、継続的に発信しやすい情報をありのまま伝えるようにする日常的学校広報がおすすめです。更新頻度にこだわる必要はありませんが、新しい情報が長期間ない状態にするのは避けましょう。

潜在的ステークホルダーも含めた広報活動が学校への理解や信頼、評判向上に繋がる

学校広報が指す役割や具体的な広報活動は、一般的な企業広報とは異なるため、担当を任されてすぐは混乱することも多いでしょう。広報=宣伝という認識を修正するためにも、まずは学校広報という役割について、学校内部で正しく理解してもらうことが肝心です。

そのうえで、さらに理解や協力を得るために広報担当者が手掛けるべきは、ステークホルダーとの信頼形成です。本来オープンであるべき学校の情報を適切な手段で届けるため、4つのポイントを頭に置きながら、潜在的ステークホルダーにも目を向けた広報活動を行なっていきましょう。

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この記事のライター

佐藤杏樹

フリーのライター・編集者。PR TIMESに新卒入社しメディア事業部にてコンテンツ編集者・SNS運用・イベントなど担当。現在も執筆業に携わりながら広報・PRの仕事もしています。広報実務を通して得た知見や実践しやすい広報ノウハウ、最初に知っておきたい広報の基礎など、みなさまに分かりやすくお伝えします。

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