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複数社連名でプレスリリースを出すメリットは?配信に有効な5ケース・20事例と注意すべき7つのポイント

複数の企業や団体が共同で情報を発信する場合、プレスリリースも複数社共同で出すこともあります。

企業、公的機関、教育機関、医療機関など、組織同士が共同で配信するプレスリリースは「連名プレスリリース」とも呼ばれます。

単独配信に比べ、確認フローが多く時間と手間がかかる一方、連名でのプレスリリースならではのメリットもあります。

本記事では、連名でプレスリリースを配信するメリット、連名でのプレスリリースに有効な5つのケース・20の事例と、スムーズに配信を進めるために注意するべき7つのポイントを紹介します。

2社、3社共同など、複数社での連名プレスリリースを配信したい方はぜひ参考にしてみてください。

複数社での連名プレスリリースの5ケース・20事例

ではどのようなときに、複数社連名でプレスリリースを配信するのでしょうか。複数社で実施した「サービス開始・商品発表」「事業提携・技術提携」「実証実験・プロジェクト・キャンペーン企画」「子会社化や資本提携」「共同調査」などを発表する際に、複数社での連名プレスリリースを配信できます。

次に、これらの5つのケースごとに、事例を紹介します。自社でも配信できる機会がないか確認してみましょう。

連携イメージ

1.サービス開始・商品発表

企業が共同でサービス・商品発表を行った場合、連名でのプレスリリース配信が有効です。

提供サービスの説明をわかりやすくまとめるのはもちろん、各社がどのように関わり、具体的にどのようなメリットを提供できるかまとめることがポイントになります。

事例1.サービス開始:花王株式会社/ライオン株式会社

花王とライオン、使用済みつめかえパックを協働で水平リサイクル再生材料を一部に使用したつめかえパックを初めて製品化

事例2.事業開始:株式会社SkyDrive/株式会社大林組/関西電力株式会社/近鉄グループホールディングス株式会社/東京海上日動火災保険株式会社

2025年以降大阪での「空飛ぶクルマ」の事業実装に向けて「空飛ぶクルマ都市型ビジネス創造都市推進事業」を大林組・関西電力・近鉄GHD・東京海上日動とともに実施

事例3.商品発表:オイシックス・ラ・大地株式会社/株式会社プロントコーポレーション

Upcycle by Oisixとプロントが初の共同開発商品を販売開始(2/23〜) 抽出後のコーヒー豆かすをアップサイクル 外食産業の課題解決に繋げる

事例4.商品発表:小泉成器株式会社/ディズニーストア

「コイズミ」とディズニーストアの共同企画商品!イオンバランスドライヤーなど3製品がディズニーストア限定のシンデレラデザインで新発売!

事例5.商品発表:株式会社ファンケル/ダイドードリンコ株式会社

食事と一緒に1本!ファンケル×ダイドー「大人のカロリミットⓇ」茶シリーズがリニューアル!(株式会社ファンケルより)

食事と一緒に1本!ダイドー×ファンケル「大人のカロリミット®」茶シリーズがリニューアル!(ダイドードリンコ株式会社より)

2.業務提携・技術提携

業務提携や技術提携を行った場合も共同でのプレスリリースの配信が有効です。なぜ提携をしたのかという「提携の目的」と、「どのように成長するのかというイメージ」を抱かせることにフォーカスすると読み手の関心が増します。

また、それぞれの立場で業務提携に至った背景や思いを伝えられるようにしましょう。

事例6.業務提携:株式会社リーガロイヤルホテル広島/株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ

【リーガロイヤルホテル広島】リーガロイヤルホテル広島とテイクアンドギヴ・ニーズが婚礼事業において業務提携を締結(ロイヤルホテルより)

テイクアンドギヴ・ニーズがリーガロイヤルホテル広島と業務提携(T&Gより)

事例7.業務提携:株式会社ピアラ/伊藤忠商事株式会社

世界50か国で展開する韓国コスメ「TONYMOLY」の独占販売権を持つ伊藤忠商事と業務提携

事例8.技術提携:コニカミノルタ株式会社/株式会社エモテック・ラボ

エモテック・ラボとコニカミノルタ、認知機能低下の早期発見で技術提携

事例9.サービス連携:ランサーズ株式会社/MENTA株式会社

ランサーズグループ、ChatGPTとの連携開始

業務提携・技術提携について詳しくはこちらの記事を参照してください。

3.実証実験・プロジェクト・キャンペーン企画

実証実験やプロジェクト、キャンペーン企画を共同で実施している場合にも、複数社共同でのプレスリリース配信が可能です。

各企業の情報をバランスよく記載することで、事業の方向性が一致していること、社会貢献性が高い研究を行っていることを伝えることができます。

事例10.商品発表:株式会社アテニア/株式会社リーガルコーポレーション

天気を選ばない!アテニアの毎日頼れるパンプスがすごい!抜群の防水性と、軽さ・通気性を両立「晴雨兼用 いつでもパンプス」が新登場。2023年4月18日(火)数量限定発売

事例11.実証実験:株式会社エアロネクスト/株式会社電通西日本/セイノーホールディングス株式会社/株式会社NEXT DELIVERY/KDDIスマートドローン株式会社/長門市

山口県長門市で地域課題の解決に貢献する新スマート物流の構築に向けた実証実験の実施

事例12.プロジェクト:株式会社ABC Cooking Studio/キユーピー株式会社

ABCクッキングスタジオ × キユーピー共同プロジェクト【サラダとタマゴの食と健康キッチン】

事例13.プロジェクト:スマドリ株式会社/株式会社SEAM

SUMADORI-BAR SHIBUYA×koyoi 生活者巻き込み型商品開発プロジェクト発足

事例14.プロジェクト:株式会社Mizkan Holdings/日本女子大学

日本女子大学とミツカングループが新しい食の形“にっぽん食”を発表

事例15.プロジェクト:クーパービジョン・ジャパン株式会社/東京工業大学 環境・社会理工学院 融合理工学系 野原研究室

「プロジェクト・ビジョン2022」展示発表会イベントレポート クーパービジョン・ジャパン×東工大野原研究室産学連携プロジェクト

事例16.販促:株式会社雪国まいたけ/マルコメ株式会社

雪国まいたけとマルコメが美味しくコラボ!共同販促企画を3月1日からスタート

4.子会社化や資本提携

子会社化や資本提携は、各社の業務との親和性や関係性が気になるところです。連名でプレスリリースを配信することで、業務や企業に対しての期待友好的な関係を印象づけることがポイントになります。

事例17.子会社化:株式会社ジーニー/Zelto,Inc.

ジーニー、北米の広告テクノロジー企業Zeltoを完全子会社化

事例18.資本業務提携:株式会社テレビ朝日/株式会社BookLive

テレビ朝日、国内最大級の総合電子書籍ストア「ブックライブ」等を運営するBookLiveとの資本業務提携のお知らせ(株式会社テレビ朝日ホールディングスより)

BookLive、株式会社テレビ朝日との資本業務提携のお知らせ(株式会社BookLiveより)

5.共同調査

共同調査を伝えるプレスリリースは、調査結果を中心にまとめるケースが多いですが、調査過程や調査に至った背景を伝えることが大切です。それぞれの企業からの立場でのコメントを掲載することで、調査の背景を伝えましょう。

事例19.調査発表:NPO法人ETIC./アビームコンサルティング株式会社

アビームコンサルティングとETIC.が共同で、社会課題解決の加速へ向けた副業・プロボノ等人材活用の調査報告書を公開

事例20.調査発表:国連グローバル・コンパクト(UNGC)/アクセンチュア(NYSE:ACN)

国連グローバル・コンパクトとアクセンチュア共同調査――世界的な混乱期においても、長期的なレジリエンスを構築するには、サステナビリティを事業全体に取り込むことが不可欠

複数社連名のプレスリリースを配信する3つのメリット

複数社連名でのプレスリリースは、単独配信に比べ確認事項が多く時間もかかる一方、連名でのプレスリリース配信ならではの効果があります。

まずは連名でのプレスリリースを配信する3つのメリットを解説します。

プレスリリース

1.ステークホルダーの態度変容に寄与

連名でのプレスリリースは、企業同士の持つ資源を生かし、新たな価値を創造する内容になっているため、従業員、生活者、株主、取引先、行政機関など幅広いステークホルダーに対して自社への期待値を高めます

従業員をはじめとし、自社との関わりが深いステークホルダーであるほど、企業や事業に関わる高揚感を得ることができるため、態度変容に寄与できる可能性が高まります。

2.リーチの拡大

事業の親和性が高い企業がおのおの抱えるユーザー属性は類似しており、自社に興味を持ってくれる可能性も大きいでしょう。また、異なる業界や業種の場合、今までリーチできていなかった潜在顧客との接点が生まれます。

連名でのプレスリリースの配信効果についての取材も行っていますのであわせてご覧ください。

いずれも食品のコラボレーション商品のプレスリリースです。

3.新たなメディア開拓・取材の可能性

リーチが拡大できるのは潜在顧客のみではありません。おのおのの企業がメディア関係者を紹介し合うことで、今まで付き合いがなかったメディアとの接点が生まれることも、連名でのプレスリリースを配信するメリットです。

プレスリリースの内容に興味を持っているメディア関係者と紹介を通じて関わることで良好な関係が築けるため、効率的なメディア開拓方法といえます。また、単独企業だけでは取材獲得に至らない場合でも、連名先が大手企業など名のある企業の場合、社会に与える影響が増すため取材獲得が期待できます。

連名のプレスリリースで注意すべき7つのポイント

複数社での連名のプレスリリースを配信する際、想定外の修正や、アクシデントによるスケジュールの後ろ倒しがよく起きます。あらかじめ確認しておくとスムーズに進行ができる7つのポイントをまとめました。

1.目的と目標のすり合わせ

連名によるプレスリリース配信は、「誰に向けたメッセージなのか」「読み手にどのような印象を与えたいのか」という、プレスリリースの配信目的を確認することがポイントです。

意外に軽視されがちなポイントのようにも思いますが、関係者おのおのでプレスリリースを作成すると、成功体験や感性により修正が入り、それが繰り返され時間を要する可能性が高まります。初めに時間を使ってでも目的・目標を言語化することで一貫性が生まれ、スムーズなプロジェクト進行につながります。

2.プレスリリースを配信する人とタイミングの確認を徹底

「連名配信」をするのか、「それぞれで配信」なのか、プレスリリースの配信者を決めて認識相違を防ぐことも大切です。

プレスリリースの配信日、各企業の関係者・広報PR担当者のスケジュールはもちろん、ほかのニュースや政策発表と重複する可能性が低いかを検討し、決定させます。どんなに気を付けても予測ができない出来事が起こる可能性があるため、余裕を持ったスケジュールを立てましょう。

3.承認フローの明確化

連名でのプレスリリースを配信する際は、各企業の承認フローを確認しましょう。

特に連名相手が大手企業の場合、関係会社や部署を越えた確認が必要になる可能性があります。それぞれの企業が修正するごとに確認を繰り返し、配信間際に新たな承認者が出現して振り出しに戻るケースも発生します。

外資系企業で本社の確認が必要という場合は、プレスリリースで配信する内容の優先順位によって迅速な確認が難しい場合もあるため、承認者・フローは確実に把握しておきましょう。

4.打ち出し方と構成内容

構成を考える際、テンプレートに頼る・いずれかの企業に任せるのではなく、各企業の広報PR担当者が持つノウハウを持ち寄って構成を作ることで、形骸的ではないプレスリリースの作成につながります。

ここで重要になるのが、目的と目標を振り返りながら進めること。「この構成なら読み手にわかりやすいのではないか」と目的に立ち返りながら作成します。建設でいう設計図にあたる部分なので、まだ修正コストが低い段階です。構成段階で関係者の合意をとって進めることを心がけましょう。

5.レギュレーションの決定

プレスリリースを作成する際にレギュレーション(表記ルール)を確認します。例えば、「お客様/顧客」「行う/おこなう」といった表記について、企業によっては社内報やWebサイトで用いている言い回しのレギュレーションが存在していることもあります。

レギュレーションがない場合は、これを機に自社のプレスリリースにおけるルールを作成・アーカイブしておくと一貫性のあるコンテンツを配信できます。

6.メディアアプローチの分担

連名でのプレスリリースを配信する際は、メディアアプローチの分担をし、同じメディアに同時に連絡することを避けましょう

どこのメディアにどのように掲載、報道をしてもらいたいか、関係者と確認をしたうえで、各社で既にリレーションが築けているメディアを共有します。

複数の企業で同メディアにコネクションがある場合、記者の得意分野を考慮したうえで、興味を持ってもらえそうな記者に対して情報提供することができます。

【関連リンク】

7.取材対応の想定質問作成、対応者の選定

プレスリリースを配信した後、各メディアからの問い合わせに対してどの企業の誰が回答をするのか、取材対応の担当を決めておくとスムーズです。

質問によって回答企業を変えることもできます。回答する際に一つひとつ確認作業をしていては取材するメディア関係者がストレスを抱えることになりかねません。事前に想定質問を準備し、回答できる状態にしておくことが理想的です。

連名プレスリリースは互いの目的・目標をすり合わせて効果を最大化しよう

自社以外の企業とスムーズにプレスリリース配信をするためには、目的・目標のすり合わせ、構成確認、承認フローの確認、配信するタイミングの確認、メディア関係者への連絡や質疑応答の準備といった、多岐にわたる確認事項があります。

2社間でも入念な準備が必要ですが、3社共同、4社共同など複数になるにつれ、進行の難易度は上がります。

ひとつでも抜けてしまうとプレスリリースの書き直しや、配信日の遅れなど想定以上の時間や手間がかかるリスクがある一方で、連名によるプレスリリースは、リーチの拡大、新たなメディア開拓、取材の可能性が見込めるなど、企業貢献につながる手段にもなります。

タスク表やガントチャートを作成し余裕を持ったスケジュールを組み、連名企業の担当者とこまめに連絡をとりながらプロジェクト進行をしていきましょう。

<編集:PR TIMES MAGAZINE編集部>

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この記事のライター

坂下 彩花

坂下 彩花

合同会社KOUYO代表。スタートアップ企業で広報と人事を兼務しながら、広報業務を一通り経験。提供する情報がない中での企画作り、メディアアプローチが強みです。これまでの広報経験を生かして広報担当者さんの役に立ちたいと思いPRTIMES MAGAZINEに参画。現在シェアハウスの愉快な仲間たちと賑やかに暮らしています。

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