会議の議事録作成やインタビュー取材など、広報の業務の中では録音した音声データを書き起こす作業が発生することがあります。以前は書き起こしというと人が聞き取ってテキスト化していましたが、今では外部サービスや専用ツールなどの手段も増えています。
本記事では、書き起こしに関わるサービスやツール、また依頼する際の相場感などを紹介します。
書き起こしとは?文字起こしとの違い
書き起こしとは、音声データを文字データに変換する作業を指します。「文字起こし」「テープ起こし」といわれることもありますが、作業内容は同じです。書き起こしの方法としては、人が音声データを聞いてテキスト化するほか、AIなどの音声認識機能を用いて自動でテキスト化するやり方があります。
作業内容は、音声データを一字一句そのままテキスト化する「素起こし」、意味のない音を省く「バリ取り」「ケバ取り」、文章として読みやすく整える「整文」に大別され、ツールを使ったテキスト化で対応できるのは「素起こし」のみになります。音声認識機能による自動書き起こしでは誤変換や誤った処理がそれなりにあるため、最後に人力で確認することが必要になります。
書き起こしを依頼する相場の金額
書き起こしを専門とする外部サービスに依頼する場合、時間換算で1分あたり100~200円が相場となります。また、文字数でカウントする場合は1文字1円程度となります。IT系や医療系など専門知識を必要とする書き起こしの場合はこの2倍程度の料金がかかることもあります。
外部に依頼する際には、成果物にどこまでのクオリティを求めるかを明確にし、最適なサービスを活用するようにしましょう。
書き起こしを依頼する際に注意する3つのポイント
外部の書き起こしサービスを活用するときには、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。特に注意したい3つのポイントを挙げます。
ポイント1.専門知識の有無を確認する
会議の書き起こしや専門的な内容の音声データの書き起こしの場合は、書き起こす人材にも相応の知識が必要となります。知識を持たない人が書き起こすと、専門用語が誤った単語に変換されたり文脈として意味の通じない文章となる可能性があります。依頼時には、対象となる音声データの書き起こしに必要な知識レベルを伝えるとともに、必要があれば候補者の実務経験や専門知識のレベルを確認しましょう。
ポイント2.書き起こし文章の精度や成果物の納品形式を確認する
書き起こしを依頼する際には、納品物のテキスト整形の有無やそのレベルをきちんと指定しましょう。音声データをそのまま起こすだけでよいのか、言い淀みなど読むのに不要な内容を省くのか、読むための文章としてきちんと整えるのかなどによって、作業内容・時間、費用も変わってきます。また、成果物のファイル形式など納品時の条件についても明確に伝えましょう。
ポイント3.秘密保持契約の有無を確認する
書き起こし対象となる音声データは機密情報にあたることがほとんどです。外部サービスを利用する際には秘密保持契約を締結するようにしましょう。大手の書き起こし業者であれば事前の締結が通例になっていることがほとんどですが、小規模業者や個人事業主などはルール化されしていないこともあるため、作業実施の前に必ず確認するようにしましょう。
書き起こしができるサービス・アプリおすすめ7選
自動で書き起こしができるアプリやWebサービスも増えてきています。個人利用から企業向けのものまでさまざまな特徴があるので、比較検討して最適なサービスを活用しましょう。ここでは7つのサービスを紹介します。
サービス名 | 提供元 | 料金 | 提供形式 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
Notta | Notta | 無料:120分/月月額$13.99:1800分/月 | WebサービスアプリChrome拡張機能 | 音声ファイルのアップロードや、Webインターフェース上での直接録音のほか、ZoomやGoogle Meet、Microsoft TeamsなどのWeb会議にログインして、発話者別に自動書き起こしをする便利な機能も。成果物はTextファイルやWord形式などでダウンロード可能。 |
Rimo Voice | Rimo | ■スポット利用音声:20円/30秒動画:30円/30秒■定額制10万円:40時間/月 | Webサービス | 日本語に特化したAIによる書き起こしサービス。整文のオプションサービスなどもあり。ファイルのアップロードのほか、直接録音にも対応。複数の話者の判別はできない。成果物はText、ExcelCSVのほか、字幕ファイル形式での書き出しも可能。無料トライアルあり。 |
Texter | Yuichi Matsuoka | Freeプラン 1分/月Premium M 月額1,000円 3時間/月Premium M+ 月額3,000円 10時間/月Premium Y 年額6,000円 5時間/月 | アプリ | iOS、Android対応の書き起こしアプリ。音声、動画、画像から書き起こしが可能で、リアルタイム翻訳にも対応。書き起こしたデータはほかアプリでも利用できる形に出力可能。 |
AI GIJIROKU | オルツ | ・月額1,500円 10時間/月・月額29,800円 100時間/月・月額200,000円 1,000時間/月 | Webサービス | AIを用いた書き起こしサービス。金融、法律、IT、人事労務、コロナ対策まで15種類の業界別音声認識に対応しており、専門用語の認識に強いのが特徴。またリアルタイム翻訳も30ヵ国語に対応している。 |
toruno β版 | リコー | 月額1,650円 ※10時間/月従量料金 2.2円/分 ※10時間超過後 | Webサービス | チャット形式で話者ごとに書き起こしが行われる。Microsoft Teams、Skype 、Zoom、Google Meet、Webexに対応。30秒に1回、自動でオンライン会議の画面を撮影するため、内容を把握しやすい。3時間の無料トライアルあり。 |
スマート書記 | エピックベース | 要問い合わせ | Webサービスアプリ | 議事録作成に特化したエディターで、書き起こした内容の編集が簡単。アプリもあるため、出先などで録音したものを持ちかえって書き起こすこともできる。セキュリティに定評があり、金融系など、強固なセキュリティが求められる大企業や自治体の利用が多い。14日間の無料トライアルあり。 |
Microsoft Word | Microsoft | 無料 | Word付帯機能※Microsoft365かWindows10以上 | 発話した内容を自動で書き起こししてくれる。基本的には口述筆記用の機能なので複数人の発話を書き起こすのには不向き。Wordの付帯機能として無料で利用できるので、自動書き起こしのトライアルとして利用してみても。 |
書き起こしサービス・アプリを選ぶときの4つのポイント
外部専門業者やWebサービスなどさまざまな形態で利用できる書き起こしサービスですが、どのような点に留意して選定すればよいのでしょうか。ここでは選定時に意識したい4つのポイントについて紹介します。
ポイント1.セキュリティ面に対する保証があるか
大手の専門業者に依頼する場合は秘密保持契約などを締結するケースがほとんどですが、Webサービスやアプリではセキュリティ面での保証がない場合もあります。特に機密の内容を扱う際には、セキュリティ対応を明確に表明しているサービスを利用するようにしましょう。
ポイント2.専門用語・特殊用語の書き起こしに対応しているか
専門用語や特殊な文言を使う分野をテーマとした音声データの書き起こしの場合は、それらの用語に対応しているサービスを選定するようにしましょう。書き起こす人材に前提知識がない、またはAIがそれらの用語を認識していないサービスの場合、意味の通らない文章となる可能性があります。特殊な知識を必要とする書き起こしの場合は、依頼時の条件に含めるようにしましょう。
ポイント3.成果物のエクスポート機能があるか
Webサービスやアプリで書き起こしを行う場合は、成果物のアウトプット形式を事前に確認しておきましょう。データ出力ができない場合、書き起こしたデータをコピペするなどの作業工数が発生します。希望の納品形式がある場合は、選定のする際の条件としましょう。
ポイント4.依頼内容を効率的に遂行する機能があるか
Webサービスやアプリによっては、複数の発話者を識別する機能がない場合もあります。会議やインタビュー取材の書き起こしにこうしたサービスを使ってしまうと、後から修正する工数が必要となります。また、オンライン会議の書き起こしには、録音・録画機能が付帯したサービスであれば同じプラットフォーム上で音声データ作成・入力・書き起こしまでを実施でき、各工程の工数を削減できます。内容に合わせて効率的に書き起こしができるサービスを選定し、最適な工数とコストで実現できるようにしましょう。
成果物の活用イメージを明確にしておこう
外部の専門業者もWebサービスやアプリも、書き起こしの対応範囲や成果物の納品スタイルは多岐にわたります。納品のタイミングになって、思っていた内容と違うといった状況にならないよう、事前に成果物の形式や納品後の活用イメージを明確にしておきましょう。
これらを明確にすることで依頼時の必須条件も導き出され、最適な工数・コストが可能となります。あらかじめ具体的にイメージし、最も条件に合うサービスを選定しましょう。
書き起こしに関するQ&A
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