PR TIMES MAGAZINE|広報PRのナレッジを発信するWebメディア
記事検索
title

テレビCM・テレビ広告の基礎知識|効果と注意点、制作費、成功事例を紹介

テレビCMは、商品・サービスの認知拡大や企業イメージの訴求といった広報PR施策に必要なコンテンツのひとつです。スタンダードな広告媒体ともいえますが、効果を発揮させるには視聴者層の明確化やコンセプトの設定といった工程が重要になります。

本記事では、テレビCM・テレビ広告を活用する効果や注意点、製作費といった基礎知識に加え、実際にCMを放送した成功事例をご紹介。準備から放映までの一般的な流れも解説していますので、広報PR活動を検討中の方はぜひ参考にしてください。

目次
  1. テレビCM・広告の種類

  2. テレビCM・広告を活用した広報PRにおける3つの効果

  3. テレビCM・広告の注意点

  4. テレビ広告とネット広告(Web広告)の比較

  5. テレビCM・広告の制作から放映にかかる費用の目安

  6. テレビCM・広告の作り方・流れ

  7. 広報PR施策としてテレビCMを実施する際の3つのポイント

  8. テレビCM・広告の成功事例10選

  9. 効果的なテレビCMを制作して商品・サービスの魅力を伝えよう

テレビCM・広告の種類

テレビCM・広告は、放送場所や方法によっていくつかの種類に分かれます。コストや放送時間、放送枠に違いがあるため、代表的な4種類のテレビCM・広告の特徴を押さえておきましょう。

テレビCM・広告の種類とは

1.タイムCM:企業名やロゴを番組内に表示できる

特定の番組と契約し、企業のコマーシャルとして展開するのが「タイムCM」。番組内でロゴやクレジットが表示される広告がこれに該当します。1回単位での契約も可能ですが、一般的には半年以上の中長期契約が主流です。

タイムCMの大きな特徴は、企業名やロゴを番組内に表示できるという点。視聴者に視覚的に認識されやすく、企業名やロゴイメージの記憶定着にもつながりやすいメリットがあります。

2.スポットCM:放送局側が広告枠を選定

スポットCM」は、タイムCMのような契約期間の縛りがなく、特定の番組に限定せずに放送できるテレビCMです。通常、放送する番組は放送局側が選定し、曜日や時間帯を問わずにテレビ広告が流れます。

番組は指定できない反面、幅広い視聴者層にアプローチできる点がメリット。「最低6ヵ月間の契約」といった縛りがない場合も多く、予算に応じて柔軟に出稿できる広告形態といえるでしょう。

3.SAS(スマート・アド・セールス):広告1本から契約できる

SAS(スマート・アド・セールス)」は、2020年2月にスタートした新しいテレビCMメニューで、CM枠を1本単位から購入できるのが特徴です。特定の時間帯や番組を指定してテレビCMを放送することが可能です。

事前に放送枠を確認できるため、自社事業やサービスの利用者層にマッチした番組を選べる点が大きなメリット。すべてのテレビ局が対応しているわけではありませんが、ほかのテレビCMと比べてコストを抑えられるのも魅力です。

4.ミニ番組:5分程度の広告を1社で提供

天気予報や暮らしの情報などを放映する5分程度の「ミニ番組」も、テレビ広告の一種です。多くの場合1社のみが提供する形式のため、比較的長い放送時間を活かして、ほかのテレビCMよりも視聴者の注目を集めやすいというメリットがあります。

番組の切り替わりのタイミングで放送されることが多く、前後の番組の視聴者にもアプローチしやすい点も特徴。放送時間が長い分、コストは高くなりますが、認知拡大効果を目的とした広報PR施策としては非常に有用な形式といえるでしょう。

テレビCM・広告を活用した広報PRにおける3つの効果

テレビCM・広告は、企業や商品・サービスの認知拡大効果を図るうえで有効な広報PR施策のひとつです。新聞やWeb広告と比較しても、視覚的効果が高い方法といえるでしょう。ここでは、テレビCM・広告の主なメリットを3つのポイントに分けて紹介します。

1.圧倒的多数にアプローチできる

テレビは老若男女を問わず、幅広い世代に視聴されているメディアであり、特定の層に限定されることなく情報を届けられる点が大きなメリットです。近年は若年層のテレビ離れも指摘されていますが、それでも新聞や雑誌などと比べて、圧倒的多数へのアプローチが見込めます。

また、テレビCMは受動的に視聴される傾向が強く、番組との関連性が薄い商品・サービスであっても「なんとなく見ている」状態で自然に認知を広げることができます。企業やブランドの存在を広く浅く伝えたい場合に効果的といえるでしょう。

2.紙・Web媒体に比べて視覚以外の訴求力がある

視聴者への受動的なアプローチに効果が期待できるテレビCMですが、視覚に頼らないコンテンツ力も魅力のひとつ。セリフや音楽を活用することで、画面に向かっていない視聴者にも自社情報を届けられます。

企業や特定商品のオリジナルソングを使用するケースも多く見られ、「〇〇といえば△△」といった記憶に残る印象づけにも効果的です。

3.他メディアとの相乗効果を高めやすい

広報PR施策では、テレビCM・広告はもちろんさまざまな方法を活用して認知拡大を図ります。CM放送をきっかけにSNS・Web・雑誌などあらゆるツールで多方面で発信することで、メディアミックスの相乗効果を得られるでしょう。

テレビCM単体にとどまらない広報PR施策は、テレビをあまり視聴しない層にもリーチできる手段として有効です。

テレビCM・広告の注意点

幅広い層へアプローチできるのが魅力的なテレビCM・広告ですが、活用の仕方によっては思うように結果を発揮できない場合もあります。リスクや注意点を事前に理解し、戦略的に取り組むことが重要です。ここでは、テレビCM・広告における代表的な注意点を5つご紹介します。

1.テレビCM1本あたりにかかるコストが高い

テレビCM・広告の懸念点としてあげられるのが、企画・制作と放映そのものにかかる費用です。広報PRの中でも特にコストが高くなりやすいため、「なるべく少ない出費で広告を出したい」と考える方にとっては大きな懸念となるでしょう。

ただし、リーチ単価(視聴者ひとりあたりにかかるコスト)で考えると、テレビCMは意外とコストパフォーマンスが高いケースもあります。特に、視聴率の高い時間帯や番組と組み合わせることで、効果的に認知を広げられる可能性があります

2.アプローチする層を絞りづらい

テレビCMは年齢や世代を問わず幅広い層に届く反面、特定の層にピンポイントで届けるのが難しいという側面があります。

一方、事業内容や商品・サービスと愛称の良い視聴者層に届くようにするには、親和性の高い番組を選定したり、視聴するであろう時間帯を見極めたりといった計画性が大切です。届けたいペルソナが具体的であればあるほど、CMの時間や媒体をしっかりと戦略的に選ぶことが成果につながります。

3.効果測定や費用対効果の把握が難しい

テレビCMは定量的な効果測定が難しいことがよく指摘されています。「どの程度認知拡大できたか」「どのくらい反響があったか」など、Web広告と比べてデータ取得が限定的なため、費用対効果を正確に把握するのが困難です。

ライフスタイルや年齢層を問わずにリーチしやすいテレビCMならではの懸念点ともいえ、分析ツールを用いて「CMを視聴した数」と「その中でも注視していた割合」などを知ることが課題解決のポイントです。近年は視聴分析ツールを導入し、視聴者の注目度や記憶率などを可視化しようとする企業も増えています。こうしたデータ活用によって、CM施策の改善や戦略立案につなげることが可能です。

4.CM内の情報量が限られる

テレビCMは時間が限られているため、伝えられる情報量に制約があります。そのため、表現が誤解を招いたり、視聴者によっては不快に受け取られたりすることもあり、炎上リスクにも注意が必要です。雑誌での広告掲載やSNS運用などツールを問わず懸念すべきですが、テレビCMは不特定多数に届くこと、1回あたりの情報量が限られることをより注視しなければいけません。

あらゆる視聴者が快適に視聴できるよう、受け手によって異なる解釈をしてしまわないか・誤解を招かないか、受け手の中に傷つく人はいないかなど受け手への配慮を最大限図り、可能な限り幅広い層が快適に視聴できる構成・描写を検討します。炎上の度合いによってはテレビCMの削除や放送見送りといった事態に発展する可能性もあるため、リスクヘッジが重要といえるでしょう。

5.スケジュールやCM内容が変更しづらい

テレビCM・広告は、企画から制作、放送に至るまで多くの関係者が関わるため、柔軟な対応が難しいのが実情です。自社の一存で自由に進められるものではないため、CMプランナーや放送局、制作陣など依頼した関係者すべての予定を調整する必要があります。

さらに、一度放送が始まるとスケジュールの調整や急な変更は簡単にはできず、場合によっては大きなコストや手間が発生します。「やっぱりこの時間帯のほうが適切だった」「この表記を変更したい」といった要望に容易には応えられないため、事前の入念なスケジュール調整・共有が重要となります。想定されるリスクに備え、綿密な準備をしておくとよいでしょう。

テレビ広告とネット広告(Web広告)の比較

テレビ広告とネット広告(Web広告)には、いくつかの違いがあり、アプローチできる層やタイミング、即時性といった点が異なります。テレビCMを効果的に運用するためには、2つの違いを理解して適材適所で展開することも大切です。以下に、テレビとWebにおける広告の主な違いを4つの視点から比較して解説します。

1.リーチできる層とボリューム

広告を届けられる層と量は、コンテンツの種類だけでなく広告媒体や使用ツールによっても左右します。

テレビ広告は、年齢・性別を問わず幅広い層に一度に大量にリーチできるのが最大の強みです。特に視聴率の高い番組や時間帯を活用すれば、多数の視聴者に一斉に情報を届けることが可能です。

一方、ネット広告はリーチする層が比較的限定的になる傾向がありますが、ターゲティングの制度が高いのが特徴です。年齢・性別・居住地、興味・関心など、詳細な条件で配信対象を絞り込めるため、狙った層へのアプローチには非常に効果的です。

2.制作にかかる時間と変更の対応力

広告の制作から公開、運用に至るまでの即時性も、テレビとネットでは大きな違いがあります。

テレビCMは、企画から制作、放映までに数ヵ月を要することもあり、即時性には乏しい面があります。また、一度放送が始まると、内容の修正やスケジュール変更が難しい点も注意が必要です。

対してネット広告は、バナーや動画広告などを短期間で制作・公開できるため、タイムリーな情報発信が可能です。シンプルなビジュアルコンテンツであれば、数日〜数週間で運用を開始できるでしょう。公開後の内容修正やABテストなどの対応もしやすく、柔軟な運用ができるのが大きな強みです。

3.広告運用にかかるコスト

広告の制作・運用コストはコンテンツ内容や依頼先により変動しますが、多くの場合テレビ広告のほうが高額になります。全体では数百万円にのぼり、有名タレントを起用した広告は1,000万円を超えるケースもあるでしょう。

一方、ネット広告は比較的小規模な予算からでも始められるため、コスト調整がしやすいのが利点です。月額費用が発生する形式のほか、クリック課金型やインプレッション課金型などの料金形態があり、予算に応じた柔軟な運用が可能です。

4.効果測定のしやすさ

テレビCMは多くの人に届く一方で、「どの層が広告に興味を持ったか」「販売促進効果があったか」といった詳細データを把握しにくいという課題があります。視聴率やアンケートを活用した定性的な分析が中心になります。

一方、ネット広告はクリック数や閲覧時間、ユーザー属性などのパーソナルな部分と行動の可視化が可能です。中長期の広告運用で改善を繰り返すうえで、効果測定がしやすく詳細のデータを出しやすいネット広告のメリットは大きいといえるでしょう。

テレビCM・広告の制作から放映にかかる費用の目安

テレビCM・広告を活用した広報PRを検討する際、実際にどの程度のコストを想定するべきか悩むこともあるでしょう。広告料はもちろん、企画と制作にも費用がかかるため、全体での予算を想定しなければなりません。番組や視聴数により変動しますが、ここでは一般的に提示される費用の目安をご紹介します。

1.テレビ局に支払う放映料(広告料)

テレビで広告を放映するために、対象の放送局へ放映費を支払います。一律で決められているものではなく「放映費用×視聴率」で算出されるケースが一般的です。

1本15秒を想定した費用の目安:

  • 地上波ローカル局:数万円~10万円
  • 独立局:1.5円〜5万円
  • 関東キー局:数十万円~100万円以上

また、タイムCM・スポットCMなどの種類や地上波・BS放送などによって変動します。

2.CMプランナーなどに支払う企画料

テレビCMの制作に入る前に、綿密な企画が必要となります。どのような構成にするのか、どういったストーリー性を持たせるのか等々、CMプランナーをはじめとする制作陣に依頼料を支払わなければなりません。

  • 企画費の目安:10万円~(企画の規模・内容により変動)

企画のクオリティを重視したうえで見極めることが大切です。コストを抑えたい場合は、あらかじめ予算を伝えておくと大幅な出費を避けられるでしょう。

3.キャスティングや撮影にかかる動画制作費

CM撮影やナレーションの挿入など、テレビCM制作そのものに発生するのが動画制作費です。モデルやタレントを起用する場合はキャスティング費用、オリジナルソングを入れる場合は音楽制作費用といったかたちで、テレビCMの内容によってコストも大きく変動します。

目安:

  • 撮影費:30万円~(内容・場所により変動)
  • キャスティング費:タレント・モデルの出演料(選ぶ人によって変動するが、数十万~数千万円)
  • ナレーション・音楽制作費:5万円~(内容により変動)

スタジオのレンタル料も必要ですが、屋内外を比較すると高額になりやすいのは屋外です。撮影スケジュールが天気に左右されるため、動画内容だけでなく撮影場所や撮影にかかる時間も費用を左右する要因となります。

テレビCM・広告の作り方・流れ

実際にテレビCM・広告を制作する際は、企画や撮影だけでなく打ち合わせ・絵コンテ・編集などさまざまな工程が発生します。無事に放映を終えたあとはプレスリリースで発信することも重要となるため、制作初期から放映後までの流れを押さえておきましょう。9つのステップに分けて各工程を解説します。

ステップ

STEP1.目的・視聴者像の明確化

まずはテレビCMを放映する目的や、メイン視聴者となる人物像を明らかにします。「どのような商品・サービスを誰に届けたいのか」を洗い出し、テレビCMを作る意義と目的を整理していきましょう。

  • 商品・サービスの認知拡大
  • サービスの申し込みや購入促進
  • 企業や自社ブランドのイメージの向上

同時に、想定している視聴者の年齢層・地域・ライフスタイルなど、詳細なペルソナを設定しましょう。ここで決めた目的と視聴者像が以降の企画・演出の土台となります。

STEP2.コンセプトと企画の立案

目的と視聴者像をもとに、CMの方向性(コンセプト)を決めるステップに進みます。自社の担当者と、広告代理店やテレビCMの制作会社と連携して話し合いを行うのが一般的です。

  • 誰にどんなメッセージを届けたいか
  • CMの世界観やトーン(ユーモア/感動/信頼感など)
  • 希望する放映時期・予算・放映地域 など

CMで掲げるコンセプトや伝えたいメッセージ、ストーリー性があれば骨組みを構築していきます。このとき、コンテンツに関する要素だけでなく、予算や希望の放映時期、テレビCMによる目標なども齟齬がないようすり合わせておきましょう。

STEP3.シナリオ・絵コンテの作成

企画の方向性が定まったあとは、CMの構成を具体的なシナリオと絵コンテ(ビジュアル構成図)に落とし込みます。人物の起用がある場合はこの段階でキャスティングも同時進行するため、許諾申請やスケジュール調整も重要です。

  • 台詞、ナレーション、音楽などの要素の明文化
  • 絵コンテでカットごとの内容や動きを視覚化
  • 出演者のキャスティングや使用許諾の確認も並行して進行

絵コンテは構成を可視化する役割があり、基本的な骨組みだけでなくCMの全体的な流れを把握するためにも活用します。映像でのイメージを構築していくフェーズでもあるため、挿入音楽やモデルの動き、ナレーションのセリフなどあらゆるポイントで理想を伝えながら進めていきましょう。

STEP4.撮影・制作準備

シナリオや絵コンテが完成すると本格的な撮影に進みますが、前段階として入念な制作準備を行います。「PPM(Pre Production Meeting)」と呼ばれ、企画や衣装、撮影場所などについて関係スタッフが最終確認を実施するフェーズです。

  • 撮影日程とロケ地の確保
  • スタッフ・出演者・衣装・小道具の確認
  • 野外ロケ時の予備日設定(天候対策)

スタジオの確保やロケ地選定などもここで実施しますが、野外ロケの場合は悪天候によるリスケジューリングも重要となります。複数の会社とタレントを含む関係者がスムーズに動くために必要な作業ともいえるでしょう。

STEP5.撮影・収録

すべての準備が整ったあとは、いよいよ撮影のスタート。事前に作成したシナリオや絵コンテに沿って撮影を進めていきます。タレントのスケジュールや天候などによって期間は異なりますが、撮影開始から終了までは長くとも1週間程度で終わるケースが一般的です。

  • 通常は1日~1週間以内で完了
  • アニメーションの場合はCG制作やナレーション収録も含む
  • 担当者が現地に立ち合い、意図通りに仕上がっているか確認

完成後の手直しは非常に困難なため、自社の担当者も同行して希望通りに描写できているか確認しながら進めましょう。

STEP6.編集・MA(音響効果処理)

撮影を終えてCM素材をそろえたあとは、これらを用いて編集していきます。まずは全体の流れをつかむ「仮編集」で大まかな流れを固め、「本編集」で完成を目指すのが基本的な工程です。

  • 仮編集:流れや尺の確認
  • 本編集:テロップ・音楽・色補正などを加えて完成
  • MA(Multi Audio):ナレーションや効果音など音声の調整

本編集が終わると、原則修正ができません。テロップや挿入音楽はもちろん、映像の明るさや色彩といった部分もそのまま放映されることになるため、完成する前に入念な確認を行いましょう。

STEP7.広告審査・局審

本編集を終えてCM映像が完成したあとは、日本民間放送連盟が考査を実施します。テレビCMの放送基準を満たしているかどうか、映像の中に不適切な表現や表記ミスがないかなどを判断する審査です。

  • 映像・表現・文言が放送基準を満たしているかチェック
  • 誤解を招く表現や誇大広告がないかを審査
  • 必要に応じて絵コンテ段階での「事前考査」も推奨

対象となるのはCMの映像だけでなく、自社の業態も含まれます。「絶対安心」などの誇大表現をはじめ、不適切な内容と判断されたものは予定通りに放映できません。「完成してから複数のミスが見つかった」となるリスクを避けるため、絵コンテの段階で事前考査を依頼するケースも多く見られます。

STEP8.放映スケジュールの決定・枠の確保

無事に広告審査が通れば、テレビCMの放映に向けてスケジュール調整を進めましょう。予算・視聴者層など、準備段階ですり合わせた情報をもとに出稿計画を立てていきます。

  • 放送地域・時間帯・視聴者層に合わせて枠を選定
  • 希望時間帯や番組のCM枠は早期の確保が必須
  • 効果測定ツールを活用し、視聴データや反響を追跡

テレビCMの放送枠は限られているため、リーチしたい視聴者のペルソナに合わせた枠の確保も重要です。放映開始後は調査ツールで効果測定を行うことで、CMによる認知拡大効果や問い合わせ数といった変化を数値化できます。

STEP9.広報PR施策との連動

テレビCMの放映をスタートしたあとは、ほかの媒体も活用して広報PR施策を連動させていくことが大切です。テレビを見る機会が少ない層や、放映時間に合わない視聴者に向けて積極的な広報PRを展開しましょう。

  • プレスリリースを活用して認知を拡大
  • SNSやYouTubeでCM映像を配信

放映に合わせてプレスリリースを配信できれば、メディア関係者の関心を引いてニュースサイトや他媒体での掲載も期待できます。CMそのものはもちろん、関連製品の認知拡大にも有用な施策です。

テレビCMのプレスリリースを配信するメリットや書くべき項目などについて解説していますので、制作の際にぜひ参考にしてみてください。

広報PR施策としてテレビCMを実施する際の3つのポイント

広報PR施策のひとつとしてテレビCM・広告を展開する際には、届けたい層を明らかにして適切な放送枠を選ぶことが大切です。「テレビに放送できればすぐに認知拡大できる」というものではないため、対象者を明らかにしたうえで施策を練っていきましょう。ここでは、具体的なポイントを3つピックアップして解説します。

ポイント1.テレビCMを届けたい層を明確にする

テレビCMを制作するうえで重要なのが「誰に届けたいか」を明確にしておくという点です。非常に幅広い層にアプローチできるテレビCMですが、対象者があいまいなままでは希望の層に情報を届ける効果が薄れてしまいます。

自社商品・サービスの対象者はもちろん、親和性の高いテレビ番組を見つけることでCMの構成も練りやすくなるでしょう。ペルソナを細かく設定することで、CMにおけるメッセージ性に一貫性を持たせられ、興味・関心を寄せるコンテンツに仕上がります。

ポイント2.対象者にアプローチできる放送枠を選定する

実際にどの枠で放送するかは、アプローチしたい対象者の年齢層・趣味・ライフスタイルといった要因に左右されます。特定のテレビ番組中や2つの番組の間に放送されるケースが多いCMにおいて、自社商品・サービスと番組との接点を見つける工程は重要です。

例えば、スポーツ用品を扱う企業であればスポーツ番組、主婦層を想定する商品・サービスなら日中の番組枠、といった放送スケジュールを想定できます。放送局や時間帯により価格は変動しますが、安さを重視しすぎずCM内容と放送枠との関連性も重視していきましょう。

ポイント3.テレビCM以外の広報PR施策と連動する

テレビCMは認知拡大を図るうえで魅力的な広報PR活動ですが、これだけに絞るのは賢明といえません。広報PRは通常複数のコンテンツを並走して発信していくため、テレビCMも同じくほかの施策を展開していきましょう。

テレビCMの放送が決まったら、記者発表や放映解禁日に向けてプレスリリースを配信します。記者発表でしか提供できない、起用したタレント登壇のイベントや制作工程での映像紹介など、メディアが取り上げる価値を提供することが大切です。そのほか、SNSでの展開ではキャンペーンと連動したり、起用タレントからの発信ができれば、普段テレビを視聴しない層にも情報が広がります。

テレビCM・広告の成功事例10選

企業の規模や業種を問わず、テレビCM・広告は幅広く活用されています。実際に認知拡大効果を高めた例をチェックしてみると、自社のテレビCM制作の際に参考になるのではないでしょうか。ここでは、テレビCM・広告における10の成功事例をピックアップし、CMの特徴や魅力をご紹介します。

参考

事例1.豆苗の手軽さを親近感とともに伝えた新CMが受賞

発芽野菜の国内シェアNo.1を誇る株式会社村上農園は、緑黄色野菜「豆苗」のCMを2024年12月24日から全国で放映しました(※1)。2012年以来12年ぶりとなる同商品の新しいCMです。

この新CMは、「第46回 広島広告企画制作賞」の「電波広告部門 テレビCM 15秒の部」で金賞を受賞(※2)。視聴者が親近感を覚える歌や微笑ましい情景、豆苗料理の手軽さといった演出が評価されました。自社商品の強みを「料理」という観点で構成し、生活者にとって身近な存在として発信できた成功事例です。

参考(※1):村上農園 12年ぶりの「豆苗」新CM!家族で楽しむ定番レシピを提案

参考(※2):村上農園「豆苗」テレビCMが「第46回 広島広告企画制作賞」金賞を受賞

事例2.2014年から続くCMシリーズから第23弾が誕生

大塚製薬株式会社は、健康飲料「ポカリスエット」のCMとして「ポカリ、のまなきゃ。」シリーズを展開しています。2025年6月7日にはシリーズ第23弾となる「母踊る、娘うたう」篇、「ふたりでハワイ語」篇の2つを新しく放映スタートしました。

同CMシリーズは2014年に放映を開始し、以降23弾に至るまで主要キャストを変更せず継続的に制作されているのが特徴です。10年以上にわたって更新され続けていることから、商品はもちろんCMシリーズの人気も衰えていないことがわかります。

参考:吉田羊・鈴木梨央出演の「ポカリ、のまなきゃ。」シリーズ第23弾 平井 大さんの「Slow & Easy」を、ポカリ母娘がウクレレでかろやかに演奏!

事例3.新機能の認知拡大を図る新CMを制作

統合型マーケティング・コミュニケーションサービスを提供する株式会社テレシーは、株式会社Maneql(マネクル)によるMAツール「Lステップ」のCM制作・放映を担当。新機能の提供開始に際し、3パターンの新CM放映を果たしました。

特定のサービスを紹介するCMの中でも、特に既存サービスとの違いを明らかにする点に注力したのがポイント。出演者を変更せず、音楽や演技といった演出に変化を加えることで差別化を図るなど、明確な目的のうえで制作した構成が魅力的な事例です。

参考:テレシー、LINE公式アカウントのB2C向けMAツール「Lステップ」の新機能「Lステップplus+」の新タクシーCMの制作・放映を担当!

事例4.55周年記念商品の新CMで全国的に売り切れ続出

ドーナツチェーン「ミスタードーナツ」を運営する株式会社ダスキンは、2025年6月4日に発売する新商品のテレビCMを放映しました。人気タレントを起用し、新商品のラインナップや食感が伝わる演出を構成しているのが特徴的です。

創業55周年を記念する特別な商品であることや、商品名の「もっちゅりん」など、視聴者にインパクトを与えているのもポイント。発売当日から売り切れ店舗が続出し、新商品の人気度が全国的に話題になりました。ユニークな商品の独自性・新規性が伝わるテレビCMが、話題性を高める要因になった好事例といえるでしょう。

参考:【ミスタードーナツ】6月4日(水)から『今田美桜さんが‟55年目の新食感ドーナツ”を初体験!』新TVCM もっちゅりん「もちもちのその先へ」篇を放映開始

事例5.ペット用商品の魅力を飼い主視点で演出したCM構成

フレッシュペットフードを中心に商品展開する株式会社バイオフィリアは、愛犬用手作りごはんブランド「CoCo Gourmet(ココグルメ)」のテレビCMを一部地域で放映。「うちの愛犬」篇と「ココグルメの秘密」篇の2種類を制作しました。

実際に関連商品を愛用している飼い主を公募し、愛犬が食事を楽しむ様子を伝えたのが特徴的です。商品の利用者と購入者が異なる場合は、このように購入者の視点に立って魅力的な演出を考えることが重要。食べるシーンだけでなく「食欲が少ない犬」「老犬」など、さまざまなタイプのモデルを起用することで幅広い層に商品の強みを発信できています。

参考:愛犬の「おいしい!」が止まらない!フレッシュペットフード「ココグルメ」のテレビCM放映開始

事例6.女性を中心に演出した新CMと販促キャンペーンを同時期に展開

サッポロホールディングス株式会社のグループ会社であるポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社は、「キレートレモン」ブランドのCM放映をスタートしました。2025年6月9日から新CMとして誕生したのは、心や体の輝きをサポートする商品特長をコンセプトにした「ぜんぶプラス」Wレモン篇です。

独自性の高さを感じられるのは、新CM放映と同時進行した販売促進キャンペーン。テレビCM・販促企画と2つの方向からアプローチすることで、認知拡大・販売促進効果につなげた成功事例といえます。

参考:夏に向けてキレートレモンCM展開 「ぜんぶプラス」Wレモン篇 2025年6月9日より放送開始

事例7.人気商品の新CMと、舞台裏に密着したムービーを公開

ペルノ・リカール・ジャパン株式会社は、ブレンデッドスコッチウイスキー「シーバスリーガル」から、新たなテレビCMの放映をスタート。「ふたつの心がブレンド」篇と題し、ブランドアンバサダーである池田エライザさんを起用したCMを制作しました。

静止画を見ても動きのわかる、躍動感あふれる演出が魅力的で、ブランドメッセージ「ハートを、そそごう。」との親和性も感じられます。また、ブランドサイトでは新CMの舞台裏を収録したショートムービーも公開しており、CMでは伝えきれない制作風景や商品イメージを発信したのもGOODです。

参考:池田エライザさん出演 ブレンデッドスコッチウイスキー『シーバスリーガル』新TVCM「ふたつの心がブレンド」篇 好評放映中!池田エライザさんが本格的なダンスに挑戦したショートムービー公開

事例8.CMシリーズ第26弾がアテンションランキング1位を獲得

消費者金融の「アイフル」を提供するアイフル株式会社は、人気タレントを起用したCMシリーズを展開(※1)。サービス名ではなく、オリジナルソングやタレントによるユニークなセリフを中心に展開した構成が特徴的です。

今回のテレビCMは、REVISIO株式会社による独自調査でアテンションランキング1位を獲得しました(※2)。視聴者が親近感を覚えるおもしろさがインパクトを与えており、シリーズを通して注目度がわかる魅力的な事例といえるでしょう。

参考(※1):愛がいちばん。アイフル 新TVCM「お金は賢く使う」篇3月24日(月)から全国でオンエア開始

参考(※2):視聴者をくぎづけにした最新テレビCMはこれだ!4月のテレビCMアテンションランキングを公開

事例9.元プロ野球選手が商品を味わう新テレビCM

株式会社セブン‐イレブン・ジャパンは、自社商品「セブンカフェ スムージー」の新テレビCMの放映をスタートしました。「イチロー共感!こだわりスムージー」篇というタイトルの通り、元プロ野球選手のイチロー氏が商品を味わい、おいしさを実感する構成になっています。

ストーリー性よりもタレントのリアルな反応が印象的で、視聴者に投げかけるような表情とセリフにインパクトを感じられるのではないでしょうか。このようなタレントの起用やCM内での発言はメディアフックになり、プレスリリースやニュース記事を通して生活者に届く可能性も期待できます。

参考:イチローさん出演の新テレビCMを6月15日(日)から放映開始!イチローさんが共感したセブン‐イレブンのスムージーに込められた想いとは!?

事例10.3種類のオーディオ新商品CMに新アンバサダーを起用

オーディオ関連製品を販売するEdifier Japan株式会社は、新たにブランドアンバサダーを起用して新テレビCMの放映を開始しました。デスクトップスピーカーやワイヤレススピーカーなど、3種類の新商品が登場するCMです。

「音。それは、ただ聞こえるものではなく、感じるもの。」というコンセプトを掲げ、没入感のある世界観を演出したのが特徴。新商品発売に合わせて、新CMに登場する製品を対象とした割引キャンペーンも展開しました。

参考:Edifier Japan株式会社、俳優・山﨑賢人氏を新ブランドアンバサダーに起用、新CM公開と同時にモニタースピーカー「MR5」も発売

効果的なテレビCMを制作して商品・サービスの魅力を伝えよう

テレビCMはポピュラーな広告のひとつですが、認知拡大効果を高めるには入念な準備が必要です。ネット広告とは異なり制作期間も長いため、放映したいタイミングに遅れないよう関係者とも丁寧なすり合わせを行いましょう。

公開後は放置せず、効果測定で反響を見たりプレスリリースなどの広報PR施策を連動させたりすることも大切。今回ご紹介した事例や注意点、ポイントを参考に、自社商品・サービスならではの魅力が伝わるテレビCM・テレビ広告を実現してみてください。

PR TIMESのご利用を希望される方は、以下より企業登録申請をお願いいたします。登録申請方法料金プランをあわせてご確認ください。

PR TIMESの企業登録申請をするPR TIMESをご利用希望の方はこちら企業登録申請をする

この記事のライター

PR TIMES MAGAZINE執筆担当

PR TIMES MAGAZINE執筆担当

『PR TIMES MAGAZINE』は、プレスリリース配信サービス「PR TIMES」等を運営する株式会社 PR TIMESのオウンドメディアです。日々多数のプレスリリースを目にし、広報・PR担当者と密に関わっている編集部メンバーが監修、編集、執筆を担当しています。

このライターの記事一覧へ