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開発秘話を発信する3つのメリットとは?ステップやポイント・事例を解説

開発秘話とは、現場の声を取り入れながらストーリー仕立てで発信することで、自社サービスや商品、技術の背景や裏側などの詳細な情報を、臨場感を持って伝えるものです。新規情報を公開するプレスリリースと違い、媒体やタイミングをコントロールしながら、メディアと生活者両方に届けられるのもメリットです。また、開発者やプロジェクトマネージャーなどの担当者目線で書かれた開発秘話は、「人」を訴求する機会にもなります。

今回は、開発秘話を発信するメリットやつくり方のコツ、効果的な発信方法を紹介します。

開発秘話を発信する3つのメリット

開発の背景や裏話を盛り込むことで、埋もれがちな現場の情報や担当者の想いを余すことなく伝えることができます。ストーリー仕立てで発信することで、共感や理解が得やすく、専門的な情報を丁寧に届けられるのもメリットです。

ここでは開発秘話を発信する3つのメリットを紹介します。

メリットイメージ

メリット1.製品やサービスに対する共感を生む

これまで語ってこられなかった製品やサービスが開発されるまでの背景、担当者の開発にかける想いや奮闘などの裏話には、共感が生まれます

「便利な機能」「役立つサービス」「きれいな商品」だけではなく、共感があってこそ評価されることが多くなっています。企業にとって、メディアなどを通じて情報を届けることに加え、自社の言葉で伝えることは、認知促進だけでなく好意度の高いファンの獲得という点でも必要なことといえるでしょう。

メリット2.メディア露出につながる

開発秘話は、プレスリリースを補完する情報としても有効で、新たな切り口での露出獲得につながることもあります。新製品や新サービスの場合、より専門的な内容を伝えることで業界メディアの露出につながったり、製品やサービス自体ではなく担当者個人やストーリーに対して取材が申し込まれることがあります

また、過去の製品やサービスのこれまで語られてこなかったことを伝えられるため、新しいニュースでなくとも発信できます。メディア露出につながったり、これまで訴求できていなかったステークホルダーに対しても情報を届けることができるでしょう。

メリット3.優秀な人材の採用や社内コミュニケーションができる

開発秘話は、事業、製品やサービスの陰に隠れがちな「人」にスポットを当てた情報発信の機会です。自身の言葉で語られることで、企業の開発に対する熱量や就業している人の考え方、取り組み方がより伝わります。求職者にとっては現場の詳細を知ることができ、就業意向が高まったり、ミスマッチのない採用につながるでしょう。また、求職していない人に対するアプローチになります。製品やサービスに興味があり情報を得にきた人に対して、開発秘話が就業希望のきっかけになるかもしれません。

さらに、普段一緒に仕事をしない社員の仕事内容や想いを知ることができるなど、社内コミュニケーションにも役立ちます

開発秘話を発信するのに適した媒体

開発秘話は、詳細な一次情報としてさまざまな資料を補完します。プレスリリースや広告のように短期的に広いリーチにつなげることは難しいですが、自社コンテンツや外部サービスを積極的に活用し、効果的な発信の場をつくりましょう。

コーポレートサイト・オウンドメディア

コーポレートサイトやオウンドメディアに掲載することで、自社事業のアーカイブやニュースとなり、検索した人が開発秘話を目にする機会をつくります。採用時期には、採用ページに流用することも考えられます。

自社公式アカウントのSNS

コーポレートサイトに掲載しただけではなかなか一般の人の目には届きません。SNSで開発秘話の公開を発信し、掲載時に広く読んでもらえるようにしましょう。

メールマガジン

メールマガジンは、自社情報を直接的に届けることができるツールです。開発秘話をメールマガジンに掲載したり、サイトに誘導したりすることで、読んでもらうフックをつくります。

オープンファクトブック

ファクトブックは自社情報とともに関連する業界、市場のトピックスやトレンド、他社の動向をまとめた説明資料です。事業の詳細や開発担当者の思いを伝える開発秘話は、自社事業の説明を補完する資料として役立ちます。

オープンファクトブックについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

ホワイトペーパー

ホワイトペーパーはリード獲得を目的としてB2B向けに自社のサービスを説明する資料です。開発秘話を掲載することで、自社の事業をクライアントに詳細に伝えることができます。

ホワイトペーパーについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

外部サービスを活用

自社のコンテンツ以外に、外部サービスを活用することで、開発秘話を効果的に発信することが可能です。開発秘話が集まる外部サービスを利用することで閲覧の確度を上げ、リーチを広げることにもつながります。


PR TIMES STORY

PR TIMES STORYは、開発秘話や創業ストーリーなど、企業・団体が持っている事業の背景や裏話を、担当者が自ら公式発表できるサービスです。開発者やプロジェクトメンバーの目線で情報を臨場感あるストーリーとして仕立て、報道向けにも一般向けにも発信することができます。

企業のストーリーを届ける広報サービスPR TIMES STORY


開発秘話を発信するための5つのステップ

開発秘話は、事実を簡潔にまとめるプレスリリースと異なり、臨場感や温度感を盛り込むことができます。インタビューや企画の段階から熱量を持った原稿作成ができるように工夫をしましょう。

STEP1.企画を立てる

どんな情報を発信するのか、どの社員に話を聞くのか企画を立て、プロットや構成、ボリュームを考えます。どの媒体で発信するのか、どのタイミングで発信するのかも同時に計画しておきましょう。

企画の立て方は、ストーリー作成のポイントや手順をまとめた「ストーリーコンテンツガイド」を参考にしてみてください。

STEP2.担当者にインタビューを行う

インタビュー前に質問事項を取材依頼としてまとめ、あらかじめ担当者に目的や質問内容を共有してもらいます。インタビューは商品を手元に置いたり、サービスに関わる現場で行うなど、「臨場感」を意識します。

担当者を主人公として立てて、担当者が熱量を持って開発当時の話ができる工夫をしましょう。

STEP3.素材を集める

開発秘話に掲載する素材を撮影します。担当者のプロフィール写真、現場や商品の詳細だけでなく、具体的な現場を意識した写真、担当者が身振り手振りで説明する写真など、臨場感を意識して撮影します。

新たに撮影した素材以外にも、開発当時の写真があれば活用します。開発秘話を掲載する前提で素材を集めておくとよいでしょう。

STEP4.記事を制作する

インタビューをもとに、記事をストーリー仕立てに、起承転結のある文章で作成します。担当者の専門以外の情報(実績の数字や他社比較、業界トレンドなど)はほかの関連部署や担当者と連携し、補完するようにしましょう。

完成原稿はほかの人にも確認してもらい、客観的な目線で添削や校正をしてもらいましょう。

STEP5.発信する

自社コンテンツや外部サービスを使って開発秘話を発信します。公開後、メディアにも情報提供を行いましょう。

URLを引用したSNS投稿やメールマガジンで自社コンテンツに誘導するなど、メディア発信には外部サービスを活用すると効果的に訴求できます。

開発秘話を配信するときの4つのポイント

専門性の高い開発秘話は配信にも工夫が必要です。読み手に興味を持ってもらうための効果的な配信のポイントを紹介します。

ポイントイメージ

ポイント1.社会や生活とのつながりを表現する

開発秘話はサービスや商品についての専門的な言葉や表現が使われるため、メディアや生活者には身近に感じにくいものです。「実は身近なもの・話題のものに使われている」など、社会や生活との接点を記載し、読み手に「自分にも関係がある話」と興味を持ってもらえる工夫をしましょう

ポイント2.わかりやすい言葉や表現で記載する

コーポレートサイトやSNSで発信することも考え、なじみのない専門用語や表現を避けましょう。わかりやすい言葉に置き換えたり、注釈や図示などで理解してもらうように心がけてください

また、開発秘話は文章量が多くなりがちなので、飽きさせない構成の工夫も必要です。開発に至った経緯・背景や、どのように開発を進めたか、その結果どのような成果や成功体験があったかなどを時系列をもとに構成し、起承転結のあるストーリーにすることで、読み手にとってわかりやすい構成にします。

ポイント3.注目されやすいタイミングで発信する

開発秘話のコンテンツやキーワードが話題になるタイミングで発信を行いましょう。例えば、業界が注目する展示会やアワードなどの業界動向と紐付ける、採用やマーケティング活動、周年事業などに連携させるなど、検索されやすいタイミングで発信することで自社の情報をより多くの人に伝えることができます

ポイント4.担当者の心理描写を記載する

時間軸で記載するだけでなく、担当者の奮闘、課題を乗り越えた話を盛り込み、わかりやすさと同時に、読み手が引き込まれるような担当者の心理描写を記載しましょう

座談会形式やインタビュー形式にして、担当者の生の声をそのまま載せるなどの工夫をしましょう。

開発秘話の発信事例4選

開発秘話はインタビュー形式や座談会形式、レポート形式などさまざまな形で構成されます。新商品やサービスなどのプレスリリースと比較すると短期的に広く発信することが難しいので、発信の工夫が必要です。

他社では開発秘話をどのように構成し、発信しているのか、PR TIMES STORYからピックアップした下記の事例を参考にしてみてください。

事例1.株式会社資生堂

商品の情報発信は、機能や価格など消費者側のメリットが注目されやすい一方で、商品開発のための研究活動やCSR活動はなかなか発信の機会がありません。開発秘話としてまとめることで、消費者に届きづらい情報を発信する機会を創出した事例です。

また、同社のような大きな規模の企業では、商品サイトやプロジェクトサイトが多岐にわたります。開発秘話は、商品から企業の研究、社会活動などさまざまな取り組みを開発者目線で包括して伝える役割も担っています。

参考:資生堂が提供するサステナブル&機能性を追求した新しいサンスクリーンとは~自然環境と共生しながら、人の肌を美しくする~

事例2.味の素冷凍食品株式会社

同社が手掛ける新商品の冷凍餃子を発売するタイミングで開発秘話を掲載し、新商品の魅力をより引き出した事例です。データを用いることで、美味しさへの追及が表現されていますが、担当者が語ることでより説得力のある内容になっています。

また、プレスリリースを商品発売前に、開発秘話を商品販売後に公開し、情報の山場を複数回つくり、プレスリリースを補完する追加情報になっています。

参考:2020年初めて買う冷凍食品で餃子が1位に。味の素冷凍食品が意識する生活者の“多様なニーズ”とは

事例3.IKI PARK MANAGEMENT株式会社

同社は障がい者や車いす利用者にも楽しめる施設として独自のプログラムを行っていますが、その実施への思いや当日の様子を担当者や利用者の生の声、現場の写真でまとめ、取り組みのイメージを具体的に想起できるようにした事例です。


企業の社会的な取り組みは差別化しづらく、届けるのが難しい情報です。プレスリリースと同じタイミングで発信し、プレスリリースに記載のない企業の理念や利用者の声を掲載することで共感を生んでいるのではないでしょうか。

参考:壱岐イルカパーク&リゾートxゼログラヴィティ、車いすの方々と障がいを持つお子様への、イルカふれあいイベントを初めて実施。日本で最も「イルカにとっても人にとってもバリアフリー」が日常になる環境を目指す

事例4.パイオニア株式会社

カーナビゲーションやカーオーディオなどを提供する車載機器メーカーとして知られている会社が、「優秀な人材の採用や社内コミュニケーション」に活用している事例です。

歴史ある会社だからこそ、ステークホルダーからの企業に対する根強い印象や、とらえ方の違いは様々でしょう。また、大きな規模の企業の場合、働く人の顔が見えず、就業のイメージがつかないものです。今実際に企業が力を入れて取り組んでいることや方向性が担当者の言葉で語られることで、現場の雰囲気まで伝わる内容です。

参考:社有車の管理業務をDX化! ソリューションサービス企業「パイオニア」が提供する“進化し続けるクラウドサービス”

自社に眠る現場のストーリーを広報素材に!開発秘話を活用して温度のある情報発信を

開発秘話は、担当者本人にしか語れない内容を掘り起こし、企業活動の中で埋もれてしまう情報をすくいとることで、新たな発見やドラマを発信できる機会です。開発秘話はプレスリリースと違い、発信が必須の情報ではありませんが、柔軟に幅広く活用できるコンテンツとして、そのほかの広報活動との相乗効果が見込めます。

開発担当者と連携しながら、企業の魅力を発信できる開発秘話の作成に、ぜひチャレンジしてみてください。

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(PR TIMES MAGAZINE編集部 編集)

開発秘話に関するQ&A

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この記事のライター

水井 歩

水井 歩

新卒でPR会社に入社、地域ブランディングを中心に、官公庁やナショナルクライアントのPR業務に従事。その後、広告代理店でプランナー兼コーポレート広報を担当。採用からインナーコミュニケーション、自社ブランディングに従事しながら、クライアントワークのコミュニケーション戦略を手掛ける「ウチ・ソト」の関係構築に従事する二刀流PRプレイヤー。

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