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DXとは?5つの技術例とあわせて意味や推進のメリット・事例・進め方のポイントを解説

近年、よく耳にするようになった「DX(デジタルトランスフォーメーション)」。日本のビジネス業界全体でDX推進が求められています。自社でDX推進に向けた取り組みを行う場合、何から始めるべきか悩む人もいるかもしれません。

本記事では、DXの意味や注目されている理由、企業が取り組むメリット、課題に向けた対応策などを解説。また、国内企業におけるDX推進に関するプレスリリースも参考事例として紹介しています。自社のDXに関する情報を社会に発信する際のヒントにしてみてください。

目次
  1. DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

  2. DXが注目される理由

  3. DX実現のために活用されている5つの技術例

  4. DXの推進事例

  5. 企業がDXの推進に取り組むメリット

  6. DXの進め方

  7. DX推進を円滑に進める3つのポイント

  8. DX推進の目的を明確化し、全社一丸となって自社や社会の課題解決に向けたデジタル化を進めていきましょう

  9. DXに関するQ&A

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

デジタル技術を取り入れることにより変革を起こすDX

「DX」はビジネスの世界で頻繁に耳にする言葉です。しかし、その意味を正しく認識できている人はまだまだ多いとはいえません。企業においてDXを推進していくことは、目まぐるしく変化する時代の中で競争優位性を維持するためにも重要です。DX全般をより深く理解するために、まずはDXの意味や混同しやすい言葉との違いなどの基本情報から確認していきましょう。

DXの意味

DXは、「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略語です。総務省によれば、スウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が2004年に提唱した概念とされています。(※)

DXは、ビジネス領域に限らず、「デジタル技術を人々の生活に浸透させることで、生活をよりよいものへと変革すること」を指しているためとても広義な意味といえます。デジタル技術を取り入れることにより変革を起こすこと、新たなサービスを創出すること、産業構造そのものを変化させていくことなどがDXを説明する言葉として挙げられます。

(※)デジタルトランスフォーメーション|総務省

DXとIT化の違い

DXとよく混合される言葉に「IT化」があります。

ITは「Information Technology」の略で、コンピューターとネットワーク技術の総称のことです。IT化という言葉は、「従来のアナログ業務をデジタル化して便利にする」という意味合いで使われてきました。

DXが社会全体によりよい影響を及ぼすことを目的にしているのに対し、IT化は既存の業務を最大化したり、効率化したりといった限定的な範囲にしか影響しないため、DXとは意味合いが異なります。厳密には、IT化もDXのひとつではありますが同義ではありません

DXとデジタイゼーション/デジタライゼーションとの違い

DXと混同される言葉には「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」もあります。どちらも「デジタル化」を指す言葉として使われますが、それぞれの意味合いは少し異なります。

まずデジタイゼーションは、部分的なデジタル化を意味しており、IT化と同じ意味合いで使われる言葉です。例えば、書類を電子化しペーパーレスにするなどが挙げられます。

一方、デジタライゼーションは、自社の業務効率化を図るためにフロー全体をデジタル化したり、外部環境・ビジネス戦略など総合的かつ長期的な視野でプロセス全体をデジタル化したりすることを指します。企業全体でテレワークを推進するなどが例といえます。

業務の一部をデジタイゼーション(IT化)し、次に業務全体をデジタライゼーションした結果、社会的に影響を与えることができればDXが実現したことになります。デジタイゼーション/デジタライゼーションもまた、DXの一部ではありますが同義ではないということです。

DXが注目される理由

多くの経営者がDXに注目し、自社でDXを推進している背景には、経済産業省が公開した資料(※)が大きく関係しています。

(※)DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~(METI/経済産業省)

「2025年の崖」とは、DXが推進されず、日本国内の企業の競争力が低下した場合に発生する経済損失のこと。同レポート内では2025年以降想定される経済損失は最大12兆円にも上ると予想。さらに、DXを推進しなかった企業は2025年を節目に、次の3つのシナリオが想定されているといわれています。

  1. 市場の変化に対応したビジネスモデルを確立できず、デジタル競争における「敗者」となってしまう。
  2. システムの維持管理費の高額化が進み、IT予算の9割を占めるようになるため、業務基盤そのものの維持や継承ができなくなってしまう。
  3. システムの運用・保守を担う人材が不足し、サイバーセキュリティや事故・災害によるシステムトラブル、データ損失などのリスクが高まってしまう。

企業は2025年までにDXを進め、これらのシナリオを回避しなければならないことから、DXに注目が集まっているのです。

DX実現のために活用されている5つの技術例

DXを実現するための最新技術にはさまざまなものがあります。よく知られたものでいえばIoTAIなどが挙げられます。そのほかにも、2020年に実用化が開始された5GもDXを推進するための技術のひとつです。

ここでは、DX実現のために活用されている身近な技術を事例とともに5つご紹介します。

1.IoT

「IoT(アイ・オー・ティー)」とは、「Internet of Things(インターネット・オブ・シングス)」の略で、「モノ」のインターネットと呼ばれることもあります。

IoTの特徴は、モノ自体がインターネットに接続できなくても、IoTに対応した機器を取り付けることで、インターネットを介してモノの操作ができるようになることです。インターネットを経由してモノの操作ができたり、モノの状態を知れたり、モノ同士の会話を可能にしたりできる技術のことを指します。近年ではスマホでオンオフを切り替えられる「スマート照明」などもよく見かけるようになりました。

参考:シグニファイ、発売10周年のスマート照明「Philips Hue」の新製品拡充を発表

2.AI(人工知能)

「AI(エー・アイ)」は、「Artificial intelligence(アーティフィシャル・インテリジェンス)」の略。日本では人工知能と呼ばれることも多く、技術の内容を理解している人も多いでしょう。

AIは、コンピューターが人間のような知能を持ち、自ら学習することが大きな特徴といえます。AIの技術を使うと、膨大なデータを取り込み、そこからパターンを認識することでさまざまなタスクに柔軟に対応できるようになります。例えば、AIが周囲の歩行者の行動を予測し、衝突を回避するスーツケースの例などがあります。

参考:AIスーツケースの社会実装による共生社会の実現を目指し、「一般社団法人次世代移動支援技術開発コンソーシアム」の活動を1年延長へ

3.クラウド

「クラウド」とは、インターネットなどのネットワークを介してサーバーなどのITリソースやアプリケーションなどを利用できるサービス形態を指します。「cloud computing(クラウド コンピューティング)」と呼ばれることもあります。

クラウドは必要なときにサービスにアクセスし、必要な分だけ利用することが可能です。スマホやパソコンなど、インターネットに接続されたデバイスがあれば、どの端末からも使用できます。身近なクラウドサービスだと、GmailやGoogleスプレッドシートなどを使用している人も多いのではないでしょうか。パソコンにソフトをインストールする場合は、クラウドサービスには該当しません。

近年では、一連の事務手続きをクラウド上で管理し、無人運営を実現しているサービスなどもあります。

参考:クラウド型入退室管理システム「ALLIGATE」と予約システム「Riber」が連携〜会員登録・予約・カギの発行のオンライン化で店舗運営を効率化〜

4.5G

「5G」は、「第5世代移動通信システム」とも呼ばれる、低遅延・多数接続の特徴を持った通信のことです。4Gで拡大した高速・大容量の通信を進化させ、高速通信が可能です。次世代の通信インフラとして社会に大きな革新をもたらすといわれている技術で、日本では2020年の春ごろから商用化しています。

5Gは広い帯域幅を持ち、より多くのデータの送受信ができるのが特徴。接続機器や送受信するデータ量が多くなっても対応できる基盤を作ってくれる技術です。例えば、5Gの超高速、低遅延という特徴を活用することで、より高精度な映像をリアルタイムで送受信することが可能です。

例えば、遠隔のスタジオから講師によるダンスレッスンのライブ映像を5Gで送信するサービスでは、生徒はどこにいても、映像が途切れたり不鮮明な映像だったりといったストレスを感じることなく受講できます。

参考:Volumetric Videoをライブ配信するインタラクティブイベントを開催

5.サイバーセキュリティ

これまでつながっていなかったモノ同士がつながると、サイバーリスクの可能性が上がります。そこで重要視されているのが「サイバーセキュリティ」の強化です。

従来のサイバーセキュリティの考え方は、内側を守り、外側にいる脅威を攻撃するというものでした。クローズドな場所であれば安全が保たれると考えられていたのです。しかし今後、DXが進むにつれアクセスの起点が増えると、内側にもリスクが潜む可能性が高まります。

サイバーセキュリティの考え方は徐々に見直され、資産にアクセスするものはすべて確認するという流れに変化してきています。DXを進める際には必ず確認しておきたいポイントです。

自動車やIoTデバイスの供給が増えていることに着目し、それらのセキュリティ強化を目的に脆弱性診断を行い、リスクを可視化、脆弱箇所の修正方法を提案するツールなども販売されています。

参考:自動車やIoTデバイスのセキュリティ脅威を未然に防ぐバイナリベース脆弱性診断ツール「VCode(ヴイコード)」、自律型セキュリティプラットフォーム「XGuard(エックスガード)」販売開始

DXの推進事例

DXにより新しいビジネスモデルを生み出したり、既存のビジネスの生産性を向上したりと、全社での取り組みを行っている企業は増えています。

ここでは、DXの推進に力を入れている企業やDXを活かしたビジネスモデルの事例に関するプレスリリースをピックアップしてご紹介します。自社のDX推進に向けた取り組みを社会に周知する際の参考になるはずです。

事例1.タスク管理ツールの導入で業務を効率化

犬のおでかけメディア「おでかけわんこ部」を運営している株式会社tent tentは作業タスクの管理をチャットツールから、タスク管理ツール「Jooto」へと切り替えました。

ツールにより各タスクの進捗状況がひと目で把握できるようになったほか、メモの追記や画像添付も担当者間だけで情報共有できるようになり、業務の効率向上だけでなく「このタスクだけ確認すればいい」という心理的負担の軽減につながっています。さらに、スマートフォンアプリと連動していることから、オフィスにいなくてもタスクを確認できることも業務の効率化に寄与しているようです。

参考:コンテンツ制作の作業タスクをJootoですべて管理、スマホでいつでもどこでも情報をチェック

事例2.システムのクラウド移行でDXを推進し価値創出を強化

大日本印刷株式会社は、持続可能なより良い社会、より心豊かな暮らしを実現する新しい価値の創出に向け、「事業の推進」「基盤の強化」におけるDXを推進しています。「基盤の強化」に関する取り組みのひとつとして、2022年11月に販売・購買・在庫管理などの社内のシステム基盤を、自社で保有するオンプレミスから拡張性・柔軟性の高いクラウドへ移行させました。

この取り組みでは、BCPや安定的な稼働を実現させるためのセキュリティ対策の強化も行うほか、基幹システムの運用負荷の軽減やこれまでにかかっていたサーバーなどの導入や維持・管理のコスト削減を実現しています。

参考:社内基幹システムのクラウド移行により“攻めのIT”を推進

事例3.働き方やオフィスの改修などの取り組みを通してDXを推進

DXクラウドサービスを展開する株式会社ショーケースは、自社におけるDX推進の取り組みの一環として、ハイブリッドワークを強化しています。多様な働き方を推進した結果、業務のオンライン化、ビジネスのデジタル化、事業継続リスクの低減といったさまざまな効果を実現。また、デジタル関連部署を新設したり、デジタル関連職種の採用を強化したりといった施策も実行しています。

2022年10月には、多様な働き方に適したオフィスへと改修を行いました。会議室以外にもオンラインでの打ち合わせを実施できる場所の設置や、座る席を従業員が自由に選べるフリーアドレス制の導入、ひとりで集中できるスペースの増設などを行っています。オフィスワークのストレスを軽減させ、エンゲージメント強化、新たなアイデアの創出などの企業価値向上にもつなげています。同社は「働き方」「DX推進に適したオフィス」の両面からDXを実現している事例といえます。

参考:事業拡大・ハイブリッドワーク強化に伴いオフィス改修を実施!

事例4.RPAなどのクラウドを活用したDXの取り組みで組織を改革

北陸3県で暮らしの総合サービスを提供するさくらホームグループ株式会社では、自動化・可視化・標準化という観点でDXに取り組んでいます。IT後進といわれることの多い不動産・建築業界にありながら、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やグループウェアなど、クラウドを活用した組織改革方法を積極的に導入しています。

グループウェアやRPAなどを積極的に導入し、創業当初からITを用いた生産性の高い組織づくりを進めてきました。

なかでもRPAを活用した「デジタル上司」というユニークな試みは、クラウドサービスの利活用により収益力向上・経営効率化を実現したモデル事例として総務省から表彰されています。また同社では、無料Webセミナーを開催し、DXを通じた自社の成果や成功のポイントを紹介する取り組みも行っています。

参考:さくらホームグループが「全国中小企業クラウド実践大賞」にて「総務省 北陸総合通信局長」を受賞

企業がDXの推進に取り組むメリット

メリット

企業がDXを推進することによるメリットは、「2025年の崖」で懸念されているシナリオを回避できるだけにとどまりません。ここでは、全社一丸となってDXの推進に取り組むべき理由や得られるメリットを4つピックアップして解説します。

メリット1.業務の効率化・生産性の向上につながる

DXの推進に取り組む1つ目のメリットは、業務の効率化・生産性の向上です。デジタル化が進むことで、業務の正確性も増し、業務が効率化されます。より効率的に仕事ができるようになると、従業員が重要な任務に集中する環境も作れます。

メリット2.古いシステムを使い続けるリスクを回避できる

DXの推進に取り組む2つ目のメリットは、老朽化したシステムを使い続けるリスクの回避です。

最適化を繰り返してきたことで、システムが複雑化・肥大化しているケースは意外に多いもの。そのままの状態で運用を続けることは業務効率の低下を招き、維持するための膨大な費用もかかり続けます。

DX推進によって入れ替えの必要なシステムをチェックできれば、業務効率化やコスト削減につなげることも可能です。

メリット3.BCPの拡充につながる

DXの推進に取り組む3つ目のメリットは、BCPの拡充です。「BCP(ビー・シー・ピー)」とは「Business Continuity Plan(ビジネス・コンティニュイティ・プラン)」の略で、日本語では事業継続計画と訳されます。災害やシステム障害などの緊急時でも事業を継続することができ、万が一、システムが途切れたとしても早期の復旧を可能にするための計画のことを指しています。

DXによる省人化や自動化を進めておけば、緊急時にも大勢の人員の確保が不要だと考えられます。また万が一、災害などでオフィスが使用できない状況に陥っても、クラウドに保存した情報を使い、オンライン上でやりとりをすることで、業務の継続・早期の復旧が可能になります。

メリット4.顧客との良好な関係が構築できる

DXの推進に取り組む4つ目のメリットは、顧客との良好な関係構築が可能になることです。

DXは、コールセンターなどのカスタマーサービスにも活用できます。DXによりAIが対応できる部分と、人が対応すべき部分を明確に分けることで、人の手が必要なときに時間と手間をかけられるようになります。

AIの活用により顧客からの問い合わせに迅速に回答できる結果、カスタマーサービスへの満足度向上、ひいては顧客との良好な関係構築につながっていくでしょう。

DXの進め方

社内の理解が得られない

DXの概念は非常に広義であるため、進め方にもさまざまな方法が考えられます。決まった進め方はないものの、途中で方向性がズレないように初期段階でDXの推進方法をある程度定めておく必要があります。ここではDX推進に関するプロセスの例を紹介します。自社の経営方針や改善したい業務・事業に合わせてDXを進めていきましょう。

1.自社の問題点を洗い出し、DXを進める目的を決める

効率的・効果的にDXを進めるためには、自社の課題・問題点を洗い出し、何のためにDXを進めるのかを明確にしましょう。課題の洗い出しにおいては、経済産業省がデジタル経営改革のための評価指標を取りまとめています。指標を利用することで、自社の課題が明らかになり、どんなアクションが必要なのかを知るために活用してみるのも一案です。

参考:デジタル経営改革のための評価指標(「DX推進指標」)を取りまとめました|経済産業省

2.老朽システムを洗い出す

DXを進める前に、まずはどの点から着手すればよいかを見極めなければなりません。社内全体でヒアリングを行うなどし、現状を把握することが大切です。やみくもにすべてのシステムを刷新するのではなく、自社の課題に沿って新しく切り替えたほうがよい老朽システムなどを洗い出しましょう。

3.経営層とともにDX推進の戦略を立てる

現状と課題が把握できたら、それに対してどのような施策を行うのか具体的に考えます。DXをどのように進めるのがよいのか目的に沿って戦略に落とし込んでいきましょう。このとき、組織の責任者や経営層と一緒にDX戦略を策定することが大切です。経営層と共同で施策を戦略に落とし込むことで、方向性のズレを防いだり組織全体を動かすことができたりといったメリットが生まれます。なお、DX推進を少人数で行うことが難しい場合は、DX推進のためのチーム編成も検討すべきです。

4.優先順位をつけて細かな業務から実行する

方向性や具体的な戦略が決まったら、どの部分からDXを進めていくのか優先順位をつけましょう。人的リソースやコストのほか、通常業務に与える影響度、実現の難易度などの観点で進めやすい施策から実行します。例えば、上司の押印による承認を廃止したり、会議資料をペーパーレスにしたりといったデジタイゼーションからDXを進めていくと、従業員の抵抗感も少なくすむはずです。

5.組織全体のワークフローやビジネスモデルをデジタル化する

デジタイゼーションが進んだら、次は組織全体のワークフローのDX推進に移ります。例えば、書類を印刷せずに社内回覧できるシステムを取り入れたり、勤怠管理をデジタル化したりといった施策が考えられます。組織全体のワークフローをデジタル化することで、企業全体の生産性向上につなげます。

ビジネスモデルや事業など大規模なDXは、社会的にも大きな影響を与えるため慎重に進めなければなりません。最初に決めた目的にズレが生じていないか、自社内のDXが適切に進んでいるかを確認してから実行に移しましょう。

6.PDCAを回しながらDXを推進する

DXの実現には時間がかかります。少しずつデジタル化を進めていきながら、PDCAを回すことが大切です。DX推進を始めたころとは社会情勢が変化している可能性もあり、その時々に合わせた変革が必要になるからです。また、この項の最初に述べたようにDXの進め方に決まりはありません。自社の事情や取り巻く環境に適した方法を模索しながら、少しずつ最適な方法を見つけていく必要があります。

経済産業省ではDX推進指標を策定しています。成熟度のレベル別に指標が設定されているため、自社におけるDXの状況を判断・評価するのに役立てることができるでしょう。

参考:DX推進指標|経済産業省

7.経営層の同意・協力を得る

DXは組織全体で取り組まなければなりません。またDX推進には大きなコストがかかるため、DX推進には必ず経営層の同意を得る必要があります。DX推進が自社にどのような効果をもたらすのか、その先、社会にどのような影響を与えるのかなどを説明し、理解してもらうことが大切です。組織を挙げた大規模な変革を実現するためにも、必ず経営層の同意と協力を仰ぎましょう。

DX推進を円滑に進める3つのポイント

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DX推進は時間もコストも膨大にかかるうえ、既存のシステムに慣れていることもあり、改革を進めると決めた自社内であっても、なかなか従業員の理解を得にくい場合があります。できるだけスムーズにDXを進めるにはどうすればよいのでしょうか。

最後に、DXを円滑に進めるためのポイントを紹介します。

ポイント1.目的がすり替わらないよう注意する

DX推進のために自社の古いシステムを最新のシステムに切り替えることもあるでしょう。しかしDXに必要なシステムは導入に至るまでの時間や手間がかかるため、いつの間にかシステムの導入が目的にすり替わってしまうケースもあります。目的が変わってしまうと、かえって生産性が落ちたり、新しいシステムを扱えきれず結局使われなかったり想定していない結果になることもあります。

DXを推進する目的は、デジタル技術を取り入れることでゆくゆくは自社が社会的によい影響を与えたり、新たなサービスを創出したりすることです。そのためにはまず、自社の課題解決のためになぜそのシステムが必要なのか、導入後どのような運用を行い、その先に何が実現できるのかといったプロセスを想定しておきましょう。

ポイント2.社内に周知し理解を得ながら全社的に取り組む

DXは全社的に取り組まなければなりません。経営層が中心となって全従業員にDXで達成したい目標やビジョンを共有しながら進める必要があります。仮に、周知せずにDXを進めてしまった場合、従業員から大きな反感を買ってしまうことにもなるでしょう。そのような状況では想定していた効果が期待できなくなってしまいます。

なかには既存システムに慣れており、DX推進に懐疑的な視線を向ける従業員もいるかもしれません。必要であれば説明会を開いたり、DX推進に関する疑問に答えたりして、周囲の理解を得るように努めましょう。全従業員が納得し、お互いに協力しながらDXを進めることが大切です。

ポイント3.DX推進に必要なIT人材を育成・雇用する

自社のDXを成功させるためには、DXに知見のあるIT人材が必要です。DXを担当する人材は、全体を統括して管理できる立場になるため、経営層と現場の意見をうまく集約できる人材でなければなりません。企業では、適切な人選をした後に教育の体制を整えましょう。

IT投資を行い、それを全社で推進するには、専門的な知識を持ちながら全社改革のデザインができる人材が必要です。人材は日本企業全体で慢性的に不足しているため、新しい人材の育成は避けて通れる問題ではありません。なお、DXによる利益は数ヵ月単位では表れないため、長期的な視点での育成計画を立てていきましょう。DXに知見のある人材を外部から雇用することを視野に入れるのも一案です。

DX推進の目的を明確化し、全社一丸となって自社や社会の課題解決に向けたデジタル化を進めていきましょう

経済産業省が発表した「2025年の壁」問題を乗り越えるためにも、DX推進は日本企業全体で取り組むべき課題です。

自社でDXを進めるには、全社の課題への理解と協力体制が必須。長期的な戦略を立て、全体をデザインできる有識者の存在も欠かせません。自社の課題を洗い出し、解決に必要なDXは何か、最終的にはどのような影響を社会に提供できるのかを考えるところから始めるのが肝心です。

他社のDX推進の事例も参考にしながら、自社に合ったデジタル化を進めていきましょう。

<編集:PR TIMES MAGAZINE編集部>

DXに関するQ&A

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この記事のライター

佐藤 杏樹

佐藤 杏樹

フリーのライター・編集者。PR TIMESに新卒入社しメディア事業部にてコンテンツ編集者・SNS運用・イベントなど担当。現在も執筆業に携わりながら広報・PRの仕事もしています。広報実務を通して得た知見や実践しやすい広報ノウハウ、最初に知っておきたい広報の基礎など、みなさまに分かりやすくお伝えします。

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