「新規事業を任されたものの、適切なアイデアの考え方や判断基準がわからない」「アイデアを生み出した経験がなく、何から始めればいいかわからない」と悩んでいる担当者も多いのではないでしょうか。
本記事では、新しいアイデアを生み出す方法や、アイデアの評価ポイントについて解説します。また、アイデア創出におすすめのフレームワークの活用方法についても紹介します。さらに後半では、新規事業参入で話題になり、高い実績を上げた成功事例も紹介していますので、参考にしてみてください。
新規事業のアイデアを検討する4つの項目
新規事業においてアイデアを検討していくには、必要項目を押さえて進めるのがおすすめです。必要項目に沿って検討することで思考が整理され、検討内容が明確化します。やるべきことが明確になり、適切なアイデアにつながるのもメリットです。ここでは、アイデアを検討する際に必要な4つの項目について解説します。
項目1.新規事業の立ち上げ目的・要件を把握する
アイデアを検討する際には、新規事業の立ち上げの目的や要件を整理したうえで、把握し合うことが大切です。目的や要件への理解を深めるには、整理する際に言語化すると良いでしょう。
目的や要件の内容を整理し理解を深めるには、フレームワークを活用するのもおすすめです。マインドマップやブレインストーミングなどを活用することで、内容を整理して言語化することと、内容を把握し合うことが可能になるでしょう。
言語化した目的や要件を把握しておくことで、新規事業のアイデア検討を進めるなかで実施する、顧客設定や市場調査なども適切に進めることができます。さらに、社内や取引先へのプレスリリース配信の際にも、新規事業の目的やミッションが伝わりやすくなるでしょう。
項目2.自社の技術やサービスの持つ可能性を見つける
新規事業のアイデア検討において、自社の持つ技術やサービスをどのように活かしていくのかを、具体的に考えることも必要です。活用の可能性を見出すには、自社の技術やサービスの性質や特徴をできるだけ細分化して言語化するのがおすすめです。
新規事業のアイデアをゼロから生み出そうと悩み続けるよりも、まずは、自社の技術やサービスを深く理解することで、新たな事業に結びつけられるか否かの判断ができるでしょう。新たな付加価値などと結びつけるのが難しい場合には、ゼロから新たな事業アイデアを生み出す必要があるため、検討の時間をさらに増やすことも考えなくてはいけません。
自社の技術やサービスについて理解を深めておくことで、参入する市場やそこにいる顧客の需要や課題について、結びつけて検討しやすくなります。
項目3.市場規模や競合の状況を考える
新規事業のアイデアを検討する際には、参入する市場規模や競合の状況などをしっかり調査し、分析しておくことが大切です。新規事業は、参入する市場や競合の状況によって、後々の成長率が大きく変わります。特に、市場規模は今後の収益性を左右する大切な要素のため、適切な方法で調査しておきましょう。
具体的な調査方法としては、官公庁が公表している調査レポートや、各業界団体が発表する市場規模レポートがあります。
官公庁のデータを参考にする場合は、政府の統計データが検索できるポータルサイト「e-Slat」で検索するのもおすすめです。調査費用のコストを抑えたいケースでは、官公庁や業界団体などのレポートをもとに作られた、各業界の市場規模が可視化できる市場規模マップもあります。
さらに、競合となり得る企業のIR(Invester Relations)情報を確認することで、競合企業の今後の事業展開なども見えてくるため、参考になるでしょう。IR情報は、企業のホームページなどに公開されていることが多いため、気軽に確認できるのもポイントです。
そもそも自社の技術やサービスの独自性が強い場合は、このタイミングで、競合の少ない市場を探すのも良いでしょう。
項目4.グロースのさせ方を検討する
新規事業をどのように成長(グロース)させていくのかについても、検討しておきましょう。
検討する際は、新規事業における技術やサービスをどのように展開し、グロースしていくのかという戦略を具体的に考えていく必要があります。
グロース方法を検討する際には、以下の3点を明確にして計画することが重要です。
- いつ
- だれに
- どのように
例えば、若年層の女性に向けた製品やサービスの提供を検討している場合、若年層が情報を得やすいSNSやコンテンツマーケティングを活用することがポイントでしょう。さらに、体験型消費への関心が高い層でもあるため、展示会やフェスティバルなどの体験型イベントを製品やサービスの提供後に、定期的に取り入れることも効果的です。
製品やサービスの展開方法などにも、インフルエンサーを起用したり、エコフレンドリーな素材を利用したりすることも有効でしょう。
新規事業のアイデアを評価するときの3つのポイント
新規事業のアイデアを評価する際には、実現の可能性や費用対効果を十分考慮し、アイデアが自社のビジョンや戦略から逸脱していないかなどを見極めることが重要です。新規事業を成功に近づけるアイデアかどうかを見極めるには、アイデアの新規性や収益性、顧客の課題解決性の高さなどを多角的に判断する必要があります。ここでは、新規事業におけるアイデア評価の3つのポイントについて解説します。
ポイント1.新規性や技術革新性により新たな価値を提供できるか
参入する市場に新しい価値を提供できるかどうかも、アイデアを評価するポイントのひとつです。新規性や技術革新性は、提供するもともとのサービスにおいては必要ありません。提供する技術やサービス自体はすでに出回っているものであっても、新たに加える技術やサービスが与える付加価値に新規性や革新性があれば、評価に値するといえるでしょう。
例えば、株式会社タイミーで2018年8月2日より提供を開始した、ワークシェアリングアプリ「Taimee(タイミー)」があります。タイミーでは、すでに日本に普及している人材・求人ビジネスの中でも、当時まだ競合の少なかった単発バイトに注目し、新規事業を立ち上げました。
同サービスは、国内初のオートマッチングシステムを採用し、応募や面接をなくしたことで、労働者と雇用者双方にとっての負担が軽減されました。さらに、従来の人材ビジネスよりも仲介料が低く、求人掲載までのスピードが早いことも特徴のひとつです。
新規性の高いサービスを提供し、労働者と雇用者双方にとっての採用ハードルを大きく下げた好事例といえるでしょう。
新規事業のアイデアを評価する際は、技術やサービス内容が与える付加価値に新規性や革新性があるのかまで、掘り下げて考えることが大切です。
参考:『すぐ働けて、すぐお金がもらえる』ビジネスモデル特許出願中のワークシェアリングアプリ「Taimee(タイミー)」を8月2日より提供開始
ポイント2.安定した収益性が見込めるか
新規事業を立ち上げる背景には、新たな収益源確保を狙う企業も多いでしょう。新規事業をビジネスとして成立させるには、継続的に安定した収益を得ることが重要なポイントになります。そもそも新規事業は、収益化するまでに時間がかかるという特徴があります。短期的な収益化が難しいため、中長期的な収益化計画を立てることが非常に大切です。
アイデアを評価する際には、収益性を見極めることが重要です。幅広い需要があり、新規性の高いアイデアであっても、事業開始までのコストがかかりすぎる場合などは評価する際に注意が必要です。
ただし、コスト面で不安があるものの、革新性や独創性があり顧客への課題解決性が高いアイデアであれば、再検討してコストカットした修正案になれば評価しても良いでしょう。
安定した収益化が見込まれ新規事業として参画したものの、普及が思うように進まず撤退に追い込まれた事例のひとつに、一部のキャッシュレス決済があります。若年層を対象としたキャッシュレス決済を想定していましたが、あとから参画した競合の普及が一気に広がり、加盟店の普及率を伸ばせなかったことなどが、撤退の要因のひとつとなりました。
ポイント3.顧客の課題解決性の高さ
対象の顧客を正確に捉えることと、課題解決性の高さも評価ポイントのひとつです。新規事業のアイデアを評価する際には、アイデア自体の独創性や新規性が高いこともポイントですが、対象顧客の課題を解決できるかどうかも大切です。
例えば、新たな飲料水の販売を検討する場合、対象顧客をビジネスパーソンとするのか、美意識が高い方や健康志向の方とするのかによって、販売方法や製品内容なども大きく変わってきます。後者であれば、体を冷やしにくい常温販売の割合を増やすことにより、課題解決性が高いアイデアになるでしょう。
対象となる顧客の解像度を上げて捉えることで、顧客の課題や動向を正確に把握することにつながるため、良いアイデアとして評価するポイントになります。独創性や新規性に富んだアイデアであっても、対象顧客の課題が解決しにくいアイデアの場合、後々収益が伸び悩む可能性が考えられるため、評価の際には注意が必要です。
新規事業のアイデアを生み出す4つの方法
アイデアを創出している際には、思考が止まって行き詰まることも多くなります。さらに、まったく違う視点を取り入れたアイデアが必要になることもあります。新規事業のアイデアを生み出すには、ゼロベースで考えるより、既存の技術やサービスと掛け合わせて考えるほうがおすすめです。ここでは、より良いアイデアを生み出すための、4つの方法について解説します。
方法1.複数の要素を掛け合わせる
新規事業のアイデアは、ゼロベースで考えていくよりも、すでに存在している技術やサービスに対して、新たな付加価値となる要素を掛け合わせて考えるほうが、良いアイデアが生まれやすくなります。
例えば、既存事業でクリーニング業を運営している場合、「宅配」という要素を掛け合わせることで、「宅配クリーニングサービス」というアイデアにつなげることができます。従来のクリーニングサービスに加え、顧客にとって取りに行く時間と手間の削減という付加価値を提供できるアイデアといえるでしょう。
アイデアのもととなる要素を生み出すには、同業界の情報だけでなく、あえて異なる業界や市場の情報も調査してみるのもおすすめです。複数の要素を掛け合わせてアイデアを生み出すには、情報の引き出しを多く持っておきましょう。普段目にする機会の少ない情報に触れてみることで、今までと異なる新たな視点を得ることにもつながります。幅広い情報を参考にアイデアのもととなる要素を数多く出すことで、アイデアの選択肢が増えていきます。
方法2.固定観念に縛られずに考える
新たなアイデアを生み出すには、固定観念に縛られない自由な発想を持つことが大切です。自由な発想を持つことで新たな視点が生まれやすいため、アイデア出しの段階では、アイデア自体の良し悪しよりも自由に多くのアイデアを出すことに注力することが大切です。
また、おもしろいアイデアや成功につながりやすいアイデアには、起案者の熱量の高さも重要です。高い熱量を持って発案されたアイデアや企画は、対象顧客の心を動かすことが多い傾向にあります。
以下で紹介する事例は、いずれも顧客の課題や悩みを、独創的なアイデアで解決する新規プランや事業です。既存の風習や、固定観念にとらわれすぎない発想の重要性がわかる事例のため、ぜひ参考にしてみてください。
方法3.フレームワークを活用する
新規事業でのアイデア創出時は、多くの情報の整理や多角的な視点での判断が必要になります。フレームワークは、物事を考えるうえでの枠組みや思考を整理する際に便利なため、新規事業のアイデア創出の際に活用するのがおすすめです。
フレームワークを活用すると、思考が効率的に整理され、懸念点などを明確化しやすくなります。アイデアの検討がスムーズに進むことで、検討時間の節約になることもメリットでしょう。
さらに、検討内容の抜けや漏れを防ぐためにも、フレームワークは有効な手段です。新規事業で検討漏れが発生すると、時間や労力の大幅なロスにつながります。検討段階でフレームワークを活用することで、検討事項の漏れが少なくなるうえ、検討すべき内容が明確になります。
以下の記事では、新規事業立案やアイデア出しの段階で活用しやすい25個のフレームワークを紹介しています。さらに、有効活用するためのポイントについても詳しく解説していますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。
方法4.日常的に感じる不便や違和感などをヒントにする
良いアイデアは、日常のちょっとした気づきによって生まれるものも少なくありません。新規事業の担当者は、日常の中で感じる不便さや違和感などをメモする習慣をつけるのもおすすめです。
例えば、「音楽配信のサブスクリプションサービスを利用しているものの、聞きたい音楽が探しにくい」という内容や、「お気に入りのブランドのオンラインショップは、配送の仕方が雑」など、日常で起こるちょっとした不満などです。
一見、新規事業には関係なさそうな内容であっても、不満や不便さなどの感覚を言語化してストックしておくことで、新規事業のアイデアを生み出す際に、大きなヒントになる可能性もあるでしょう。
また、自身の感じたこと以外にも、友人などとの会話の中で感じたことや会話の内容も、後々ヒントになる可能性もあります。参入したい業界にいる知人だけでなく、異なる業界にいる知人とも積極的に交流を持って意見交換することで、新たな視点を手に入れるきっかけにもなるでしょう。
成功事例から学ぶ新規事業のアイデアの検討例7選
ここからは、新規事業のアイデアを検討する際にヒントとなる事例を7つご用意しました。さらに、独自性の高い成功事例をPickup。ぜひ、参考にしてみてください。
事例1.株式会社メルカリ
株式会社メルカリでは、2024年3月より空き時間おしごとサービス「メルカリ ハロ」の提供をスタート。サービス開始から3ヵ月後の5月末時点で登録者数は500万人を突破しました。
現在、日本においては、構造的な人手不足により多様な働き方の推進が急がれており、スポットワーク業界全体が拡大傾向にあります。同事業では、「だれでも、すぐに、かんたんに」働けるをテーマにサービスを展開しており、参入市場の動向に沿ったビジネスモデルにした点もポイントといえます。
さらに、同サービスの登録者は、約4割が40代以上であることや、クルーの6割以上がスポットワーク初心者なのも特徴です。面接や履歴書不要で、都合の良い時間にサクッと働けることで、働く時間に制限がある副業希望者や主婦層の課題解決につながったことが登録者数を伸ばしている要因のひとつでしょう。さらに、現在のスポットワーク業界の動向を踏まえたビジネスモデルを展開している点も、同事業が成功した要因といえるでしょう。
参考:空き時間おしごとサービス「メルカリ ハロ」、サービス提供開始から3ヶ月弱で登録者数500万人を突破
事例2.RIZAP株式会社
2022年9月28日にRIZAP株式会社が始めた「chocoZAP」は、だれでも簡単に運動習慣を定着でき、健康効果を得ることができるコンビニジムです。
さらに同社では、2024年3月7日に、三重県木曽岬町と包括連携協定を締結し、公共施設を活用した官民連携コンビニジム2号店の出店が決定しました。
高齢化が進む人口1万人以下の小規模自治体への出店は、競合が少なく、対象となる顧客の継続的な利用につながりやすくなります。運動習慣のきっかけづくりとしてだけでなく、美容やエンターテインメントも提供することで、幅広い年齢層が利用しやすいため、継続的な収益性も見込めます。参入地域の顧客の年齢層や動向などを的確につかんだ、新規事業の成功事例といえるでしょう。
参考:官民連携コンビニジム2号店「chocoZAP木曽岬店」7月5日(金)オープン決定 ~全国初、人口1万人以下の小規模自治体への官民連携コンビニジムの出店~
事例3.株式会社うるる
株式会社うるるは、複数のSaaSを展開する労働力不足問題解決におけるリーディングカンパニーです。
同社は、2024年6月14日より卒園アルバム制作サービス「えんアルバム」の「プレミアム超おまかせプラン」の提供を開始しました。顔認証システムと掲載カウント機能などの活用で、卒園アルバムの制作にかかる写真選別の手間を大幅に削減できるのが特徴です。
姉妹サービスである写真販売サービス「えんフォト」とも連携しているため、両プランを活用することで、従来の顧客にとっても利用の幅が広がるメリットがあります。
さらに、同サービスでは、子どもの不適切写真の悪用防止機能を備えているのも特徴です。この機能により、子どもの不適切写真悪用という社会的課題に対する解決にもつながっています。
また、えんアルバムでは、えんフォトにおけるメリットに加え、顧客である保育園や幼稚園側の人手不足による課題にもフォーカスしました。卒園アルバム制作という保育者にとって負担の大きい業務を大幅に軽減できるため、人手不足による課題解決につながる点も評価ポイントといえます。
同社のサービスは、園や利用者だけでなく、社会的な課題解決の高さも窺える好事例といえるでしょう。
参考:卒園アルバム制作サービス「えんアルバム」、“顔認証システム”と“掲載カウント機能“を活用した「プレミアム超おまかせプラン」を提供開始
事例4.株式会社ヘラルボニー
株式会社ヘラルボニーは、「異彩を、放て。」をミッションに掲げ、国内外の知的障害を抱える作家のアートデータライセンスを管理をしながら、多彩なビジネス展開をしている福祉実験カンパニーです。支援ではなく対等なビジネスパートナーとして、作家の意思を尊重したプロジェクト進行を目指しているのが特徴の企業です。
同社は、ミッション実現に向けて日本国内にとどまらず、海外へも活動の幅を広げ、福祉を起点とした文化醸成への実現に向けて、多角的な事業を展開しています。
その一環として、2025年夏に開業予定の三井アウトレットパーク木更津で、10名の契約作家のアートやイラストを掛け合わせた、全長約260メートルという長さの仮囲いクリエイティブを担当しています。
「異彩」を社会に送り届けることにより、「障害」のイメージを変えることを念頭においた同事業は、同社のミッションを体現する好事例といえるでしょう。
参考:ヘラルボニー、三井アウトレットパーク 木更津にて全長約260メートルの仮囲いクリエイティブを担当
事例5.株式会社雨風太陽
株式会社雨風太陽が2022年7月より開始した「ポケマルおやこ地方留学」。2024年夏休みプログラムでは、さらに4地域の追加開催が決定しました。
ポケマルおやこ地方留学は、小学生の子どもと保護者を対象に、夏休み期間中に生産者や自然のエキスパートの下で、さまざまな生産体験やアクティビティを経験できます。
同プログラムは、子どもに体験活動の機会を持たせたい都市部在住の保護者と、地方の生産者をつなぐことが目的です。さらに、都市部に住んでおり、子どもに自然体験させる機会が少ないという親の課題解決と、生産者が作る食材の認知拡大につながるメリットもあります。
同社は「都市と地方をかきまぜる」というミッション実現に向け、都市と地方の分断や地方の過疎化・高齢化解決に取り組んでいます。
同プログラムは地方の生産者と都市の消費者を結ぶ貴重なものでもあり、双方の課題解決性にもつながる新規事業アイデアの好事例です。
参考:「ポケマルおやこ地方留学」2024年夏休みプログラムで、4地域の追加開催決定 新たに道南・浜通り・中房総・京丹後を加えた、過去最多の12地域で開催
事例6.株式会社コウダプロ
株式会社コウダプロが、甘口カレーにふりかけるだけで本格的なスパイスカレー味になる「大人のカレースパイス」を、「幸せの日」である4月4日に発売。
同商品は、子どもに合わせて甘口カレーを食べているが、本当は辛いカレーが食べたいという、パパやママの声をもとに作られました。大人のカレースパイスの活用で、子ども用と大人用の2種類のカレーを作る手間がなくなるメリットもあります。
さらに、大人のカレースパイスは、ただ辛さが増すだけではなく、オニオンやガーリックなどのブレンド比率にもこだわり、おいしく味変できる点も魅力です。
家庭内カレー問題に着目した同社は、顧客の課題を把握するため、小学生以下の子どもを持つ保護者への街頭調査を実施しました。調査結果をもとに商品開発に進んだことで、課題解決性の高い商品開発につながる結果となりました。
おもしろくてワクワクすることなら何をやっても良いとされる同社では、「大人のカレースパイス」以外にも、さまざまな新規事業を立ち上げています。
お酒の付き合いが多い人が、翌日快適に仕事ができるよう開発された「アスガール」。「唐揚げをもっとおいしく食べたい」という素朴な社員の思いから誕生した「カラッとペーパー」など、顧客の課題解決に寄り添う新規事業が多数あるのが同社の特徴です。
独創性があり課題解決性の高い商品を扱っているうえ、対象顧客を中心に口コミが広がり実績につながっていることから、成功事例のひとつといえるでしょう。
参考:“家庭内カレー問題”に終止符を打つ!甘口カレーを本格スパイスカレー味に変える「大人のカレースパイス」が4月4日(火)より発売開始
事例7.合資会社 古屋旅館
創業1806年、熱海でもっとも歴史のある旅館とされる「古屋旅館」は、年々売り上げが伸びている大人気の温泉宿です。
同社では、旅館経営にとどまらず、熱海の賑わい活性化の一環として、「和栗モンブラン専門店」や「ラグジュアリーパフェ専門店」を新規事業として展開し、事業を拡大し続けています。
同事業では、「熱海観光の価値を高める」ことをテーマとしています。テーマの実現に向け、ラグジュアリーなスイーツや空間を提供し2021年に開店した和栗モンブラン専門店においては、開店から約半年で5万食を販売し、熱海の定番スイーツ店のひとつになりました。さらに、熱海で競合が少ない雰囲気の店舗だったことも成功の要因といえるでしょう。
参考:高級パフェ専門店「Maison de Parfait 十全十美」が2024年1月19日、熱海駅近くにオープン。老舗温泉宿「古屋旅館」が手がける
Pickup.株式会社ヤッホーブルーイング
株式会社ヤッホーブルーイングでは、2023年3月2日より卒乳やイヤイヤ期卒業、お弁当づくり卒業など、子育て中の隠れた節目をささやかにお祝いする「隠れ節目祝い by よなよなエール」の提供を開始。
隠れた節目を迎えた合計5100人に約1年間、特製筒に梱包した卒業証書とよなよなエール2缶をプレゼントするプランには、2.6万件を超える応募が殺到しました。
同プランにはいくつかの種類があり、「卒乳してビール飲めるねセット」や「イヤイヤ期卒業乾杯セット」など独創性の高さを感じるセットが多いのも特徴です。
プランを開発するきっかけは、同社が展開しているクラフトビール定期便を妊娠を機に退会する顧客がいたことでした。ビールが飲めなくなった顧客の理由に注目し、顧客に寄り添うプランを企画することで、顧客ロイヤリティの向上にもつながる成功事例といえるでしょう。
さらに同社では、ついハイペースで飲んでしまうビール好きの悩みを解決する「飲みづらいグラス」も販売中。ゆっくり飲んで、飲酒ライフを永く楽しんでほしいという同商品も、顧客目線を的確に捉えた独自性の高いプランのひとつです。
参考:【授乳中は飲酒お休み】“卒乳”などの人生の節目をお祝いするサービス「隠れ節目祝い by よなよなエール」提供開始
新規事業は的確なアイデア創出と評価で成功しやすくなる
新規事業のアイデアを生み出すポイントは、固定観念に縛られない発想や、既存の技術やサービスに新たな付加価値をプラスできる可能性を軸に考えることです。フレームワークなども活用しながら、効率的に思考を整理していくことが良いアイデアにつながるきっかけになるでしょう。
アイデアを評価する際には、顧客の課題解決性の高さや収益性などをみることが重要です。成功事例なども参考にしながら、より良いアイデアを生み出しましょう。
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