企業のオフィスや事務所を移転する際、各部署でさまざまな業務が発生します。広報PR担当者も重要な役割を担っていますが、プレスリリースの配信準備や資料作成など、「何を、どの段階から進めるべきかわからない」という方もいるのではないでしょうか。
オフィス移転をスムーズに進めるためには、準備から完了までの計画性が大切です。本記事では、オフィス移転のスケジュールやタスクを、広報PR担当者向けに解説します。オフィス移転・事務所移転を控えている広報PR担当の方は、ぜひ参考にしてみてください。
広報PR担当者のオフィス移転時に関するスケジュール
オフィス移転に関する広報PR業務をスムーズにこなすためには、移転前・移転当日・移転後と、段階的なスケジュール調整が必要です。以下のように、社内広報と社外広報両方の側面から適切な業務を進めていく必要がありますので、主な業務例を紹介していきます。
【移転前】
- 情報収集とオフィス移転計画の立案
- オフィス移転について社内で情報共有
- 社外へのオフィス移転通知
【移転直前~当日】
- 新オフィスの運用ルール周知(社内広報)
- 移転直後の様子が伝わるコンテンツ制作(社外広報)
- 自社ホームページなどの情報更新
【移転後】
- オフィスの正式移転を伝えるプレスリリースを配信
- 関係者向けの発表会・パーティーを開催
- 運用に関するフォローアップ(社内広報)
- ステークホルダーへの追加情報提供
オフィス移転の準備を始めるタイミングは企業や事務所の規模によりさまざまですが、大規模なケースでは5~10年を要することも。従業員数が数十人規模でも1年以上かかる場合は多いため、なるべく余裕を持って計画を立てていくことが大切です。
オフィス移転の前に実施する3つのタスク
オフィス移転が決定、または決定に近い状態にある時点で、すでに広報PR業務が発生しています。まずは情報を集め、綿密な計画を立てたうえで社内外の広報PR活動を進めていきましょう。ステークホルダーに報告する準備はもちろん、現オフィスのオーナーへの通知も必要です。移転前に実施するタスクについて解説します。
情報収集とオフィス移転計画の立案
初期段階の広報PR業務として、オフィス移転に関する情報収集と計画の立案が必要になります。オフィス移転の施策や契約などに関わっている経営層をメインにヒアリングを行い、移転の目的や展望を明らかにしていきましょう。
オフィス移転についてヒアリング
まずは、経営層やオフィス移転の業務を担っている関係者に対して行う、オフィス移転の目的と移転時期の目安や規模、予算など、必要な情報を共有してもらう作業です。
オフィス移転の計画の詳細をまとめておくことで、広報PR担当者以外の関係者が担う業務の円滑化にもつながります。プレスリリースをはじめとする配信機会、配信のタイミングを見極めるためにも重要なタスクといえるでしょう。
オフィス移転のメリットや企業の展望を明らかにする
ヒアリングと同時に、オフィス移転を行うメリット、オフィス移転を通しての展望を明確にします。「従業員数が増えた」「都心に移したい」などの単純な表現にするのではなく、以下のように移転決定に至った理由を把握しておきましょう。
- 従業員増加:事業の成長や拡大
- 新しい設備・部屋の拡充:従業員の環境整備
- 都心への移動:事業の成長や拡大、通勤の負担軽減
例えば、事業の成長や拡大といったことは、投資家や取り引き先はもちろん、採用候補者、従業員の家族など、幅広いステークホルダーに伝えていきたい内容です。また、従業員のモチベーションアップにつながるような背景を組み込むことで「この企業は社員に対して手厚い」という印象を与え、就業意欲の向上にもつながるかもしれません。社会性があるユニークな訴求ポイントがあれば、メディア関係者の関心を惹くこともできるでしょう。
オフィス移転について社内で情報共有
計画や目的・展望が固まったあとは、社内広報の業務に進みます。新オフィスに関する情報を集めて整理したり、社内関係者への周知を中心に計画しておくとよいでしょう。新オフィスや人数の規模にかかわらず、事前共有が十分にできると混乱を避けられます。
新オフィスの外観・内観がわかる説明資料の作成
移転先のオフィスが決定した段階で、従業員向けの説明資料を作成しましょう。新オフィスの住所やアクセスのほか、業務に関わる変更事項はなるべく細かく説明できると安心してもらえます。
【説明資料の作成ポイント例】
- 従業員・訪問者それぞれで異なる入り口
- エレベーターの乗り口、乗り継ぎ
- 社外からの訪問時の連絡要否
可能であれば、新オフィスの外観・内観がわかる素材を用意しておくのがおすすめ。デスクの配置や間取りをイメージできる画像があると新しいオフィスでの働き方が想像しやすいため、混乱を避けるだけでなく、従業員のモチベーションアップにもつながります。
併せて、社外からの訪問者向けに、外観写真や案内文をまとめた資料URLも準備しておくとよいでしょう。
社内説明会を企画・実施
従業員向けの説明資料を整えたうえで、社内説明会を実施します。オフィス移転のタイミングや各人に必要な業務など、詳細まで共有するために重要な工程です。基本的には経営層などの関係者が担う業務ですが、広報PR担当者の出番も多いタスクといえるでしょう。
社内説明会の構成は、役職ごとに集まってもらったり、全体会議として実施したり、伝える内容やスケジュールによって異なります。全員が必要な情報を認識できるような企画を組み立て、実施していく計画性も大切です。説明会のあとの問い合わせにすばやく対応できるよう、メールフォームやコミュニケーションツールのメンション先も忘れず共有しましょう。
このとき、社外向けに準備した写真や案内文を併用しても問題ありません。社内外共通の情報であれば、併用することで準備の時間とコストを削減でき、さらに社外向け資料の見落としを防ぐのにも役立ちます。
社外へのオフィス移転通知
必要な情報が揃ったら、社外のステークホルダーに向けて通知する準備を始めます。オフィス移転前の段階で把握しておきたい広報PR業務例は以下の通りです。
- プレスリリース
- 取引先などへ個別に送る文書・資料
- 自社ホームページ用に掲載する記事(写真・動画含む)
- SNSでの通知用文書やビジュアル
- 新オフィスのお披露目会やパーティーの企画
取引先の数が多い場合や大規模なオフィス移転となる場合は、なるべく早い段階で準備をスタートできると安心です。新オフィスの住所、移転時期といった文書のほか、プレスリリースや自社ホームページに掲載する写真・動画も撮影しておくとよいでしょう。
特にオフィス移転においては、引っ越しのタイミングで電話が通じない時間帯が発生することもあります。「〇時~〇時は応答対応が遅れる可能性があります」といった情報のほか、オフィス以外への緊急連絡先も記載しておくとと安全です。
以下の記事では、オフィス移転のプレスリリースの書き方を詳しく解説していますので、記載項目などの準備に役立ててください。
オフィス移転の直前~当日に実施する3つのタスク
オフィス移転の数日前から当日にかけては、新しいオフィスの具体的な情報を社内外に発信していきます。プレスリリースをはじめとする社外広報PR業務も引き続き必要となるため、記事やビジュアルコンテンツの制作を中心に進めていきましょう。オフィス移転直前〜当日に実施する3つのタスクについて解説します。
新オフィスの運用ルールを周知(社内広報)
新オフィスへの移転に向けて、社内全体で運用ルールを共有しましょう。移転後の慣れない環境でも、従業員全員が混乱なく従来通りの業務をこなすために重要なタスクです。特に、旧オフィスと取り扱いの異なるシステムがある場合は周知を徹底しましょう。
【運用ルールの例】
- ビル入り口から自社オフィスへのルート
- 新しい設備やデスク配置
- プリンターの場所と使い方
- 会議室など共有ルームの利用方法、予約ルール
- PCをはじめとする機器のセキュリティ対策
移転直後の様子が伝わるコンテンツ制作(社外広報)
コンテンツの準備は、プレスリリースを配信する際や、のちに公開する公式ページの制作に役立ちます。新オフィスの機器やデスク設置が完了した段階で、新しい環境での働き方が伝わる写真・動画を撮影しておきましょう。
新オフィスに関するデジタルコンテンツを用意することで、オフィス移転を決めた理由・目的が達成されることをわかりやすく展開できます。企業や事業に対する関心を高められる機会でもあるため、メディアがそのまま使用できるような、視覚にアプローチするコンテンツ制作を心がけるのがおすすめです。
自社ホームページなどの情報更新
オフィス移転が完了したら、自社情報を掲載している各種Webサイトの情報を更新します。企業サイトにある所在地のほか、ステークホルダー向けのページ、個人に紐づく名刺やメールの署名設定まで、漏れがないよう注意してください。
ホームページなどでオフィス移転をお知らせする場合は、撮影した写真や動画を掲載するとよいでしょう。オフィス移転が広く知られるまでは、ホームページのトップに固定表示しておくのも一案です。
オフィス移転後に実施する4つのタスク
オフィス移転が完全に終了したあとは、準備しておいた文書やビジュアルコンテンツを活用して社外広報を実施します。取引先を含むステークホルダーに新オフィスについて発信したり、関係者向けのイベント企画を検討したりしてもよいでしょう。社内広報・社外広報の双方から、オフィス移転後に実施する広報PR担当者のタスクを解説します。
オフィスの正式移転を伝えるプレスリリース配信
メディア関係者や取引先など、あらゆるステークホルダーに向けて情報を伝えるためにプレスリリースを配信しましょう。自社と関係性がある企業・個人はもちろん、サービス・商品を利用したことがない一般生活者や投資家といった潜在層への認知を広めるためにも役立ちます。
新オフィスならではの魅力を訴求して関心を惹く効果が期待できるため、ビジュアルコンテンツは積極的に活用するのがおすすめ。「設備の新設」「都心への移転」といった理由がある場合は、それらが伝わるようなプレスリリースの作成を意識しましょう。
以下の記事ではプレスリリース配信の適切なタイミングについて解説しているので、ぜひこちらも参考にしてみてください。
関係者向けの発表会・パーティーを開催
企業の取り組みをより幅広い層に伝えるためには、オフラインイベント企画も有用です。旧オフィスを知っているか否かにかかわらず、新オフィスに関係者を招いて見学ができるようなイベントを検討してみましょう。
新設したスペースや共有ルームがある場合は、当該の場所で企画を展開するのもおすすめ。従業員の家族や、企業と親密な関係にあるステークホルダーに空間・雰囲気を体験してもらうことで、新オフィスだけでなく企業そのものへのイメージアップにもつながります。
運用に関するフォローアップ(社内広報)
オフィス移転直前~当日の段階で社内広報はほとんど完了していますが、移転後のフォローアップも重要です。新オフィスの使い方が浸透するまでは、社内コミュニケーションを意識しながらオフィス運用に関する意見・感想を集めましょう。
広報PR担当者が直接的に運用改善を行うわけではありませんが、従業員と経営層の橋渡しになり、改善をサポートできる利点があります。社内チャット・メールや社内報でアンケートを実施したり、意見交換の場を設けたりといった社内広報も検討してみてください。
ステークホルダーへの追加情報提供
オフィス移転後のプレスリリース配信や社内広報に加え、追加情報の公開も念頭に置いておきましょう。「オフィス移転によってここが変わった」「企業にこんなメリットがあった」などの情報を発信できると、認知拡大やイメージアップといった効果が期待できるためです。
地域貢献、福利厚生など何らかの強みが明らかであれば、掲載する内容も決めやすくなります。新オフィス発表会やパーティーを開催した場合は、ステークホルダーへの共有事項としてレポートを書くのも一案です。単なる事後レポートではなく、あくまでも新オフィスの魅力や企業の実績を伝える文面を意識しましょう。
広報PR担当者としてオフィス移転の段階的なスケジュールを組もう
企業がオフィスや事務所を移転する際には、プレスリリース配信をはじめ、広報PR担当者にもいくつかの業務が発生します。ステークホルダーに向けて正確な情報を適切なタイミングで発信する必要があるため、オフィス移転前・当日・移転後と、段階的なスケジュールを組んでおきましょう。
オフィス移転後の混乱を避けるには、従業員に対するフォローアップも大切です。オフィス移転は年単位の長期作業となるケースが多いため、社内外への広報PR担当者として業務をこなせるよう、ご紹介した内容を参考にしながら準備・発信していきましょう。
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