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広報PR担当者が選ぶオウンドメディアの成功事例15選&戦略設計のポイントを解説

広報PR担当者が選ぶオウンドメディアの成功事例15選&戦略設計のポイントを解説

ブランディングや採用、リード(見込み顧客)獲得、広告宣伝費の削減などさまざまなメリットが期待できるオウンドメディア

本記事では、オウンドメディアの立ち上げを検討している企業の広報PR担当者に向け、オウンドメディアの立ち上げや運営にあたって参考にしたい、15社の成功事例をご紹介します。運営を成功させるためのヒントを見つけてみてください。

目次
  1. オウンドメディアとは

  2. オウンドメディアの運用目的

  3. 【目的・業種別】オウンドメディアの成功事例15選

  4. 事例から学ぶオウンドメディアを成功に導く5つの戦略設計ポイント

  5. オウンドメディア運用でつまずきやすいポイントと改善のヒント

  6. 自社の課題解決に向けてオウンドメディアを活用しよう

  7. 広報が選んだオウンドメディアの成功事例とは?

オウンドメディアとは

オウンドメディアとは、「Owned media=所有されたメディア」すなわち自社が保有するメディアのことを指します。広義には紙媒体や店舗など、顧客とのリアルな接点を指すこともありますが、一般的には自社が運営・管理するWebサイトやブログサイトを指すことが多いでしょう。

まずは、オウンドメディアをより深く理解するために、メディアの全体観を広報PR・マーケティング目線で捉えた概念「PESOモデル」について紹介します。

オウンドメディアとは

PESOモデルとは

かつてマーケティング業界では企業を巡るメディアを3つに分け、「トリプルメディア」(オウンドメディア・ペイドメディア・アーンドメディア)としていました。近年ではさらに広報PR視点を加味し、メディアを4つに分類した「PESOモデル」が活用されています。

PESOモデルはそれぞれ、「ペイド(Paid)メディア」「アーンド(Earned)メディア」「シェアド(Shared)メディア」「オウンド(Owned)メディア」の頭文字を取っています。

ペイドメディア(Paid media)

ペイドメディアとは、企業が出稿料を支払って広告を掲載するメディアです。テレビ・新聞・雑誌・Webメディアなど、広告料を支払っているメディアが該当します。

自社への興味を喚起する情報を届けられますが、ターゲットや掲載量(出稿量)が多いほどコストも上がります。

アーンドメディア(Earned media)

アーンドメディアとは、取材などを通じて自社の情報をコンテンツとして掲載するメディアです。テレビ・新聞・Webメディアなど、商品・サービスや自社に関連する情報をコンテンツとして提供しているメディアが該当します。

従来の「トリプルメディア」の概念ではSNSを「アーンドメディア」に含んでいましたが、PESOモデルでは発信の主体が「消費者」か「報道関係者」かどうかで明確に区別します。

シェアドメディア(Shared media)

シェアドメディアとは、生活者が主体となって情報を発信するブログやSNSなどのメディアのことを指します。低コストで情報を拡散することができますが、生活者やユーザーの正直な視点が反映されるため、企業側で情報をコントロールできない点が特徴です。

オウンドメディア(Owned media)

オウンドメディアとは、企業が所有し独自に運営するWebサイトやブログなどのメディアのことを指します。自社が運営するため、発信の内容やタイミングなど、情報のコントロールが容易です。一方、幅広い生活者やユーザーに向けて情報を拡散するには一定の時間とコストがかかります。

4種類のメディアそれぞれに強みと弱みがありますが、オウンドメディアは「発信する情報をコントロールできること」が最大の特長です。ほかのメディアを使用する場合と比べ、代理店など社外の関係者との折衝が少なく、スピーディーに施策を実施できるメリットもあります。

オウンドメディアについての詳細は以下の記事でも解説しているので、参考にしてみてください。

オウンドメディアの運用目的

オウンドメディアを運用する主な目的として挙げられるのは、次の3つです。目標設定や効果測定のため、オウンドメディアを運営する目的と優先順位を明らかにしておきましょう。

オウンドメディアの運用

ブランディング:世界観・ストーリーでファンを増やす

情報を自由にコントロールできるオウンドメディアは、ブランディングに最適といえます。自社のブランドイメージに基づいたコンテンツを継続的に発信することで、生活者に好感を与え、自社のファンになってもらうことも可能です。

採用強化:カルチャー発信で共感人材を惹きつける

求人広告の掲載や人材エージェントの利用には高額な費用がかかります。また、条件を重視する求職者も多いことから、自社の社風や理念に共感していない応募者が増えてしまう場合もあるでしょう。オウンドメディアのコンテンツを通じて自社のカルチャーや価値観を発信することで、自社へのマッチ度が高い人材を低コストで採用できる可能性が高まります。

リード(見込み顧客)獲得:問い合わせ・資料DLにつなげる設計

自社のサービスや製品について正確かつ迅速に発信でき、購入や申し込みへ誘導することも可能なオウンドメディアは、BtoC・BtoB問わずリード獲得の有効な手段です。オウンドメディアを通じて流入数や購買数を十分に獲得できれば、広告宣伝費の削減にもつながります。

【目的・業種別】オウンドメディアの成功事例15選

次に、数あるオウンドメディアの中でも、成功例として知られている15社の事例をご紹介します。主な運営目的・ターゲット別に整理しているので、自社が強化したい領域と照らし合わせながら、ヒントをつかんでみてください。

※以下、編集部調べの内容となります。また、各メディアのPV数に関しては、調査ツール「Similarweb」を利用して調べた2024年2月時点での実績です。

成功事例1.【ブランディング・BtoB】サイボウズ式

サイボウズ式

社会のチームワーク向上を目指してグループウエアや業務改善サービスを提供するサイボウズ株式会社が、2012年から運用するオウンドメディア「サイボウズ式」。

【新しい価値を生み出すチームのメディア】をコンセプトに、「カイシャ・組織」「働き方・生き方」「家族と仕事」といったテーマでコラムやインタビュー記事を発信しています。

サイボウズ株式会社が考える働き方やチーム力のアップデートを示し、自社サービスの利用企業数アップだけでなく、企業全体のブランディングに貢献しています。

メディア名サイボウズ式
URLhttps://cybozushiki.cybozu.co.jp/
コンセプト新しい価値を生み出すチームのメディア
主な目的ブランディング
メインターゲットBtoB
運営元サイボウズ株式会社
設立2012年
PV数約13万PV

成功事例2.【ブランディング・BtoC】DSPACE(ディースペース)

DSPACE(ディースペース)

「DSPACE」は、宇宙や宇宙開発に関するトピックを幅広く発信している、三菱電機株式会社のオウンドメディアです。家電などの製造・販売で知られる同社ですが、発電機や産業用ロボットの開発などあらゆる製造事業を手がけており、人工衛星や大型望遠鏡の開発・運用を行う「宇宙・通信システム事業」も展開。「DSPACE」は同社のそのような取り組みを知ってもらうことを目的として運営されているため、宇宙に詳しくない人でも楽しく読めるコンテンツが多数用意されています。

宇宙に関連する最新ニュースをわかりやすく紹介するコラムが月2回更新されているほか、国立天文台の副台長である渡部潤一氏が星座や惑星に関する知識を解説する「星空の散歩道」というコラムも連載していました。宇宙を身近なものとして楽しみ、宇宙開発にも興味を持ってほしいという同社のメッセージが伝わるオウンドメディアです。

メディア名DSPACE(ディースペース)
URLhttps://www.mitsubishielectric.co.jp/me/dspace/
コンセプト
主な目的ブランディング
メインターゲットBtoC
運営元三菱電機株式会社
設立
PV数290万PV※ドメイン全体のPV数

成功事例3.【ブランディング・BtoB】ばね探訪

ばね探訪

「ばね探訪」は、金属ばねの製造を手がける東海バネ工業株式会社が運営するオウンドメディア。「東海バネ工業のばね達が活躍するモノづくりの現場をレポート」をコンセプトに、さまざまな企業のモノづくりの姿勢を取材し発信しています。

特徴的なのは、自社や自社製品の紹介がほとんど出てこず、他社(顧客企業)のみにフォーカスしているコンテンツが多い点。これは、メディアを「自社製品をアピールする場」ではなく、「同社のビジネスモデルを知ってもらう場」として位置づけているためです。

同社の製品はすべてが完全オーダーメイドのためカタログが存在せず、商談のほとんどがWebサイト経由なのだそう。そのような背景から、オウンドメディアを通じて顧客の取り組みを発信することで、顧客に寄り添う自社の姿勢を伝えているのです。

メディア名ばね探訪
URLhttps://tokaibane.com/bane-tanbo/
コンセプト東海バネ工業のばね達が活躍するモノづくりの現場をレポート
主な目的ブランディング
メインターゲットBtoB
運営元東海バネ工業株式会社
設立2008年
PV数約4万PV

成功事例4.【ブランディング・BtoC】となりのカインズさん

となりのカインズさん

「となりのカインズさん」は、株式会社カインズが運営するオウンドメディアです。「ホームセンターを遊び倒すメディア」のキャッチコピーのもと、暮らしに関するさまざまなアイデアやヒントを発信しています。

「カインズさん」とは、カインズのメンバー、お客さま、カインズと世界観を共創する取引先各社、DIYを実践するユーザーなど、カインズに関係するあらゆる人たちを表現しています(プレスリリース参照)。実用的な内容だけではなく、「ウナギの飼い方」「ペットフードを試食してみた」などクスっと笑える内容も多く、「明るく好奇心旺盛」という同社ブランドのパーソナリティーを印象づけているのが特徴です。

メディア名となりのカインズさん
URLhttps://magazine.cainz.com/
コンセプトホームセンターを遊び倒すメディア
主な目的ブランディング
メインターゲットBtoC
運営元株式会社カインズ
設立2020年
PV数220万PV

成功事例5.【ブランディング・BtoC】Red Bull

Red Bull

「Red Bull」は、レッドブル・ジャパン株式会社が運営するオウンドメディアです。モータースポーツ、バイク、スノー、サーフィンなどのスポーツやアスリート、音楽などのクリエイターに関する情報を記事・動画で発信しています。

最大の特徴は、自社が製造・販売するエナジードリンク「Red Bull」の紹介がほとんど登場しないこと。あくまでスポーツ、アスリート、クリエイターの魅力発信にフォーカスしているのです。その姿勢に共感するファンを増やし、「スポーツといえばRed Bull」「仕事を頑張るときはRed Bull」といったイメージの醸成やブランディングにつながっています。

メディア名Red Bull
URLhttps://www.redbull.com/jp-ja/
コンセプト
主な目的ブランディング
メインターゲットBtoC
運営元レッドブル・ジャパン株式会社
設立
PV数710万PV

成功事例6.【ブランディング・BtoC】北欧、暮らしの道具店

北欧、暮らしの道具店

「北欧、暮らしの道具店」は、北欧テイストの生活・インテリア雑貨やオリジナル商品を取り扱う、株式会社クラシコムのオウンドメディアです。ECサイト内に「読みもの」としてコラムが多数掲載されており、スタッフの愛用品や着用レビューなどの商品にまつわるコンテンツだけでなく、料理レシピやエッセイ、悩み相談など、暮らしを豊かにするための幅広い内容を発信しています。

ECサイトを運営し始めて間もないころからサイトのメディア化に注力してきた結果、コアなファンを多数獲得。メディア自体の指名検索数も多く、2011年からはほかのECモールへの出店を取りやめオウンドメディアのみでEC事業を展開しています。

メディア名北欧、暮らしの道具店
URLhttps://hokuohkurashi.com/
コンセプト
主な目的ブランディング
メインターゲットBtoC
運営元株式会社クラシコム
設立2007年
PV数150万PV

成功事例7.【採用・BtoC】mercan(メルカン)

mercan(メルカン)

「mercan」は、フリマアプリを運営する株式会社メルカリのオウンドメディアです。2016年5月に誕生して以来、一貫して「メルカリの『人』を伝える」をコンセプトに運営されてきました。コンセプトからもわかるように、徹底して採用を目的に運営されています。

メルカリ社員へのインタビューや社内イベントのレポートなどを通して、メルカリという企業が持つ価値観について理解が深まるコンテンツです。特に「#メルカリな日々」という連載では、社内の何げない日常風景を垣間見ることもできます。「mercan」は、採用候補者とのマッチング精度を上げることを目的に、同社への理解・共感を得ることに特化したオウンドメディアです。

メディア名mercan(メルカン)
URLhttps://mercan.mercari.com/
コンセプトメルカリの「人」を伝える
主な目的採用
メインターゲットBtoC
運営元株式会社メルカリ
設立2016年
PV数約17.6万PV

成功事例8.【採用・BtoC】ジモコロ

ジモコロ

「ジモコロ」は、株式会社アイデム・株式会社バーグハンバーグバーグ・株式会社Huuuuが共同運営するオウンドメディアです。株式会社アイデムは、エリア型の求人サイト「イーアイデム」の運営会社。同サイトのブランディング施策の一環として、2015年のスタート以来、地元愛を感じられるローカルネタのコンテンツを発信しています。

コンテンツ制作を手がける株式会社バークハンバークバーグは、思わず笑ってしまうユニークなコンテンツ制作に強みを持つWeb制作会社。「ジモコロ」のコンテンツも、高品質で楽しいものとして多くのファンの心をつかんでいます。そんな「ジモコロ」の運営によって、「イーアイデム」は地元の求人情報に強いというイメージを醸成するとともに、求人応募数の増加につなげています。

メディア名ジモコロ
URLhttps://www.e-aidem.com/ch/jimocoro/
コンセプト
主な目的採用
メインターゲットBtoC
運営元株式会社アイデム
設立2015年
PV数280万PV※ドメイン全体のPV数

成功事例9.【採用・BtoC】キャリアハック(CAREER HACK)

キャリアハック(CAREER HACK)

「キャリアハック(CAREER HACK)」は、求人情報メディアや人材紹介サービスなどを運営するエン・ジャパン株式会社によるオウンドメディアです。「テック業界で働く人のためのWEBメディア」「WEB・IT業界で働く人々の人生を少し豊かにする」として、業界の先駆者や活躍者の行動思想やストーリーをインタビュー記事で発信しています。

登場人物のライフスタイル・ワークスタイルが丁寧に描かれた記事や「勇気がもらえる言葉たち」などの特集は、まさに働く人々にとってヒントになる内容です。運営目的のひとつはエン・ジャパン株式会社が運営する転職サイト「エン転職」への集客ですが、企業・サービスへの共感者=ファンの増加にも寄与しています。

メディア名キャリアハック(CAREER HACK)
URLhttps://careerhack.en-japan.com/
コンセプトテック業界で働く人のためのWEBメディア/WEB・IT業界で働く人々の人生を少し豊かにする
主な目的採用
メインターゲットBtoC
運営元エン・ジャパン株式会社
設立2012年
PV数約14万PV

成功事例10.【採用・BtoC】OnLINE

OnLINE

「OnLINE」は、LINE株式会社のオウンドメディアです。もともとは「LINE HR BLOG」として運営されていましたが、2020年8月にリニューアルされました。「たくさんのWOWへとつながるように。」を新たなコンセプトに、社内にあるさまざまなチャレンジや取り組みの記事をインタビューやレポート形式で配信しています。

社内のヒトやカルチャーの情報をありのままに発信する狙いは、企業理念への共感者を増やし、採用につなげること。そのため、記事のカテゴリーは「VISION」「CULTURE」「WORKS」のシンプルな3構成で、知りたい情報がすぐに見つかる設計になっています。

メディア名OnLINE
URLhttps://line-online.me/
コンセプトたくさんのWOWへとつながるように。
主な目的採用
メインターゲットBtoC
運営元LINE株式会社
設立2012年
PV数約1万5,000PV

成功事例11.【リード獲得・BtoB】LIGブログ

LIGブログ

「LIGブログ」は、Web制作会社の株式会社LIGが運営するオウンドメディアです。成功事例として広く知られているオウンドメディアで、「社員ブログ=サラリーマンブログ」というテーマで運営されています。

Web制作会社ならではの実践的なノウハウ記事も多く、Web・IT業界に携わるビジネスマンのバイブル的な側面も持っています。

申し込み数を増やす=リード獲得だけでなく、「自分たちの学んだことや技術を、記事としてアウトプットしよう」「一緒に働きたいと思ってもらえるような情報を発信しよう」など、教育や採用も目的に掲げて運営されています。

メディア名LIGブログ
URLhttps://liginc.co.jp/blog
コンセプト
主な目的リード獲得
メインターゲットBtoB
運営元株式会社LIG
設立2012年
PV数約59万PV※ドメイン全体のPV数

成功事例12.【リード獲得・BtoB】ferret

ferret

「ferret」は、「マーケターのよりどころ」がコンセプトのオウンドメディアです。WebマーケティングツールなどのSaaS事業やメディア事業を手がける、株式会社ベーシックが運営しています。「マーケターのよりどころ」とコンセプトに明示されているように、Webマーケティングに特化したコンテンツが特徴です。

WebマーケティングのTipsやノウハウを紹介しているほか、会員登録するとお役立ち資料をダウンロードできる仕組みもあります。BtoB、BtoCを問わず多くのマーケターが必要とする情報を網羅することによって、SaaS事業のリード獲得につなげている成功事例です。

メディア名ferret
URLhttps://ferret-plus.com/
コンセプトマーケターのよりどころ
主な目的リード獲得
メインターゲットBtoB
運営元株式会社ベーシック
設立2014年
PV数約53万PV

成功事例13.【リード獲得・BtoB】LISKUL

LISKUL

「LISKUL」は、中小・ベンチャー企業のWebマーケターがCMOになるまでに必要な情報を提供する、SO Technologies株式会社のオウンドメディアです。中小・ベンチャー企業のマーケティング支援を事業とするソウルドアウト株式会社のグループ会社である同社ならではの目線で、集客・広告や接客・制作をはじめとする実践的な記事を発信しています。

事業で培ったノウハウを基にしたSEOで流入増加に成功しているのが特徴で、月間のリード獲得数は200件にも上るといいます。自社の知見をオウンドメディア運営に活かし、リード獲得につなげている成功事例です。

メディア名LISKUL
URLhttps://liskul.com
コンセプト
主な目的リード獲得
メインターゲットBtoB
運営元ソウルドアウト株式会社 → SO Technologies株式会社(2022年~)
設立2014年
PV数約20万PV

成功事例14.【リード獲得・BtoB】Money Forward Bizpedia

Money Forward Bizpedia

「Money Forward Bizpedia」は、金融領域のITサービスを提供している株式会社マネーフォワードが「バックオフィスの悩みに答えを」をコンセプトに運営しているオウンドメディアです。同社がBtoC・BtoB両面で事業を展開していることから、企業のバックオフィス担当者だけではなく、経営者から個人事業主まで幅広い読み手をターゲットにさまざまなコンテンツを発信しています。

記事の最後にサービス紹介のバナーを、サイドバーに資料ダウンロードへの導線を設置するなど、リード獲得のための仕組みがしっかりと準備しているのが特徴です。また、バックオフィス領域で活躍する人々の働き方に焦点を当てたインタビュー記事も多数掲載されており、業界全体を応援する同社の企業ブランディングの役割も兼ね備えています。

メディア名Money Forward Bizpedia
URLhttps://biz.moneyforward.com/blog/
コンセプトバックオフィスの悩みに答えを
主な目的リード獲得
メインターゲットBtoB
運営元株式会社マネーフォワード
設立2014年(2019年に名称変更)
PV数1,540万PV

成功事例15.【リード獲得・BtoC】グーネットマガジン

グーネットマガジン

「グーネットマガジン」は、自動車に関する総合的なお役立ち情報を発信する、株式会社プロトコーポレーションのオウンドメディアです。購入前・購入後・乗り換え検討中の各段階のユーザーに対しコンテンツを用意しており、購入前の基礎知識から新車の情報、カーグッズ、税金、ローンに関する内容まで幅広く扱っているのが特徴。

実用的なコンテンツだけではなく、識者による自動車業界の動向に関する連載など、大局的な知識も発信することで自動車好きなユーザーのリテンションを高め、LTVの向上に寄与しています。

メディア名グーネットマガジン
URLhttps://www.goo-net.com/magazine/
コンセプト
主な目的リード獲得
メインターゲットBtoC
運営元株式会社プロトコーポレーション
設立
PV数2,190万PV

事例から学ぶオウンドメディアを成功に導く5つの戦略設計ポイント

最後に、オウンドメディアの運営を成功させるための5つのポイントについて紹介します。

戦略1.ターゲットとペルソナを明確にし、コンテンツを設計する

オウンドメディアの成果を左右するのは、最初のターゲット設定とコンテンツ設計です。ペルソナを具体的に描き、その課題や関心に応えるテーマを設計することで、読み手にとって“価値のある”情報を提供できます。BtoBなら業界課題、BtoCならライフスタイルや悩み解決が軸となります。

戦略2.検索ニーズを押さえたコンテンツ設計とSEO対策

オウンドメディアで成果を出すうえで、まず押さえたいのが「誰が」「どのような言葉で」検索しているのかを起点にしたコンテンツ設計です。思いついたテーマから記事を書き始めるのではなく、想定読者が実際に入力しそうなキーワードを洗い出します。そのうえで、サジェストや関連キーワード、Search Consoleなどのデータを見ながら、検索意図を「情報収集」「比較検討」「申し込み前」などのフェーズに分解していくと、必要なコンテンツが把握しやすくなります。

また、テクニカルなSEO対策としては、内部リンクで関連記事をつなげる、構造化された見出し設計にする、インデックスさせたいURLを整理する、といった基本を丁寧に積み重ねることが重要です。

戦略3.UXと導線設計で“読まれて終わり”を防ぐ

検索から訪れた読者が記事を最後まで読み進めても、そこで行動が途切れてしまっては事業成果にはつながりません。そこで重要になるのが、UX(ユーザー体験)と導線設計です。

まずはスマートフォンでの読みやすさを前提に、段落の長さや画像の配置、強調したいポイントの見せ方を整えます。そのうえで「この記事を読み終えた人に、次にどんな行動をしてほしいのか」を決め、資料ダウンロードや問い合わせ、募集要項への遷移など、目的に合わせたCTAを記事末だけでなく本文中にも自然な形で配置するとよいでしょう。

関連度の高い記事へのリンクや、カテゴリページへの導線を設けることで、回遊してもらう流れも生まれます。読者が迷わず次の一歩を踏み出せるよう、ボタン文言や配置場所をテストしながら改善していく姿勢が、コンバージョン率の向上につながります。

戦略4.運用体制・編集方針・PDCAを仕組み化する

オウンドメディアは「立ち上げ」がゴールではなく、継続的な運用を前提とした仕組みづくりが欠かせません。まずは、編集長や責任者、ライター、デザイナー、分析担当など、関わるメンバーの役割と判断権限を明確にします。同時に「どんなテーマは出さないか」「どのトーンで書くか」「自社の名前はどう表記するか」といった編集方針やスタイルガイドを用意しておくと、担当者が変わっても品質がぶれにくくなるでしょう。

運用面では、月次や四半期ごとの編集会議を設け、アクセス数やコンバージョン、検索順位などの指標をもとに、うまくいった記事と伸び悩んだ記事の要因を振り返ります。そこで得られた学びを企画表やコンテンツカレンダーに反映し、次の制作につなげることで、PDCAのサイクルが自然と回り始めます。属人化ではなく「仕組み」として運用できる状態を目指すことが重要です。

戦略5.KGI・KPIと評価指標を明確にし、経営とつなげる

オウンドメディアを「なんとなく必要だから」ではなく、経営課題の解決手段として位置づけるためには、KGIとKPIを事前に定義しておくことが不可欠です。

たとえばKGIを「年間◯件の商談創出」「採用エントリー数◯件増」「ブランド指名検索数の向上」といった事業インパクトに置き、その手前のKPIとして「資料ダウンロード数」「問い合わせ数」「メールマガジン登録数」「特定カテゴリへの流入数」などを設定していきます。

記事単位では「検索順位」「流入キーワード」「滞在時間」「スクロール率」などの指標を組み合わせると、どのコンテンツがどのフェーズに貢献しているかが見えやすくなるでしょう。

これらの数字をレポートとして定期的に経営層や関係部門と共有することで、予算や工数の投資対効果を説明しやすくなり、オウンドメディアを中長期的な取り組みとして位置づけやすくなります。

オウンドメディア運用でつまずきやすいポイントと改善のヒント

多くの企業がオウンドメディアを立ち上げる一方で、「続かない」「成果が見えない」という声も少なくありません。これは個々の担当者の努力不足というより、仕組みや期待値の設計が十分でなかった結果である場合がほとんどです。

最後に、実務でよく見られるつまずきポイントを4つに整理し、それぞれについて原因と改善のヒントを解説します。自社の状況と照らし合わせながら読んでいただくことで、今どこで引っかかっているのか、どこから手を付ければよいのかが見えやすくなるでしょう。すでにオウンドメディアを運用している企業だけでなく、これから立ち上げを検討している段階でも、失敗パターンを先に知っておくことは大きなリスクヘッジになります。

よくある失敗1.更新が止まり、メディアが「社内広報ブログ化」してしまう

立ち上げ当初は定期的に記事を公開できていても、数ヵ月後には更新頻度が落ち、気づけば「お知らせ」と社内イベントレポートだけが並ぶ状態になってしまうケースは珍しくありません。

多くの場合、企画・執筆・公開までのフローが担当者一人に依存しており、他業務の繁忙期に更新が後回しになることが原因です。改善のためには、年間や四半期単位の編集計画を先に作り、優先順位の高いテーマから順番に制作することが重要になります。

また、社内の専門家や現場メンバーを巻き込んだ取材体制を整えたり、一部を外部パートナーに委託したりすることで、担当者だけに負荷が集中しない仕組みを用意するとよいでしょう。

よくある失敗2.アクセスはあるが、リードや採用応募につながらない

検索順位やPVは伸びているにもかかわらず、「問い合わせは増えていない」「採用への寄与が見えない」という悩みもよく聞かれます。この場合、コンテンツと目標とするアクションのつながりが弱く、読者が次に取るべき行動が明確でないことが多いでしょう。

改善策としては、まず記事の目的を「認知」「比較検討」「申し込み前」などに分類し、それぞれに合ったCTAを設計することが挙げられます。

たとえば、成功事例記事であれば「同じ課題をお持ちの方はこちらの資料もご覧ください」と資料ダウンロードにつなげる、採用寄りのコンテンツであれば募集要項へのリンクやカジュアル面談フォームを目立つ位置に置くといった工夫が有効です。

よくある失敗3.担当者依存で属人化し、ナレッジが蓄積されない

オウンドメディアを長く運用していると、「◯◯さんしかこのメディアのことを把握していない」という属人状態に陥りがちです。その担当者が異動や退職で抜けてしまうと、更新が止まるだけでなく、過去の成功パターンや失敗から得られた学びも一緒に失われてしまいます。

このリスクを避けるには、編集方針や企画の判断基準、制作フロー、分析の観点などをドキュメント化し、共有できる形で残しておくことが欠かせません。

加えて、月次の編集会議や振り返り資料をチームで確認する習慣をつくることで、「メディアの状況を理解している人」を増やすことができます。組織として運営している状態をつくることが、結果的に安定した成果につながるでしょう。

よくある失敗4.ステークホルダーの期待値ギャップで運用が迷走する

経営層や営業部門、人事部門など、オウンドメディアにはさまざまなステークホルダーが関わります。それぞれが「すぐに売上につながる記事を増やしてほしい」「採用広報にももっと使いたい」といった期待を持つ一方で、その優先順位や時間軸の共有が十分でないと、テーマが頻繁に変更されたり、方向性がぶれてしまったりすることがあります。

この状況を防ぐには、立ち上げ段階で「当面の主目的は何か」「どの指標をもって成功とみなすのか」を合意形成しておくことが重要です。四半期ごとに成果と学びを共有しつつ、目的や配分を調整していくプロセスを設ければ、社内の期待値を現実的なラインにそろえながら、腰を据えた運用がしやすくなります。

自社の課題解決に向けてオウンドメディアを活用しよう

自社の魅力を直接生活者に届けられるオウンドメディア。当記事では、その定義や特徴、目的、成功事例をご紹介しました。

オウンドメディアの運営にあたってもっとも大切なのは、自社が解決したい課題=運営の目的を明確にすること。一般的に、運営の目的は大きく「ブランディング」「採用」「リード獲得」に分けられます。

オウンドメディアはこうした目的に対する手段のひとつに過ぎないことを意識しつつ、最大限に活用して事業の成長につなげましょう。

オウンドメディアの開設時のKGIやKPI、目標設定については、こちらで紹介しています。

オウンドメディアの作り方については、こちらを合わせてご覧ください。

<編集:PR TIMES MAGAZINE編集部>

広報が選んだオウンドメディアの成功事例とは?

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この記事のライター

三寳 里菜

三寳 里菜

ライター・編集者。2013年、大学在学中に旅行系ITベンチャーに入社し、現在まで約6年にわたりコンテンツ責任者・広報・PR・組織開発を担当。それぞれのフィールドでの経験を活かして、「読みやすく、分かりやすく、伝わりやすいコンテンツ」づくりに取り組んでいます。ハウツーからイベントレポート・インタビューまで、様々なコンテンツ制作が得意です。

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