絵本は、子どもだけでなく、大人にとっても大切な読書体験を提供する文化的コンテンツです。デジタル全盛の時代にあっても、永く愛される絵本がたくさんあります。しかし、たとえ完成度の高い作品であっても、十分な認知を獲得できずに埋もれてしまうケースは少なくありません。特に、小規模な出版社や自費出版においては、その課題を感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、絵本の魅力を適切に伝えるための効果的な広報PRとして、情報発信の方法やプレスリリースのポイントなどを解説します。
絵本出版における広報PRの重要性
絵本を出版する際は、主な読者である子どもだけではなく、さまざまなステークホルダーに対しても、適切に情報を届ける必要があります。ここでは、絵本出版において広報PRが重要視される背景について解説します。
新規作家が参入しにくい市場構造
絵本の世界には、長年親しまれてきたロングセラー作品が多く、何百回も重版されている作品も多数あります。そのため、新たに出版する絵本が注目される機会は決して多くなく、書店で手に取ってもらうまでのハードルは非常に高いのが実情。こうした状況の中で、読者に選ばれる絵本となるためには、まず情報を発信し、作品の存在を知ってもらうことが重要です。
読者と購入者が異なるという特殊性
絵本の主な読者は子どもですが、実際に購入するのは保護者や教育関係者など、大人である場合がほとんどです。そのため、絵本の内容だけでなく「なぜこの絵本を子どもに届けたいのか」「どのような学びや感動があるのか」といった点を、購入者の視点で伝える必要があります。かわいらしさなど感性に訴えるだけでなく、教育的効果や情操教育の観点からも価値を伝えていくことがポイントです。
書店・教育関係者に対するメディアの影響
絵本は、生活者だけではなく、書店や図書館、保育園・幼稚園などの教育現場にも選ばれなければいけません。こうした関係者が書籍を選定する際に重視するのは、「信頼できるか」「話題性があるか」「実績があるか」といった点です。プレスリリースを通じて一次情報を正確に発信することで信頼性を担保でき、メディアに取り上げられれば話題になる可能性も広がります。実績づくりの一歩として、プレスリリースをはじめとした広報PR活動は有効です。
絵本出版の広報PR・情報発信の方法
広報PR活動に十分なリソースを割けない出版社や個人の方も多いと思いますが、工夫次第で効果的な情報発信は可能です。
【広報PR・情報発信の方法7選】
- プレスリリース
- メディアへの献本(レビュー用サンプル)
- イベント開催
- キャンペーン
- SNSの運用
- インフルエンサーへのアプローチ
これらの施策は単体でも効果がありますが、複数を組み合わせることで相乗効果が期待できます。限られたリソースであっても、目的に応じた手段を選び、持続的に発信を行うことで、絵本の価値を広く届けることも可能。以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
絵本出版時のプレスリリース配信5つのポイント
プレスリリースは、「知ってもらう」ための最初の接点です。限られた情報量の中で絵本の魅力を最大限に伝えるために、意識すべき5つのポイントを紹介します。

ポイント1.中身の絵柄が見えるようにする
絵本においては、ストーリーと並んで「絵の雰囲気」が印象を大きく左右します。特に、生まれて間もない子どもにとっては、絵の色見や文字の大きさも重要です。プレスリリースでは、表紙だけでなく、印象的なページの画像も掲載し、視覚的に絵本の世界観が伝わるよう工夫しましょう。
ポイント2.対象年齢を明確にする
「何歳向けの絵本か」という目安は、非常に重要な情報です。読者となる子どもを想定して購入するケースが多いため、購入者が「自分の子どもや教え子に合っているか」を判断しやすくなります。また、贈り物として購入される場合にも、対象年齢の記載があると選びやすくなります。さらに、書店や図書館の分類・陳列、教育現場での活用提案などにも有効です。
(例)2〜4歳向け、小学校低学年向け、就学前児童対象など
ポイント3.配信タイミングを見極める
前述の通り絵本は、入園・進級祝いやクリスマスプレゼントなど、ギフトとしても需要が高いため、適切なタイミングで情報発信を行う必要があります。例えば、Googleトレンドで直近5年間の検索状況を見ると「絵本 おすすめ」「絵本 プレゼント」の検索がもっとも増加するのは12月上旬~中旬に集中しています。
出版時期と異なる場合でも、新しいニュースを見いだした配信を検討してみるのもいいかもしれません。

ポイント4.メディアフックを意識する
絵本の特集が定期的に組まれる雑誌やWebメディアもあります。こうしたメディアに掲載を目指す場合、編集者やライターが情報を集める時期に合わせて配信することも有効です。取り上げられやくするには、メディア視点を意識した切り口でプレスリリースを構成しましょう。
例えば、以下のような要素があると、社会ニュースとしての価値が高まります。
- 社会課題をテーマにしたストーリー(社会性/公益性)
- 季節やトレンドにあった話題(時流/季節性)
- 他にはないユニークな視点や切り口(新規性/独自性)
- 話題になりやすいキャッチーなテーマ(話題性)

メディアフックについての詳しい説明は以下をあわせてご覧ください。
ポイント5.絵本の背景・ストーリーを伝える
作品の表面的な情報だけでなく、作り手の思いや制作に至るまでのプロセスを伝えることで、読者や購入者の関心を高められるかもしれません。また、プレスリリースとあわせて制作までのストーリーを発信するのも有効です。以下も参考にしてみてください。
『パッポー』(ポプラ社):関係者のやりとりから、絵本に込められた思いを発信
絵本作家と編集者の対話を通じて制作背景をSTORYに公開。プレスリリースでは絵本の情報に特化していますが、STORYでは構想段階で描かれたラフスケッチから完成までの制作過程を記しています。どのような会話や思考があったのか、それぞれのページにはどのような思いが込められているのかなど、「子どもに何を伝えたいか」という点で選ぶ際の判断材料になります。
『がろあむし』(偕成社):作家自らが語る絵本の魅力を発信
実際に数年にわたって昆虫を飼育・観察してきた作家の制作秘話をSTORYに公開。テーマである「生と死の循環」について、自身の体験をもとに語られています。大人も深く考えさせられる内容であること、子どもが成長しても繰り返し読み、学びや気づきが得られる絵本であることを訴求できているのではないでしょうか。
- プレスリリース:暗黒世界で生きる虫の一生とは。取材10年、小学館児童出版文化賞受賞作家が緻密な絵で描く渾身の絵本『がろあむし』
- STORY:絵本制作は、数年に渡る「観察」から始まる。生と死の循環を描く生物画家・舘野鴻さんの新作絵本『がろあむし』制作秘話
絵本出版のプレスリリース事例15社・30選
ここでは、実際にどのような切り口で各社がプレスリリース配信しているのか、参考にしたい事例をピックアップして紹介します。
事例1.偕成社
『はらぺこあおむし』や「ノンタン」絵本をはじめとした長く愛され続けている作品を刊行する偕成社。『さあ、めがねをかけよう!』のプレスリリースでは、小学生のめがね・コンタクトレンズ事情に触れながら、「なぜ今おすすめするのか」という点にも言及されています。
参考:めがねをかけることになったら読みたい絵本『さあ、めがねをかけよう!』4月23日(水)発売
また、『てんじつきさわるえほん ぼうけんしよう!』の発売の際には、作者の思いとともに、絵本の特徴である隆起印刷というユニークな仕様を写真でわかりやすく説明しています。

参考:隆起印刷で、見える子も見えない子もいっしょに楽しめる「ゆびあそび」の絵本『てんじつきさわるえほん ぼうけんしよう!』6月3日(月)発売
そのほか、同社のプレスリリースには本の概要だけでなく、どのような方々に手に取ってほしいか、読んだ後にどんな気持ちになれるかなど具体的な提案が多数。『はじめてのクリスマス』のプレスリリースには担当編集者からのコメントを掲載するなど、携わった人たちの思いが十分に伝わる工夫をしています。
参考:【クリスマス最注目の新刊絵本】マック・バーネット×シドニー・スミス『はじめてのクリスマス』
株式会社 偕成社(東京都新宿区):最新のプレスリリースはこちら
事例2.株式会社小学館
2024年の年間ベストセラー児童書部門で1位、2位を獲得した「大ピンチずかん」シリーズ。小学館は『大ピンチずかん3』の販売の際、プレスリリースを3段階に分けて話題化を図りました。
第1報(2025年1月17日)
発売のおよそ3ヵ月前に発表し、キャンペーンで関心を集める工夫をしています。
参考:鈴木のりたけ『大ピンチずかん3』 2025年4月10日(木)頃に小学館より発売決定!
第2報(2025年1月31日
テーマの解禁をキャンペーン結果とあわせて発表。著者からのコメントも掲載し、発売までの盛り上げをつくっています。
参考:『大ピンチずかん3』表紙解禁! 今度の表紙は「ケチャップが とんだ」
第3報(2025年4月10日)
販売当日に合わせ、絵本の中身を公開。展覧会や新CMなど、新しいニュースと同時に発表しています。
参考:絵本『大ピンチずかん3』小学館より発売! CMはおなじみ、サバンナ・高橋さんが歌唱を担当
それぞれのタイミングで異なるニュース性を打ち出すことで、継続的に読者の関心を引きつける好例です。

※日本出版販売株式会社「2024年年間ベストセラー(児童書)」
株式会社小学館(東京都千代田区):最新のプレスリリースはこちら
事例3.株式会社ポプラ社
『ぼくのからだ』『わたしのからだ』のプレスリリースでは、「1歳からの」という対象年齢を明確に打ち出し、親が抱える悩みに訴える構成で関心を高めています。

参考:からだに興味を持ちはじめたら性教育のスタート!1歳から親子で学べるしかけ絵本
また同社はシリーズものの発表も工夫しています。『パンダのおさじと せっけんパンダ』では、タイトルに累計部数を記載し、どれだけ人気があるかを表現。『ねずみくんとチョコレート』ではトレンドの時期と合わせての発表と、50周年を迎えても新作を生み続けている著者のエピソードが添えられています。
参考:【累計25万部突破!】絵本作家・柴田ケイコによる大人気シリーズ最新作『パンダのおさじと せっけんパンダ』4月16日発売
参考:【もうすぐバレンタイン!】この冬いちばん甘くてやさしい絵本『ねずみくんとチョコレート』発売
株式会社ポプラ社(東京都品川区):最新のプレスリリースはこちら
事例4.株式会社KADOKAWA
『パンどろぼう』5周年を記念した特装版のプレスリリースは、「追加生産なしの特別仕様」という希少性をサブタイトルで打ち出し、通常版との違いを多数の画像で紹介。視覚的にも情報を伝える工夫があります。
参考:【5周年5大発表】人気絵本『パンどろぼう』に豪華特装版が登場
また、『けんちくってたのしい!』のプレスリリースのように、囲み表示や埋め込みボタン機能を活用した構成により、情報を見やすく整理。
参考:世界的建築家・隈研吾(くま けんご)の“ものづくり”への思いがつまった初のストーリー絵本『けんちくってたのしい!』2025年4月9日(水)発売
さらに、『パパじゃない?』の発売の際には、著者それぞれからのメッセージや子どもたちの親からのコメントも添えられています。子どもたちの表情が見えるのもポイントです。

参考:40万部の人気絵本「はみがきれっしゃ」シリーズ作者・くぼまちこさんの最新作『パパじゃない?』2025年3月5日(水)発売!
株式会社KADOKAWA(東京都千代田区):最新のプレスリリースはこちら
事例5.株式会社マイクロマガジン社
マイクロマガジン社も配信機会に関わらず、第三者からの評価を記載することで信ぴょう性を高めています。
例えば、『100このたまご』や『たすひくねことひよこ団』に関するプレスリリースでは、発売前に読んだ書店員のコメントを多数掲載。またタイトルでオファーや受賞の実績があることを伝え、すでに話題になっていることにも訴求しています。
参考:【絵本・新刊】発売前から翻訳オファー殺到の話題作。おいしそうなたまご料理がた~くさん。お話を楽しみながら数や計算に親しむさんすう絵本『100このたまご』4月4日発売!
参考:未来屋えほん大賞、リブロ絵本大賞にW入賞「楽しく数が学べる」と大人気!絵本『たすひくねこ』の続編『たすひくねことひよこ団』。発売に先立ち、ゲラをお読みいただいた全国の書店員さまの感想コメントを初公開!
ロングセラー商品である『おかあさんはね』では、販売以外の取り組みを取り上げ、こちらのプレスリリースでも読者の声を掲載しています。

参考:【卒園・卒業式での読み聞かせの定番】人生の節目に伝えたい、言葉の贈り物。全世界累計150万部超のロングセラー絵本『おかあさんはね』を中日新聞・北陸中日新聞に掲載いたしました。
株式会社マイクロマガジン社(東京都中央区):最新のプレスリリースはこちら
事例6.株式会社 学研ホールディングス
見出しや構成をうまく使いポイントをまとめているのが学研ホールディングスです。『ステンドグラスシールパズル』のプレスリリースは、想像力や集中力など、子どもが得られる力をサブタイトルで端的に訴求。本文で「絵本の特徴」として、構成・画像・対象読者を明示し、わかりやすく整理しています。

参考:シリーズ累計10万部超え!『ステンドグラスシールパズル』待望の第2弾「真夜中のワンダーランド編」予約販売開始!
また、『おしえて!サンリオキャラクターズ いろんなきもち おこるってなあに?』では背景付見出しの機能を活用。シリーズものの場合、発売中の絵本への導線を設定したり、今後の予告をしたり、また「こんな方におすすめ!」を箇条書きにしたりとひと目でわかる表記もポイントです。
参考:クロミと一緒にイライラとの付き合いかたを学ぶ! 人気の絵本シリーズ第3弾『おしえて!サンリオキャラクターズ いろんなきもち おこるってなあに?』が発売
『くらべるえほん いきもの』では、この絵本の特徴を「ここがすごい!」と3つにまとめて訴求。各所に画像を挿入することで説明内容をわかりやすくしています。
参考:新感覚! よくある間違い探し絵本じゃない!? なにかがちがう。どこがちがう? 似ている生き物をくらべて、自分で違いを発見する絵本『くらべるえほん いきもの』新発売!
株式会社 学研ホールディングス(東京都品川区):最新のプレスリリースはこちら
事例7.株式会社講談社
講談社のプレスリリースは、届けたいメッセージや著者・編集担当者からのコメントを掲載し、表現の多くが語り口調という点も特徴的です。
『いもむしずんずん』の紹介では、「幼虫が苦手な担当編集も、伊佐さんの絵は大丈夫でした」などと、読者の共感を誘う語り口が魅力です。
参考:思わず声に出して読みたくなる絵本『いもむしずんずん』が発売
『どうしたらふえるかな?』は、大切だけど、教えてもらってこなかった人も多いであろうお金がテーマ。『自分で考えて増やす』ことと、『誰かの役に立てる喜び』を子どもたちに教えなければならない、と教えておきたいが込められていることを表現しています。
参考:4歳から「お金のセンス」が身につく! 144万フォロワーの人気キャラクターのポンタと学べる絵本『どうしたらふえるかな?』発売!
絵本においては、色使いや文字のレイアウトなど、視覚的な要素が作品の魅力を大きく左右します。0歳からの読み聞かせを想定してつくられた『ゴトゴト ゴットン』は、成長に応じて楽しめるポイントを画像とあわせて伝えています。

参考:NHK Eテレ「いないいないばあっ!」の「ゴットン」が絵本に! 絵本はキャラクターデザインを手がけた絵本作家・新井洋行さんの描き下ろし。『ゴトゴト ゴットン』2月27日発売!
株式会社講談社(東京都文京区):最新のプレスリリースはこちら
事例8.株式会社世界文化ホールディングス
影を入れ、浮き上がっているように感じる画像を使用している世界文化ホールディングス。『あたらしい ともだち』のプレスリリースでは、影付の画像が絵本の世界観を視覚的に強調しているのではないでしょうか。話題性を推したタイトル、わかりやすい見出し・構成も参考になります。「教員をしていた作者」の紹介部分は、絵本への期待を高めているポイントです。

参考:保育士さんたちから大反響をうけて急遽市販化! 話題の絵本『あたらしい ともだち』3月27日(木)に発売
また、『ホネキンシアター』のプレスリリースでは、冒頭に筆者コメントを配置し、作品を通じて届けたい思いを強く訴求しています。
参考:ひろみちお兄さん復帰後、初の絵本は「骨と筋肉」がテーマ! 子どもも大人も楽しく学べる 『ホネキンシアター』が5月10日(土)発売決定!
株式会社世界文化ホールディングス(東京都千代田区):最新のプレスリリースはこちら
事例9.株式会社西村書店
『ママのセーター』のプレスリリースでは、背景付見出しや囲み表示、強調したい箇所の太字表記などの工夫により、シンプルながらも情報が整理されたレイアウトを実現。絵本ページの紹介と第三者からのコメントを見やすくまとめている事例です。

参考:世界14か国で刊行。命の大切さを考える グリーフの絵本『ママのセーター』5/7発売!
株式会社西村書店(新潟県新潟市):最新のプレスリリースはこちら
事例10.株式会社NHK出版
NHK出版のプレスリリースは、絵柄の掲載はもちろん、対象年齢や読みどころなどを網羅し、強調したい内容を太字にするなど、見せ方の工夫があります。また、華やかな色合いの絵本を二冊並べたサムネイルも目をひきます。

参考:53か国でベストセラーのサイエンス絵本シリーズ、日本上陸! 『はじめてのサイエンス レモン/たまご』5月10日2冊同時発売
株式会社NHK出版(東京都渋谷区):最新のプレスリリースはこちら
事例11.株式会社福音館書店
「ぐりとぐらシリーズ」「ねないこ だれだ」「てぶくろ」「おおきなかぶ」「しろいうさぎとくろいうさぎ」など、数々のロングセラー作品を世に送り出している福音館書店。新しい作品のプレスリリースにおいても、どのようなことが得られる作品か、どのような思いで制作されているのかに重点を置いた発信を行っています。
参考:伝説の家政婦がお届けする “料理のまほう”『タサン志麻さんのにんじんパーティー 料理のまほう』2025年2月3日(月)刊行
株式会社 福音館書店(東京都文京区):最新のプレスリリースはこちら
事例12.株式会社徳間書店
徳間書店のプレスリリースは、シンプルな構成ながらも、著者のプロフィールやコメントなど要点を押さえています。また、著者の話題性をサブタイトルで伝えている事例です。
参考:ドイツの古都を舞台にしたファンタスティックな絵本『マルクのふしぎなかさ』刊行!
株式会社徳間書店(東京都品川区):最新のプレスリリースはこちら
事例13.株式会社 新興出版社啓林館(文研出版)
「文研出版」ブランドのプレスリリースでは、編集者からのメッセージを掲載しているのが特徴です。『せかいいちのおおどろぼう』のように、出版に携わる側の視点で作品の意義や制作時の思いを記しています。
参考:貧しい少女の願いを叶えた、心やさしい大泥棒の物語。文研出版より『せかいいちのおおどろぼう』を発売!
株式会社 新興出版社啓林館(文研出版)(大阪府大阪市):最新のプレスリリースはこちら
事例14.株式会社白泉社
『おにぎり ぱく!』発売のプレスリリースには、さまざまなサイズの画像を掲載。スペシャルPVも同時発表するなど、話題性を加えた設計にしています。
参考:こどもたち大喜びな絵本『おにぎり ぱく!』2025年5月7日発売‼ スペシャルPVも公開!(コドモエのえほん)
株式会社白泉社(東京都千代田区):最新のプレスリリースはこちら
事例15.株式会社ブロンズ新社
『おふろ』では、絵本作家とは異なるステージで活躍している作者だからこそ届けられるユニークな視点から「日常生活の一コマをていねいに描くあたたかな眼差しと、見慣れた風景を思いがけない角度から切り取る構図の面白さ」と紹介し、作品の魅力を表現しています。
参考:大人気イラストレーター いちろう、絵本デビュー作『おふろ』12月26日(木)発売
株式会社ブロンズ新社(東京都渋谷区):最新のプレスリリースはこちら
PickUp.株式会社 童心社
50年以上も愛されている『いない いない ばあ』をはじめ、『おしいれのぼうけん』『じごくのそうべえ』などロングセラー作品が多い童心社。周年記念やシリーズ作品に関するプレスリリースでは、多数の写真や著者のコメントを掲載し、作品自体の魅力も表現しています。
参考:絵本『おしいれのぼうけん』刊行50周年!新商品「おしいれのぼうけん 立体すごろく」「おしいれのぼうけん トランプセット」発売
参考:「せなけいこ おばけえほん」シリーズ誕生50周年! 記念Tシャツが7月16日(火)より販売開始!
また、戦後80年となる2025年には、新しい作品を複数刊行することを発表しました。企業からのメッセージを冒頭に掲載。囲み表示の機能を使用したシンプルながらも印象に残るプレスリリースです。

参考:「伝えつづける、求めつづける、平和。」戦後80年、童心社はこれからを生きる子どもたちに向け、新たな作品を刊行します。
株式会社 童心社(東京都文京区):最新のプレスリリースはこちら
まとめ:作り手の声を伝えることの重要性
絵本出版の広報PRにおいては、「誰がどんな思いで作ったのか」「読んだ子どもに何を感じてほしいのか」など、作品に込められた背景や制作の意図を丁寧に伝えることが重要です。限られたリソースであっても、作家自身の声を活かした発信には大きな説得力があります。
また、広報PR活動は単なる情報拡散ではなく、読者や関係者との信頼関係を築く手段のひとつ。小規模な出版社や初めての出版であっても、しっかりとメッセージが伝われば、共感が生まれ、手に取ってもらえる可能性が広がります。
献本やプレスリリースなど、まずはできる範囲から一歩ずつ取り組んでみてください。本記事がその参考となれば幸いです。
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