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広報担当者が知っておきたい「PR」と「ブランディング」の4つの違い

近年、広報の現場でも様々な場面で使われることが増えてきた「ブランディング」という言葉。長年広報に携わっていても、「PR」と「ブランディング」の定義や違いを正しく理解し、言語化して伝えるのは難しいのではないでしょうか。

本記事では、そんな「PR」と「ブランディング」の4つの違い、そして施策レベルで考えるべきポイントを解説します。

そもそも「PR」と「ブランディング」の意味とは?

よく耳にする言葉ではありますが、「PR」「ブランディング」はそもそもどのような意味を持つ言葉なのでしょうか。まずは、それぞれの意味を確認してみましょう。

PRの意味

PRは「Public Relations」を略した言葉です。企業活動など自社の情報を広く社会に発信するための行動全般を指しますが、その情報発信は決して一方的ではありません。「Relations」という言葉が入っている通り、企業や組織にとって大切な人たちやステークホルダーとの望ましい長期的な関係づくりを前提に実施されます。

そんなPRの仕事内容はとても幅広く、社内のコミュニケーションから、メディアや取引先など社外に向けた発信までを一手に引き受けることが多い役割でもあります。

【PRの仕事内容】

  • ファンコミュニティを形成するイベントの企画運営
  • オウンドメディアやSNSの運用
  • プレスリリースの作成・配信
  • 取材対応
  • 社内情報の収集や社内報の企画

詳しくはこちらの記事もぜひチェックしてみてください。

また、こうした仕事を通じてメディアに掲載されることで「第三者からの評価」を得るのも、PRの役割です。

ブランディングの意味

一方でブランディングは、企業・組織のマーケティング戦略を実現する手段のひとつ。企業や組織といった「ブランド」への共感や信頼を構築し、それらを通じて顧客にとっての価値を高めるための活動全般を指します。

ブランドとは、消費者がある企業・組織・製品・サービスに対して持つイメージの総体のことで、それを戦略的に形成したり強化したりするのがブランディングです

また、ブランディングにおいて重要なのは、押し付けのようにブランドを認知させるのではなく、あくまで消費者からの共感や信頼を得なくてはならないということ。消費者から企業などへの共感と信頼、つまり消費者と企業などの相互理解がブランドの成長につながります。

「PR」と「ブランディング」の4つの違い

前項では、PRとブランディング、それぞれの意味を確認しました。では、それぞれの間にはどんな違いがあるのでしょうか。語源や施策の方向性から、違いを探ってみましょう。

「PR」と「ブランディング」の4つの違い

1.活動目的

PRとブランディングは、「何を達成するための活動なのか」という目的が異なります。

PR(パブリックリレーションズ)の主な目的は、企業や団体が社会やステークホルダーとの良好な関係を築くことです。信頼の獲得や理解の促進、社会的評価の向上などを通じて、組織の持続的な成長を支えます。

一方で、ブランディングの目的は、自社や自社の商品・サービスに対する“独自の価値”を築き上げ、他社との差別化を図ることにあります。ブランドイメージを確立し、長期的に選ばれる存在になることがゴールです。

2.活動対象

PRとブランディングは、「何を達成するための活動なのか」という目的が異なります。

PRの対象は非常に幅広く、消費者、取引先、株主、地域社会、メディア、行政など、あらゆるステークホルダーが含まれます。組織を取り巻くすべての相手と良好な関係性を築くことが求められるためです。

一方、ブランディングは「このブランドを好きになってほしい」と思う“ターゲット”に絞ってメッセージを届けるのが特徴です。商品や企業に共感し、ファンになってくれる層に向けて、継続的に印象を積み重ねていきます。

3.情報の発信方法とタイミング

3つ目の違いは、情報の発信方法とタイミングです。PRとブランディングでは、情報の発信主体も効果も全く異なります。

PRは、報道や取材、SNSでの対話、イベントなどを通じて、双方向のコミュニケーションを重視します。特に、ニュース性があるタイミングや社会的関心の高い話題を切り口に情報を発信することが多く、タイミングや文脈が成功の鍵を握ります。

対してブランディングは、一定のブランドイメージに基づいて、継続的かつ一貫したメッセージを発信するのが基本です。情報の即時性よりも、長期的に「その企業らしさ」を浸透させる姿勢が重視されます。

プレスリリース

4.効果測定の手法とKPI

PRとブランディングでは、効果測定の方法やKPIの設計にも違いがあります。どちらも本質的には中長期的な視点で継続するべき取り組みですが、PRはメディア掲載数やSNSでの反響、社外からの評価といった“反応”を通じて比較的早期に効果を確認できる側面があります。こうした数値やフィードバックをもとに施策を見直し、より効果的なコミュニケーションへと改善していくことが可能です。

一方でブランディングは、ブランド認知度や想起率、ブランドロイヤルティなどの指標を定点的に観測しながら、時間をかけて評価していく必要があります。「このブランドなら信頼できる」と思ってもらえるような、持続的な関係構築を目指すため、成果が見えるまでに一定の期間が必要です。定量・定性の両面から、ブランドとしての成長度合いを捉えることが求められます。

PRのための施策と、ブランディングの施策に違いはあるの?

語源や情報発信の方法、ターゲットなどに少しずつ違いがあるPRとブランディング。それぞれの具体的な施策には違いがあるのでしょうか。結論から言えば、施策が違うことはありますが、PRとブランディングは同じ流れの中で実行されるものです。一体どういう意味なのか確認してみましょう。

ブランドイメージをもとにしたPRが重要

PRも含めたマーケティング戦略の各戦術は、形成したいブランドイメージをもとにして実行されます。なぜなら、「こんな認知を形成したい」「こんな消費者からの共感を得たい」という指針がなければ、方向性が一致しないバラバラな戦術を展開することになってしまうからです。

戦術の方向性を一致させるためにも、まずは形成したいブランドイメージを固めることが重要です。PRもそのイメージのもとで実施することになります。ブランドイメージの延長線上にPR施策が存在する、つまり「PRとブランディングは同じ流れの中で実行されるもの」なのです。

また、PR施策で獲得したメディア露出によってファンになってほしいターゲットに情報が届き、目指すブランディングに近付けるケースもあります。PRとブランディングは常に相互に作用し合うものと言えるでしょう。いずれにしても、ブランドイメージを参照せずPR単体で動くことのないよう注意しましょう。

PRとブランディングの掛け算で相乗効果を生み出そう

ここまで、【語源、施策のゴール、情報の発信方法と効果、ステークホルダーとファン】という4つの違いを中心に、PRとブランディングの関係について解説してきました。

PRとブランディングは密接に関わり合う概念で、違いこそあれど決して断絶された存在ではありません。むしろ、「掛け算」して相乗効果を生み出す概念として取り組んでみてください。

<編集:PR TIMES MAGAZINE編集部>

PRとブランディングに関するQ&A

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この記事のライター

三寳 里菜

三寳 里菜

ライター・編集者。2013年、大学在学中に旅行系ITベンチャーに入社し、現在まで約6年にわたりコンテンツ責任者・広報・PR・組織開発を担当。それぞれのフィールドでの経験を活かして、「読みやすく、分かりやすく、伝わりやすいコンテンツ」づくりに取り組んでいます。ハウツーからイベントレポート・インタビューまで、様々なコンテンツ制作が得意です。

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