広報が選んだ、オウンドメディアの成功事例10選【成功要因を解説】

広報担当なら一度は目にしたことがあるであろう、オウンドメディア。ブランディングや採用、リード獲得、広告宣伝費の削減を目的に、運営を検討している企業も少なくありません。そこで、この記事ではオウンドメディアの運営にあたって参考にしたい、10の成功事例をご紹介。運営を成功させるためのヒントを見つけてみてください。

オウンドメディアの定義と運営目的

まず最初にご紹介するのは、オウンドメディアの定義や目的。オウンドメディアを含む「企業が運営・運用するメディア」にはいくつか種類があり、特徴や強み、目的はそれぞれ異なります。それらの違いを理解し、オウンドメディアを適切かつ最大限活用できるよう備えましょう。

オウンドメディアの定義

オウンドメディアの定義

実は、オウンドメディアの上位概念には「トリプルメディア」というカテゴリが存在します。トリプルメディアは、広報を含むマーケティング戦略のためのフレームワークで、次の3つのメディアが内包されています。

【トリプルメディア】

  • オウンドメディア(owned media):企業自身が所有し独自に運営するWebサイトやブログなどのメディア。自社で運営するため露出する情報のコントロールが容易である一方、幅広い消費者やユーザーに向けた情報拡散には一定の時間とコストが掛かる。
  • ペイドメディア(paid media):出稿料などの料金を支払う必要があるテレビ・新聞などのメディア。一度に幅広い消費者やユーザーに情報を届けられるが、ターゲットや出稿量が多いほどコストも上がる。
  • アーンドメディア(earned media):消費者が起点となるブログやSNSなどのメディア。比較的低コストで情報を拡散できるが、情報には消費者やユーザーの視点が反映されるため企業側で情報をコントロールできない可能性もある。

3つのメディアそれぞれに強みと弱みがありますが、特にオウンドメディアの場合は「情報をコントロールできること」が最大の強みです。打ち手を柔軟に変えられるので、経営上の課題解決にも貢献しやすいでしょう。この強みを活かした運営を心がけたいですね。

運用目的は「ブランディング」「採用」「リード獲得」「広告宣伝費削減」

なぜ、様々な企業がオウンドメディアの運営に取り組むのか。それは、経営上の弱みや課題を解決するためです。弱みや課題の認識、つまり目的なくしてオウンドメディア運営は成り立ちません。主な目的として挙げられるのは、次の4つです。本質的な目標設計や振り返りの実施のためにも、運営を開始する前に必ず運営目的を明らかにしておくことが大切です。

【オウンドメディアの主な運用目的】

  • ブランディング:先述のとおり情報を自由にコントロールできるオウンドメディアは、ブランディングに最適。自社のポリシーにもとづいたコンテンツを継続的に発信することで、ファン(企業への共感者)を育てることができます。
  • 採用:一般的に求人媒体への出稿には費用が掛かりますし、採用が決定するまでに時間を要したり、入社後にミスマッチが表面化することも少なくありません。一方、オウンドメディアであれば出稿料が不要になるだけでなく、コンテンツをきっかけにより精度の高いマッチングを実現できます。
  • リード(見込み顧客)獲得:自社のサービスや製品について正確かつ詳細に発信・伝達でき、購入・申し込みの機能の搭載も可能なオウンドメディアは、BtoC・BtoBいずれの場合でもリード獲得の有効な手段です。
  • 広告宣伝費削減:ペイドメディアと比較して低コストで運営できるオウンドメディアを使用することで、広告宣伝費の削減も可能です。オーガニック検索による流入(広告を経由しない、自然検索による流入)を増やすことにも繋がります。
オウンドメディアの運営目的

オウンドメディアの成功事例10選

多くの企業が運営に取り組むオウンドメディアの中でも、特に注目を集めている10の成功事例をご紹介します。運営目的別に整理しているので、自社の経営上の弱み・課題と照らし合わせながら、成功のヒントを掴んでみてください。

成功事例1.【ブランディング】サイボウズ式

「サイボウズ式」は、サイボウズ株式会社が2012年から運営するオウンドメディア。【新しい価値を生み出すチームのメディア】をコンセプトに、「カイシャ・組織」「働き方・生き方」「家族と仕事」といったテーマでコラムやインタビュー記事を発信しています。

そもそもサイボウズ株式会社は、社会のチームワーク向上を目指してグループウェアや業務改善サービスを提供する企業。「サイボウズ式」は、サイボウズ株式会社が考える、働き方やチーム力のアップデートを示し、ブランディングだけでなく自社サービスの利用企業数アップにも貢献しています。

メディア名サイボウズ式
URLhttps://cybozushiki.cybozu.co.jp/
コンセプト新しい価値を生み出すチームのメディア
運営元サイボウズ株式会社
運営時期2012年〜
関連データ約20万PV/月

成功事例2.【ブランディング】THE BAKE MAGAZINE

「THE BAKE MAGAZINE」は、【製菓業界を変えるオウンドメディア】がコンセプトのオウンドメディア。お菓子のスタートアップカンパニーである株式会社BAKE(BAKE Inc.)が2015年5月から運営しています。発信するのは、「BAKE Inc.が手掛けるスイーツブランドのエピソード」や「スタートアップ・食・第一次産業の活躍者のインタビュー」などの記事です。

流通・宣伝等の分野で他業種から大きく遅れを取る製菓業界全体の課題に着目し、デザインやテクノロジーの力で、お菓子に新しい価値を付与するためのコンテンツを軸にメディアを展開。消費者向けに自社製品に加えて競合製品を紹介したり、業界関係者向けにメディア運営の手法を惜しみなく公開したりするなど、BAKE Inc.のミッションの発信のみならず、業界全体の課題解決を目指しているのが特徴です。

メディア名THE BAKE MAGAZINE
URLhttps://bake-jp.com/magazine/
コンセプト製菓業界を変えるオウンドメディア
運営元株式会社BAKE(BAKE Inc.)
運営時期2015年〜
関連データ約22万PV/月

成功事例3.【ブランディング】Red Bull

「Red Bull」は、「翼をさずける」でおなじみのレッドブル・ジャパン株式会社が運営するオウンドメディア。モータースポーツ、バイク、スノー、サーフィンなどのスポーツやアスリート、音楽などのクリエイターに関する情報を記事・動画で発信しています。

最大の特徴は、自社製品であるエナジードリンク(Red Bull)の紹介がほとんど登場しないこと。あくまでスポーツ、アスリート、クリエイターの魅力発信にフォーカスしているのです。その姿勢に共感するファンを増やし、「スポーツといえばRed Bull」「仕事を頑張る時はRed Bull」といったイメージの醸成やブランディングに繋がっています。

メディア名Red Bull
URLhttps://www.redbull.com/jp-ja/
コンセプト
運営元レッドブル・ジャパン株式会社
運営時期
関連データ約2,000万PV/月

成功事例4.【採用】mercan(メルカン)

「mercan」は、フリマアプリを運営する株式会社メルカリのオウンドメディアです。2016年5月に誕生し、以来一貫して【メルカリの人を伝える】をコンセプトに運営されてきました。コンセプトからも分かるように、徹底して採用を目的に運営されています。

メルカリメンバーのインタビューやイベントレポートなどを通して、メルカリという企業や人、プロダクトについて理解・共感できるコンテンツが揃っています。特に「#メルカリな日々」という連載では、社内の飾らない日常を垣間見ることもできます。「mercan」は、採用のマッチング精度を上げるために欠かせない理解・共感を作るオウンドメディアなのです。

メディア名mercan(メルカン)
URLhttps://mercan.mercari.com/
コンセプトメルカリの人を伝える
運営元株式会社メルカリ
運営時期2016年〜
関連データ約35万PV/月

成功事例5.【採用】ジモコロ

「ジモコロ」は、株式会社アイデムと株式会社バーグハンバーグバーグが共同運営するオウンドメディアです。株式会社アイデムは、エリア型の求人サイト「イーアイデム」の運営会社。そのブランディングとして、2015年のスタート以来、地元愛を感じられるローカルネタのコンテンツを発信しています。

コンテンツ制作を手掛ける株式会社バークハンバークバーグは、思わず笑ってしまうユニークなコンテンツ制作に強みを持つWeb制作会社。「ジモコロ」のコンテンツも、高品質で楽しいものとして多くのファンの心を掴んでいます。そんな「ジモコロ」の運営によって、「イーアイデム」は地元の求人情報に強いというイメージを醸成するとともに、求人応募数の増加に取り組んでいます。

メディア名ジモコロ
URLhttps://www.e-aidem.com/ch/jimocoro/
コンセプト
運営元株式会社アイデム、
株式会社バーグハンバーグバーグ
運営時期2015年〜
関連データ110万PV/月、50万UU/月

成功事例6.【採用】キャリアハック(CAREER HACK)

「キャリアハック(CAREER HACK)」は、求人情報メディアや人材紹介サービスなどを運営するエン・ジャパン株式会社によるオウンドメディア。【テック業界で働く人のためのWEBメディア】【Web・IT業界で働く人々の人生を少し豊かにする】として、Web・ITといったテック業界の先駆者や活躍者の行動思想やストーリーをインタビュー記事で発信しています。

登場人物のライフスタイル・ワークスタイルが丁寧に描かれた記事や「勇気がもらえる言葉たち」などの特集は、まさに働く人々にとってヒントになる内容です。運営目的のひとつはエン・ジャパン株式会社が運営する転職サイト「エン転職」への集客ですが、企業・サービスへの共感者=ファンの増加にも寄与しています。

メディア名キャリアハック(CAREER HACK)
URLhttps://careerhack.en-japan.com/
コンセプトテック業界で働く人のためのWEBメディア、
Web・IT業界で働く人々の人生を少し豊かにする
運営元エン・ジャパン
運営時期2012年〜
関連データ約83万PV/月

成功事例7.【採用】OnLINE

「OnLINE」は、LINE株式会社のオウンドメディア。もともとは「LINE HR BLOG」として運営されていましたが、2020年8月にリニューアルされました。新たなコンセプトは【たくさんのWOWへとつながるように。】。LINE社内にある様々なチャレンジや取り組みの記事をインタビューやレポート形式で配信しています。

社内のヒトやカルチャーの情報をありのままに発信する狙いは、企業理念への共感者を増やし、採用に繋げること。そのため、記事のカテゴリーは「VISION」「CULTURE」「WORKS」のシンプルな3構成で、知りたい情報がすぐに見つかる設計になっています。

メディア名OnLINE
URLhttps://line-online.me/
コンセプトたくさんのWOWへとつながるように。
運営元LINE株式会社
運営時期2012年〜
関連データなし

成功事例8.【リード獲得】LIGブログ

「LIGブログ」は、Web制作会社の株式会社LIGが運営するオウンドメディア。成功事例としてよく知られたオウンドメディアながら、「社員ブログ=サラリーマンブログ」というテーマで運営されています。

Web制作会社ならではの実践的なノウハウ記事も多く、Web・IT業界に携わるビジネスマンのバイブル的な側面も持っています。また、当記事では便宜上、Web制作の申し込み数を増やす=リード獲得が目的のメディアとして分類していますが、その他にも「【教育】自分たちの学んだことや技術を、記事としてアウトプットをしよう」「【採用】一緒に働きたいと思ってもらえるような情報を発信しよう」(「LIGブログってそもそも何なの?」1年間運営をやって考えたこと(Editor’s note #1))など5つの目的を掲げて運営されています。

メディア名LIGブログ
URLhttps://liginc.co.jp/461922
コンセプト
運営元株式会社LIG
運営時期2012年〜
関連データ500万PV/月

成功事例9.【リード獲得】ferret

「ferret」は、「マーケターのよりどころ」がコンセプトのオウンドメディア。BtoBのWebマーケティングツールなどのSaaS事業や「ferret」を含むメディア事業を手掛ける、株式会社ベーシックが運営しています。コンセプトに明示されているように、Webマーケティングに特化したコンテンツが特徴です。

WebマーケティングのTipsやノウハウを紹介しているほか、会員登録するとお役立ち資料をダウンロードできる仕組みも搭載。BtoB、BtoCを問わず多くのマーケターが必要とする情報を網羅することによって、SaaS事業のリード獲得を実現しています。

メディア名ferret
URLhttps://ferret-plus.com/
コンセプトマーケターのよりどころ
運営元株式会社ベーシック
運営時期2014年〜
関連データ430万PV/月、会員37万人

成功事例10.【リード獲得】LISKUL

「LISKUL」は、中小・ベンチャーのWebマーケターがCMOになるまでに必要な情報を提供する、ソウルドアウト株式会社のオウンドメディアです。中小・ベンチャー企業向けのマーケティング支援を事業とするソウルドアウト株式会社ならではの目線で、集客・広告や接客・制作をはじめとする実践的な記事を発信しています。

事業で培ったノウハウをもとにしたSEOで流入増加に成功しているのが特徴で、月間のリード獲得数は200件にも上るのだとか。自社の事業をオウンドメディア運営に存分に活かしながらリード獲得の目的も果たしています。

メディア名LISKUL
URLhttps://liskul.com
コンセプト
運営元ソウルドアウト株式会社
運営時期2014年〜
関連データ80万PV/月、60万UU/月
オウンドメディアの企画をしている

自社の課題解決を目指してオウンドメディアを活用しよう

多くの企業が運営に取り組む、オウンドメディア。当記事では、その定義や強み・弱み、目的、成功事例をご紹介してきました。運営にあたって最も大切なのは、自社が解決したい課題=オウンドメディアの運営目的を明確にすることです。

一般的に、運営目的の柱は「ブランディング」「採用」「リード獲得」「広告宣伝費削減」の4つ。そして、オウンドメディアはあくまで課題解決のための「手段」です。これらのポイントを明らかにした上で、しっかりとオウンドメディアを活用しましょう。

この記事のライター

三寳 里菜

ライター・編集者。2013年、大学在学中に旅行系ITベンチャーに入社し、現在まで約6年にわたりコンテンツ責任者・広報・PR・組織開発を担当。それぞれのフィールドでの経験を活かして、「読みやすく、分かりやすく、伝わりやすいコンテンツ」づくりに取り組んでいます。ハウツーからイベントレポート・インタビューまで、様々なコンテンツ制作が得意です。

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