広報PR活動を通して企業価値を高めることへの関心は年々高まっています。しかし、「作業に追われて、戦略的な広報活動ができていない」「自社の広報活動を始めたいが、人材が確保できない」など、悩んでいる広報PR担当者や経営者は多いでしょう。
広報PR活動をサポートしてくれるのが、PRコンサルタントです。本記事では、PRコンサルタントに依頼できる業務例や、自社に合うPRコンサルタントを探して依頼する際に知りたいことを紹介します。
PRコンサルタントとは?
PRコンサルタントとは、依頼を受けたクライアントの広報PR業務のコンサルティングを行う人のこと。コンサルティングだけでなく広報の実務の実施、クライアントへの報告までを担当するケースも多くあります。
PRコンサルタントに似た肩書に、PRコーディネーターやアカウント・エグゼクティブ(AE)があります。AEは主に広告会社の営業職を指しますが、PRは広告会社と関係が深いためか、以前はPRコンサルタントの肩書としてAEがよく使われていました。
広報PRを行う職種の他の呼びかたには、PRプランナー、PRディレクター、PRスペシャリスト、PRパーソンなどがあります。
PRプランナーは、公益社団法人 日本パブリックリレーションズ協会が導入したPRプランナー資格認定制度による資格として、広く知られています。
PRディレクターやPRスペシャリストは、管理職、上級職、幹部的意味合いが強くなります。PRパーソンは、企業内広報担当者やPRコンサルタントを合わせて、広報PRに携わる人全般を指す言葉です。
PRコンサルタントに依頼できる業務例
では、PRコンサルタントにはどのような仕事が依頼できるのでしょうか。以下で、依頼できる広報PR業務の例を紹介します。
<広報PRコンサルティング業務>
- 広報PRの長期戦略の立案(年単位)
- 自社の広報PRの現状分析と改善策の提案
- リスクマネジメント(メディアトレーニングの実施、対応マニュアルの作成など)
- 広報PR組織の人材へのトレーニング
<日常業務の代行やサポート業務>
- プレスリリース(作成から配信まで)
- メディアリレーションズ(メディアプロモート、問い合わせへや取材・撮影依頼への対応など)
- クリッピング(掲載記事の収集と管理、広告換算、効果測定・報道状況の分析など)
- プレスキット、ファクトブックなどの文書作成
- 社内広報
- グローバル・パブリックリレーションズ(PR)
<イレギュラー案件の対応>
- 記者発表会、プレスツアーなどメディア向けのイベントの企画、運営など
- インシデント対応 (トラブル発生時の広報PR対応など)
必要に応じて、自社の広報PR業務を丸ごと依頼する、または部分的に依頼するなど業務内容や量は調整できます。
PRコンサルタントに広報PR業務を依頼する3つのメリット
PRコンサルタントに広報PR業務を依頼することは、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。3つの側面から、PRコンサルタントがもたらすメリットを紹介します。
メリット1.広報PR業務をより戦略的に行える
広報PRの専門家であるPRコンサルタントに業務を依頼する一番のメリットは、より戦略的に広報PR活動ができるようになることです。
以下の「広報担当者として知っておきたい「広報」と「PR」と「広告」の違い」でも解説しているように、広報PRは企業(または組織)にとって大切なステークホルダーとのよりよい関係を築くことを目指して行う活動です。
場当たり的に広報PRを行っていては、目的の達成は難しくなります。専門知識と経験が豊富なPRコンサルタントのサポートを受ければ、一貫した戦略のもとで継続的に広報PRを行うことができるでしょう。また、社員ではない、第三者であるPRコンサルタントによる客観的な視点を広報PRに取り入れることができます。
メリット2.メディアへの露出が増える
PRコンサルタントは、複数のクライアントを担当していることが多く、横断的に様々なメディアとの付き合いがあるケースが多いものです。そのため、自社だけでメディアプロモートをするよりも、取材・露出の機会を増やせることも、PRコンサルタントに業務を依頼するメリットだといえるでしょう。
また、自社の視点ではない第三者の視点から、自社の情報をアレンジすることで、メディアが取材・紹介したいと思わせるような切り口が見つかることもPRコンサルタントに業務を依頼するメリットです。
メリット3.コア業務に集中できる
自社に広報PR担当がいる・いないに関わらず、PRコンサルタントに広報PR業務を外部委託することで、自社の社員がコア業務に集中することができます。
広報PR担当の人数が足りずに業務がスムーズに行えていない場合には、作業に時間がかかる掲載記事の管理や撮影商品の貸し出しをPRコンサルタントに外部委託する方法が効果的です。社内の作業時間を短縮することで、広報PR担当者は戦略の立案やメディアリレーションズなど積極的・能動的に行いたい業務に集中することができます。
また、自社内に広報PR担当の人材をアサインできなくても、PRコンサルタントに依頼すれば組織を立ち上げたり新たに人を雇ったりすることなく、広報PRを戦略的に行うことが可能になります。PRコンサルタントに依頼する費用は発生しますが、社員はコア業務に集中できることから、売り上げや業績の向上が期待できるでしょう。
自社にあったPRコンサルタントを探す3つのポイント
PRコンサルタントに依頼するなら、広報PRの成果を最大限に引き出したいもの。自社のニーズにあったPRコンサルタントを探すために、チェックしておきたいポイントを紹介します。
ポイント1.PRコンサルタントに期待することを明確化する
自社にあったコンサルタントを探す際には、まずPRコンサルタントに期待することを明確にしておくことが大切です。
どんな広報PR業務を依頼したいのかだけでなく、
- アウトソーシングか将来の社内組織・人材の育成まで見据えてか
- 新製品発表など単発なのか、長期間のパートナーになりうる存在か
などのように、PRコンサルタントの位置づけも明確にしましょう。
ポイント2.依頼したい内容を得意するPRコンサルタントを探す
広報PR活動の業務範囲は広い上に、デジタル化やインターネットの普及に合わせて内容も変化し続けています。そのため、依頼したい内容の業務を得意とするPRコンサルタントを探すこともポイントです。
特に、アプローチが得意な媒体を確認することは重要です。新聞やテレビなどのマスメディアへのアプローチを得意とするか、WebメディアやインフルエンサーなどWeb媒体へのアプローチを得意とするかは、担当者によって異なります。露出が期待できる具体的な媒体について、PRコンサルタントに確認することをおすすめします。
ポイント3.業界経験はMUSTにしない
PRコンサルタントに自社業界の経験があれば、それに越したことはありません。
しかし、優秀なPRコンサルタントなら、未経験の業界でも知識と経験を応用して広報PR業務を行うことは可能です。依頼時のオリエンテーションで自社業界の知識を伝えれば、業界未経験のPRコンサルタントでも期待する成果を達成できるでしょう。さらに、業界の経験がないPRコンサルタントには、慣例にとらわれずに斬新なアイデアが生み出しやすいメリットもあります。
筆者がPR会社に勤務していた際に上司から「業界経験を得意分野としてはいけない。どの業界でも対応できるように知識とスキルを身につけなさい」とアドバイスを受けました。このように、広報PR業務は業界は異なっても戦略や施策は共有、応用できることが多くあります。
業界経験を必須条件にすると、よい人材を見落としてしまう可能性があります。目的を達成するためには、業界経験よりも広報スキルを重視することもポイントだといえるでしょう。
PRコンサルタントに広報PR業務を依頼する前に知っておきたい5つのポイント
広報PR業務を行う際には、企業のコアな部分まで理解が必要となりますが、PRコンサルタントはあくまでも外部スタッフという立場で業務に携わります。
PRコンサルタントとともに広報PR業務をスムーズに進めるために、そして期待する結果を出すためには、依頼する前に知っておきたいポイントがあります。最後に、PRコンサルタントに業務を依頼する際の5つのポイントを紹介します。
ポイント1.経営計画から広報PRの目標を設定する
PRコンサルタントに依頼する際には、経営計画の中から自社の解決したい課題をもとに目標を設定しましょう。
新商品開発・発売のようなプロジェクトの最終局面になって、ようやく広報PRが登場することはよくあることです。また、メディアへの露出はPRコンサルタントに期待する成果のひとつになりますが、ステークホルダーとの関係を築くという広報PRの目的を達成するための手段の一つにすぎません。
PRコンサルタントに依頼して効果の高い広報PRを行うためには、企業としてどのようになりたいか、企業活動全体を見据えて、広報PRの目標を設定する必要があります。
PRコンサルタントへの依頼を検討する際には、まずは経営計画の中から出てきた課題を解決できるような広報PRの目標を設定することから始めましょう。
ポイント2.長期間で見積もる
PRコンサルタントに依頼する側としては、成果をすぐに出して欲しいと願うことは当たり前のことです。しかし、広報PRの目的は良好な関係を築いて維持することのため、わかりやすい成果を短期間で出すことは、広報PRの専門家であるPRコンサルタントでも難しいことです。
メディアへの露出を例に挙げても、メディアによっては紹介されるまでに数ヵ月かかります。さらに、掲載記事を読んだ新たなメディアから取材依頼が入る好循環もあります。プレスリリースなどで情報を発表してから成果が確定するまで、1年程度を要することも珍しくありません。
PRコンサルタントによる成果の確認には、長期間かかると見積もりましょう。できれば年単位で考えることが理想的です。
ポイント3.料金体系をヒアリングしておく
PRコンサルタントの料金体系は独特で複雑といわれることが多いです。初めてPRコンサルタントに依頼をするときは、料金体型を事前に把握するようにしておきましょう。
PRコンサルタントの主な料金体系を紹介します。
リテナー
PRコンサルタントと最も多い契約方法が、リテナーと呼ばれる月額定額制です。毎月決まった金額を活動費として支払います。リテナー契約は通常、1年単位で結びます。
スポット
記者発表会のように単発・短期で依頼する場合は、スポットと呼ばれる契約方法となります。企画・招待状作成・出席誘致・当日運営など活動項目ごとに請求される場合と、一括して「活動費」として支払う場合があります。
その他
その他に、活動した時間や成果物ごとで請求されるタイムチャージ、メディアプロモートを行って露出されたら請求される成果報酬などの料金体系があります。成果報酬は、テレビでの露出を目指して活動する場合が多いです。
活動費とは別に、経費に「進行管理費」などの名目で、決まった割合をかけた金額を上乗して支払いが必要になることも。依頼後に料金についての齟齬をなくすためにも、予め料金体系については確認をするようにしましょう。
ポイント4.成果の評価方法を決めておく
広報PR活動は利益を直接生み出すものではなく、効果測定が難しいことが特徴です。「広報PRの目標」を達成したのか判断するためにも、成果の評価方法は、依頼する前に依頼主とPRコンサルタントで共有しましょう。
特に、露出の数が希望を下回ったときの評価方法は、トラブルになりやすいです。事前に取材の約束を得ていたにも関わらず、取材に至らなかった・露出に至らなかったなどのケースもありえます。
<成果の判断に悩む事例>
- 親子参加型の室内PRイベントを企画して、新聞、テレビの取材予定が入っていた。天気予報で当日に大型の台風が開催場所を直撃すると分かり、交通機関の計画運休が前日に発表され、参加者の安全を考慮して中止。
- 新技術の記者体験会を予約制で開催。テレビのワイドショー番組が「明後日放送したいから、明日どうしても取材したい」というので、主催者であるメーカーに無理をいって、番組の希望通りの日時に体験会を開催。
取材が終わって帰り支度をしている番組ディレクターの携帯電話が鳴り、「有名芸能人夫妻が離婚か?!とのニュースが入ったから、明日の放送は難しいかも」とテレビ局から連絡が入ったとのこと。その日の取材内容は、翌日以降放送されることはなかった。
思わぬトラブルが発生して露出に至らないことは、珍しいことではありません。また、メディアの取材はこちらからコントロールは不可能で、不確定要素が大きいために「掲載内容が期待していたものと異なっていた」などの不満も起こりがちです。
PRコンサルタントに依頼する前に、広報PRの目標に対する成果の評価方法を依頼する側・される側の両者でしっかり確認しましょう。
また、日頃からPRコンサルタントと密に連絡を取り合い、どのように広報PR業務を進めているか把握することで、評価の判断材料にもなるでしょう。
ポイント5.広報PRに社内からの理解を得る
広報PR活動は情報収集などで各部署へ協力を求めることが多く、社内から広報PR活動への理解を得ることが不可欠です。
他部署から見ると、広報PRは「直接的に利益を生み出さないが協力は求めてきて、何をしているのかよく分からない」といわれたり、ブラックボックスに例えられたりすることもあります。
広報PR活動はただでさえ社内から理解を深めなければいけない上に、PRコンサルタントは料金体系が複雑です。PRコンサルタントに依頼する際には、社内への理解を得られるよう、丁寧な説明を心がけましょう。
PRコンサルタントは広報・PRを戦略的に行うための頼りになる伴走者
企業の状況や事情によってPRコンサルタントの必要性は異なりますが、広報PRの専門家であるPRコンサルタントに依頼することは、戦略的に広報PRを行う大きな後押しになります。
PRコンサルタントの力を借りたい場合には、自社のニーズに合ったPRコンサルタントを探すことが大切です。本記事で紹介したように、自社の経営計画から解決すべき課題から広報PR目標を設定して、目標を達成するための伴走者としてふさわしいPRコンサルタントを検討してみてはいかがでしょうか。
PRコンサルタントに関するQ&A
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