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リファラル採用とは?メリット・注意点・報酬・やり方・成功させるポイント・事例など基礎知識を紹介

自社のカルチャーにあった人材採用するため、転職潜在層へアプローチするため、採用コストを削減するための方法として、「リファラル採用」を取り入れる企業が増えています。

本記事では、リファラル採用の基礎知識として、注目されている背景や導入するメリット、成功させるためのポイントなど、国内の成功事例とあわせてご紹介します。

目次
  1. リファラル採用とは?縁故採用との違い

  2. リファラル採用が注目されている背景

  3. リファラル採用を導入する4つのメリット

  4. リファラル採用における3つの注意点(懸念点)

  5. リファラル採用の導入が向いている企業の特徴

  6. リファラル採用にかかる諸費用

  7. リファラル採用の進め方は?3ステップの導入手順

  8. リファラル採用を成功させるための5つのポイント

  9. リファラル採用の成功事例

  10. リファラル採用を導入して企業文化にマッチした優秀な人材を集めましょう

  11. リファラル採用に関するQ&A

リファラル採用とは?縁故採用との違い

リファラル採用とは、自社の社員に、採用候補者として友人・知人を紹介してもらう採用手法です。リファラル採用では、自社の社員が採用候補者の人柄や能力をよく知っていることに加え、採用候補者は実際に働く社員のリアルな声を聞いたうえで入社することができます。そのため、企業と採用候補者との間でミスマッチが起こりにくく、定着率の向上が期待できることが特徴です。

「自社社員の紹介ならば、縁故採用では?」と思われる方もいるかもしれません。縁故採用は、採用候補者の人柄や能力よりも、血縁関係やコネクションといったつながりを重視する採用手法です。

一方、リファラル採用は、自社社員の紹介であっても、試験や面接などの選考過程を経て採用にいたります。採用基準を満たさなければ、不採用です。つまり、きっかけが自社社員との縁であっただけで、能力的な適性や企業理念に対する理解などが総合的に判断されて採用されるのです。関係性のみで採用となるわけではない点が、リファラル採用と縁故採用の違いだと言えるでしょう。

企業と採用候補者との間でミスマッチが起こりにくい

リファラル採用が注目されている背景

リファラル採用が注目されている背景には、売り手市場による人材不足と、働き方やビジネスモデルの多様化という2つの要因があります。

売り手市場による人材不足

「売り手市場」、つまり企業が採用したい求人数が求職したい人の数を上回っている状況下で、人材不足が続いてきました。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で有効求人倍率は低迷しているにもかかわらず、充足率はほぼ変わっていません。これは、企業側と求職者側のどちらか一方、もしくは双方の要求が高まっていることに起因しています。そして、業種や職種によって有効求人倍率の差が開いていることにもつながっています

さらに、DX化(デジタルトランスフォーメーション化)によって、求められる業種や職種とそうでない職種の濃淡がより明確になりました。特にDX化を推進できるIT人材は日本全体で不足しており、業種や職種による有効求人倍率の差に影響しています。

働き方やビジネスモデルの多様化

コロナ禍は働き方にも大きな変化をもたらしました。テレワークの普及や副業の導入などにより働き方の選択肢が広がりをみせています。

欧米の主流であるジョブ型雇用とは、あらかじめ担当職務が明確で専門職として採用されます。年功序列とは異なり、報酬は職務内容によって決まるため、同じ職務内容であれば社歴が1ヵ月でも10年でも処遇は同じです。日本でもジョブ型雇用の広がりにより、これまで築いたキャリアを活かした転職が可能になりました。

スキルの高い優秀な人材は、より働きやすい労働環境や自身の描くキャリアアップを実現できる職場を求めて流失してしまいます。

優秀な人材が流失するということは、逆にそういう人材を採用するチャンスが巡ってくるともいえますが、優秀な人材が欲しいのはどの企業も一緒です。優秀な人材の獲得を巡って、企業同士で取り合いになる構図ができあがります。

企業側としては、高いスキルを持った優秀な人材が、自社に長く勤務してくれるのが理想です。自社が求める人材像や企業文化、理念などを熟知した社員自らが紹介する形のリファラル採用は、ミスマッチが少ない効率的な採用手法として注目を集めています。

リファラル採用を導入する4つのメリット

あらためて、リファラル採用を導入すると得られるメリットを説明します。企業だけでなく、働いている社員や採用候補者にとってもメリットがあるので、確認していきましょう。

メリット1.入社後のミスマッチが防げ定着率アップにつながる

企業と採用候補者の双方をよく知る自社の社員が仲介することで、自社に適した人材が集められます。自社の社員は必要な人材像を把握しているので、面接から採用につながる確率も高まります。

採用候補者は、企業理念や仕事内容、福利厚生などについての生の情報を事前に社員から聞いたうえで入社するので、入社後に理想と現実のギャップに悩むということも起こりにくいでしょう。入社時から友人または知人がいる安心感もあり、定着率のアップも期待できます。

メリット2.社員のエンゲージメントが向上する

リファラル採用では社員自身が友人・知人に自社の魅力を伝える必要があるため、企業理念や企業文化に対する理解度が高まります。自社の状況や将来などを考えるきっかけにもなり、経営視点が自然と身につきます。

また、自社のことを理解しアピールすることで、自社の一員であるという意識が高まり、愛着や信頼が強まるなど副次的効果も得られます。

メリット3.採用コストの削減になる

転職サイトなどの求人メディアや、転職エージェントなどの人材紹介会社を通さないので、採用コストの削減につながります。採用候補者を紹介した社員に報酬を支給したとしても、多くの場合で、求人メディアや人材紹介会社へ支払う費用と比べれば、コスト削減になります。

メリット4.転職潜在層にアプローチできる

通常の採用手法では、就職・転職活動をしている人材にしかアピールは届きません。リファラル採用であれば、まだ活動をはじめておらず、転職市場に出てきてない転職潜在層にもアプローチできます。優秀な人材を他社と競うことなく採用できるのは、大きなメリットといえるでしょう。

リファラル採用における3つの注意点(懸念点)

では、リファラル採用を行うにあたって、どのような点に注意する必要があるのでしょうか。リファラル採用の懸念点を確認していきましょう。

リファラル採用の注意点

注意点1.リファラル採用に関する情報を「見える化」する

部署を超えて多くの社員が関わるリファラル採用では、誰がどのような成果を出したかなど状況把握が難しい部分があります。長期的に継続するためにも、報酬の金額設定だけでなく協力的に取り組んでいる部署や優秀な人材を紹介した社員などについて、誰なのかといった詳細を明確にする仕組みづくりが大切です。

情報を「見える化」し、うまくいっているやり方を各部署や社員一人ひとりに展開していくことで、自社のリファラル採用効果を高めていくことができます。

注意点2.採用したい人材像やスキルを社員に理解してもらう

自社の社員に、採用したい人材像やスキルを正しく理解してもらうことが必要です。自社の採用方針が理解できていないと、ミスマッチが発生したり、余計な手間がかかってしまったりして効率的ではありません。どのポジションにどんな人材が欲しいのかを日常的に伝え、人事や採用の担当者でなくとも最新の募集要件がわかるようにしておきましょう。

注意点3.紹介した社員と紹介された応募者の人間関係に配慮する

リファラル採用では社員の友人・知人を紹介してもらうので、双方の人間関係にも配慮しなければなりません。不採用になった場合に気まずくなるような進め方をすると、社員の友人関係を壊してしまいます。採用となった場合でも、例えば、紹介した社員が退職することになった際に影響されて一緒に辞めてしまわないように、採用後の人員配置にも注意する必要があります

リファラル採用の導入が向いている企業の特徴

リファラル採用は多くのメリットがある採用手法ですが、すべての企業に向いているわけではありません。リファラル採用に向いている企業の特徴は次の通りです。

  • 社員のエンゲージメントが高い

社員が自社に対して愛着や誇りを持っているため、リファラル採用にも積極的に協力してくれるでしょう。

  • 短期的な採用を目標としていない

一定の人数をリファラル採用で採用するには時間がかかります。「すぐにでも10名採用したい」などといった短期的な採用には向いていません。

リファラル採用にかかる諸費用

リファラル採用を導入するうえで、積極的に社員に紹介してもらうために報酬(インセンティブ)制度を実施している企業は少なくありません。社員への報酬など、リファラル採用にかかる諸費用を確認していきましょう。

社員への報酬

報酬はおよそ1万~30万円が相場ですが、業界や企業文化などによって金額に差はあります。社員の紹介動機は報酬ではなく、友人のチカラになりたい気持ちや、自社を思う当事者意識にあります

リファラル採用を実施している企業の約7割が社員に対して報酬を支給しています。一方、社員の多くは友人・知人を紹介したきっかけや理由として、本人の要望や企業の風土、採用ポジションなどをあげています。

出典:d’s JOURNAL編集部 社員紹介やリファラル採用に関するアンケート調査(対象:20代・30代のdoda会員)

専用プラットフォームの利用費や報酬以外の採用活動費用

リファラル採用を導入する企業が増えていることから、専用のプラットフォームを提供するサービスも登場。社員の紹介状況をリアルタイムでトラッキングできます。社員はどこからでも自社の求人内容を確認できるなど便利な機能が備わっています。サービスの利用料金は企業規模などによっても異なるので、問い合わせてみるといいでしょう。

社員がリファラル採用の活動をしやすいように、イベント参加費や外食などの交際費を企業が負担しているケースもあります。コロナ禍では外食する機会は少ないですが、企業が費用を負担することでオンラインイベントなどへの参加の後押しになります。

リファラル採用の進め方は?3ステップの導入手順

リファラル採用を導入するための3ステップを紹介します。このような手順を踏むことで、リファラル採用を効果的に運用することができます。

STEP1.KPIとKGIを決めてルールブックを作成する

これから実施するリファラル採用のPDCAサイクルを回すためにも、まずは、採用人事を中心にKPIとKGIを決め、ルールブックの作成をはじめましょう。ルールブックでPDCAの「P=Plan(計画)」を整えます。これを基に、次のステップで紹介するプロジェクトメンバーを決め、「D=Do(実行)」と「C=Check(検証)」、「A=Act(行動)」を継続的に行います。

STEP2.プロジェクトメンバーを決めてキックオフミーティングを行う

自社に対するエンゲージメントが高い社員を中心にプロジェクトメンバーを決め、少人数からはじめるのがおすすめです。まずは、採用したい人材像や友人・知人へのアプローチ方法、自社の魅力などをメンバーですり合わせていきましょう。いきなり大勢で展開すると、このすり合わせにズレが生じてしまいます。全社展開をスタートと考えず、意思疎通が容易な人数からはじめるのが重要です。

STEP3.全社で展開する

限られたプロジェクトメンバーでスタートしたら、まずは1人の採用を目指します。少しずつ成功と改善を重ね、活動を広げていくのがリファラル採用導入の鉄則です。

1人のリファラル採用に成功したら全社に報告し、プロジェクトに参加したい人を募る形でメンバーを増やしていきます。最終的には全社員に広がり、すべての社員がリクルーターになるのが理想です。

リファラル採用を成功させるための5つのポイント

リファラル採用を成功させるにはどうしたらいいのでしょうか。そのための5つのポイントを確認していきましょう。

ポイント1.人材配置や環境・福利厚生を整える

なによりも、社員の自社が好きだという気持ちが大切です。自社を好きになれば貢献したいという気持ちが芽生え、友人・知人にも胸を張ってすすめることができます。まずはエンゲージメントを向上させるために、自社の社員に目を向け、人材配置や環境・福利厚生を整えるといったことからはじめましょう。

ポイント2.社員に当事者意識を持たせる

前提として、他人事とならないように、社員自ら企業の一員だという意識を持つよう促します。社員に、どんな人と働きたいのか、どんな人が入社すれば自社は成長するのかを考えるきっかけを提供しましょう。社員自身が考えることで、当事者意識を持つことができます

ポイント3.自社の良いところも悪いところもオープンにする

自社の良いところと同じように、悪いところも包み隠さず公表できているでしょうか。公表している内容と実態に違う部分があると、社員としては友人・知人に紹介しにくくなってしまいます。隠すのではなく悪い部分も潔く認め、改善のために取り組んでいる事柄を示すと信頼が得られます。

ポイント4.いきなり全社展開は避けて小さくはじめる

導入の手順のところでも説明しましたが、いきなり全社で展開するのはおすすめできません。リファラル採用は、全社に告知をしたからといって、すぐにうまくいくほど簡単ではないからです。小さくはじめて、成功と失敗を繰り返しながら徐々に全社に拡大していくことが大事です

ポイント5.長期的な取り組みになるという覚悟を持つ

人事採用の担当者ではない社員が企業理念や必要な人材像を理解し、それに適した友人・知人を紹介してくれるというのは、一朝一夕でできることではありません。すぐに結果を求めるのではなく、長期的な取り組みとして向き合うことが、リファラル採用につながります

リファラル採用の成功事例

最後に、リファラル採用を導入している企業の成功事例をご紹介します。

事例1.株式会社メルカリ

オウンドメディア「mercan(メルカン)」には、メルカリで働く人々が掲載されています。社員が入社したころの話や仕事の醍醐味を語るなど、各部署を巻き込んだ記事も展開されています。こういった企画は、あらためて自分と会社を見つめなおすきっかけになります。社員が自社の魅力を熱く語れる情報発信者として機能しており、そのことがリファラル採用につながっている事例です。

参考:mercan

事例2.富士通株式会社

社外向けのWebサイトにもリファラル採用ページを公開している富士通社員に知り合いがいれば、その人経由で申し込めることをアピールしています。富士通ではリファラル採用でのマッチング率があがり、選考を通過する確率が10倍に上昇。社員の数が多い大企業こそアプローチできるつながりが広いので、海外の優秀なエンジニアや特殊技術の保有者などニッチな人材にアプローチすることも可能です。

参考:富士通株式会社 キャリア採用情報

番外編:日本マクドナルド株式会社

パートタイムやアルバイトなどの有期雇用者が多数を占める雇用形態のため、番外編でご紹介します。年間7万人を採用している日本マクドナルドでは、その半数をリファラル採用によて採用しています。勤務評価の適切な実行や休憩室の整備など、職場環境を総合的に改善することで自然とリファラル採用につながっています

リファラル採用を導入して企業文化にマッチした優秀な人材を集めましょう

リファラル採用は、全社で展開できる制度設計や社員への浸透に時間と手間がかかりますが、企業文化にあった優秀な人材を採用するには有効な方法です。自社の社員はリファラル採用の活動を通じて、自社をより理解し、経営視点が身につくといった副次的効果も得られます。

本記事を参考にして、リファラル採用の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

リファラル採用に関するQ&A

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この記事のライター

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