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スポンサーシップとは?仕組み・効果を高める5つの広報PRの戦略と成功事例を紹介

スポンサーシップとは?仕組み・効果を高める5つの広報PRの戦略と成功事例を紹介

企業にとっての重要なブランディング手法のひとつに「スポンサーシップ」があります。

スポーツイベントやエンタメ分野、地域活動などへの協賛を通じて、ブランドの認知向上や企業イメージの向上、社会との接点づくりを実現するこの取り組みは、マーケティング戦略の一環として多くの企業に活用されています。近年では、商品やサービスの販売促進だけでなく、企業の姿勢や価値観を伝える手段としても注目されています。

しかし、スポンサーシップの効果を最大限に引き出すためには、単に契約を結ぶだけでは不十分です。情報発信やステークホルダーとの関係構築を担う広報・PR担当者との連携が欠かせません。

本記事では、スポンサーシップとは何か、その基本的な仕組みやマーケティングとの違いに触れつつ、効果を高める5つの広報PRの戦略と成功事例をわかりやすく解説します。

目次
  1. スポンサーシップとは?意味をわかりやすく解説

  2. スポンサーシップの仕組み

  3. スポンサーシップマーケティングとは?

  4. スポンサーシップ市場の成長

  5. スポンサーシップが注目される背景

  6. 企業がスポンサーシップをアクティベーションするメリット

  7.  スポンサーシップの種類

  8. スポンサーシップの効果を最大化させるために広報PR担当者が行いたい5つのこと

  9. スポンサーシップをアクティベーションする際の注意点

  10. スポンサーシップのアクティベーション成功事例5選

  11. スポンサーシップは契約締結だけでは意味がない!アクティベーションすることが大切

  12. スポンサーシップに関するQ&A

スポンサーシップとは?意味をわかりやすく解説

スポンサーシップとは、企業がスポーツや文化・芸術事業、イベントなどの活動に対し、金銭・物品・人的リソースなどを提供し、支援することです。企業はその対価として、スタジアムや選手のユニフォームに企業のロゴを掲出したり、イベント会場内でCMを放映できたりと宣伝活動を行うことができます。

スポンサーシップは「見返りがあること」が前提となるので、純粋な寄付はスポンサーシップにあたりません。

スポンサーシップと「協賛」「寄付」「広告」「タイアップ」の違い

スポンサーシップは「支援の対価として、一定の権利や露出機会を得る」点が核になります。協賛は日常的にスポンサーシップと同義で使われることもありますが、実務では「イベント運営を支える支援」というニュアンスが強く、ロゴ掲出などの限定的な権利に留まるケースが一般的です。

一方、寄付は見返りを前提とせず、社会貢献としての純粋な資金提供である点が明確に異なります。広告は媒体枠を購入し、訴求内容や出稿タイミングを広告主がコントロールできるのに対し、スポンサーシップは支援先の文脈やファン心理に乗って価値を形成するため、コントロール可能な範囲が異なります。タイアップは媒体やコンテンツ提供者と共同で企画し、露出を作りにいく施策で、スポンサーシップの権利を活用した表現手段として組み込まれることはあっても、契約構造そのものは別物です。

広報PR担当者としては、社内説明の際に「寄付=見返りなし」「広告=枠の購入」「スポンサーシップ=権利の獲得と運用が前提」という3点を押さえるだけでも、意思決定が進みやすくなります。

スポンサーシップにおける「アクティベーション」とは

アクティベーションとは、スポンサー契約で得た権利(ロゴ掲出、呼称、素材使用、体験提供、共同企画など)を、生活者や取引先が実際に価値として感じる「体験・接点・行動」に変換する運用のことです。

スポンサーシップは契約した瞬間に成果が出るのではなく、権利をどのチャネルで、どのメッセージで、どの頻度で使い、誰の態度変容につなげるかを設計して初めて効き始めます。たとえば、ロゴ掲出だけで終わると「露出はあるが意味は伝わらない」状態になりやすい一方、ファンコミュニティ向けの体験企画、選手・出演者のストーリー発信、イベント連動キャンペーン、採用向けのカルチャーコンテンツなどに落とすと、共感や好意が積み上がりやすくなります。

広報PRの実務では、発表やニュースを作るだけでなく、継続発信の編集計画と素材パッケージを用意し、権利を「資産」として使い切る視点がアクティベーションの要諦になります。

連携イメージ

スポンサーシップの仕組み

スポンサーシップ契約は、スポンサー(提供者)と受益者(被支援者であるスポーツ団体やイベントの主催者など)との間で交わされる公式な合意を基に成り立っています。この契約では、スポンサーが提供する支援内容(資金、物品、サービスなど)と、受益者が提供する見返り(広告権、ブランド露出、コラボ機会など)が明記されます。契約に基づく双方向の利益提供こそが、スポンサーシップの基本構造です。

スポンサーシップマーケティングとは?

スポンサーシップを企業のマーケティング戦略の一部として活用していくことを、スポンサーシップマーケティングといいます。

スポンサーシップマーケティングの主な目的は、「ブランド価値の向上」です。そのために「ブランドの認知向上」「商品・サービスの販売促進」「顧客との関係構築」といったアプローチをスポンサーシップを通して行っていきます。

アプローチしたい内容によって、スポンサーシップのメニューが変わります。例えば、「ブランドの認知向上」であれば、スタジアムやイベント会場などへの看板広告掲出やネーミングライツが有効です。「商品・サービスの販売促進」であれば、タイアップキャンペーンやサンプリングなどが有効になるでしょう。目的に応じた手段選定が鍵となります。

スポンサーシップ市場の成長

スポンサーシップ市場はどのような規模感なのでしょうか。

IEG社の調べによると、スポンサーシップの内訳としては、スポーツに対する投資が全体の約70%、その他の約30%は美術やエンターテインメント、慈善活動、フェスティバル、協会・メンバーシップ組織を対象にしたものになっています。

スポンサーシップが注目される背景

世界的にスポンサーシップ市場が成長している要因としては、「露出を買う」だけでは届かない局面が増えているためです。スポーツ・エンタメ・地域活動といった領域は、企業の存在を「押し付け」ではなく「応援」や「共創」として受け止めてもらえる余地があり、広報PRの観点でもストーリーが作りやすいのが特徴です。

次に、スポンサーシップの注目が高まっている背景を解説します。

広告疲れの中で、共感・信頼・体験をつくる手段として再評価されている

情報接触が過密な環境では、広告は「見られる」以前にスキップされ、印象も残りにくくなります。その中でスポンサーシップは、生活者が自発的に関わる体験の中に企業が同席しやすく、共感と信頼を獲得しやすい構造を持ちます。

たとえば、試合観戦やイベント参加は感情の振れ幅が大きく、そこで提供された体験は記憶に残りやすい一方、単なる広告は「邪魔」と受け取られがちです。スポンサーシップが有効なのは、企業が前面に出るのではなく、価値ある場を支え、その場の体験価値を上げる役割に回れる点にあります。広報PRとしては「なぜ支援するのか」「何を良くしたいのか」を言語化し、体験の中に自然に溶け込ませることで、ブランド好意の積み上げに転換しやすくなります。

スポーツ・エンタメの視聴接点の多様化で、権利の使い道が増えている

スポンサーシップの価値は、看板やユニフォーム露出だけでなく、デジタル配信、短尺動画、SNSクリップ、コミュニティ配信などに広がることで、権利の活用余地が増えた点にあります。

従来は「現地で見る人」「テレビで見る人」に限られがちでしたが、今はハイライトが切り出され、舞台裏が共有され、出演者や選手が個人アカウントで発信し、接点が連鎖していきます。権利が増えるほど「何を、どの順番で、どの言葉で出すか」という編集設計が成果を左右し、広報PRの腕の見せ所になります。つまりスポンサーシップは、露出量よりも運用設計の巧拙が差を生むフェーズに入っており、権利を「使い道のある資産」として見立てられる企業ほど成果を取りやすくなります。

ESG・地域共創・採用ブランディングなど、目的が拡張している

スポンサーシップは販売促進だけでなく、企業姿勢を示す手段にもなっています。ESGの文脈では、環境・教育・地域課題などのテーマに企業が関わること自体が、ステークホルダーとの信頼構築につながりやすく、投資の合理性も持たせやすくなります。

地域共創では、自治体や地域団体、地元クラブなどと連携し、地域住民の体験価値を上げることで、企業の存在が「必要なプレイヤー」として認識される可能性が高まるでしょう。採用ブランディングでも、スポンサーシップで掲げる価値観や支援姿勢は、求職者が企業を選ぶ判断材料になり得ます。

広報PRは、目的が拡張した分だけメッセージの一貫性が重要になるため、単発の露出ではなく、継続的に語れる軸を整えることが実務上の要点です。

企業がスポンサーシップをアクティベーションするメリット

スポンサーシップを通じて企業が得られる主なメリットは、単なる広告以上に戦略的で持続的な価値創出にあります。以下では、3つの主要な効果について紹介します。

メリット1.ブランディングと企業優位性の向上

スポンサーシップは、単なるロゴ掲出ではなく「なぜこの活動を支援するのか」という企業の想いや価値観を生活者に伝える機会になります。企業が掲げる社会的メッセージや支援姿勢への共感がブランドの信頼性を高め、結果としてブランド価値や企業優位性の向上につながります。広告では届きづらい「企業の人間らしさ」を伝える手段でもあります。

メリット2.生活者や取引先との関係構築

スポーツイベントへのブース出展、ファンを招待するイベントの開催やキャンペーン企画など、スポンサーシップのアクティベーションを通して、自社だけでは成しえない、生活者とのコミュニケーションの機会が生まれます。たとえば、スポーツ観戦への招待や協賛イベントでの体験提供は、参加者の記憶に残る関係構築のきっかけになります。

また、これらは、生活者に限定したことではなく、自社の取引先をターゲットにして実施することも可能です。生活者や取引先にメリットを感じてもらえるアクティベーションを企画するとよいでしょう。

メリット3.CSRとしての価値の創出

スポンサーシップは、定型の取り組みがあるというわけではなく、企業ごとの課題や理念に応じて柔軟に設計できるため、CSR活動の一環としても非常に効果的です。

たとえば、「地域との関係強化」を課題とする企業が、地元スポーツチームと連携し地域活性化イベントを実施すれば、社会貢献とブランディングを同時に実現できます。自社らしいCSRの形を見つけるきっかけとして、スポンサーシップは大きな可能性を秘めています。

 スポンサーシップの種類

スポンサーシップは大きく「分野」「権利形態」「支援形態」の3つの軸で整理できます。検討時に分野だけで選ぶと、契約後に「何ができるのか」「どう成果を測るのか」が曖昧になりがちです。そこで、最初から「どの権利を得るか」「どの形で支援するか」までセットで設計すると、目的に合う選択肢に絞り込みやすくなります。

広報PR担当者は「露出量」だけでなく、「共感・関係構築・再利用可能な資産」をどう作るかまで視野に入れると、スポンサーシップが単発で終わらず次の施策につながります。

分野別

まずは、スポンサーシップが行われる代表的な分野を整理します。同じ協賛でも、分野によって参加者の期待や許容される表現が異なるため、企業のブランド文脈と無理なく接続できる領域を見極めることが重要です。

特に広報PRでは「ファンの価値観」「当事者の感情」「社会的な意味合い」が強く作用するため、リーチ規模よりも「どんな共感が生まれるか」「批判リスクをどう管理できるか」を基準に据えると判断が安定します。

スポーツ

スポンサーシップの中でももっとも市場が大きく、露出機会やメニューが豊富な領域です。チーム・大会・選手への支援を通じて、ロゴ掲出や体験企画、ファン施策など多様な形でブランド接点を作れます。

一方で、スポーツはファンコミュニティの熱量が高く、企業側の姿勢が厳しく見られる領域でもあります。露骨な売り込みや競技文化への理解不足は反発を招きやすいため、「ファンにとっての価値」を起点に企画することが不可欠です。結果として、体験価値を丁寧に設計できれば、広告では得にくい信頼や長期の支持に転化しやすい分野だと言えます。

エンターテインメント

音楽フェス、映画、舞台、アートイベントなどのエンターテイメント領域は、感情価値と拡散力を生みやすく、若年層やカルチャー感度の高い層へのリーチに向きます。その反面、出演者や作品の世界観、メッセージとの整合性が強く問われます。

文化・芸術の文脈では「品位」や「表現の一貫性」が重要になり、強い宣伝色はかえって違和感を生むことがあります。企業側は、単なる露出ではなく「なぜその表現を支えるのか」という意義を語れる状態を作ると、共感がブランド評価に結びつきやすくなるでしょう。

社会貢献・地域

地域福祉、環境保護、教育支援など社会課題に接続するスポンサーシップは、ESGや地域共創、企業姿勢の可視化と相性が良く、継続性が信頼に直結しやすい領域です。広報PRとしては、活動の実態と成果を丁寧に説明できれば、企業理解の深化や採用・自治体連携にも波及します。

一方で、実態の伴わない「見せかけ」の取り組みは批判を招きやすく、情報公開の姿勢も含めて厳しく見られます。目的・体制・成果指標を最初から整理し、やるべきことを小さくても確実に積み上げる設計が重要です。

教育・研究

教育・研究分野への支援は、専門性や将来投資の姿勢を示しやすく、BtoBの信頼獲得や採用ブランディングとも相性が良い分野です。協賛を通じて、学生・研究者・教育機関との関係を築ければ、長期的な人材・技術・知見の接点が生まれます。

ただし成果が短期で可視化されにくいため、「認知」だけでなく「関係性」「共同成果」「採用・技術広報への波及」など中長期KPIを設計し、発信も「活動報告」で終わらせない工夫が求められます。

権利形態別

次に、スポンサーが得られる「権利」の種類で整理します。権利は露出量だけでなく、アクティベーションの自由度や炎上・不祥事時の影響範囲を左右します。

広報PR担当者は、契約前に「何をどこまで言えるのか」「素材をどう二次利用できるのか」「共同発表のルールはどうなるのか」を確認し、後工程で揉めない前提を作ることが重要です。

タイトル

冠名としてもっともわかりやすい露出を得られ、媒体・生活者の認識にも残りやすい権利です。その分、費用規模が大きく、期待値も上がりやすいため、成果設計の甘さが目立ちやすい点に注意が必要です。

また、主催者側の不祥事や炎上、運営品質の低下がスポンサー側にも波及しやすく、ブランドセーフティの観点でリスクを織り込む必要があります。契約前に、想定外事象時の表記停止や撤退条件、発表の取り扱いまで握っておくと安心です。

オフィシャルパートナー

カテゴリや役割が整理されやすく、継続的な露出と共同企画の余地を持ちやすい形態です。単発の露出よりも、期間を通じた関係構築や体験設計に向いており、広報PRとしてはストーリーを育てやすいのが利点になります。

一方で、パートナーが複数社いる場合は「自社ならでは」の打ち出しが埋もれやすいため、どの資産(場・人物・コンテンツ)を使って差別化するかを早い段階で決めておくと、発信がブレにくくなります。

サプライヤー(現物提供)

現場の体験価値を上げる形で自然に受け入れられやすく、利用シーンが具体的なほどストーリーも作りやすい権利形態です。たとえば機材・飲料・ウェアなど、参加者が実際に使って価値を実感できる領域では、広告より強い納得感が生まれます。

ただし提供物の品質や運用の粗さが、そのままブランド評価につながります。欠品、導線不備、説明不足などが起きないよう、現場設計と検品・配布ルールまで含めて「体験の品質管理」を行うことが前提です。

ネーミングライツ

施設や大会に名前を残せるため、長期の認知資産を作りやすいのが特長です。地域の生活導線に乗ると、継続的な想起が生まれ、BtoBでも信頼の補強材料になります。

その反面、地域社会や利用者への説明責任が伴い、反発が起きた場合の対応も想定しておく必要があります。料金や契約期間だけでなく、表示範囲、案内物・地図・交通機関での表記、契約終了時の取り扱いなども含めて合意しておくと、長期運用での摩擦を減らせます。

支援形態別

最後に「どう支援するか」の形で整理します。支援形態は、権利の使い方とセットで成果を左右します。

広報PRの実務では、発表タイミング、クレジット表記、素材の二次利用条件、問い合わせ窓口、炎上時の対応分担などを初期段階で握っておくと、公開後のトラブルや手戻りが大幅に減ります。

金銭協賛

汎用性が高く、必要な権利を獲得しやすい一方で、設計が甘いと「支援した事実」だけが残り、ブランド価値にも事業成果にもつながりにくくなります。

広報PRとしては、露出の量を追うだけでなく、権利を使って何を体験として提供するか、誰にどんな共感を生むかを具体化することが重要です。契約時点で、発信計画とKPI、共同で作るコンテンツの有無まで決めておくと、施策が形骸化しにくくなります。

現物協賛

体験の質を具体的に押し上げやすく、参加者の記憶に残りやすい支援形態です。特にイベントやコミュニティでは、体験の一部として提供物が機能すると「自然な推奨」が生まれやすくなります。

一方で、成果は現場運用に左右されます。配布導線、在庫管理、スタッフ体制、説明資料、SNSでの見せ方まで設計しないと、良いものでも伝わりません。広報PRは、現場の運用担当と連携し「体験がそのまま発信素材になる」状態を作ると効果が安定します。

共同企画(共催・協業)

アクティベーションともっとも相性が良く、ニュース性や独自性を作りやすい支援形態です。単なるロゴ露出ではなく、共同で価値を生み出す設計になるため、生活者・メディア双方に語れる材料が増えます。

一方で意思決定者が増え、合意形成に時間がかかり、権利・責任の分界が複雑になりがちです。広報PR担当者は、発表の主語、表現の可否、素材の利用範囲、クレジット表記、危機時の窓口を初期に定義し、後工程での認識ズレを防ぐと、共同企画の推進力が大きく高まります。

スポンサーシップの効果を最大化させるために広報PR担当者が行いたい5つのこと

コストをかけるからには、スポンサーシップの効果は最大化させたいものです。次に、スポンサーシップの効果を最大化させるために広報PR担当者が実施したい5つのポイントについて説明します。

広報PRガ行いたいことイメージ

1.スポンサーシップの意義を明確にする

スポンサーシップを自社の経営課題やビジネスにどう貢献させていくのか、具体的なビジョンを描くことが大切です。これによってスポンサーシップのあり方が変わってきます。目的がブランド価値向上なのか、売上への貢献なのか、あるいはブランドの認知拡大を図りながら、社会貢献も狙うのかを決め、目的が複数ある場合は、優先順位を決めましょう。優先順位によって獲得する権利の種類が変わってきたり、かかる費用が変わってきたりするからです。まずはスポンサーシップの意義を明確にしましょう。

2.スポンサーシップ先との親和性を大切にする

「あの企業は〇〇という事業をやっているから、あのチームのスポンサーになっているのか」と対外的に納得してもらえるような、親和性のあるスポンサーシップ先を選ぶことが大切です。あまりにも関連性がかけ離れていると、人気にあやかろうとしているなどと捉えられ、企業価値を損ねる可能性もあります。事業だけでなく、自社のビジョン・ミッションにつながるかどうか、連想できるかどうかもポイントになります。

3.スポンサーシップの背景や理由を伝える

多くの企業の場合、「ブランド価値向上」のためにスポンサーシップを活用しています。そのため、「なぜスポンサーシップを行うのか」という背景や理由を生活者に伝え、共感を生み出し、企業やブランドを身近に感じてもらうことが重要です。単にスポンサーシップを行っている事実や活動内容の報告をするだけでなく、プレスリリースやオウンドメディアなどさまざまなタッチポイントにおいてストーリーを伝えるようにしましょう。

4.継続的で一貫性のある活動をする

スポンサーシップ期間中は、スポンサーシップ先の動きや展開に寄り添い、生活者やファンに感動を与え続けられるような活動を意識するようにしましょう。広告やイベント、キャンペーンなどさまざまな活動が考えられますが、すべての活動において一貫性のある展開を図り、ブランドの姿勢を発信するようにしましょう

5.トレンドに合った企画を実施する

スポンサーシップで行う活動は、メディア露出の機会にもなりえます。メディア露出を最大化させるためには、メディアや生活者に関心を持ってもらえるよう、トレンドや社会情勢に合った企画を実施するようにしましょう。

スポンサーシップをアクティベーションする際の注意点

企業がスポンサーシップの効果を最大化するためには、戦略的なアクティベーションが欠かせません。次に、スポンサーシップをアクティベーションするうえで注意すべきことを3つ紹介します。

注意点1.自社の課題と目的を明確する

スポンサーシップを行うことで、どのような経営課題を解決につなげていきたいのか、目的を明確にしましょう。ブランディング強化なのか、販売促進なのか、あるいはCSRの一環なのかによって、企画やKPIの設定が大きく異なります。曖昧なままでは、施策が場当たり的になり、効果測定も困難になるため、経営戦略との接続を意識した設計が求められます。

目的を明確にした後は、目的達成に向けた活動方針、スケジュール、取り組み内容の設定を行います。目的の達成度を測るために、KPIなどの評価指標もあわせて設定しておくとよいでしょう。

注意点2.スポンサーシップ先と協働する

契約しただけで終わりではなく、目的の擦り合わせやディスカッションなどを通して、スポンサーシップ先と協働してアクティベーションを企画するようにしましょう。ロゴ掲示や広告露出にとどまらず、共同イベントの開催やオリジナルコンテンツ制作など、双方向の取り組みに発展させることで、よりインパクトのある施策につながります。

注意点3.スポンサーシップ先のファン目線に立った活動をする

アクティベーションを考える際に、スポンサーシップ先のファンの期待を裏切るようなメッセージの発信や施策になっていないか注意しましょう。期待に反する演出や企業都合が透けて見える施策は、ブランド価値の毀損につながりかねません。ファンの熱量や価値観を尊重し、自然な形で共感を得られる表現や体験を設計することが重要です。

スポンサーシップのアクティベーション成功事例5選

魅力的なスポンサーシップのアクティベーション成功事例を5つご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

スポンサーシップの事例1.レッドブル社

エナジードリンク市場で高いシェアを誇るレッドブル社は、製品発売が1987年で、100年以上続く老舗メーカーが多い飲料業界においては、新興メーカーと位置付けられることが多いです。新興メーカーであり、既存流通網を持っていなかったレッドブル社が行ったことは、マスマーケティングではなく、少数でも値段が高くても買ってくれる顧客をファンにして、ファンからの口コミによって、「レッドブル」の認知や評判を広げることでした。施策のひとつが、さまざまなスポーツへのスポンサーシップです。

レッドブル社は、知名度が高いスポーツや選手ではなく、マニアックだが熱狂的なファンがいるエクストリームスポーツのスポンサーシップを積極的に行っています。そして、そのスポーツ自体を一緒に広めるパートナーという立場で支援を行っており、関係性が深いのも特長です。レッドブル社は、スポンサーシップを行うことで、競技の認知度向上や大会規模拡大に貢献し、選手やファンからの支持を集めることに成功しています。

スポンサーシップの事例2.日本コカ・コーラ社

コカ・コーラ社がスポンサーシップを行う目的は、すべてビジネスのためであり、消費者にコカ・コーラ社のブランドに手を伸ばしてもらうためです。そのために、もっとも重要になるのが「共感」で、スポンサーシップを通じて消費者の「共感」を生み出そうとしています。消費者の「共感」を生み出すために、コカ・コーラ社は、国際的なスポーツイベントがブランド認知向上に寄与するものと着目し、約90年前からのスポンサードとなり、ほかにも、さまざまな世界的なスポーツイベントのスポンサードとなっているのです。

コカ・コーラ社は、スポンサーシップにおける中長期的な戦略として以下の3つを掲げています。

  1. 一般的なスポンサーシップで求められるようなブランド露出ではなく、あくまでも消費者が求め、共感する価値を提供すること
  2. 他社と同じことをせず、イノベーティブであること。常に新しいことへのパイオニアであり続けること
  3. 全国のボトリング会社も含め日本のコカ・コーラビジネスに従事する社員2万3000人一丸となって、アセットの価値を引き出していく土壌をつくること

スポンサーシップを行っているFIFAワールドカップでは何ができるのか、各アスリートには何をしてもらえるのか、それらをどう組み合わせることができるのかを考え、キャンペーンを仕掛けています。

スポンサーシップの事例3.株式会社Donuts

クラウドシステム「ジョブカン」やライブ配信アプリ「ミクチャ」を開発・運営する株式会社Donutsは、琉球フットボールクラブ(FC琉球)とスポンサー契約を結んでいます。このスポンサーシップでは、自社サービスの新規契約法人の利用料金の一部をFC琉球のチーム強化費としてサポートするキャンペーンの取り組みを行ったり、自社サービスのライブ配信アプリ上で、FC琉球の応援ナビゲーターを選考するオーディション企画を行ったりと、自社サービスを掛け合わせた取り組みを進めています。

スポンサーシップの事例4.AIGジャパン・ホールディングス株式会社

AIGジャパン・ホールディングス株式会社は、グローバルスポンサーとして、ニュージーランドラグビー代表オールブラックスとスポンサー契約を結んでいます。チームの選手を招いて日本でのイベントを開催したり、キャンペーンムービーを展開したりと、アスリートを活用したアクティベーションを積極的に行っています。

スポンサーシップの事例5.アンカー・ジャパン株式会社

アンカー・ジャパン株式会社は、川崎フロンターレとスポンサー契約を結んでいます。

「Anker」のチャージング関連製品や「Soundcore」のオーディオ製品等を選手にサンプリングしたり、同チーム所属の選手OBをアンバサダーに起用し、商品のプロモーションやキャンペーンなどで商品の魅力を発信しています。また、選手のサイン入りユニフォームやチームカラーである水色の自社製品をプレゼントする、川崎フロンターレの周年記念キャンペーンも行い、ファンを巻き込む施策を展開しています。

スポンサーシップは契約締結だけでは意味がない!アクティベーションすることが大切

今回は、スポンサーシップとはなんなのか、そしてスポンサーシップの効果を最大化する広報PRのポイントや、アクティベーションの事例を紹介しました。

スポンサーシップは、ブランド価値の向上や生活者・取引先との関係構築に有効な方法ですが、契約締結をすれば達成できるわけではありません。スポンサー契約後のアクティベーションが肝心です。この記事で紹介した事例のように、スポーツチームへのスポンサーシップであれば、チームの選手を起用したPRイベントや、チームとコラボレーションした商品開発や顧客向けのキャンペーン施策など、自社らしいアクティベーションを模索していきましょう。


世界的なスポーツイベントや著名なイベント・モノ・コトへの関わりが消費者の共感を生み出し、ブランド価値向上に寄与するからといって、「アンブッシュ・マーケティング」を行ってしまうと、規則違反になりかねません。必ずスポンサー契約を締結してから、自社のマーケティングに活かすようにしましょう。

<編集:PR TIMES MAGAZINE編集部>

スポンサーシップに関するQ&A

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この記事のライター

野崎 有希

野崎 有希

PR Agency、HR TechにてPRとマーケティングを経験したのち、現在は通販会社(ショップジャパン)の広報部に所属。コーポレートPR、プロダクトPR、採用PRの戦略立案に従事。社会人キャリアはずっとコミュニケーションに関わる仕事をしています。人生のミッションは、「みんなの応援団」!周りの方が幸せになるきっかけをPRの力で作りたい。‟その人“の魅力を引き出すインタビュー記事は、読むのも書くのも好き。

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