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スポンサーシップとは?効果を最大化する広報PRの5つのポイントや、アクティベーション事例を紹介

これまで多くの企業がイベントのスポーツ団体へのスポンサーシップを通じて、自社や商品・サービスの認知向上や愛されるブランドとしての地位を確立してきました。

スポンサーシップは主に「ブランドの認知向上と好意獲得」「販売促進」といった事業戦略や、マーケティング戦略の一環として取り組む企業が多いです。

しかし、スポンサーシップをスタートする際やアクティベーションを進める中で、プレスリリースやオウンドメディアを通して対外的に伝えていくことが大いにあります。この場合、広報PR担当者との連携が必要になるため、スポンサーシップについて理解しておく必要があります。

この記事では、スポンサーシップとはそもそもどのようなメリットがあるのか、そして、効果を最大化するための広報PRの5つのポイントや、アクティベーション事例を紹介します。

目次
  1. スポンサーシップとは?

  2. スポンサーシップマーケティングとは?

  3. スポンサーシップ市場の成長

  4. 企業がスポンサーシップをアクティベーションするメリット

  5. スポンサーシップの効果を最大化させるために広報PR担当者が行いたい5つのこと

  6. スポンサーシップをアクティベーションする際の注意点

  7. スポンサーシップのアクティベーション事例5選

  8. スポンサーシップは契約締結だけでは意味がない!アクティベーションすることが大切

  9. スポンサーシップに関するQ&A

スポンサーシップとは?

スポンサーシップとは、企業がスポーツや文化・芸術事業、イベントなどに金銭や物、人を提供し、支援することです。企業はその見返りとして、例えばスタジアムや選手のユニフォームに企業のロゴを出すことができたり、イベント会場内でCMを流すことができたりと宣伝活動を行うことができます。スポンサーシップは見返りがあることが前提となるので、純粋な寄付はスポンサーシップにあたりません。

協力イメージ

スポンサーシップマーケティングとは?

スポンサーシップを企業のマーケティング戦略の一部として活用していくことを、スポンサーシップマーケティングといいます。

スポンサーシップマーケティングの主な目的は、「ブランド価値の向上」です。そのために「ブランドの認知向上」「商品・サービスの販売促進」「顧客との関係構築」といったアプローチをスポンサーシップを通して行っていきます。

アプローチしたい内容によって、スポンサーシップのメニューが変わります。例えば、「ブランドの認知向上」であれば、スタジアムやイベント会場などへの看板広告掲出やネーミングライツが有効です。「商品・サービスの販売促進」であれば、タイアップキャンペーンやサンプリングなどが有効になるでしょう。

スポンサーシップ市場の成長

スポンサーシップ市場はどのような規模なのでしょうか。

IEG社の調べによると、スポンサーシップの内訳としては、スポーツに対する投資が全体の約70%、その他の約30%は美術やエンターテインメント、慈善活動、フェスティバル、協会・メンバーシップ組織を対象にしたものになっています。

世界的にスポンサーシップ市場が成長している要因としては、企業がどのように社会貢献をしているのかというポイントに生活者が関心を持つ傾向が強まっていることが考えられます。企業はスポンサーシップの社会貢献という側面を活用し、生活者にアピールしているのです。また、OTT(Over The Top)※の登場により、生活者はスポーツを楽しむ時間や場所の制約から開放され、実際にスポーツの観戦時間と観戦試合数が増えていることから、企業は投資をしやすくなったとも考えられます。

※ インターネット上での音声通話や動画コンテンツのほか、SNSなどのマルチメディアを提供するサービスの総称

企業がスポンサーシップをアクティベーションするメリット

企業がスポンサーシップで得られるメリットについてご紹介します。

メリット1.ブランディング、企業優位性の向上

ブランド価値や企業優位性の向上は、広告キャンペーンを打ったり、メディアの露出量を増やしたりするだけでは達成できません。スポンサーシップをなぜ行うか、その理由や背景を生活者に伝えることで共感を得られ、ブランドを身近に感じてもらうことで、結果としてブランド価値向上につなげることができます。

メリット2.生活者や取引先との関係構築

スポーツイベントへのブース出展、ファンを招待するイベントの開催やキャンペーン企画など、スポンサーシップのアクティベーションを通して、自社だけでは成しえない、生活者とのコミュニケーションの機会が生まれます。また、これらは、生活者に限定したことではなく、自社の取引先をターゲットにして実施することも可能です。生活者や取引先にメリットを感じてもらえるアクティベーションを企画するとよいでしょう

メリット3.CSRとしての価値の創出

スポンサーシップは、定型の取り組みがあるというわけではなく、スポンサーごとに異なる経営課題に対して、オーダーメイドで組み立てていくものです。

例えば、スポーツチームへのスポンサーシップの場合で、「社会とのつながりを強化したい」という経営課題があれば、チームがホームタウンとする地域の活性化につながるイベントやスポーツ人材の育成支援などを実施することは、社会貢献につながる取り組みになります。
CSR(企業の社会的責任)として、何をするべきかを見いだし創出するきっかけが生まれます。

スポンサーシップの効果を最大化させるために広報PR担当者が行いたい5つのこと

コストをかけてるのならば、スポンサーシップの効果は最大化させたいもの。スポンサーシップの効果を最大化させるために必要な5つのポイントについて説明します。

広報PRガ行いたいことイメージ

1.スポンサーシップの意義を明確にする

スポンサーシップを自社の経営課題やビジネスにどう貢献させていくのか、具体的なビジョンを描くことが大切です。これによってスポンサーシップのあり方が変わってきます。目的がブランド価値向上なのか、売上への貢献なのか、あるいはブランドの認知拡大を図りながら、社会貢献も狙うのかを決め、目的が複数ある場合は、優先順位を決めましょう。優先順位によって獲得する権利の種類が変わってきたり、かかる費用が変わってきたりするからです。まずはスポンサーシップの意義を明確にしましょう。

2.スポンサーシップ先との親和性を大切にする

「あの企業は〇〇という事業をやっているから、あのチームのスポンサーになっているのか」と対外的に納得してもらえるような、親和性のあるスポンサーシップ先を選ぶことが大切です。あまりにも関連性がかけ離れていると、人気にあやかろうとしているなどと捉えられ、企業価値を損ねる可能性もあります。事業だけでなく、自社のビジョン・ミッションにつながるかどうか、連想できるかどうかもポイントになります。

3.スポンサーシップの背景や理由を伝える

多くの企業の場合、「ブランド価値向上」のためにスポンサーシップを活用しています。そのため、「なぜスポンサーシップを行うのか」という背景や理由を生活者に伝え、共感を生み出し、企業やブランドを身近に感じてもらうことが重要です。単にスポンサーシップを行っている事実や活動内容の報告をするだけでなく、プレスリリースやオウンドメディアなどさまざまなタッチポイントにおいてストーリーを伝えるようにしましょう。

4.継続的で一貫性のある活動をする

スポンサーシップ期間中は、スポンサーシップ先の動きや展開に寄り添い、生活者やファンに感動を与え続けられるような活動を意識するようにしましょう。広告やイベント、キャンペーンなどさまざまな活動が考えられますが、すべての活動において一貫性のある展開を図り、ブランドの姿勢を発信するようにしましょう

5.トレンドに合った企画を実施する

スポンサーシップで行う活動は、メディア露出の機会にもなりえます。メディア露出を最大化させるためには、メディアや生活者に関心を持ってもらえるよう、トレンドや社会情勢に合った企画を実施するようにしましょう。

スポンサーシップをアクティベーションする際の注意点

スポンサーシップをアクティベーションするうえで注意すべきことを3つ紹介します。

注意点1.自社の課題と目的を明確する

スポンサーシップを行うことで、どのような経営課題を解決につなげていきたいのか、目的を明確にしましょう。目的達成に向けた活動方針、スケジュール、取り組み内容の設定を行います。目的の達成度を測るために、KPIなどの評価指標もあわせて設定しておくとよいでしょう。

注意点2.スポンサーシップ先と協働する

目的の擦り合わせやディスカッションなどを通して、スポンサーシップ先と協働してアクティベーションを企画するようにしましょう。ロゴ掲示や広告露出にとどまらず、活動の幅を広げることができ、自社らしい企画につながります。

注意点3.スポンサーシップ先のファン目線に立った活動をする

アクティベーションを考える際に、スポンサーシップ先のファンの期待を裏切るようなメッセージの発信や施策になっていないか注意しましょう。せっかくのスポンサーシップがブランド価値を下げてしまう要因にならないよう、ファン目線に立った活動をすることが大切です。

スポンサーシップのアクティベーション事例5選

魅力的なスポンサーシップのアクティベーション事例を5つご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

スポンサーシップの事例1.レッドブル社

エナジードリンク市場で高いシェアを誇るレッドブル社は、製品発売が1987年で、100年以上続く老舗メーカーが多い飲料業界においては、新興メーカーと位置付けられることが多いです。新興メーカーであり、既存流通網を持っていなかったレッドブル社が行ったことは、マスマーケティングではなく、少数でも値段が高くても買ってくれる顧客をファンにして、ファンからの口コミによって、「レッドブル」の認知や評判を広げることでした。施策のひとつが、さまざまなスポーツへのスポンサーシップです。

レッドブル社は、知名度が高いスポーツや選手ではなく、マニアックだが熱狂的なファンがいるエクストリームスポーツのスポンサーシップを積極的に行っています。そして、そのスポーツ自体を一緒に広めるパートナーという立場で支援を行っており、関係性が深いのも特長です。レッドブル社は、スポンサーシップを行うことで、競技の認知度向上や大会規模拡大に貢献し、選手やファンからの支持を集めることに成功しています。

スポンサーシップの事例2.日本コカ・コーラ社

コカ・コーラ社がスポンサーシップを行う目的は、すべてビジネスのためであり、消費者にコカ・コーラ社のブランドに手を伸ばしてもらうためです。そのために、最も重要になるのが「共感」で、スポンサーシップを通じて消費者の「共感」を生み出そうとしています。消費者の「共感」を生み出すために、コカ・コーラ社は、国際的なスポーツイベントがブランド認知向上に寄与するものと着目し、約90年前からのスポンサードとなり、ほかにも、さまざまな世界的なスポーツイベントのスポンサードとなっているのです。

コカ・コーラ社は、スポンサーシップにおける中長期的な戦略として以下の3つを掲げています。

  1. 一般的なスポンサーシップで求められるようなブランド露出ではなく、あくまでも消費者が求め、共感する価値を提供すること
  2. 他社と同じことをせず、イノベーティブであること。常に新しいことへのパイオニアであり続けること
  3. 全国のボトリング会社も含め日本のコカ・コーラビジネスに従事する社員2万3000人一丸となって、アセットの価値を引き出していく土壌をつくること

スポンサーシップを行っているFIFAワールドカップでは何ができるのか、各アスリートには何をしてもらえるのか、それらをどう組み合わせることができるのかを考え、キャンペーンを仕掛けています。

スポンサーシップの事例3.株式会社Donuts

クラウドシステム「ジョブカン」やライブ配信アプリ「ミクチャ」を開発・運営する株式会社Donutsは、琉球フットボールクラブ(FC琉球)とスポンサー契約を結んでいます。このスポンサーシップでは、自社サービスの新規契約法人の利用料金の一部をFC琉球のチーム強化費としてサポートするキャンペーンの取り組みを行ったり、自社サービスのライブ配信アプリ上で、FC琉球の応援ナビゲーターを選考するオーディション企画を行ったりと、自社サービスを掛け合わせた取り組みを進めています。

スポンサーシップの事例4.AIGジャパン・ホールディングス株式会社

AIGジャパン・ホールディングス株式会社は、グローバルスポンサーとして、ニュージーランドラグビー代表オールブラックスとスポンサー契約を結んでいます。チームの選手を招いて日本でのイベントを開催したり、キャンペーンムービーを展開したりと、アスリートを活用したアクティベーションを積極的に行っています。

スポンサーシップの事例5.アンカー・ジャパン株式会社

アンカー・ジャパン株式会社は、川崎フロンターレとスポンサー契約を結んでいます。

「Anker」のチャージング関連製品や「Soundcore」のオーディオ製品等を選手にサンプリングしたり、同チーム所属の選手OBをアンバサダーに起用し、商品のプロモーションやキャンペーンなどで商品の魅力を発信しています。また、選手のサイン入りユニフォームやチームカラーである水色の自社製品をプレゼントする、川崎フロンターレの周年記念キャンペーンも行い、ファンを巻き込む施策を展開しています。

スポンサーシップは契約締結だけでは意味がない!アクティベーションすることが大切

今回は、スポンサーシップとはなんなのか、そしてスポンサーシップの効果を最大化する広報PRのポイントや、アクティベーションの事例を紹介しました。

スポンサーシップは、ブランド価値の向上や生活者・取引先との関係構築に有効な方法ですが、契約締結をすれば達成できるわけではありません。スポンサー契約後のアクティベーションが肝心です。この記事で紹介した事例のように、スポーツチームへのスポンサーシップであれば、チームの選手を起用したPRイベントや、チームとコラボレーションした商品開発や顧客向けのキャンペーン施策など、自社らしいアクティベーションを模索していきましょう。


世界的なスポーツイベントや著名なイベント・モノ・コトへの関わりが消費者の共感を生み出し、ブランド価値向上に寄与するからといって、「アンブッシュ・マーケティング」を行ってしまうと、規則違反になりかねません。必ずスポンサー契約を締結してから、自社のマーケティングに活かすようにしましょう。

スポンサーシップに関するQ&A

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この記事のライター

野崎 有希

野崎 有希

PR Agency、HR TechにてPRとマーケティングを経験したのち、現在は通販会社(ショップジャパン)の広報部に所属。コーポレートPR、プロダクトPR、採用PRの戦略立案に従事。社会人キャリアはずっとコミュニケーションに関わる仕事をしています。人生のミッションは、「みんなの応援団」!周りの方が幸せになるきっかけをPRの力で作りたい。‟その人“の魅力を引き出すインタビュー記事は、読むのも書くのも好き。

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