多くの人を熱狂させて感動を生み出すスポーツ。生活者の購買行動の促進や、認知拡大に貢献するためスポーツのチカラを活用するのがスポーツマーケティングです。近年特に注目を集めているマーケティング手法のひとつでもあり、生活している中でも触れる機会が多いのではないでしょうか。
本記事では、スポーツマーケティングの基礎知識を徹底解説。スポーツマーケティングに期待できる効果や、成功させるためのポイント、そして成功事例も紹介していきます。
スポーツマーケティングとは
スポーツマーケティングとは、スポーツを用いてマーケティングを行うことです。スポーツマーケティングの中にも2つの意味があります。【1】スポーツそのものを発展させることを目的としてマーケティングする場合と、【2】企業の商品やサービスのマーケティングにスポーツを活用する場合です。
それぞれどのような違いがあるのか、具体的に解説していきます。
【1】スポーツそのものをマーケティングする方法
「スポーツそのものをマーケティングする」とは、スポーツチームや競技大会など、スポーツに関わる企業・団体・興行の収益を上げるために行われるマーケティング活動のことです。あらゆるマーケティング手法を用いて、スポーツそのものの認知拡大に加え、チケット売り上げ、グッズ売り上げなど収益の増加を目的に行われます。
スポーツそのものをマーケティングする場合は、新規顧客を増やすため、既存顧客の好意度をさらに向上させるためなど、セグメントが多岐にわたります。それぞれのセグメントに対して効果的な手法を選択することが重要です。
新規顧客を増やす場合であれば、漫画・アニメ、アパレルブランド等の人気コンテンツとコラボレーショングッズを販売する、地域コミュニティと連携したイベントを実施するなどが考えられます。既存顧客の好意度向上であれば、SNSを活用したコミュニケーション設計で試合開催日以外にも生活者とタッチポイントをつくる、ファン感謝デー等のイベントを開催するなど、方法はさまざまです。
【2】スポーツを活用したマーケティング方法
「スポーツを活用したマーケティング」とは、企業の商品やサービスのマーケティングのひとつとしてスポーツを取り入れる手法です。企業の認知拡大、ブランドイメージの向上、売り上げ増加などを目的に行われます。スポーツマーケティングを活用して収益を増やすことに加えて、スポーツに興味がある生活者を中心に、広く世間に対してリーチすることを目指すことができます。
例えば、アスリートを起用した広告宣伝や、アスリートとのコラボレーショングッズ販売、イベント開催などがあります。競技大会やスポーツチームへのスポンサードなども、スポーツを活用したマーケティング方法のひとつです。
そのほか、近年ではスポーツジムなどの施設の増加により、健康増進やヘルスケアという視点からもスポーツマーケティングが注目されています。
本記事では、マーケティングにスポーツを活用していく【2】の方法について解説していきます。

スポーツマーケティングが重視されている背景
企業がスポーツマーケティングを重視している背景には、スポーツが生活者に感動や憧れを抱かせる共感力の強いコンテンツであるということが挙げられます。日本で今日のようにスポーツマーケティングの重要性が注目されるようになるまでには、1964年に開催された東京オリンピックから続く大きな潮流があります。
1964年の東京オリンピックをきっかけに国内のマスメディアが発展すると、多くの生活者がスポーツにいっそう触れやすい環境ができました。
スポーツ放映の増加によって生活者からスポーツが注目されるようになると、企業もスポーツをマーケティングに活用するようになります。大会の冠スポンサーや試合中継の合間にCMを放映する企業スポンサーなどが増えました。
1990年代に入ると、Jリーグの開幕やヒット漫画の影響によってスポーツを実践する生活者が増加。シューズやボールなどにも、より注目が集まるようになり、スポーツ用品の新たな経済圏が誕生します。憧れの選手が使っているものと同じものを使いたい、という生活者の心理を突いたマーケティングも行われるようになったのです。
生活者の心理を利用する新たなマーケティング手法として、今日に至るまでスポーツマーケティングは重視されています。
スポーツマーケティングを行う4つの効果
スポーツマーケティングを行うとどのような効果が期待できるのでしょうか。スポーツの魅力を活かして戦略的なマーケティングを行うことで、自社の差別化にもつながります。
今回は、スポーツマーケティングに期待できる4つの効果を具体的に紹介していきます。
効果1.年代・性別を超えた認知拡大
スポーツは、年齢や性別を問わずに感動を分かち合ったり、共感したりできるコンテンツです。ファンやサポーターとしてスポーツに注目する生活者も、幅広い年齢や性別の人々が存在しています。スポーツをマーケティングに活用する場合も、老若男女を問わずにアプローチできる可能性があります。
プロ野球やJリーグ、Bリーグ(バスケットボール男子)など、何かしらの競技の国内リーグはほぼ年間を通じて試合が開催されています。競技のシーズンを通じて、幅広いスポーツファンに対して継続的にタッチポイントをつくることが可能です。例えば、スタジアム内の看板広告は、現地で観戦するスポーツファンはもちろん、テレビ放映を通じて多くの生活者の目に触れる回数を増やすことができます。
効果2.ブランドイメージの強化と信頼獲得
スポーツは、競技の勝利、チームワーク、選手の努力などによって、生活者にポジティブなイメージを抱いてもらいやすいコンテンツです。スポーツを通じてブランドを伝えることで、生活者がポジティブな感情を自社ブランドにも抱いてくれることが期待できます。
自社ブランドとスポーツチームや選手の価値観に共鳴する部分を発信できれば、これまでブランドを認知していなかったスポーツファンにも魅力的なブランドイメージを持ってもらうことができるでしょう。例えば、選手のチャレンジ精神や勝利を追求するなどと、自社の目指すべきブランドの方向性で共通する部分を見いだすことができるのではないでしょうか。上手にスポーツマーケティングを行うことで、ブランドに対して好印象を抱いてもらうきっかけになるのです。
効果3.海外へのリーチ拡大
スポーツマーケティングでは、海外に対してアプローチを行い国際的な認知度を上げることも期待できます。スポーツは国や地域を超えて愛されるコンテンツです。国際大会や海外でも放映される競技大会などでスポンサードを行うと、国際映像を通じて国内外の人々の目に触れる機会をつくれます。
グローバルなスポーツマーケティング展開が、海外での新たな市場開拓やビジネスチャンス創出のきっかけとなるかもしれません。国内に対しても、国際的な展望を持つことをアピールし、競合他社との差別化を図ることができます。
国際大会など放映地域が多岐にわたると、国内で行うマーケティングよりは費用がかさむ場合もあります。ある程度企業が成長した段階で、国内市場が飽和していたり、さらなる企業成長のためのブレイクスルーを求める場合に、検討するとよいかもしれません。
効果4.ファンエンゲージメントとコミュニティ形成
ファンとの継続的な関係性を築く「ファンエンゲージメント」は、スポーツマーケティングにおいて特に重要な要素です。試合観戦やSNSでの発信、限定イベントへの参加など、ファンが能動的に関わることでブランドへのロイヤルティが高まります。
熱量の高いコミュニティが形成されると、自然なクチコミやUGC(ユーザー生成コンテンツ)も生まれやすくなり、マーケティングの波及効果が高まります。
企業は単なる広告主ではなく、共にスポーツ文化を育てる「共創パートナー」としての存在感が求められるといえるでしょう。
スポーツのコンテンツとしての特異性
世の中の商品やサービスとスポーツを比較すると、スポーツには特異な性質があるので要注意です。スポーツはサービスが無形であり、勝敗や効果体感だけが生活者の満足や不満足に直結しないことがある点です。勝敗や効果体感の不確実性が生活者の感動を生み出す要素のひとつになっていることは間違いありませんが、勝敗や効果体感はマーケティング担当者がコントロールすることができません。生活者の心理に寄り添う周辺コンテンツも重要になってきます。
これらスポーツ特有の不確実性やコントロールできない部分が、生活者を熱狂させる要素でもあり、生活者の心理をうまく捉えた施策によってさらなる熱狂を生み出す魅力でもあります。
スポーツマーケティングの主要な手法と施策メニュー
スポーツマーケティングは「何を買うか」よりも「どう活用して成果に結びつけるか」で成否が分かれます。チームやリーグ、選手といった権利保有者が持つ価値は、露出やロゴ掲出のような権利だけでは完結しません。企業側がファン体験や購入導線まで設計して初めて「アクティベーション」として機能し、認知・好意・購買・継続といったKPIに接続します。施策メニューを網羅的に把握しつつ、目的別に組み合わせる視点が重要です。
スポンサーシップ:権利(Rights)と活用(Activation)を分けて考える
スポンサーシップは「ロゴが出るか」ではなく、「買った権利で何を実行できるか」を先に定義すると失敗が減ります。Rightsはネーミングライツ、ユニフォーム・看板、放映・配信での露出、デジタル権利(公式SNSでの言及、素材利用、二次利用範囲など)といった「利用可能な枠」です。
一方で成果を生むのはActivationで、例えばスタジアム内外の導線に合わせた来店・EC誘導、会員登録やクーポン配布、ファン参加型の投票・抽選、限定コンテンツ視聴などの設計が必要になります。Rightsは比較的買いやすい一方、Activationは社内の予算・運用・法務確認を含む実行力が問われるため、契約前に「どのKPIを、どの導線で、どのデータで測るか」をセットで固めるのが実務的です。
アスリート・チーム起用:広告塔ではなく“共同のストーリー設計”が鍵
アスリートやチームの起用は、単なる著名人起用と異なり「実績」「挑戦」「葛藤」「勝敗」といった文脈が強く、ブランドの意味づけを左右します。効果が出やすいのは、商品説明を前に出すよりも、ブランドが大切にする価値観と選手・チームの価値観の接点を物語として組み立て、複数回接触で理解を深める設計です。
例えば、育成や地域貢献、食・健康、挑戦、継続といったテーマを固定し、CM・SNS・イベント・店頭を通じて一貫したメッセージを積み上げます。
注意点はリスク管理で、不祥事や競技成績の変動、SNSでの炎上が起きた際に、表現差し替えや配信停止の判断基準が必要になります。起用契約では、肖像・商標・投稿ルール、競技団体の規定、代替案(別素材・別メッセージ)まで含めて運用設計しておくと、事業側のブレが小さくなります。
イベント・体験:観戦体験/パブリックビューイング/参加型キャンペーン
イベント施策は「熱量のピーク」をつくりやすい一方で、単発で終わると投資回収が難しくなります。観戦体験やPV、参加型キャンペーンは、来場前からの期待形成、当日の体験設計、終了後の継続接触までを一連の導線として設計するのが基本です。
具体的には、参加登録でゼロパーティデータを取得し、当日は限定特典や抽選、SNS投稿の動機づけを用意し、終了後はハイライト動画や舞台裏コンテンツで余韻を延長しながら会員化・購買につなげます。スポーツは結果が読めないため、勝敗に依存しない満足ポイント(限定体験、交流、記念、学び、コミュニティなど)を複数用意しておくとブレが減ります。
さらに、イベント効果は「参加者の熱量」だけでなく「非参加者にどれだけ波及したか」でも決まるため、UGCが自然に生まれる設計や、二次配信での再利用を前提にクリエイティブを組み立てることが重要です。
SNS・コンテンツ:舞台裏・データ・人物像で熱量を継続接触に変える
SNSは試合日だけではなく、試合のない期間に関係性を維持できる点が最大の強みです。効果が出やすいのは、勝敗の速報よりも「舞台裏」「準備」「意思決定」「選手の人物像」「データで見る成長」など、ファンが「理解を深められる情報」を継続的に供給する運用です。企業側は、広告配信で瞬間的にリーチを買うのではなく、シリーズ化したコンテンツを軸に、短尺・長尺・ライブ・記事の役割分担を作り、タッチポイントを積み上げます。
測定では、いいね数だけで評価せず、視聴維持率、保存、プロフィール遷移、検索増分、指名流入、会員登録など「次の行動」に近い指標を置くと、KPIがブレにくくなります。加えて、権利保有者側の投稿規定や素材利用の範囲を踏まえ、二次利用可能な素材を計画的に確保することが、運用コストとスピードを左右します。
地域・学校・行政連携:社会貢献に寄せすぎず事業成果と両立させる
地域・学校・行政との連携は、信頼を獲得しやすい一方で「いい取り組みだった」で終わるリスクもあります。重要なのは、社会的価値と事業成果を二項対立にせず、同じKPIツリーに置くことです。
例えば、スポーツ教室や健康増進施策を入口に、認知・好意の向上だけでなく、来店・会員化・継続利用の導線を設計します。行政連携では合意形成に時間がかかるため、単年度の成果だけを追うと歪みが出やすく、実証→改善→拡張のサイクルで積み上げる設計が向きます。
ステークホルダーが多い分、メッセージの統一、問い合わせ窓口、想定問答、炎上時の責任分担など運用の型が必要です。地域文脈に敬意を払いつつ、「誰のどんな行動が変わったか」を定義しておくと、継続予算の意思決定が格段にしやすくなります。
スポーツマーケティングで成功しやすい企業の共通点
スポーツマーケティングで成果を出す企業は、スポーツの熱量を「広告枠」として買うのではなく、ブランド資産として積み上げる設計をしています。短期の話題化と中長期の信頼形成を分けて考え、接触の回数・文脈・体験の質を意図的に設計する点が共通しています。また、権利保有者との関係を「発注先」ではなく「共同運用するパートナー」と捉え、現場で改善を回し続ける企業ほど再現性が高くなります。
ブランド整合:価値観が一致する相手を選び、語るテーマを固定する
スポーツマーケティングの実施時に最初にやるべきは、認知拡大ではなく「どの価値観を借りるか」の設計です。スポーツは感情の転移が起きやすい分、相性が悪い相手を選ぶと違和感も強く残ります。成功する企業は、チームや選手の歴史、地域性、ファン文化を理解したうえで、自社が語るテーマを固定します。
例えば「挑戦」「継続」「地域」「育成」「健康」のように、メッセージを絞って複数施策に一貫して載せることで、広告の断片ではなくブランドの物語として記憶されます。逆に、案件ごとに言うことが変わると、熱量は獲得できても信頼にはつながりません。テーマ固定はクリエイティブ制作の効率も上げ、社内の意思決定を早める効果もあるため、結果として投資対効果を改善します。
一過性回避:単発露出ではなく“年間の接触設計”で記憶を積む
単発キャンペーンで話題を取っても、購買やLTVに結びつく前に忘れられるケースが多発します。成果を出す企業は、シーズンの山(開幕、重要試合、オフシーズン)に合わせて、露出・体験・コンテンツ・CRMを連動させた年間設計を持っています。
例えば、試合前は期待を煽るコンテンツ、試合中は体験と参加、試合後は余韻のコンテンツと特典、オフは舞台裏や育成ストーリーで継続接触を作る、といった具合です。さらに、接触設計はメディアだけでなく、EC・店頭・会員制度・CSまで含めて一気通貫で組むと、スポーツ施策が単なる広報活動ではなく事業の成長投資として説明しやすくなります。
ファン理解:ファンを広告媒体として扱わず、共創パートナーとして設計する
スポーツファンは「広告に触れる人」ではなく、意思と文化を持つ当事者です。ここを誤ると、押し付け感や搾取感が生まれ、施策が逆効果になり得ます。
成功する企業は、ファンの心理と行動を理解し、参加や支援の実感を得られる設計を重視します。例えば、売上の一部がチームに還元される仕組みを透明にする、投票や投稿で企画に参加できる余地を用意する、ファンの声を次回施策に反映して「見える形」で返す、といった工夫です。ファンにとっての便益(誇り、体験、つながり、情報)を先に設計すると、UGCや口コミが自然に生まれ、結果的に広告費では買えない波及効果が積み上がります。
現場連携:権利保有者(チーム等)とKPIを共有し運用で磨き込む
権利購入で終わる企業と、運用で伸ばす企業の差は「KPI共有の深さ」に出ます。成果を出す企業は、権利保有者と“何を成功とするか”を明確にし、運用の中で改善します。
例えば、露出量だけでなく、イベント参加、会員化、指名検索、EC流入といった指標まで共通言語にし、投稿本数や素材提供のスピード、承認フローの短縮など運用面を共同で整えます。
スポーツ領域では、現場の都合(試合日程、選手コンディション、リーグ規定など)で計画が崩れることがあるため、柔軟に差し替えられる素材と代替施策を用意しておくと安定します。運用の成熟度が上がるほど、同じ権利でも成果が変わるのがこの領域の特徴です。
スポーツマーケティングで失敗しやすいパターンと回避策
スポーツマーケティングは魅力が強い反面、失敗が表面化しやすい領域でもあります。露出の派手さに引っ張られて目的とKPIが曖昧になったり、権利やリスクの論点が抜けたまま走って炎上したり、計測設計がなく「良かった気がする」で終わるケースが少なくありません。失敗パターンを先に知り、契約前・企画前の段階でチェックポイントを持つことが、最も費用対効果の高い対策になります。
露出購入で終わる:権利購入よりアクティベーション設計がROIを左右する
スポンサー施策が「ロゴ掲出=成果」となってしまうと、露出価値の換算でしか語れず、事業インパクトが出にくくなります。回避策は、権利購入の前にアクティベーション案を複数作り、実行可能性(予算、人員、法務、制作、承認フロー)まで含めて評価することです。
例えば、スタジアムでの体験からEC・会員化に落とす導線、SNSでの参加型企画、限定商品の購入トリガーなど、行動に結びつく設計があるかを確認します。権利は同じでも、活用の巧拙でROIが大きく変わるため、「買う権利」ではなく「実行する施策」で投資判断するのが現実的です。
目的が曖昧:認知目的なのに獲得KPIだけを追い、評価が崩れる
スポーツ施策は認知獲得には強い一方、短期で獲得を求めすぎると評価が歪みます。典型例は、認知目的でスポンサーになったのに、CPAや即時CVだけで評価して「効果がない」と結論づけるケースです。
回避策は、目的をファネルで分解し、段階ごとにKPIを置くことです。認知なら到達だけでなく想起や指名検索の増分、好意ならブランドリフト、獲得なら会員化やCV、継続ならLTVといった具合に、目的に合う指標で評価します。さらに、比較軸(前年同時期、非接触群、地域差など)を設計しておくと、社内説明がブレにくくなります。
炎上・不祥事対応がない:契約・ガイドライン・代替案を事前に用意する
スポーツは注目度が高く、炎上や不祥事が起きた際の拡散スピードも速い領域です。回避策は、契約と運用ルールを事前に固めることに尽きます。具体的には、肖像・商標・SNS投稿のガイドライン、表現審査の範囲、契約解除や差し替えの条件、謝罪文の責任分界、掲載停止の判断基準などを用意します。
また、代替案として勝敗や人物に依存しないコンテンツや素材を確保しておくと、万一のときでも施策全体が止まりません。危機対応は起きてから整えると遅いため、企画段階で「起きたらどうするか」をセットで設計することが重要です。
データが残らない:計測タグ・同意・CRM連携を先に設計しておく
スポーツ施策は「良かった」という感想が集まりやすい一方で、データが残らず再現性が作れない失敗が多い領域です。回避策は、計測を後付けにせず、企画の最初に組み込むことです。具体的には、UTMや計測タグ、キャンペーンコード、専用LP、会員登録導線、アンケート設計を用意し、オフライン体験もデータ化できるようにします。
個人情報やCookie同意の論点が絡むため、法務・情シス・CSと連携して運用できる形に整えることが欠かせません。最終的にCRMへ接続できれば、単発施策ではなく「関係資産」として蓄積でき、次回以降の投資判断と改善の精度が大きく上がります。
スポーツマーケティングを成功させる5つのポイント
スポーツマーケティングを成功させるためには、入念なマーケティング戦略を立案することが重要です。ブランドの認知向上や売り上げ増加などの目的を達成するために、生活者と最適なコミュニケーションができる戦略をつくり、実行していきましょう。
ここでは、スポーツマーケティングを成功させるために大切な5つのポイントをご紹介します。

ポイント1.ブランドイメージに合致するコラボ先を選ぶ
ブランドイメージに合ったコラボ先を選ぶことは、ブランドの一貫性を保つために欠かせません。コラボ先がブランドのイメージと相容れない場合、どんなに知名度があっても結果としてブランドの信頼を損なう可能性があります。スポーツが老若男女誰からも受け入れられる確率が高いコンテンツだからといって、どんなコラボ先でもよいわけではありません。
コラボ先の選定は、どんなセグメントの生活者に対してアプローチしたいのか、おのおののブランドを掛け合わせることで訴求力を強化できるのか、といった視点から検討するようにしましょう。ブランドの価値観やターゲットに合致するコラボレーションを行うことで、ブランドの訴求力が高まり、大きな効果をもたらすことが期待できます。
ポイント2.共感を呼ぶアプローチを行う
スポーツファンの生活者をターゲットとする場合は、ファンの人たちが共感できるコンテンツをつくることを心がけましょう。特にチームやアスリートとの距離が縮まる施策は効果が望めます。スポーツファンが参加できるイベントや交流会を開催すれば、ファンとの結びつきを強化できます。
自分が好きなスポーツチームや競技に対して、自分の行動がどのような意味を持つのかを明確にするような施策も考えられます。例えば、「収益の〇%をチームへ還元します」といった具体的な支援策。ファンは自分の応援がチームの発展に貢献しているという意識を持ち、さらなる熱狂を生み出すことができます。ファンのロイヤルティを高めることは言うまでもなく、スポーツチームや競技大会の収益増加も期待できるでしょう。
ポイント3.好意を持ってもらえる形で届ける
スポーツマーケティングの形はさまざまです。どのようなマーケティングがスポーツファンの生活者に好意を抱いてもらえる手法なのかも、熟考するようにしてください。スポンサーとして名前を掲示する、コラボ商品企画やイベントを実施する、SNSで情報を発信するなど、あらゆる関わり方が想定できます。自社がスポーツマーケティングを通じて達成したいゴールは何か、そのためにはどの施策が効果的なのか、逆算して検討することが大切です。
スポーツファンの関心やニーズを理解し、それに合った形の施策を行いましょう。伝えたいブランドの価値や目標に応じて、適切な形でスポーツマーケティングを活用することで、効果的な結果を得られます。
ポイント4.データ収集と分析を行う
スポーツは共感力が高く、感動や憧れを抱かせやすいコンテンツです。しかし、マーケティング担当者は感動だけに頼るのではなく、データを収集・分析しPDCAサイクルを回すことが重要です。感情だけではなく、データによる客観的な情報をもとに戦略を練ることで、効果的なマーケティングを実現することができます。
データを通じて生活者の興味関心に着目することが大切です。SNSのデータやグッズの購買データなどを分析することで、ファンの嗜好や行動パターンを把握できれば、次回以降のコラボ商品開発やイベント企画にも活かせます。これにより、ターゲット層に合った魅力的なコンテンツやサービスを提供し、ファンのエンゲージメントを高めることができるでしょう。
ポイント5.長期的に継続して取り組む
1度の取り組みで終わらせずに、中期的に継続して取り組むことも、スポーツマーケティングを成功させるポイントです。継続して取り組むことで、ファンや生活者からの認知度を高めることができます。
SNSやメールマガジンなどを活用した定期的な情報発信も、継続的な取り組みのひとつとして効果的です。試合などがないときでもファンや生活者とのコミュニケーションを行うことで、ブランドを印象付けることが可能でしょう。
スポーツマーケティングの企業成功事例3選
スポーツマーケティングは、近年注目度が高いマーケティング手法のひとつです。さまざまな企業やブランドがスポーツマーケティングを取り入れている事例も多いので、みなさんもパッと思いつくものがあるのではないでしょうか。有名選手を起用した広告宣伝や、スポーツチームとのコラボレーションなど、形は多様です。
ここでは、企業が行ったスポーツマーケティングの中から3つの成功事例をご紹介します。
事例1.株式会社ホットランド×ドジャー・スタジアム

「築地銀だこ」を展開する株式会社ホットランドは、米国のプロ野球球団のロサンゼルス・ドジャースと共同開発した、ドジャー・スタジアム限定のたこ焼き「チーズワカモレ」を日本国内全店の築地銀だこ店舗※にて期間限定で発売。国内発売の記念と大谷選手の誕生日を祝い、発売日からの3日間『スタンプ2倍キャンペーン』も実施することを発表しました。
“ドジャースファンに喜んでもらえる商品” として開発されたドジャー・スタジアム店限定のたこ焼は、日本国内から多くの要望があったことを受け、限定発売に至ったとのこと。プレスリリースには、連日人気のドジャー・スタジアム店の様子がわかる写真を掲載し、商品の紹介とキャンペーンの内容を展開しています。日本国内での販売は注目を集めました。
人気のスポーツチーム、ドジャースのホームグラウンドであるスタジアムとコラボレーションした話題性はもちろん、販売場所や期間の限定性をフックとした参考事例です。
※催事・競馬場・球場などの一部店舗を除く
参考・画像出典:【ドジャー・スタジアム限定たこ焼が、ついに “7/5” より日本発売!】 | 株式会社ホットランドのプレスリリース
事例2.株式会社伊藤園×大谷翔平

株式会社伊藤園が展開する無糖緑茶飲料ブランド「お~いお茶」は、グローバルアンバサダーの大谷選手とともに行う社会貢献プロジェクト「Green Tea for Good」をスタートしました。プロジェクトの概要とお〜いお茶「大谷翔平ボトル」が限定販売中であることをプレスリリースで配信。
大谷選手の出身地である岩手県での環境保全活動を皮切りに、海外へ輪を広げることを予定とした取り組みです。茶殻再生紙を使った屋外広告や世界62カ国で販売する新聞への広告も展開。限定ボトル以外にもグローバルアンバサダーを記念し、大谷選手プロモーションカードを数量限定で配布するなど、限りのある企画に注目が集まります。
連日野球で活躍する大谷選手の話題に加え、社会貢献度の高い取り組みはメディアフックとなり、プロジェクトの認知をより広めた成功事例ではないでしょうか。
参考・画像出典:今だけ!お〜いお茶「大谷翔平ボトル」が限定販売中!売上の一部を大谷選手と立ち上げるグローバル社会貢献プロジェクト「Green Tea for Good」に使用!
事例3.アシックスジャパン株式会社×河村勇輝

アシックスジャパン株式会社は、アシックス原宿フラッグシップでバスケットボール特設コーナーを期間限定で展開することをプレスリリースで発表。期間中は、アシックスと契約を結ぶ河村勇輝選手が着用するバスケットボールシューズ「UNPRE ARS LOW 2(アンプレアルスロー2)」をはじめ、バスケットボールシューズやバスケットボールウエアを販売します。
期間内の企画として、来店した方に河村勇輝選手のオリジナルステッカーのプレゼントやシューズホルダーがもらえるSNSキャンペーンを実施。さらに、2024年1月に沖縄で開催された祭典「B.LEAGUE ALL-STAR GAME WEEKEND 2024 IN OKINAWA」で、河村選手が着用したバスケットボールシューズを展示するなど、見どころが盛りだくさんの施策です。
祭典で活躍した選手にフォーカスした限定企画の打ち出し方が参考になる事例です。
参考・画像出典:3月16日からアシックス原宿フラッグシップでバスケットボール特設コーナーを期間限定展開!
スポーツの熱狂を生活者と分かち合おう
本記事では、スポーツマーケティングについて、さまざまな視点から解説してきました。施策の方法にはさまざまな方向性があることがわかっていただけたのではないでしょうか。
スポーツは、私たちに感動や憧れを抱かせる力強いコンテンツです。どんな施策を行うとしても、マーケティングにスポーツを活用するときには生活者とブランドがその熱狂を分かち合い、ともに感動できるような形にすることが重要です。適切な形をとれば、ブランドの認知拡大や好意度の向上が期待できます。
また、それらの施策を継続して行うことも大切です。生活者と持続的な関係を築き、さまざまなマーケティング戦略を策定し展開することで、スポーツマーケティングの効果を最大化していきましょう。
<編集:PR TIMES MAGAZINE編集部>
スポーツマーケティングに関するQ&A
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