若者の間で人気のショートムービーアプリ「TikTok」。動画広告を活用したマーケティングが定着しつつある今、TikTokを活用し始める企業も増えています。
本記事では、TikTokとはどのようなSNSなのかといった基本情報から、企業が活用するメリットや人気企業アカウントの特徴を、10事例とともにお伝えします。
そもそも、TikTokとはどんなSNSなの?
TikTokはここ数年耳にすることが増えてきたサービスですが、実際にはどのようなSNSなのでしょうか。活用するうえで知っておきたいTikTokの特徴から利用者の年齢層、これからの動画広告市場においてどんな役割を果たすのかをまとめました。
TikTokの特徴
TikTokは、音楽に合わせて15秒ほどの短い動画を撮影・加工し、投稿できるショートムービープラットフォームです。15秒の動画を投稿するまでの、撮影・編集・加工などのすべての作業をTikTokアプリでできることが人気の理由です。
運営会社は中国のByteDance社。2016年にサービスを開始したにもかかわらず、2018年には世界中で5億人もに利用されるようになった人気アプリです。日本でも若者を中心に利用者が増えています。
YouTubeは自分で動画のコンテンツを考える必要があるのに対して、TikTokはアプリに入っている楽曲に合わせて動画を撮影するだけで投稿できます。動画投稿に際してハードルが高いと思われがちな編集作業もアプリ内で簡単に行うことができます。簡単でわかりやすい操作方法やデザインが若者にヒットし、ブームを巻き起こしているのです。
TikTokの年齢層
TikTokのメインターゲットは、10代の中高生です。ほかのSNSのターゲット層よりも若年層向けのサービスとなっています。
2023年3月1日〜2日、LINE株式会社が15〜24歳の男女4,463人を対象に行った「最近流行っているコト・モノ・ヒト」に関するアンケート調査では、TikTokが総合1位を獲得。
また、株式会社SheepDogが22年4月1日に15~29歳の男女300人を対象に実施したTikTokに関するアンケートでは、「過去に投稿したことがある」人が12%、一度でも投稿したことがある人の割合は合計で23%に及びました。
動画広告市場
2018年から動画広告市場が急速に成長しはじめ、今や動画広告はもっともエンゲージメント効果の高いマーケティング手法とも言われています。背景には、スマートフォンの普及によって通信料のみで動画を無料で見られる機会が増えたことがあります。
動画広告市場が拡大し、企業にとってもTikTokなどのショートムービープラットフォームの重要性は高まってきています。
企業がTikTokを活用する3つのメリット
若者向けのイメージが強いTikTok。企業が活用するイメージを想像しにくい方もいるのではないでしょうか。企業がTikTokを利用するメリットは、大きく分けて3つあります。
メリット1.10〜20代に訴求できる
先述の通り、TikTokのメインユーザーは10〜20代の若年層。SNSマーケティングとしてよく使用されるX(旧 Twitter)やInstagramの利用者がそれぞれ20代〜40代に多いことを考えると、10代に訴求できるTikTokは有効なマーケティング手法です。
これから社会に出てくる10代を自社のファンにすることで、将来の顧客を獲得することができます。
メリット2.利用企業が少なく差別化できる
SNSマーケティングの手法のひとつとして注目を集めつつあるTikTokですが、現時点で活用している企業はそれほど多くはありません。
SNSマーケティングの主流であるX(旧 Twitter)やInstagramに比べるとまだ利用者数が多くないことや、登録ユーザーが10〜20代と若年層が大半を占めていることから、TikTokを率先してSNSマーケティングに活用しようとする企業が少ないのです。
利用している企業が少ないからこそ、競合他社に埋もれることなく、自社独自のマーケティングができるといったメリットがあります。
メリット3.グローバルに訴求できる
TikTokの国内の利用者数は950万人とX(旧 Twitter)やInstagramに比べると少ないのですが、国外も合わせた月間アクティブユーザーを見てみると、10億5,100万人(2023年2月時点)にのぼるユーザーを獲得しています。
ほかのSNSマーケティングでは訴求できないグローバル層にもアプローチすることができるのがTikTokの特徴です。
企業のTikTok活用事例10選
ここでは、話題となった企業のTikTokアカウントを紹介します。新しいマーケティング手法として、活用の仕方もさまざま。事例を参考に、自社のTikTok活用方法を検討してみてはいかがでしょう。
事例1.日本コカ・コーラ「#い・ろ・は・すの歌キャンペーン」
日本コカ・コーラ株式会社は、同社が展開するナチュラルミネラルウォーターブランドから「みんなでつくる い・ろ・は・すの歌」と題した企画を実施しました。
TikTokをはじめとするSNSで「#い・ろ・は・すの歌キャンペーン」を付けて投稿し、応募するプレゼントキャンペーンです。約2ヵ月間にわたるプロジェクトですが、開始から間もなく多くの投稿が集まっています。
参考:楽しくキャンペーンに参加してみんなで未来を変えよう あなたの投稿動画がCMになるかも 「みんなでつくる い·ろ·は·すの歌」キャンペーン
事例2.ドミノ・ピザ「#ドミノのサクサクチャレンジ」
株式会社ドミノ・ピザ ジャパンは、「#ドミノのサクサクチャレンジ」を付けて投稿すると、100人にピザ1枚無料クーポンが当たる抽選企画を実施しました。新シリーズ商品である「夏のサクサクサマー」を多くの人に知ってもらうべく、TikTokで展開したプロジェクトです。
BGMやカメラワークは自由で、ハッシュタグチャレンジの中では比較的誰でも投稿しやすい条件となっているのが特徴。投稿後、URLから抽選ページに移るとその場で結果がわかる手軽さも魅力的です。
参考:シャトルロックジャパンのTikTok即時抽選キャンペーンをドミノ・ピザが活用!
事例3.SNSを活用した「私の最強推しコスメグランプリ」
マーケティングの支援事業を手掛けるNEL株式会社は、ショート動画キャッシュバックサービス「osina」をリリースしました。TikTokなどのSNSに対象商品に関連する動画を投稿すると、再生数に応じて報酬がもらえる画期的なサービスです。
8月1日から28日にかけては、「私の最強推しコスメグランプリ」と題したキャンペーンを実施。合計再生数が多い上位10人に、5万円相当のコスメ詰め合わせをプレゼントする企画です。
SNS事業を展開する企業が、マーケティング施策も兼ねてTikTokを活用し、効率的な認知拡大・販売促進効果を発揮した事例といえます。
参考:【NEL】推しコスメの動画を投稿するだけ!ショート動画キャッシュバックサービス「osina」を正式リリース
事例4.森永製菓「LET’S HI-CHEW fantasy mix from U.S.A」
森永製菓株式会社は、新商品「ハイチュウアソート<ファンタジーミックス>」の発売に伴ってTikTokキャンペーンを開催しました。ハイチュウエフェクトを使ったダンス動画を投稿すると、お1人限定で渋谷スクランブル交差点とニューヨークのタイムズスクエアの大型ビジョンに動画が1日間放映されるプロジェクトです。
新商品はアメリカからの逆輸入で再現されたハイチュウで、大規模な企画となるため膨大な応募動画が投稿されています。キャンペーン中は、人気クリエイターによるお手本動画も10人以上投稿。クリエイターのフォロワーがキャンペーンを知る機会にもつながっています。
参考:ハイチュウが新商品を発売!TikTokで人気クリエイターが参加する「LET’S HI-CHEW fantasy mix from U.S.A」キャンペーンを実施。
事例5.ベルク×明治「#プロテインダンスキャンペーン」
株式会社ベルクと株式会社明治は、共同企画として「#プロテインダンスキャンペーン」を実施しました。TikTokで、オリジナルBGM「あなたプロテイン」を使ったダンス動画を投稿すると、32人に賞品が当たる抽選企画です。
応募対象となるオリジナルBGMだけでなく、盛れる・隠れるをテーマにした限定エフェクトも用意。普段ティックトックに登場していないユーザーでも、顔を見せることなく気軽に応募できるような配慮が特徴です。
キャンペーン実施に合わせて共同アカウントを設立し、キャンペーン動画や、参加手順がわかるショートムービーも投稿しています。
参考:スーパー・ベルクと明治が共同でTikTokキャンペーンを実施 ダンス動画を投稿した方の中から32名様に豪華賞品が当たる!「TikTok #プロテインダンスキャンペーン」
事例6.オクフェス「#オクフェス 20 周年」「#本場ドイツへ行こう」
株式会社ビー・エフ・シーは、2023年7月に開催される「日比谷オクトーバーフェスト 2023~SUMMER~」に際して、20周年を記念するSNSイベントを開催しました。TikTokなどの公式アカウントをフォローし、2つのハッシュタグを付けて写真・動画と一緒に投稿すると賞品が当たる抽選キャンペーンです。
20周年という区切りもあり、開催期間中は多くの投稿が集まりました。公式アカウントではイベント時以外も多様なコンテンツを発信しているので、新規フォロワーの獲得にも効果を発揮した事例といえます。
参考:本場ドイツのオクトーバーフェストが当たる︕20 周年特別企画︕SNS 投稿キャンペーン開催
事例7.鈴鹿サーキット「#鈴鹿でよしお兄さんとダンス」
三重県鈴鹿市にある鈴鹿サーキットパークは、夏休みシーズンにオープンするプールとイベントに合わせて、TikTokを多数投稿しました。小さい子どもでも簡単に踊れるダンスを、「よしお兄さん」のお手本動画で紹介。
さらに「#鈴鹿でよしお兄さんとダンス」のハッシュタグとともにダンス動画を投稿すると、年間パスポートやオリジナルグッズなどが当たるキャンペーンも開催しています。鈴鹿サーキットの公式アカウントは3,000近いフォロワーを獲得しているため、夏休みならではの広報PR活動として参考になるポイントも多いでしょう。
参考:体操のお兄さんが鈴鹿の夏を盛り上げる「よしお兄さんと一緒にダンス!『鈴鹿で水かけダンス』」開催|鈴鹿サーキットのプレスリリース
事例8.味の素「#コンソメるダンス」
味の素株式会社は、TikTokで「#コンソメるダンス」のハッシュタグチャレンジを実施しました。オリジナルMVやタレントのインタビューを公開する特設ページの開設に伴って、エフェクトを使ったダンス動画や料理動画を募集するキャンペーンです。
「ついつい口ずさみたくなる」という通り、「頭に残る」「かわいいダンス」といったコメントが多数。選考を突破した応募者はWeb CMへの出演権を獲得できるという豪華プレゼントで、非常に多くの投稿が集まりました。
参考:ついつい口ずさみたくなる“歌詞”と、キュートな“ダンス”で…歌って踊ってコンソメ愛を表現♪「#コンソメるダンス」MVを公開
事例9.ファミリーマート「#ファミマで1個買うと1個もらえる」
株式会社ファミリーマートは、対象商品を1個買うと対象商品の無料引換券がもらえる「1個買うと、1個もらえる」キャンペーンに際して、TikTok企画を展開しました。「#ファミマで1個買うと1個もらえる」を付けてTVCM楽曲を使った動画を投稿すると、翌週の引換対象商品がすべてプレゼントされる10人限定の抽選キャンペーンです。
多くの人にとって身近な存在であり、日常的に利用する人も多いため、応募投稿も多数掲載されました。公式アカウントでは第2弾、第3弾と開催の都度PR動画を発信しており、定期的な投稿も認知拡大効果を発揮しているといえます。
参考:ファミマのおトクはまだまだ止まらない!「1個買うと、1個もらえる」キャンペーン 今週は麦茶 680ml買うと、翌週麦茶2Lがもらえる!
事例10.日テレ公式ショートドラマに出演できる「#演じてみた」
Bytedance株式会社は、東宝株式会社とTikTokによるコラボレーションプロジェクトにおいて、「#演じてみた」のハッシュタグチャレンジを開催しました。縦型映画作品を募集する取り組みの一環として、優秀投稿者は日本テレビ公式のショートドラマ「毎日はにかむ僕たちは。」の投稿作品の出演権を獲得します。
公式アカウントでは、日テレ公式ショートドラマ出演者による募集案内動画も投稿。1ヵ月の募集期間で膨大な量の応募が集まり、ユニークな作品からシリアスなワンシーンまで、男女問わず多くのインプレッションを獲得したハッシュタグチャレンジです。
参考:TikTokにて演技コンテンツを募集するチャレンジ「#演じてみた」がスタート!優秀投稿者には日本テレビの縦型ショートドラマ「毎日はにかむ僕たちは。」に出演のチャンス!
企業がTikTokを始めるときの3つのポイント
上で紹介した企業の成功事例から、企業がTikTokを始めるときのポイントを3つにまとめました。
ポイント1.ターゲット層の趣味嗜好をリサーチする
先述したように、TikTokのメインターゲットは10代の中高生。企業の人気アカウントも10代にヒットし、真似しやすい動画を上げて多く投稿されるように設計されています。
上で挙げた例でいうと、「#プロテインダンスキャンペーン」「#コンソメるダンス」などがこれに当たります。
一方で日テレ公式ショートドラマの出演のチャンスがある「#演じてみた」は、大学生や社会人がメインターゲット。動画の内容も「ショートドラマ」と、少し高めの年齢層を惹きつけやすいコンテンツになっています。
TikTokを活用することで、どのような年齢層にアプローチしたいのかを定め、その年齢層の趣味嗜好にヒットするコンテンツを用意するとよいでしょう。
ポイント2.キャンペーン時以外の投稿内容を検討する
企業がマーケティングとしてTikTokを使うのであれば、長期的に愛されるアカウントを作りたいですよね。
例えば、鈴鹿サーキットが実施した「#鈴鹿でよしお兄さんとダンス」は子ども向けの施策ですが、普段からサーキット内の様子を発信することで、子育て世代にも見てもらいやすいコンテンツを充実させています。
投稿数を伸ばして長期的に愛されるためには、キャンペーン開催時以外にもTikTokをどう活用するかを意識することが重要です。
ポイント3.視聴者が参加しやすい内容を検討する
今回紹介した企業アカウントのうち、ほとんどは視聴者参加型で話題になったものです。
視聴者が参加しやすいコンテンツにするポイントは以下の3つです。
- 真似しやすい簡単な踊りなどのコンテンツにする
- インフルエンサーによる「お手本動画」
- ハッシュタグチャレンジ
特に「#〇〇」といったハッシュタグチャレンジは視聴者が真似しやすく、似たような動画を視聴者が投稿することでさらにそのキャンペーンが拡散されていくという利点があります。
視聴者が参加しやすい内容を企業側から設計すると話題になりやすいです。
自社に合ったTikTokの使い方を検討してみよう
この記事では、企業のTikTok活用方法を10事例とともに紹介しました。
TikTokなどのショートムービープラットフォームの需要はこれからも増えていくことが予想されます。うまく活用できれば新しいSNSマーケティングの効果が得られるかもしれません。
これを機に、自社にあったTikTokの活用方法を検討してみてはいかがでしょうか。
<編集:PR TIMES MAGAZINE編集部>
企業のTikTok活用方法のポイントやメリットに関するQ&A
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