これまでにPR TIMES上で配信されたプレスリリースの動向を振り返り、紐解いていく月間PR TIMESプレスリリースウォッチ総評です。
今回は、昨年の2019年10月に配信されたプレスリリースをもとに、2020年10月のプレスリリース配信に役立つ情報やノウハウを見つけていきたいと思います。
2019年10月のトレンド振り返り総評
10月の主要な広報トピックスとなる「ハロウィン」は、9月ころから関連グッズやディスプレイが並び、秋の訪れと共にハロウィンムードが漂います。
もちろん秋といえば、「芸術の秋」や「食欲の秋」など季節感あるキーワードも。過ごしやすい気候につき、ジャンルを問わず様々なイベントや企画も立てやすいです。「ハロウィン」という一大イベントと並行して、プロダクトやサービスを活かしたシーズナル情報も目立ちます。
また、「早割りキャンペーン」など年末年始に向けた情報も少しずつ増え始める時期でもあります。
(PR TIMES編集部)
1年前のPR TIMESにみる10月のプレスリリース配信タイミング
2019年のプレスリリース配信数の推移から、2020年同月の配信タイミングのヒントとなりそうな動向をピックアップし、考察していきます。プレスリリース配信数に関する2019年10月の注目ポイントは以下の4点でした。
10月は下半期スタートの企業も多いため、1日は新商品・新サービス情報の発表が重なりやすいようです。加えて2019年10月1日より消費税増税がスタートしたことも、次点と大きく差をつけてデイリー最多となった要因ではないでしょうか。タイトルに「増税初日」「増税直後」などのワードが盛り込まれたり、キーワードに「増税」と登録されたプレスリリースも見受けられました。
「スポーツの日」によって配信数に変化の可能性も
2019年の14日(月)は「体育の日」(2020年以降はスポーツの日)、22日(火)は「即位礼正殿の儀」の祝日となり、他の月と同様に月末月初は配信本数が大きく伸長し、土日祝日は減少する傾向となりました。
しかし2020年の「スポーツの日」はオリンピックの開催に伴い7月に変更、「即位礼正殿の儀」は2019年限りの祝日となり、2020年の10月には祝日がありません。そのため配信本数の推移にも若干の変化が見られるでしょう。
ハロウィン情報は月間通して盛んに配信
10月の一大イベントである「ハロウィン」に関連するプレスリリースは、曜日や祝日によって変動はあるものの、月間全体を通して配信が見られました。最終週に限っては週始めから徐々に減少し31日に大きく盛り返すといった、V字を描きました。
2019年10月に注目を集めたプレスリリースPick Up
2019年10月にパソコンまたはスマートフォンでPV数やエンゲージメント率が高かったプレスリリースの中から、PR TIMES MAGAZINE編集部が独自にピックアップ!プレスリリース事例から見る一言ノウハウについて、解説していきます。
株式会社ビビッドガーデンのプレスリリース事例
オンラインマルシェ『食べチョク』を運営するビビッドガーデンが2億円の資金調達を実施。VCと事業会社5社、松本氏・為末氏・野崎氏らが加わり、マーケティングと採用を強化。
農作物の生産者から直接商品を購入できるオンラインマルシェの資金調達実施のお知らせです。
農業従事者の高齢化や減少という社会課題と向き合うサービスということもあり、ビジネスパーソンの興味関心が高く、Facebookのいいね!数が約2,000にのぼりました。同社の他プレスリリースと比べても反響が高いのには、「資金調達」という内容も影響していそうです。
<事例から見る一言ノウハウ>
プレスリリースのタイトルで、社名のみならずサービス内容も記載。生活者にとっては運営企業・団体名ではなくサービス名の方が馴染み深いことも多く、その点が配慮されています。
また、資金調達の使途を記載している点も好感度が高まりやすいポイント。サービスの伸びしろや成長方向が垣間見え、より期待感を持てるようになります。これもエンゲージメントを高めるポイントでしょう。
資金調達ネタはビジネス側面が強くなりますが、関係者が農作物を手にした笑顔の集合写真は、生活者にとっても馴染みやすい印象を与えたことでしょう。生活に身近なサービスだからこそ、読み手に寄り添った画像素材も参考になりますね。
小野照崎神社のプレスリリース事例
852年に創建された歴史ある神社の御朱印に関するプレスリリースです。スマートフォンからのPV数が高いことから、生活者の閲覧が多かったことが推測されます。御朱印集めは昨今一大ブームとなっており、トレンドが反映された結果と言えそうです。
<事例から見る一言ノウハウ>
タイトルの冒頭に「御朱印初」というニュースバリューを高めるキーワードが入っています。また「キラキラ」という擬態語が加わることで実物がイメージしやすくなり、珍しさに興味をそそられる人が多かったのでしょう。
本文内は御朱印の概要から特徴、即位礼の基礎知識など必要な情報をそれぞれ2〜3行の分量でわかりやく伝えています。また二重構造が伝わるよう画像を複数枚使用するなど、視覚的な工夫もされており、思わず実物を手に取ってみたくなりますね。
またリード文では、本件が同年1月より開始された「御朱印アップデート企画」の一環であることが触れられています。これによって過去のプレスリリースや今後のプレスリリースにも注目してもらいやすくなります。
パタゴニア日本支社のプレスリリース事例
アウトドア企業がお持ち帰り袋(=ショップ袋)を全廃するという発表です。
配信日となる2019年10月16日時点では、日本政府が早ければ2020年4月1日よりレジ袋の有料化を目指すと公表しており、それを踏まえた意思決定を発表しています。
スマートフォンよりパソコンからのPV数が高い点や、Facebookのいいね!数が1万弱を記録している点などから、ビジネスパーソンの関心が高かったと推測できます。
<事例から見る一言ノウハウ>
同社は国連で最高の環境賞「地球大賞」を受賞するほか、カスタマーサービスと直営店で毎月定休日を設けるなど、会社一丸となった社会問題に対する積極的なアクションがたびたび注目されます。
お持ち帰り袋の全廃と同時に、不要なエコバッグを回収して再利用するという類を見ない新たな取り組みを発表。さらに同社のお持ち帰り袋の歴史も簡単にまとめられ、長らく環境問題と向き合ってきた企業姿勢が伝わってきます。こうした他社ではなかなか真似できない「本気度」がFacebookのいいね!にも繋がったのではないでしょうか。
PR TIMESで話題になったプレスリリース
PV数やSNSの波及数など数値の観点だけでなく、PR TIMESで話題になったプレスリリースもご紹介します。
株式会社主婦の友社のプレスリリース事例
正しいお風呂の入り方、実は9割の人が知らなかった! 美人になれる「入浴法」とは? 幅広い世代の女性に支持される『読むお風呂の魔法』重版決定
書籍の発行、販売をおこなう企業から重版が決定した書籍に関するプレスリリースです。読み手の目に留まりやすい練られたタイトルや、書籍の内容を小出しにするテクニックが光っています。
実際の読者層や読後の支持する声など、重版ならではの得られる情報を盛り込み、付加価値をプラスしている点も参考になりそうです。
2020年10月のトレンド予測
10月は「ハロウィン」のみならず、季節感を活かした企画をおこないやすいです。とくに「●●の秋」は自由度が高いので、自社らしい提案にチャレンジするには絶好のチャンスかもしれません。
4月からの上半期を9月で終えた企業にとっては、10月は下半期がはじまる大切なタイミング。経営情報の発表に忙しくする広報担当者もいるかもしれませんね。経営情報の発表は昨年のPR TIMESでの配信状況を参考に、より大きなインパクトを得られるタイミングを見極めてみましょう。
<編集/岡 陽香>
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