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BtoBのプレスリリース事例10選と作成時の5つのポイントを解説

企業や団体が自社の新規情報を発信するとき、情報の受け手となるステークホルダーは、生活者に限りません。企業から企業に向けた情報もあるでしょう。本記事ではいわゆる「BtoB」と呼ばれる、企業から企業に向けたプレスリリース配信の10の事例と作成時のポイントをお伝えします。

そもそも、BtoBとは?

BtoB」とは「Business to Business」の略で企業間の取引を指す言葉。「B2B」と表記することもあります。対して「BtoC」もしくは「B2C」は「Business to Customer」の略で企業と生活者の間で行われる取引を指します。

スーパーや通販サイトで生活者が直接購入する「BtoC」に対し、家電メーカーが家電を量販店に卸したり、企業が展開している勤怠チェックサービスを他企業が取り入れたりするのも「BtoB」に当たります。

「BtoB」のプレスリリースを配信するメリットは?

「BtoB」は企業間の取引のため、プレスリリースも取引先企業にだけ展開すればいいのでは?と思われる方もいるかもしれません。しかし公にプレスリリースを配信することによって新たな取引先が増えたり、受注件数が増えるきっかけになったりするなど、メリットも少なくありません。また、今やプレスリリースは生活者が目にする機会も増えているため、エンドユーザーに自社をアピールするチャンスでもあります。

事例を挙げて解説するので、今後の情報発信の参考にしてみてください。

BtoBのプレスリリース事例10選

プレスリリースの配信は、新商品や新サービスのリリース時のみだと思われがちですが、実は配信の機会は多いものです。さっそく、BtoB企業がプレスリリースを配信する10の機会について、事例とともに確認していきましょう。

事例1.導入実績

商品やサービスが導入された実績は、プレスリリースになりえます。特に、「導入開始」「導入●●万件突破」などの事例はニュースバリューがあるため、プレスリリースを配信する機会となります。導入実績には自社が開発したサービスやプロダクトが他社に導入される、他社のものを自社が導入する、といった両ケースがあります。

株式会社Housmart プレスリリース

株式会社Housmartは、自社が提供する不動産DXのための営業支援ツール「プロポクラウド」が、株式会社大京穴吹不動産で導入されたことをプレスリリースで発表。導入の背景や導入エリアについて詳しく紹介することにより、業界内のほかの潜在顧客が検討しやすくなっています。

参考:営業支援システム『プロポクラウド』を大京穴吹不動産が導入

事例2.技術開発の実証実験の発表

新しいサービスや技術を開発する企業では、たびたび実証実験が行われているでしょう。こうした実証実験の取り組みや結果も大切な新規情報として、プレスリリースになりえます。

Senxeed Robotics株式会社 プレスリリース

Senxeed Robotics株式会社は、ロボットで介護の生産性を高めていく取り組みの一環として、ロボット車椅子の実証実験を介護付有料老人ホームで実施したことを発表。神奈川県が主催する令和4年度後期公募型「ロボット実証実験支援事業」として実施されており、地域の課題解決にもつながる内容です。実際にシニアが車椅子に乗っている写真を用いることで、現場での活用シーンがわかりやすく伝わります。

参考:ロボットによるシニア介護の生産性向上に向けて、自動運転ロボット車椅子「PathFynder」の実証実験を介護付有料老人ホームにて実施

事例3.企業間の提携・連携

企業間で契約を結ぶ「提携」のほか、協力体制をとる「連携」についてもプレスリリースで情報発信していきましょう。

株式会社TableCheck プレスリリース

こちらは世界中の飲食店と生活者をつなぐプラットフォームの開発・提供を行う株式会社TableCheckが、世界最大級の旅行プラットフォーム「Tripadvisor®」と連携を開始したとの発表です。

連携は、トリップアドバイザーのページから、そのまま飲食店のネット予約をすることが可能になったという内容。全体で2000文字とコンパクトな構成ながら、予約画面のデモ画像を挿入することで、ユーザーが利用できるサービスの便利さをわかりやすく伝えています。

参考:世界最大級の旅行サイト「Tripadvisor®」と連携開始

事例4.業界ならではの調査リリースでニュースを提供

企業や生活者に向けて最新の業界ニュースやトレンドを伝える調査リリースも、プレスリリースで発信できます。業界全体を俯瞰したデータや資料を提供することで、普段注目されにくい業種や業界ならではの情報について、さまざまな人に伝えるチャンスとなるでしょう。

株式会社Lifeplay プレスリリース

メディア運営を中心に、Webコンサルティング事業などを実施する株式会社Lifeplayは、HRテックのジャンルを細分化した「カオスマップ」を発表。普段意識されにくい人事領域に関連する企業を一覧にまとめた、資料的価値の高いプレスリリースです。

参考:国内最大級のHR Techメディア「HRテックガイド」が、『HRテックカオスマップ【2023年最新版】』を発表しました

なお、調査リリースの書き方についてはこちらの記事でも紹介しています。

事例5.サービスの正式版の提供開始・ローンチ

新たなサービスが誕生する際、α版、β版を経てから正式版が提供開始やローンチがされることもあります。このようなバージョンごとの情報も、発信の機会になります。

株式会社プロフィットメイカーズ プレスリリース

株式会社プロフィットメイカーズのプレスリリースでは、エンジニアに特化した採用プラットフォーム「CatalystBase(カタリストベース)」 β版のローンチを伝えました。簡単な登録方法のほか、「導入をご検討の企業様へ」と潜在顧客向けのメッセージも付記しているのがわかりやすい点です。

参考:エンジニアのキャリアを最優先に考えた採用プラットフォーム「CatalystBase」 β版ローンチ。エンジニアのスキルを可視化しキャリア成長を支援

事例6.展示会への出展

さまざまな企業の新商品や新技術が一堂に集まる展示会への出展も、企業の活動を伝える大切な情報です。積極的に発信していきましょう。

東京ニットファッション工業組 プレスリリース

東京ニットファッション工業組合は、TOKYO KNITブランドの認証企業35社が参加する展示会の概要をプレスリリースで発信しました。高い技術力で生み出されたコレクションや、今話題のデザイナーとコラボしたアイテムなど、総計約150点を展示することでOEM/ODMの受注につなげようとしています。

参考:TOKYO KNIT認証企業35社が参加、約150点のアイテムを展示 TOKYO KNIT総合展2023「クロスオーバーエキシビション」開催~廃棄される裁断クズから再生した素材など3R(※1)を意識~

事例7.イベントやセミナーの開催、スタートアップ企業支援

イベントやセミナーなど、後継者育成や事業領域の普及につながる活動を行っている場合、プレスリリースとして広く発信することがおすすめです。

株式会社Wiz プレスリリース

株式会社Wizは、GMOペパボ株式会社、GMOクリエイターズネットワーク株式会社、freee株式会社と、オンラインセミナー「《個人事業主の方必見》まだ間に合う!インボイス対策セミナー」を開催。

インボイス制度導入に関連したあらゆるお悩みを持つ個人事業主・フリーランス向けに役立つ情報を無料オンラインセミナーで提供しています。

参考:《2/14(火) 個人事業主の方必見》まだ間に合う!インボイス対策セミナー

渋谷区と民間企業の産官連携でスタートアップをサポートするコンソーシアム「Shibuya Startup Deck」は、活動部会のひとつである人材・HR部会から、スタートアップ・ベンチャー企業の成長に不可欠な労務管理のためのセミナーを開催。開催の概要やテーマがわかるアイキャッチが目を引きます。

参考:Shibuya Startup Deckが「労務で痛い目に合わないスタートアップになるために~資金調達やイグジット戦略と企業の信用~」セミナーを開催

セミナー開催時のプレスリリース作成については、ポイントなどをこちらの記事で紹介しています。

事例8.アワード受賞

業界ごとに優れた技術や貢献者を表彰するアワードが国内外で開催されています。このようなアワードは、主催側だけでなく受賞側にとってもプレスリリースの配信機会となります。

株式会社クラダシ プレスリリース

株式会社クラダシは、PR TIMESが企画・運営する「プレスリリースアワード2022」で「エンパシー賞」を受賞したことを発表しました。「私たちのバレンタインは2月15日から始まります」というメッセージとともに期間限定で開催した、季節商品のロス削減を目指したPOPUP SHOPのプレスリリースです。

受賞テーマの概要をまとめるだけでなく、アワードの目的や賞の指針にも触れつつ、自社の取り組みが評価された経緯を丁寧に説明することも大切です。

アワードと企業の理念との親和性が高いことによって、受賞の価値だけでなく企業の姿勢やどんな面に特化した商品・サービスなのかが伝わります。受賞を知らせるこの機会を、今後の取り組みや意気込みを発表する機会にもできるとよいですね。

参考:クラダシ、「プレスリリースアワード2022」にて「エンパシー賞」を受賞

事例9.自治体と協力した地域活性につながる取り組み

自治体のDXや地域活性化に向けての取り組みやCSRなどの活動も、プレスリリースで発信することがおすすめです。地域プロモーションのみならず、社会課題の解決にも取り組んでいるといった自社の姿勢を訴求できるでしょう。

株式会社鎌倉新書 プレスリリース

「終活」に関するさまざまなサービスを提供する株式会社鎌倉新書は、神奈川県藤沢市の問い合わせ対応業務の負担を軽減するため、チャットボットの構築に関する導入委託事業を受託しました。提携の内容とどのように業務効率化につなげるかの道筋を具体的に紹介しています。

参考:鎌倉新書、神奈川県藤沢市の自治体DXに参画

事例10.特設サイト開設

通常の商品サイトやコーポレートサイトとは別に、キャンペーンや新プロダクト用や、問い合わせ対応窓口などのために、特設サイトを開設することもあるでしょう。そのような機会もプレスリリースを配信しましょう。キャンペーンや新商品自体を紹介するプレスリリースに特設サイトの情報を載せるのもわかりやすく、おすすめです。

新田ゼラチン株式会社 プレスリリース

コラーゲン・ゼラチンの製造・販売を行う新田ゼラチン株式会社は、加齢により心身が衰えた状態「フレイル」にならないための生き方を提案するプロジェクトを発表。特設サイトのリンクを紹介するなど、フックとなる動線を意識しつつ、プロジェクトそのものの狙いもわかりやすく紹介しています。

参考:『いつまでも元気で、若々しくありたい』を叶える新プロジェクト「フレイルFREE Project」が開始!

BtoBのプレスリリースを制作するときの5つのポイント

BtoB企業がプレスリリースを配信できる機会は、新商品やサービスの発表以外にもたくさんあることがわかったのではないでしょうか。

最後に、BtoB企業がプレスリリースを制作するときの、5つのポイントについて解説します。より多くの人に、魅力的に伝わるプレスリリースを作成するためにも、以下のポイントを押さえておきましょう。

ポイント

1.発売や開発の背景やストーリーを伝える

BtoCのような生活者に向けた情報発信と同様に、BtoB企業のプレスリリースでも、商品やサービスの開発の背景やストーリーを伝えましょう

BtoBの情報発信は「映え」などよりもビジネスの側面が強調されがちですが、取引先=協力企業と捉えて、業界をともに盛り上げていく仲間を増やすような気持ちで情報発信していくとよいでしょう。

2.実績や受賞は積極的にアピール

実績やアワード受賞は大切な情報発信機会です。新たな取引先が見込めるなど市場拡大につながったり、投資家へのアピールにもなります

取引先は企業だったとしても、エンドユーザーには生活者がいることを意識して、実績がもたらす効果やアワードの目的、自社との関連性などをわかりやすく明記することも大切です。

3.専門的な内容はわかりやすく

BtoB企業の場合は、顧客も専門知識を持ち合わせた企業であるが故に、取り扱う情報も専門用語が多くなります。

しかしサービスや技術を導入していない潜在層にも特徴やメリットが伝わるよう、専門用語には解説や注釈を入れたり、図解を入れるなど、丁寧な解説を心がけましょう

4.イメージ画像や図解を上手に使う

サービスや技術の開発を発表する際は、取引先が導入後の様子を想像できるようにイメージ画像や図解を用いるようにしましょう。

実績や検証結果など具体的な数値で信頼性を得るだけでなく、専門的な内容が多くなりやすいからこそ図解を用いるなど伝わりやすさもポイントです。

5.誰に伝えたいのかを明確にする

プレスリリースを配信する際には、すでに顧客である取引先への発信なのか、新規顧客獲得に向けてなのか、さらには卸先となる生活者も見据えられているのか、誰に伝えたい情報なのか整理しましょう。

伝えたい相手が変わることで、プレスリリースに盛り込む内容が変わります。

どんな環境で導入いただくのがおすすめなのか例を挙げたり、具体的な事例を挙げるなどするとよいですね。

BtoBのプレスリリースは、ステークホルダーから信頼を得やすい内容を心がけて

BtoB企業は、生活者に直接商品・サービスを提供することがなかったり、業界内の取引先との連携が多かったりすることから、世間に広く親しみを感じてもらう機会が少ないと言ってもいいでしょう。しかし、プレスリリースの配信は生活者やメディア関係者に自社の魅力を知ってもらえるチャンス。

サービスやプロダクトが社会にどのような価値をもたらすものなのか、検証結果や実績を載せるなど、定量的な数値を明記しながら発信する姿勢も大切です。

またBtoBの情報は、株式市場への影響も大きく、投資家からの注目度も高いものです。自社のファンを増やすためにも、数値だけでなく開発に至った背景、企業が中長期的に目指す姿なども情報として伝えましょう。

本記事で解説した事例やポイントを参考に、各ステークホルダーからの信頼を得られるようなプレスリリースの作成を行ってみてはいかがでしょうか。

<編集:PR TIMES MAGAZINE編集部>

BtoBのプレスリリース事例に関するQ&A

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この記事のライター

大森 美野

大森 美野

2015年にPR TIMES入社。主にPR活動レポート作成をしていましたが、もっとお客様の声が聞きたくて2019年よりカスタマーリレーションズ本部に異動。情報を欲していた広報担当時代を思い出しながら、PR TIMES MAGAZINEではたくさんのアレコレを届けていきたいと思います。石橋は叩きすぎて壊すタイプ。でもたまにスキップで渡っちゃいます。

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