新型コロナウイルス影響下、メディア側の動向は? #メディア関係者アンケート<前編>

2020年4月7日に発令された緊急事態宣言。5月4日には、当宣言の5月末までの延長が決定されるなど、社会情勢は今も変容を続けています。

テレワーク推進の背景から、広報活動においてもオンラインでのイベント開催や取材対応がスタンダードになりつつあります。そして、この変化は取材するメディア側も同様です。

PR TIMES MAGAZINEでは「新型コロナウイルスの影響下で考える広報対応」特集として広報PR担当者へアンケートを実施し、広報PRに携わる方々の現状をナレッジシェアを目的にお伝えしました。

そして今回は、メディア運営に携わる方々に「急速なテレワーク移行に伴うメディア内部の変化に関するアンケート」を実施。アンケートで寄せられたコメントを前編・後編の2回に分けてご紹介します。

メディアの環境変化をお伝えすることで、いまどういった情報発信が求められているのか生活者に届けるべき情報は何なのか、多くの広報PR業務を担う方々のヒントになれば幸いです。

・・・

今回アンケートにご協力いただいたのは、TV、新聞、WEB媒体など様々なメディアの運営に携わる計14名の方々です。(媒体名あいうえお順)

ウレぴあ総研 編集長・後藤晴美氏
TechCrunch 編集統括・吉田博英氏
TRAICY 編集長・後藤卓也氏
日経クロストレンド / 日経トレンディ 発行人・杉本昭彦氏
ねとらぼ 編集長・加藤亘氏
ひなた宮崎経済新聞 編集長・田代くるみ氏
FASHION HEADLINE 運営 / ファッションヘッドライン代表取締役・高橋 諭氏
フジテレビュー!! / FNNプライムオンライン コンテンツ事業室 チーフビジョナリスト・清水俊宏氏
BRIDGE 共同シニアエディタ・平野武士氏
読売テレビ 編成局 チーフプロデューサー・西田二郎氏
Ledge.ai 編集長 / レッジ執行役員・飯野希氏
・IT情報総合サイト 編集部記者 
・全国紙 新聞記者
・地方紙東京支社 新聞記者
(一部、匿名での回答を頂いております)

全6つの質問に対し、回答頂いた内容を抜粋してご紹介していきます。

対面取材ゼロでも不自由なし、執筆時間も増加。

まずは、「テレワーク推進によってどのような変化があったのか」をメディア関係者の方々へお伺いしました。多くの方に挙げていただいたトピックは、やはり、最大の変化は対面での取材がなくなり、メールや電話、ビデオチャットツールでの取材形式に移行したこと。また、原稿を書く時間が増え、効率もあがったという声も目立ちました。

「日経クロストレンド、日経トレンディの両編集部は原則テレワークで、いつもと変わらない業務量をこなしています。残念ながら、郵送で届くリリース、リリース到着確認の電話はほぼ受けられない状況です。

記者からは、『すべての取材がオンライン化した。効率はむしろ上がり、取材の量を増やすことが可能に。取材に関しては、特に不自由はない。ただ、取材の前後で普段なら雑談をして、情報交換をすることが多いが、それがしにくくなったと感じている。執筆環境は特に変化なし』とのコメントもあります。」(日経クロストレンド / 日経トレンディ 発行人・杉本昭彦氏)

「4月上旬から、完全リモートになり、外出を伴う取材については全く行なっておりません。執筆環境については、出社しているときと異なり、他のメンバーとの気軽な会話などは減りましたが、目の前のタスクに集中できる時間が多いです」(FASHION HEADLINE運営 / ファッションヘッドライン代表取締役・高橋 諭氏)

「取材先への直接訪問が原則禁止になった。特に東京は感染者が多いため、取材自体も極力控えるよう、会社側から指令が出ている」(地方紙東京支社 新聞記者)

「動きが取れないことによる新しいコンタクトに関する広がりや、今の対策を講じるための打ち合わせなど、場合によって効率的であるし、活動に影響を及ぼしているとも言える。」(読売テレビ編成局 チーフプロデューサー・西田二郎氏)

社会全体のオンライン化により、情報を取り扱う仕事に限らず「本当に必要なタスクに集中できるようになった」という声は少なくありません。メディアにおいては、取材が効率化されたことで、取材量が増えている好影響もあるようです。

メディア視点で感じるオンライン取材のメリット・デメリット

続いて「オンラインでの取材や記者会見対応を編集部体制へ取り入れているか」を伺いました。アンケートに回答頂いた14媒体のうち「取り入れている」と回答したのは11媒体。コメントからは、オンラインならではの良い点・悪い点が伺えました。

オンラインで取材をしている画像

オンライン取材の良い点

「良い点は、移動しない分、拘束時間が少ないのでオフラインより調整しやすい。オフラインよりも気軽に参加できる」(Ledge.ai 編集長 / レッジ執行役員・飯野希氏)

「 良い点は、取材対象のスケジュールをフレキシブルに対応できること。取材対象の何気ない日常が垣間見えたりするのもいいですね。子どもが見切れたりすると素が出たりします。 」(ねとらぼ編集長・加藤亘氏)

「こちらと取材相手の都合のつく時間・場所を柔軟に調整できる。また、画面のレコーディングで取材後の文字起こしのクオリティが上がる。インタビュー中の“間”や表情の確認、『これ』などの指示語が何を指しているかすぐ分かる、複数人取材の場合に誰が話しているか分かるなど。」(ひなた宮崎経済新聞編集長・田代くるみ氏)

オンライン取材の悪い点・課題点

現場の空気感をつかんだり細かな発見をしたりするのが難しい」(フジテレビュー!! / FNNプライムオンライン コンテンツ事業室 チーフビジョナリスト・清水俊宏氏)

「リアル記者会見+ネット中継の場合、質疑応答時に現地記者の声が聞こえづらいなど音声関連のトラブルが多いと感じました。個別取材など各メディア独自の取材ができないため、記事の差別化が図りづらい場合があります」(TechCrunch編集統括・吉田博英氏)

「悪い点は今のところ少ないが、良い点といっしょで数がどんどん増えていきそうになったとき、オフラインが可能になったときにどう対応のバランスをとるかは考えないといけなそう。ワークライフバランス、働き方を考えないといけないのは記者、編集者も例外ではない」(IT情報サイト 編集部記者)

「現地での写真撮影が出来なかったり、取材対象が持つ空気感がわからない部分は課題です。(例えばお話は上手だけどオフィスは雑然としてる、社内の雰囲気が悪いなど) 」(BRIDGE共同シニアエディタ・平野武士氏)

「5点あります。 
1)名刺交換がないため相手の基本情報を別途テキストでもらう必要がある。
2)事前に相手のネットワーク環境、取材環境を整えてもらい、可能であれば事前に一度確認しておく必要がある。
3)必要な写真が撮影できない。(提供写真だと他媒体と被る可能性が非常に高い)
4)Zoomなどのオンライン会議ツールを使ったことがない人へのレクチャーに一手間かかる。 
5)取材時には「こちらはちゃんと聞いていますよ」ということを相手に理解してもらうため、普段より相手の顔(画面)を注視しなければならず、メモや資料確認に気を遣う」(ひなた宮崎経済新聞編集長・田代くるみ氏)

特に物足りない点のひとつとして「現場の空気感をつかみづらい」という意見は、複数の方からあげられました。人(表情やしぐさ)と接し、モノ(商品やサービス)に触れられる対面取材とは異なり、非言語の情報はやや少ないと言えるでしょう。

またテレビ番組では、オンラインによるコンテンツ制作の必要性が増しているものの、オンラインツールを介したコミュニケーションは若干のタイムラグが発生するなど品質に影響するため、「オンラインであることを逆手にとったコンテンツ作りが欠かせないのでは」というコメントもありました。

スムーズなネタの提供方法は何か

さらに、「広報担当者からネタ提供する際のスムーズな方法」について、伺いました。理想的なものとして実際に挙げられたのは以下の手法です。

  • メールでのプレスリリース送付
  • オンラインでのプレスリリース配信情報の共有
  • TwitterのDMやMessengerでの連絡(面識のある方)
  • オンライン取材のアーカイブ素材提供

また、メディア関係者側のは配信されたプレスリリースSNS上の発信を軸にネタをキャッチアップしているようです。

SNSでネタのキャッチアップをしている画像

いずれも、平時から用いられている情報提供方法ですが、「(対面接触が減った分)プレスリリース配信にこれまで以上に敏感になった」という回答も見受けられました。

「実際、広報活動においては、オンラインでの手法は有効ではないかと思う部分もあります。言わなければならないことがはっきりしていて、背景含めてバーチャルで広報画面を出せたりするなら、いっそオンライン広報は『あり』だなと。しかし、現状コンテンツ側は広報マターにまで手を回せていないのも実情です」(読売テレビ編成局 チーフプロデューサー・西田二郎氏)

「記者会見の生中継、録画配信、書き起こしといったコンテンツは需要が増してくると思います。
これまでも、大阪の記者会見に東京の記者が出席するには、多大な時間、費用がかかっていました。オンライン記者会見の取り組みが進めば、コストを削減できるとともに、取り上げられる機会も増えるのではないかと感じます。
記者会見を実施するというプレスリリースは多く配信されますが、事後のリリースはあまり見受けられないように感じ、残念です。大きなサイズの写真を複数枚添付していると、より記事化する意欲が増します」(TRAICY編集長・後藤卓也氏)

「在宅に移行したことで、これまで以上に、プレスリリースの配信に敏感になったという実感があります。そのため、従来型のプレスリリースも悪くないと思います。オンライン取材も、スカイプやZoomなどを介して、お互いが利点と欠点を認識し合って開催できれば大きな広報ツールになるでしょう。たとえば、映像でトークをしつつ、文字情報や図面をやりとりできるような形式が整備されれば、オンライン取材も問題なしでしょう」(全国紙 新聞記者)

「メッセンジャーでのチャットツールが今までも中心なのですが、意思疎通に課題が出てきます。そのため、単なるファクト中心のリリースよりも、作り込んだストーリーなどのサブコンテンツを用意することが大切だと思っています。情報だけ渡されてあとは取材よろしくとしても、伝わらないものが多く出るからです。」(BRIDGE共同シニアエディタ・平野武士氏)

「基本プレスリリースで十分ですが、いざ問い合わせしたいときに在宅勤務で連絡取れないということもあるので、対応できる場なり緊急時の連絡先の明記があると助かります。」(ねとらぼ編集長・加藤亘氏)

現状で実施されているオンライン体制への移行は、メディア関係者・広報担当者が共に試行錯誤している段階かと思われます。前段落で紹介したメリット・デメリットをもとに、メリットを強める工夫を双方が行っていけば、広報活動そのものがアップデートしていく可能性も見えてくるでしょう。

新体制の確立により広報活動進化の兆しも

TV、新聞、WEB媒体など様々なメディアの運営に携わる方々のご意見を紹介してきました。平時と同様の取材や記者会見ができなくなった課題の側面だけでなく、取材が効率化するなどプラスの側面も多く見受けられる結果となっています。

広報担当者の体制と同様に、メディア関係者の体制も日々良い方向へ向かうために模索されています。

  • オンライン体制でも社風やカルチャーまで伝わるような情報提供の工夫
  • オンライン体制にフィットするメディアリレーション手法の開拓
  • 新たな広報体制における会社の方針決定

これらをいち早く進めることで、この状況下に素早く対応できるだけでなく、広報活動そのものが進化していくきっかけにもなりそうです。

後編では、引き続き「メディアが今、求めている情報・控えて欲しい対応」について同アンケート内容を紹介します。

この記事のライター

名越 里美

PR TIMESの人事本部長。PR TIMES MAGAZINEの立ち上げチームの1人。MAGAZINEの力で「PRの民主化」に一歩ずつでも近づけるよう、裏側から変わらず見守っていきます。4歳息子とバトルする日々です(だいたい負ける)。あと、だいたいいつも走ってます。

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