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新型コロナウイルス影響下、メディアが求める情報は? #メディア関係者アンケート<後編>

新型コロナウイルスの影響下の今、社会の状況に合わせて情報発信に携わる人々にも変化が求められています。

日々変化する情報に対応するためのヒントになれば、という思いでPR TIMES MAGAZINEでは「新型コロナウイルスの影響下で考える広報対応」特集と題し、コロナ禍での発信に悩む方々に向けて情報をお届けしてきました。

今回は、メディア運営に携わる方々へ実施した「急速なテレワーク移行に伴うメディア内部の変化に関するアンケート」の結果を前編に引き続きご紹介します。

後編では、メディアが求める情報や、どういった情報発信・広報対応が求められているのかについて、皆さまのコメントから読み解いていきます。

メディアはいま、どのような情報を求めているか

広報担当者向けのアンケートでは「新型コロナウイルス関連の対応に時間を割いている」という結果になった広報活動。メディア関係者側では、いまどのような情報を求めているかについて伺いました。

「コロナ関連で変化した社会情勢です。政府発表で感染予防の10のポイントが出されましたが、多くはテクノロジー前提の話題です。社会が急激にテックに振られたことで、次の10年がどう変わるか、その点を注視しています。」(BRIDGE共同シニアエディタ・平野武士氏)

「新型コロナ(withコロナ、afterコロナ)関連の情報、スタートアップ企業、テクノロジー関連の情報全般を必要としています」(TechCrunch編集統括・吉田博英氏)

コメントによる回答からは、新型コロナウイルスの関連情報を求める声が多くなっているように見受けられました。感染症対策や支援情報をはじめ、新興のサービス・テクノロジー関連、#StayHomeに関連する情報など具体的なテーマに注目しているメディアも増えているようです。

一方で「新型コロナウイルス関連情報に限らず、ありとあらゆる情報を求めている」と答えたメディア関係者も。情報発信に一層の注意が必要な時期ではありますが、引き続き情報を求めているメディアもあります。社会情勢や各メディアの直近の傾向に十分配慮しながらも、必要以上に発信を自粛することなく、プレスリリースを届けてみるのも大切だと言えそうです。

プレスリリースの企画をまとめている画像

各媒体が求める情報についても、具体的な参考記事・コンテンツを回答頂きましたので以下に紹介します。

①フジテレビュー!!/FNNプライムオンライン 
「新型コロナ対策」につながる情報、「おうち時間」の素敵な過ごし方につながる情報、「アフターコロナ」でやりたいこと、行きたい場所を想像できる情報など、様々な切り口で紹介。

・「新型コロナ対策」につながる情報

布マスクのもみ洗い、乾燥機はNG!洗剤とマスクメーカーに聞いた、正しい洗い方!
https://www.fujitv-view.jp/article/post-81975/

消毒用アルコールに「火災のリスク」…使用頻度の増加で消防庁が注意喚起
https://www.fnn.jp/articles/-/34772

・「おうち時間」の素敵な過ごし方につながる情報

人気フィットネスYouTuberが伝授!「朝夜5分」運動で効果出るか?ぽっちゃり編集部員が3週間ダイエットに挑戦【前編】
https://www.fujitv-view.jp/article/post-84817/

8歳少年が弟のために作った「手作りマスク」…“はじめてのお裁縫”の完成度も兄弟愛もステキ
https://www.fnn.jp/articles/-/33565

・「アフターコロナ」でやりたいこと、行きたい場所を想像できる情報

親子で楽しめるUNIQLO PARKに行ってみた!ファッションエディターが見所をレポート
https://www.fujitv-view.jp/article/post-90388/

明治時代から活躍する瀬戸内の灯台…その勇姿を海保がドローン撮影【広島発】
https://www.fnn.jp/articles/-/30296

②ひなた宮崎経済新聞
困難な状況をいかに改善しようとしているか、みんなで乗り越えようとしているか、そうした市民(行政)のアイデアをシェアする」を基本スタンスに紹介。

 「GWは日南に帰省しないで」市長が宣言 滞在キャンセル者には地元完熟マンゴー進呈
https://miyazaki.keizai.biz/headline/638/

 宮崎大学院生、自宅でヤマメの生態学べる図鑑と塩焼きが作れるキットを開発 
https://miyazaki.keizai.biz/headline/636/

 宮大学生がバーチャル大学説明会 コロナ影響下の新入生向けに企画https://miyazaki.keizai.biz/headline/631/

 宮崎のシーガイア、夜空に「スマイルマーク」描く 空室活用しエール送る
https://miyazaki.keizai.biz/headline/629/

 宮崎大学の学生が「日本一コロナ対策を徹底した卒業式」 手袋・マスク着用で証書授与
https://miyazaki.keizai.biz/headline/601/

③ウレぴあ総研
おうちで楽しむ記事に関してのニーズが高まっており、がんばる女性の背中をひと押しするような情報を紹介。

「おいしいウチごはん」特集
https://ure.pia.co.jp/list/sp?c=uchigohan

「がんばる女性」特集
https://ure.pia.co.jp/list/sp?c=support_woman

「宣伝は特に受け入れられない」いま控えるべき広報対応

続いて、新型コロナウイルスに関連して、企業の広報・PR担当者に控えて欲しい広報文脈について伺いました。

注目すべきは「宣伝活動そのものが今は特に受け入れられづらい」というコメントです。宣伝的なニュースは普段から敬遠される傾向にありますが、よりセンシティブに受け取られる時期であることを理解しておくべきです。

宣伝活動のやり方に頭を悩ませている画像

またコロナ禍に限らず「一度ご説明の機会をいただけないでしょうか?」など、面識のない相手に突然の対面紹介を希望するのは控えるべきです。今はオンラインで代替する機会が多いですが、唐突な依頼にならないように、コミュニケーションのマナーは守っていきましょう。

「”3つの密”に該当したり、担当者がマスクをしていない、不要不急と思われる贈呈式などの写真を添付している会社さんがちらほら見受けられます。弊誌ではそういった写真の使用は控えていますが、内容が良くても、SNS上などで叩かれる要因になりかねませんので、気をつけていただけると良いと思います」(TRAICY編集長・後藤卓也氏)

「ある記者からは、『意訳すると、〈コロナで売れなくて困ってるから何か書いてくれ〉という、ニュース性に乏しい商品の売り込み電話がPR会社から何度もかかってきます。求めているのは、〈コロナでリアルイベントやサンプリングができなくなったけど、代わりにこんなオンライン企画を実施してそこそこ手応えあります〉のような読者に役立つ話題です。また、あまり関係ないことをコロナ対策としてリリースするのは控えてほしい。』との意見。今後の社会の変化を見た上で、コロナ時代にプラスになることかどうか、それが知りたい。」(日経クロストレンド・日経トレンデイ発行人・杉本昭彦氏)

「 メディア側として気をつけているのは、いただいたニュースが本当に新型コロナウイルスに関連性が高いのかを慎重に判断しております」(FASHION HEADLINE運営/ファッションヘッドライン代表取締役・高橋 諭氏)

また新型コロナウイルスに関連していても、もとめられる情報は日々変化しています。2月下旬から3月上旬頃には目新しかったテレワーク導入や支援金情報なども、いまは社会的な新規性がなくなっています。

常に変化し続ける社会情勢において、自社の発信する情報が「今に状況下で、誰かの暮らしや活動にとって、役立つ情報であるか」を吟味する必要があります。社会の状況や周辺情報をあらかじめチェックし、メディアに届けることが重要です。

各媒体のコメント

最後に、メディア関係者の方からの広報・PR担当者の皆さまに向けた激励やお願いのコメントを抜粋してご紹介します。

社会が必要とする情報を的確に届けるため、共にこの状況を乗り越えたい思いであることがコメントから伝わります。それぞれが協力しながら、今だからこそ新たな挑戦に取り組むべきときなのかもしれません。

広報担当者を激励している画像

■TRAICY編集長・後藤卓也氏
「オンライン記者会見などは平時であればなかなか取り組めず、失敗した際にはメディアからの批判も大きいと思います。このような状況下ではメディア側も比較的失敗に寛容ですので、新たな取り組みを積極的に行っていただきたいと思います。」

■日経クロストレンド / 日経トレンディ発行人・杉本昭彦氏
「社会が混乱している時期こそ、信頼できる情報が一層求められ、メディアへの期待も大きくなっていると日々感じています。広報においても基本に立ち返り、正確な情報提供、メディアとの長期的な関係構築をお願いしたいと思います。」

■ねとらぼ編集長・加藤亘氏
「在宅での対応も多く、問い合わせから回答までにタイムラグが発生する場合も多いと思います。特に承認系は数日要することもあり鮮度的にも致命的になることもありますのでなるべく迅速な対応をお願いしたいです。慣れないこともあるかと思いますが、皆さんの情報が必要です。これからも的確な提供をよろしくお願いいたします。」

■ひなた宮崎経済新聞編集長・田代くるみ氏
「各社からさまざまな支援・サービスが日々発表されていますが、特にひなた宮崎経済新聞のような小さなメディアは全てを追いかける体力がないため、よほどの新規性、話題性がなければ取材することができないのが現状です。

 また今、「ニュース」にストレスを感じている人は少なくないと思います。我々の媒体としては「ニュース疲れ」をしているような人が少しでも心安らぐ、ないし希望を持てるような話題を配信していきたいと考えています。

SNSのちょっとした投稿やとるに足らない話題が明るいニュースのネタの切り口になることも少なくありません。SNSにも自粛ムードは広がりつつありますが、ぜひ活用していただきたいです。」

■FASHION HEADLINE運営/ファッションヘッドライン代表取締役高橋諭氏
「プレスリリースを通じてのコミュニケーションの前に、日頃から広報・PR担当者の想いをもっと知りたいし、弊社についてももっと知ってもらい、両社の相互理解の上で世の中に必要とされる情報発信できればと思います。」

■フジテレビュー!! / FNNプライムオンライン コンテンツ事業室 チーフビジョナリスト・清水俊宏氏
「広報・PRのみなさんが自由に活動できないように、メディアも自由な取材や編集ができない状況です。新型コロナによる暗いニュースが溢れるなか、「情報の力」で世の中が少しでも明るくなったり希望を持てたりすると素敵だなと思います。
担当者として「この情報を伝えたい」という気持ちを持つのはもちろん大事ですが、ユーザーの目線に立って「この情報がきっと求められているはずだ」という想いの込もった情報提供があると嬉しいです。」

■BRIDGE共同シニアエディタ・平野武士氏
「こういうときだからこそ、対象を考えない発表(飲食店などは現金がないのが一番の課題ですが、そこに無理やりサービスを提供しようとする動きなど)は取り扱わない以上に、評判を落とすケースもあります。私たちも火事場泥棒的な方はやはり記憶に残るので控えてほしいというよりは、注意されるとよいかなと思います。」

■読売テレビ編成局 チーフプロデューサー・西田二郎氏
「現在は、広報的な活動よりも社会に根ざした活動こそが優先されるべきという流れでもあると思います。人類が向かう初めての戦いに際して「みんなで」向かう感覚を大切にして広報的見地よりも大切な社会に向けての企業活動とは何かを考えていきたいですね。 答えはすぐには出ないかもしれませんが」

■Ledge.ai編集長 / レッジ執行役員・飯野希氏
「この状況下での情報発信はなかなか難しい部分もあると思います。メディアも広報もお互いにできることから頑張っていきましょう」

■全国紙 新聞記者
「弊社は新聞社であり、その日聞いた情報を次の日に紙面化するといったスケジュールで進んでおります。深夜の校了前に確認事項が発生することもあり、その際に担当者の方に連絡がつかず難儀することもあります。是非、広報PR担当の方には、迅速に連絡ができる体制を整えて頂ければと思います」

■地方紙東京支社 新聞記者
「コロナに関する報道に対しては、良くも悪くも読者の反応が敏感です。これまで以上に多くの人が『情報』を求めています。メディア側も既存の方法にとらわれない柔軟な発信の方法を模索しています。連携しながらより有用な情報を届けていきましょう」

社会に求められる正確な情報を

今回は全2回にわたりメディア運営に携わる方々に対して行った「急速なテレワーク移行に伴うメディア内部の変化に関するアンケート」のアンケート結果をご紹介いたしました。ぜひ、今後の情報発信の参考にしてみてください。

また、2020年5月現在、最前線で戦う医療従事者はもちろん、政府の休業要請に従い、営業を停止している多くの事業者の方々は、いまも戦いの中にあります。そんな中で、社会的大義に対して貢献しようとする取り組みの打ち出しやメッセージは、とてもセンシティブなもの。

新型コロナウイルスに関する情報発信においては、会社や事業の存在意義、ひいては企業のミッションやビジョンとの一貫性があるか、十分に検討して発信をおこなう必要があります。

PR TIMES MAGAZINEでは引き続き、情報発信者の支援につながる情報をお届けしていきます。

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この記事のライター

名越 里美

名越 里美

PR TIMESの人事本部長。PR TIMES MAGAZINEの立ち上げチームの1人。MAGAZINEの力で「PRの民主化」に一歩ずつでも近づけるよう、裏側から変わらず見守っていきます。4歳息子とバトルする日々です(だいたい負ける)。あと、だいたいいつも走ってます。

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