PR TIMES MAGAZINE|広報PRのナレッジを発信するWebメディア
記事検索
title

社会から愛され、選ばれる会社を作る「コーポレート広報」とは?業務内容と戦略の5つのポイントを解説

広報業務は大きく「コーポレート広報」と「サービス広報」の2つに分類できます。その中でも、企業の信頼性や社会的価値を高め、長期的なブランド形成を担うのが「コーポレート広報」です。

本記事では、企業価値を高めブランドを確立させるのに重要な「コーポレート広報」の役割や重要性について説明した上で、業務における5つのポイントを紹介していきます。コーポレート広報に携わる方やこれから目指す方にとって、基礎から実践までを学べる内容になっているので、ぜひ最後までご覧ください。

コーポレート広報とは?

広報業務の中でも「コーポレート広報」は、企業の信頼やブランドを長期的に育てていく上で、極めて重要な役割を担います。

まずは、コーポレート広報の基本的な役割と、近年その重要性が高まっている背景について解説します。

コーポレート広報の役割

コーポレート広報の主な役割は企業ブランドの確立と企業文化の醸成です。

企業ブランドの確立とは、企業の理念やビジョンを社会に示し、特定のイメージや印象を育てていく活動を指します。たとえば、「このロゴといえばこの企業」「この色といえばこの会社」といった視覚的・価値的なブランドイメージを定着させることです。

また、企業文化の醸成とは、社内における価値観や風土を形づくることにあります。たとえば「挑戦を歓迎する風土」や「アットホームで地域密着な会社」など、組織の中に根付く文化を明確にし、言語化・可視化して社内外に発信していくことで、企業の一体感を生み出します。

これらを実現するために、広報担当はステークホルダーに対して継続的に情報発信します。対象となるステークホルダーは幅広く、従業員、株主・投資家、流通業者、納税者、消費者、消費者団体、国際市場、外国政府、国際機関などが挙げられます。

参考:株式会社井之上パブリックリレーションズ

コーポレート広報が重要視されている背景

昨今のインターネット社会では、個々人がSNSなどを活用して簡単に情報収集できるようになりました。かつてのようにテレビCMを流せば消費者の大部分に訴求できる時代ではありません。そこで様々なチャネルを活用した対外的な情報発信が必須となります。

さらには、フリーランスや副業など多様な働き方が受け入れられるようになり、人々の生き方の選択肢も増えました。従業員が「どの企業で働くか」を自らの価値観で選ぶ時代になっているため、従業員に対しても自社を好きでいてもらい、長く働いてもらえるよう、魅力を伝える活動の必要性が増しています。

こうした背景から、社内外に企業ブランドを確立し、企業文化を醸成するコーポレート広報が重要視されているのです。

コーポレート広報を行う3つのメリット

ここまでコーポレート広報の役割と、コーポレート広報が重要視されている背景について説明しましたが、そもそもコーポレート広報を行うことで得られるメリットとは何なのでしょうか。

それは「一貫したブランディングを推進できる」「企業文化を形成・維持できる」「すべての広報活動の土台になる」の3つです。それぞれについて詳しく説明します。

1.一貫したブランディングを推進できる

先述のように企業が情報を届けるべきステークホルダーは多岐にわたります。それぞれに対してメッセージを継続的に発信しましょう。その際、ステークホルダーごとに最適な情報伝達手段を選びます。継続的な発信を通して一貫性のあるブランディングが推進できます

一貫したブランディングは企業イメージの形成に繋がります。たとえば、スターバックスコーヒーであれば丁寧な接客に落ち着いた店内と美味しいコーヒー、マクドナルドならリーズナブルな価格で安定したクオリティの商品が素早く提供される、といったイメージを持っている人が多いのではないでしょうか。このように「○○社と言えば○○」と連想してもらえるよう、地道に情報発信を続けていきましょう。

自社のミッションやビジョン、ストーリーなどを根気よく伝えていくことで、強固なブランドイメージを作り上げることができます。

2.企業文化を形成・維持できる

企業文化を形成し維持することは、企業の人格を作り保っていくことと同義です。企業文化は「社風」という言葉に置き換えられることも多いです。「社風」が定まっていると、たとえば採用活動がしやすくなります。求職者側も採用側もお互いがマッチするかどうか判断しやすくなり、ビジョンに共感し同じ志を持った人材が集まるようになります。また、社内の人間が自社に愛着を持つようになり、離職率の低下や、勤続年数の長期化に繋がります。

3.すべての広報活動の土台になる

冒頭で触れた通り、広報活動には大きく分けて「サービス広報」と「コーポレート広報」の2種類があります。

広報部門を立ち上げたばかりの時期は、売上に直結するサービス広報の優先度が上がりやすい傾向があります。一見売上とは関係のなさそうなコーポレート広報は後手に回りがちですが、企業価値や企業認知度向上に寄与するため、結果的にサービス広報にも繋がるのです

コーポレート広報の実践により先述の「1.一貫したブランディングの推進」「2.企業文化の形成・維持」を実現できれば、マーケティングと連携した広報活動や、採用広報、サービス広報、技術広報などのすべてにおいて立ち返るべき方針が定まり、行動しやすくなります。つまり、コーポレート広報はすべての広報活動の土台になるのです

コーポレート広報はどんな仕事をするの?コーポレート広報の業務内容

業務内容

先述の通り、コーポレート広報は企業文化・企業イメージの醸成、ブランドの確立のために情報発信を行います。具体的な業務内容の例は以下の通りです。

  • コーポレートサイトや求人票のチェック
  • 社内のネタ発掘
  • 経営状況の把握、社内外への伝達
  • IR広報(株主・投資家向けの情報発信)
  • オウンドメディアやSNSの更新
  • 社内報の作成
  • 社内イベントの企画運営

これらはあくまで一例です。コーポレート広報の業務内容は多岐にわたります。アウトプットすべてが自社のブランドイメージに影響を与えると認識しましょう。

たとえば社内のネタを発掘したら、それを社内メルマガで発信したり、社員インタビューをしてコーポレートサイトや採用サイトに掲載したり、広報担当として情報を有効活用できるよう常に社内に目を光らせましょう。

コーポレート広報の業務をするときの5つのポイント

コーポレート広報の業務を行う上で意識するべきポイントは、「まずは社内に企業文化を浸透させる」「コーポレートブランドをブレさせない」「他部署と連携をとる」「時代に適応した情報発信手段を採用する」「ストーリーや歴史を掘り起こして活用する」の5つです。それぞれについて詳しく説明します。

1.まずは社内に企業文化を浸透させる

まずは社内に企業文化を浸透させましょう。その際に社員の共感なくして企業文化の浸透は実現できません。せっかくパブリシティを獲得しても社員が露出内容に納得していなければ、外面だけ良い会社になってしまいます。むしろ社員の心が離れていく結果を招きかねないのです。そうならないためにも、まずは社員が自社を好きになってくれるような企業文化の浸透が不可欠です。

企業文化浸透のためには地道な活動が必要です。社内イベントを企画して部署を超えた交流を図ったり、表彰してモチベーションアップに繋げたり、全社報告会などで社長がビジョンを熱く語り団結力を高めたりすると良いでしょう。

自分たちはどんなビジョンを持って集まっているのか、何をゴールに見据えて働いているのかを全員が共有できている企業は強いです。まずは社内に企業文化を浸透させるアクションを取りましょう。

2.コーポレートブランドをブレさせない

コーポレート広報を行う上で気を付けたいのは、コーポレートブランドをブレさせないという点です。そのためには発信するメッセージに一貫性があることが重要です。トーン&マナーの統一や、情報発信する際のルールを定めておくと良いでしょう。

世間にどんなイメージを与えたいかを事前に経営陣と話し合いましょう。たとえば「先進的でスタイリッシュなイメージ」なのか、「親しみやすく温かみのあるイメージ」なのかというだけでも、コーポレートサイトのデザインは全く違ったものになるでしょう。

社員が使用するプレゼン資料のフォーマットを広報が作成して配布しておくと、トーン&マナーを統一することができます。使用するフォントやデザイン、色合いを定めておきましょう。

このようにアウトプットに一貫性を持たせることで、コーポレートブランドがブレずにまとまります。

3.他部署と連携をとる

広報担当は社内における情報のハブとして機能するべきです。情報を武器にするために他部署との連携は不可欠となります。

具体的には、経営陣の意思決定や考えを社員に伝える、人事と協力して採用向けのアウトプットを一貫させる、IRと連携して株主・投資家に成長戦略を示し企業価値を上げる、営業担当やカスタマーサポートから顧客やユーザーの声を拾ってもらう、などが挙げられます。

広報の仕事は社員の協力なくして成立しません。たとえばメディアからの取材に対応してもらう際にも、お客様とのスケジュール調整などで現場の社員に動いてもらうことが多いのです。いざというとき頼り合える関係性を作るためにも、社員の力になるためには広報として何ができるかを常に考えながら行動しましょう。

4.時代に適応した情報発信手段を採用する

企業 SNS

情報発信する際には時代に適応した手段を採用しましょう。

現代はインターネットがインフラ化したIT時代なので、X(旧 Twitter)・Instagram・FacebookなどのSNSの活用、オウンドメディア運営、YouTubeなどの動画コンテンツの配信、コーポレートサイトの整備などが重要です。

特にコーポレートサイトは社名で検索して真っ先に見られるものなので、ブランドイメージの形成に大きな影響を与えます。海外からのアクセスにも対応できるようサイトの多言語化を進めておくのも良いでしょう。

5.ストーリーや歴史を掘り起こして活用する

ストーリー性のあるコンテンツは共感を生みやすいです。自社のストーリーや歴史を掘り起こして活用しましょう。

創業時の苦労エピソードや熱い想いはそのまま社長インタビューとしてメディアに取材されることも多いです。まずは広報担当者が社長にインタビューしてみても良いですね。

会社の歴史は社内ブランディングにも採用にも活きる重要な情報です。社内に写真など当時の素材が残っていないか探してみましょう。今後のために現在の写真を残しておくことも重要です。

コーポレート広報に求められるスキルセット

現代のコーポレート広報には、単なる情報発信力だけではなく、社会的な要請や多様性への理解、経営的視点での判断力が不可欠です。企業が社会から持続的に信頼される存在であるためには、広報担当者が多様なスキルを統合的に発揮し、社内外のステークホルダーと企業をつなぐハブの役割を果たすことが求められています。

最後に、コーポレート広報に求められるスキルセットについて解説します。

論理的思考力と情報整理力

経営戦略やESGの方針、企業理念などの抽象的な情報をわかりやすく伝えるには、論理的な構成力と整理力が不可欠です。報道資料や統合報告書などでは、複雑な事象を構造的に整理し、読み手の立場で伝える力が問われます。また、サステナビリティの取り組みを定量・定性の両面から明確に説明する能力も求められるスキルの一つです。

ステークホルダーとのコミュニケーション力

コーポレート広報は、社員・株主・地域社会・メディアなど多様なステークホルダーと向き合います。特に近年は、アンコンシャスバイアスを考慮した情報設計や表現のあり方が注目されています。

一方的な発信ではなく、相手の立場や文脈を尊重した双方向の関係構築が求められ、信頼関係の土台となる「共感力」も広報の武器となります。

経営・事業理解とビジネスリテラシー

経営方針と現場実務をつなぐ役割を担うため、企業のビジネスモデルや財務知識、業界トレンド、法務やIRの基礎的理解など幅広い知見が必要です。特にESGや非財務情報への社会的注目が高まる中、広報担当者も統合報告書やサステナビリティレポートなどの作成に関わるケースが増えており、横断的なビジネスリテラシーの重要性が高まっています。

危機管理とリスク対応力

トラブルや不祥事が発生した際、企業広報には「迅速かつ誠実な対応」が強く求められます。社内外との連携を図りながら、状況を冷静に判断し、適切な情報を正しいタイミングで発信する能力が必須です。

また、平常時からのリスクシナリオ設計や社内訓練も重要で、広報部門が中心となって危機対応体制を整えることが、企業のレピュテーションを守る第一歩となります。

中長期でブランドを育てる視点

企業の社会的信用を築くためには、長期的視野で一貫したメッセージ発信が求められます。サステナビリティやダイバーシティへの取り組みなど、企業の社会的責任に関する情報は、ブランドの信頼性と直結しています。

短期的な露出効果ではなく、社会との対話を通じて徐々に企業の価値を浸透させていく視点と、そのためのストーリーテリング力がコーポレート広報に求められる資質だといえるでしょう。

まずは社員に、そして社会に愛される会社を目指そう

本記事では、コーポレート広報の役割や業務内容、コーポレート広報の業務をするときの5つのポイントを紹介しました。社会に愛される会社であるためには、まず社員から愛される会社を目指しましょう。

自社が社会の一員として認識され、受け入れられ、最終的には愛着を持ってもらえるようなコーポレート広報を実践できると良いですね。

<編集:PR TIMES MAGAZINE編集部>

コーポレート広報に関するQ&A

PR TIMESのご利用を希望される方は、以下より企業登録申請をお願いいたします。登録申請方法料金プランをあわせてご確認ください。

PR TIMESの企業登録申請をするPR TIMESをご利用希望の方はこちら企業登録申請をする

この記事のライター

ならきち

ならきち

在宅ライター主婦。会社員時代は中古IT機器の専門商社で広報をしていました。取材対応をはじめとするメディアリレーション全般、プレスリリース執筆、危機管理対応、記者会見の企画・運営、自社ブログ記事の企画・執筆などを担当した経験を活かし、広報担当者の役に立つ記事を書きたいです。現在はわんぱくな息子に翻弄されながら在宅でライターの仕事をしています。

このライターの記事一覧へ