PR TIMES MAGAZINE|広報PRのナレッジを発信するWebメディア
記事検索
title

取材対応とは?広報担当者が知っておきたい取材対応前・取材中・後日に行いたい3つのこと

広報PR担当者の主要業務のひとつである、マスコミへの取材対応。本記事では、マスコミからの取材を受けるときに広報担当者が知っておきたい取材前・取材中・後日に行いたい3つのことを解説します。

取材対応とは?

テレビ・新聞・雑誌・ラジオ・Webメディアなどマスコミからの取材を受ける際は、準備から取材中、後日のフォローを含めた対応が必要です。

取材を受けるかどうかは、さまざまな要素から判断します。取材依頼の内容が自社にとってプラスになるか否か、いまその情報を公にする適切なタイミングなのか否かなどが考慮すべきポイントです。

取材を受けることが決まったら、インタビューを受ける社内の担当者と日程調整をして、複数の候補日をメディア側に提示できるとスムーズです。取材場所は、メディア側から撮りたい人、場所、モノの要望があれば、撮影ができるように準備します。工場などの製造現場であれば「見学したい」という相談を受けることもありますので、現場とやりとりして調整しましょう。

オフィスを取材する場合は、だらしない印象を与えないよう、事前に社員に取材日程をアナウンスし、デスクなどを片付けておくようお願いしておくとよいですね。また、映ると情報流出につながる書類などに関しては、あらかじめ見えない場所にしまっておきます。

当日は会議室など取材場所の準備、取材対応者(インタビュイー)の服装チェックをして、取材にも同席します。取材中・後日のフォローまで含めて一連の流れが取材対応です。

取材対応の基本の心構え3つ

取材対応の際、心得ておきたい3つの基本事項があります。それぞれについて詳しく説明していきます。

1.取材内容の編集権限はメディア側にある

取材内容の編集権限はメディア側にあります。メディアにとって「取材」はその字の通り、ニュースの「材料を取る」ことを意味します。つまり取材で得た情報をニュースとして使うかどうか、切り取り方のニュアンスなども、メディア側が決めるということです。掲載前の記事や放送予定の番組の原稿を事前にチェックしようとする行為は、敬遠される可能性があります。取り上げられた内容に事実関係の間違いがある場合は、その点を指摘しても問題ありません。

2.オフレコは通用しないと心得る

基本的に、取材中にオフレコは通用しないと心得ておきましょう。「これはオフレコですが……」と前置きをしたとしても、取材中に話したなら、メディア側にとってはネタの一部。その内容を記事や番組に使用する可能性があります。触れてほしくない内容やNGワードは担当者と事前にすり合わせを行い、発言しないようにしましょう。

3.業界用語を多用しないよう気を付ける

専門紙の記者でない限り、業界用語に詳しい記者は少ないです。専門的な言葉を多用すると話の内容を、記者が理解できないため、確認のやりとりで取材時間が超過することもありえます。また、社内で専門用語の解釈がバラバラである場合、取材上のコミュニケーションにずれが生じるリスクがあります。読者や視聴者、誰にでもわかるやさしい説明を心掛けましょう。

取材対応で準備しておくべき3つのこと

良い取材対応のためには事前準備が重要です。取材がお互いにとって有益な時間となるよう、やれることをやってから当日に臨みましょう。本項では準備しておくべき3つのことを紹介します。

1.想定質問を作成しインタビュー練習を実施する

メディア側から取材依頼書をもらった場合、それを基に想定質問を作成しましょう。記者によっては大まかな質問事項を教えてくれる場合もあります。想定質問を作成したら、取材対象者とインタビューの打ち合わせをします。広報担当者が記者役になって、想定質問に対する回答を掘り下げながら追加で質問してみましょう。

練習で良いフレーズやメッセージが引き出せたら、その回答をメモしておけば当日に再確認しやすいです。予行演習をするとインタビュイーが話す内容を整理でき、落ち着いて取材に対応できます。

2.最新の自社データを揃えておく

自社の基本データの中でも、公開していないもので用意できる数字の「最新版」を用意しましょう。メディアの記者は、ニュースの新しさと希少性を重視する傾向があります。

従業員数・売上高・販売数は会社概要やIR資料で見ることができますが、業界シェア・生産数・サービスのダウンロード数などは、公開していない企業も多いです。未公開のデータは希少性があり、準備すると記者がニュースで取り上げやすくなります。また取材中に記者から質問があったとき、新しい情報を回答できるよう、エクセルやスプレッドシートにまとめておきましょう。

3.もっとも伝えたいメッセージをひとつに絞ってキーワードを決める

メディアの発信に触れた視聴者や読者に自社をどう思ってもらいたいか意識し、伝えたいメッセージを明確にします。そのメッセージにぴったりのキーワードを決め、取材で5回以上発言することを、インタビュイーの目標にしてみましょう。インタビュー練習でキラリと光るワードが飛び出すこともあります。取材中に繰り返し伝えることでメディア関係者の印象に残り、見出しに使ってもらえることもあります。

例えば、「営業改革で売上高130%増、販売先拡大に成功」という見出しと「カスタマーサポートが売上高130%増に貢献、リピーターが利益底上げ」という見出しでは、読者に与える印象は大きく異なります。

記者から今年度の売上高が伸びた要因を聞かれたとします。営業、カスタマーサポートなどさまざまな要因が絡んでいたとしても、記事やテロップの見出しに2つの要素は入りません。今回の取材では、「営業力の高い会社」というイメージを与えたいのか、「顧客対応が丁寧な会社」というイメージを与えたいのか、どちらに重点を置くかは、事前に社内で調整しておきましょう。

インタビュイーには、今回の取材でもっとも伝えたいことを伝え、どのように発言してもらうか決めておくとよいでしょう。取材内容の編集権限は記者にありますが、広報担当者は、記者に与える情報の数と深度、印象をコントロールできます。準備したメッセージを発信し、メディアがどう取り上げるかをチェックしながら、試行錯誤を重ねましょう。

取材対応当日に行いたい3つのこと

取材対応当日、広報担当者はメディア関係者と自社のインタビュイーとの間で架け橋としての役割を果たしましょう。本項では、取材対応当日に行いたい3つのことを紹介します。

1.取材に同席しインタビュイーをサポートする

広報担当者は必ず取材に同席しましょう。広報担当者が取材中に発言することはほとんどなく、サポートに徹します。

  • インタビュイーが誤った情報を発言したときにさりげなく訂正する
  • 数字やデータがすぐ出てこなかったときに代わりに回答する
  • 取材中に伝えると決めていた事項を話し忘れていたら「そういえば、〇〇の件もありますよね」と話題を振る

などが事例です。取材当日がメディア関係者とインタビュイーの初対面というケースがほとんどです。日頃からメディアリレーションズをおこなっている広報担当者は、お互いが質問・回答しやすい和やかな雰囲気作りを心掛けるのも重要なサポートですね。

2.追加情報を迅速にメールで送る

取材後に、記者から素材の提供をお願いされることがあります。代表の宣材写真、ロゴマークなどのデータ、商材の写真、社員や従業員の業務の様子がわかる写真などがよくあるパターンです。できれば事前に用意しておき、打診されたらその日のうちに共有できるようにしましょう。

3.取材の記録を残しておく

録音する、メモをとるなどして、取材中の受け答えを記録しておきましょう。インタビューの場は、メディア関係者だけでなく広報担当者にとっても社長の想いや考えを聞ける貴重な機会です。取材での回答内容は、次回の取材、会社説明資料、コーポレートサイト、採用活動、社内研修などさまざまな活かし方ができる素材になるかもしれません。

また、取材中にすべての質問に対して完璧に回答することは難しいものです。その場で回答できなかったものについても記録し、早めに調べてメールで情報を送りましょう

取材の記録

取材対応後日に行いたい3つのこと

ここまで取材対応で準備しておくべきこと、当日に行いたいことを紹介しました。無事に取材が終わってホッと一息……といきたいところですが、実はメディア取材後日の対応も重要な業務です。本項では取材対応後日に行いたい3つのことを解説します。

1.社内外への告知

取材終了後、メディア関係者に掲載・放送がいつになるか尋ねてみましょう。日付がわかったら、社内外に告知します。「〇月〇日の〇時から〇〇という番組で弊社が紹介されます」「〇月〇日付の〇〇新聞にて弊社の〇〇について掲載予定です」などと、わかりやすく紹介するとよいです。記事や番組が多くの人の目に触れるのはメディア側にとっても良いことなので、積極的にステークホルダーに知らせていきましょう。

メディア掲載を社内外に告知することにはメリットがあります。社内に対しては、従業員に改めて「うちの会社いいな」と誇りに思ってもらえる可能性があります。社外のステークホルダーに対しては、「この会社がんばってるな、勢いがあるな」などのプラスのイメージを与えることができます。取引先からの信頼度や期待度アップに貢献できるでしょう。

2.モニタリングして誤情報がないかチェック

自社に関するメディア掲載やSNSの投稿などを確認することを「モニタリング」と言います。取材終了後は、モニタリングで掲載や放送の内容をチェックしましょう。誤った情報が掲載・放送された場合、2つのパターンが想定できます。

1つ目は、自社の伝えた情報が間違っていた場合。2つ目は、メディア側が間違えて発信した場合です。前者も後者も、誤情報を伝えてしまったことと正しい情報を伝えましょう。企業側の伝達ミスによるもので、社会的な影響が少ないと判断される場合は、訂正が出ないことが多いです。しかしメディア側の過失が大きい場合、企業イメージを大きく損なう場合などは、早急に訂正をお願いしましょう。訂正記事を出してもらうことは難しくても、Web版だけでも内容を修正してもらえるように依頼するなど、正しい情報を発信することを認識して行動できると良いでしょう。

3.自社サイトやSNSでシェア

せっかくパブリシティを獲得できたのであれば、活用しない手はありません。自社サイトやSNSでシェアしたり、営業資料や採用活動の資料に盛り込んだりするのが一般的です。その際、広報担当者が必ず知っておきたいのは二次利用申請についてです。パブリシティの著作権はメディアが持っています。著作物を無断で使用することはできませんので、活用したければ、メディアに申請して手続きを踏む必要があります。

メディアによりますが、Web記事のリンクをSNSやホームページに転記する程度であれば、問題がないことが多いです。ただ、記事そのものの切り抜きや画像・映像を利用したい場合、申請が必要で、二次使用料を支払ってはじめて活用できます。掲載記事やテレビ画面を写真や動画に収め、それをSNSでシェアするのは、推奨しません。著作権侵害は、メディアとの信頼関係も崩れかねませんので注意してください。

取材対応後の対応をまとめている

お互いが良い取材になったと思えるように準備・対応しよう

本記事では取材対応について広報担当者が知っておきたい取材対応について紹介しました。

「取材対応」と聞くとインタビューの様子を連想しがちですが、実際は事前準備、当日のフォロー、記事掲載後のモニタリングなど裏方の仕事が多いです。広報担当者は、インタビュアー(メディア側)とインタビュイー(社内の人間)がお互いに満足のいく取材にするため、本記事で紹介したポイントを参考にしてみてください。

<編集:PR TIMES MAGAZINE編集部>

取材対応に関するQ&A

PR TIMESのご利用を希望される方は、以下より企業登録申請をお願いいたします。登録申請方法料金プランをあわせてご確認ください。

PR TIMESの企業登録申請をするPR TIMESをご利用希望の方はこちら企業登録申請をする

この記事のライター

ならきち

ならきち

在宅ライター主婦。会社員時代は中古IT機器の専門商社で広報をしていました。取材対応をはじめとするメディアリレーション全般、プレスリリース執筆、危機管理対応、記者会見の企画・運営、自社ブログ記事の企画・執筆などを担当した経験を活かし、広報担当者の役に立つ記事を書きたいです。現在はわんぱくな息子に翻弄されながら在宅でライターの仕事をしています。

このライターの記事一覧へ