ビジネスシーンにおいて送付状は、相手に対する礼儀や配慮を示す重要な役割を果たします。書類や資料を送る際、単に内容物を送るだけでなく送付状を添えることで、受け取る側に丁寧さや信頼感を伝えることができます。
本記事では、ビジネスで使える送付状の無料テンプレートを紹介し、さまざまなシーンに対応できる書き方のポイントを解説します。送付状の基本や適切な表現に迷う方は、ぜひ参考にしてください。
送付状(送り状・添え状)の役割とは
送付状は、ビジネスの場において相手に対して丁寧な挨拶を示す重要な役割を果たします。資料や書類、サンプルなどを送付する際、送付物だけを送るのではなく、礼儀を重んじたビジネスマナーとして送付状を添えることが不可欠です。
また、同封物の簡単な説明などを加えることで、受け取った側が内容を把握しやすくなるため、確認作業をスムーズに進めることにもつながります。さらに、送付状は確認依頼や返答のお願いを伝える手段にもなり、コミュニケーションを円滑化することも可能です。このように、送付状は単なる挨拶だけでなく送付物の正式性や重要性、相手に対する敬意を表すものとして大切な役割があります。

送付状が必要なシーン
送付状は、ビジネス文書を送付する際に頻繁に使用されます。例えば、請求書や契約書、見積書などの正式な文書に送付状を添えることで、相手に対してその重要性を強調しビジネスマナーを守ることができます。特に、新規取引の開始や契約更新時には、丁寧で信頼感のある対応を示す手段としても有効です。
商品カタログやサンプルを送る際には、送付状に簡単な説明や送付目的を記載することで、受け取る側が内容や意図を把握しやすくなります。また、プレスリリースやイベントの案内を送る際には、送付状に感謝や期待などを込めることで受け取った相手の興味や関心を高める効果も期待できるでしょう。
送付状の送付が不要なケース
送付状は基本的にビジネス上の礼儀として添えるべきものですが、すべてのケースで必要というわけではありません。たとえば、資料や契約書などを直接相手に手渡しする場合には、送付状を別途用意する必要はありません。面談や商談の場では、送付状よりも口頭での説明によるフォローで問題ありません。
また、電子帳票サービスやクラウド請求書システムなどを利用する場合も、送付状を省略するケースが増えています。これらのシステムでは、送付対象や内容、日付などが自動的に通知・記録されるため、別途送付状を作成しなくても誤送信や齟齬のリスクが少ないのが特徴です。ただし、初回送付や重要取引に関する書類では、送付状の代わりにメール本文で「送付目的・同封内容・今後の流れ」を簡潔に添えることで、より丁寧な印象を与えられます。
送付状の有無は「相手に誤解を与えないか」「伝達目的が十分かどうか」を基準に判断することが大切です。送付方法や相手との関係性を踏まえ、必要に応じて柔軟に使い分けましょう。
送付状に含める項目
送付状を作成するときには、誰が・何を・なぜ送るのかを明確に伝え、受け手が内容を把握しやすくすることが目的です。一般的に含めるべき項目は以下の通りです。 以下の内容を簡潔で読みやすく、1枚にまとめるようにしてください。
- 送付日:書類を発送・投函・送信した日付を右上に記載。和暦・西暦どちらでもよいが、同封書類と統一する
- 宛先(会社名・部署名・担当者名+敬称):左上に記載。「御中」「様」の使い分けにも注意
- 差出人情報:自社の社名・住所・電話番号・担当者名・メールアドレスなどを明記
- 件名(表題):「◯◯送付の件」「◯◯のご案内」など、何を送ったのか要件が一目でわかる文言を
- 挨拶・前文:頭語(「拝啓」など)+時候の挨拶+主旨説明。「下記書類を送付いたします」など
- 本文(送付理由・同封物の説明):何を送ったか、枚数・名称、送付目的や対応のお願いなどを簡潔に記載
- 記書き(同封物一覧):「記」→箇条書き(例:見積書1部、仕様書1部)→「以上」形式
- 結語:頭語に対応する結語(「敬具」など)を右寄せで記載
備考/補足:必要に応じて連絡先、確認期限、ファイル名、訂正事項などを記載。
ビジネスシーンで使える送付状のテンプレート
ビジネスシーンにおける送付状は、相手に丁寧な印象を与えるきっかけとなる重要な役割を果たします。例えば、プレスリリースや取材依頼、製品サンプル送付時など多様な状況で使用されるでしょう。目的に応じた内容を簡潔にまとめて相手に対する敬意を示すことで、スムーズなコミュニケーションも可能になります。以下では、具体的なシーン別に活用しやすいテンプレートを紹介します。
プレスリリースの送付時
プレスリリースを送付する際には、送付状が重要な補足ツールになります。適切な送付状が同封されていることが、プレスリリースにしっかり目を通してもらえるかを左右することもあります。簡潔でわかりやすい内容にすることはもちろんですが、相手への敬意を示し興味を引く内容を盛り込むことも大切です。メールで送る場合は、プレスリリースをPDF化し、本文に送付状を記載します。FAXや郵送時は、別紙で送付状を作成し一緒に送付するとよいでしょう。
以下は、プレスリリースを送付する際に使える送付状のテンプレートです。相手との関係が近い場合は、共通の話題や最近の出来事を一文程度盛り込むことで、より親しみやすい印象を与えることができます。
令和×年××月××日
株式会社〇〇〇〇
〇〇部〇〇 様
新商品「〇〇〇〇」リリースのお知らせ
拝啓 〇〇の候、貴社ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
この度、弊社では新商品「〇〇〇〇」を開発し販売する運びとなりましたので、プレスリリースをお送りさせていただきます。
本商品は、〇〇業界における新たなソリューションを提供し、生活者に大きな価値をもたらすものだと自負しております。
貴社の読者にも興味を持っていただける商品かと存じますので、ぜひとも新商品「〇〇〇〇」について直接お話しさせていただく機会をいただければ幸いです。
詳細はプレスリリース本文にてご確認いただけますが、追加のご質問や取材のご要望がございましたら、どうぞご遠慮なくお知らせください。
末筆ながら、貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます。
敬具
記
- 新商品「〇〇〇〇」のご紹介
- プレスリリースに関するお問い合わせ
〇〇〇〇株式会社
広報部 〇〇(担当者名)
電話:〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇
Email:〇〇@〇〇.co.jp
取材依頼書の送付時
取材依頼書に同封する送付状を作成する際は、取材目的を明確に記載しましょう。どのようなテーマやプロジェクトに関する取材かを簡潔に述べ、相手に理解してもらうことが重要です。
また、取材を受けることによるメリットも簡潔に伝えることで、依頼を受けてもらいやすくなるでしょう。ビジネスマナーを守りつつ、誠意を感じる内容を心がけましょう。
以下は、取材依頼書送付時に活用しやすい送付状のテンプレートです。取材内容を簡潔にまとめ、わかりやすさを意識して作成することがポイントです。
令和×年××月××日
〇〇新聞社 〇〇部
編集部 〇〇様
〇〇株式会社
広報部 〇〇(名前)
取材のご依頼について
拝啓 〇〇様におかれましては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素より大変お世話になっております。
さて、この度弊社では〇〇に関するプロジェクトにおいて新商品を発売することとなりました。つきましては、ぜひとも貴社に新商品を取材いただきたくご連絡差し上げました。
プロジェクトおよび新商品の概要は、添付の取材依頼書にて詳細を記載しております。貴社読者にも興味を持っていただける内容かと存じますので、ぜひご検討いただけますと幸いです。
ご多忙中とは存じますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具
記
取材内容:〇〇
日時や場所等の詳細については、取材依頼書をご参照いただきますようお願い申し上げます。
連絡先:
〇〇株式会社
広報部 〇〇(名前)
電話:〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇
E-mail:〇〇〇@〇〇.co.jp
イベントや記者会見の案内送付時
イベントや記者会見の概要を簡潔に伝えつつ、参加のメリットもさりげなく提示し対象者が興味を持つ可能性を高めることが大切です。記者会見の場合は、取材の必要性や報道価値についても簡潔に触れることで、相手に参加を促しやすくなります。出席可否の返信締切日などは、できるだけ文末に近い部分に記載しておくことで目にとまりやすくなり、返信漏れを防ぎやすくなるでしょう。
令和×年××月××日
〇〇株式会社
〇〇部 担当者様
株式会社〇〇
〇〇部(担当者名)
〇〇イベント(または記者会見)ご案内
平素より大変お世話になっております。株式会社〇〇の〇〇です。
このたび弊社では、〇〇イベント(または記者会見)を下記のとおり開催する運びとなり、ぜひとも貴社にご案内させていただきたくご連絡差し上げました。
(イベントの場合)当日は、〇〇の展示や試用体験などもご用意しておりますので、ぜひご参加いただければ幸いです。
(記者会見の場合)今回の発表は、国内市場における革新的な製品のリリースに加え、業界初の技術導入に関する重要な内容となっております。貴社の読者・視聴者にも大きな関心を持っていただけるニュース性の高い発表となっておりますので、ぜひご参加いただければ幸いです。
詳細は別添のご案内状をご確認ください。
記
日程:令和〇年〇月〇日(〇曜日)〇~〇時
場所:〇〇会場(住所:〇〇〇〇)
内容:〇〇イベントの概要・プログラム
備考:当日、ご来場の際は〇〇をご持参ください。
ご多忙のところ誠に恐縮ではございますが、ご出席の可否につきましては、〇月〇日までにご返信いただけますと幸いです。
何卒、よろしくお願い申し上げます。
株式会社〇〇
〇〇部 〇〇
電話番号: 〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇
メール: 〇〇〇@〇〇.com
社内報の送付時
社内報の送付時には、社内向けであっても丁寧さを意識しましょう。送付状には、社内報の内容や目的を簡潔に説明し、読者に対して適切な情報を提供する内容にする必要があります。文面はカジュアルになりすぎないように心がけ、わかりやすくまとめることで、社員にしっかりと内容を伝えることができるでしょう。
令和×年××月××日
〇〇部 〇〇様
〇〇部〇〇(担当者名)
〇〇社内報送付のご案内
平素より大変お世話になっております。〇〇部の〇〇です。
この度、〇〇号の社内報が完成いたしましたので、添付(または同封)にてお送りいたします。
今回の社内報では、〇〇や〇〇について特集しております。ぜひご一読いただき、日々の業務の参考にしていただければ幸いです。
何かご不明点やご意見などがございましたら、どうぞお気軽にお知らせください。
記
内容:〇〇号社内報
発行日:令和〇年〇月〇日
発行部:〇〇部
その他:〇〇
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
〇〇株式会社
〇〇部 〇〇
電話番号: 〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇
メール: 〇〇〇@〇〇.com
製品サンプルの送付時
製品サンプルを送付する際は、サンプルの送付目的を簡潔かつ明確に伝えることが重要です。また、相手に対する感謝の意を表し、フォローアップの姿勢を示しましょう。テンプレートを使用する際は、「サンプル同封のご案内」や「ご質問・ご感想をお寄せください」などの表現を盛り込むことで、丁寧で信頼感のある印象を与えることができます。
令和×年××月××日
〇〇株式会社
〇〇部 担当者様
株式会社〇〇
〇〇部〇〇(担当者名)
製品サンプル送付のご案内
平素よりお世話になっております。株式会社〇〇の〇〇です。
この度は、弊社製品にご関心をお寄せいただき、誠にありがとうございます。
早速、〇〇の製品サンプルを同封(または別送)させていただきましたので、ご査収ください。
製品に関するご質問やご不明点などがございましたら、どうぞお気軽にご連絡ください。
また、ご使用後のご意見やご感想をいただければ幸いです。
記
同封物:〇〇製品サンプル
数量:〇個
その他:〇〇についてのご案内資料(必要があれば)
今後とも、何卒よろしくお願い申し上げます。
署名
株式会社〇〇
〇〇部 〇〇
電話番号: 〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇
メール: 〇〇〇@〇〇.com
イベント協賛依頼書の送付時
協賛依頼書に添える送付状は、依頼の第一印象を決定する重要な役割を果たします。まず、イベントの趣旨や目的を明確に伝え、なぜ協賛をお願いしているのかを簡潔に説明しましょう。イベントの概要や協賛によるメリットも簡潔に記載しておくことで、協賛先がイベントへの理解を深め、興味を持ちやすくなります。
令和×年××月××日
〇〇株式会社
営業部 担当者様
株式会社〇〇
イベント運営部〇〇(担当者名)
イベント協賛のお願い
拝啓 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、このたび弊社では、〇〇(イベント名)を企画・運営する運びとなりました。本イベントは、〇〇(イベントの目的や内容)を目的とし、業界内でも多くの注目を集めております。
つきましては、〇〇(イベント名)開催において貴社のご協力を賜り、本イベントへのご協賛をお願い申し上げたく、協賛依頼書を同封いたしました。
イベントの詳細につきましては協賛依頼書でご確認いただき、ご検討いただけますと幸いです。ご不明点やご質問等がございましたら、何なりとご連絡ください。
何卒、よろしくお願い申し上げます。
敬具
記
- イベント名:〇〇
- 日時:令和〇年〇月〇日
- 場所:〇〇(会場名)
- 協賛依頼内容:詳細は同封の協賛依頼書をご確認ください。
株式会社〇〇
イベント運営部
(担当者名)
電話番号:〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇
メール:〇〇@〇〇.co.jp
送付状を送る前のチェックリスト
送付状はたった1枚の文書ですが、そこに小さな誤りがあるだけで企業の信頼を損ねてしまうことがあります。特に宛名や日付、件名の誤記、送付物との不一致はビジネス上のトラブルにつながりやすいため、送付前の最終確認は欠かせません。以下のチェック項目を活用し、形式・内容・マナーの3点を必ず見直しましょう。
送付前チェックリスト例:
- 宛名・会社名・部署名・担当者名・敬称が正しいか(「御中」「様」の混在に注意)
- 件名が具体的かつ送付内容と一致しているか
- 差出人情報(住所・電話・担当者名・メールアドレス)に漏れがないか
- 送付物の名称・部数・枚数を正確に記載しているか
- 日付の記載形式(和暦・西暦)を他書類と統一しているか
- 誤字脱字や表記ゆれ(例:「株式会社」と「(株)」)がないか
- 文末の結語(敬具・以上など)に対応関係の誤りがないか
- 押印・署名・印刷レイアウトに不備がないか
- メール添付の場合、ファイル名・リンク先URLが正しいか
これらを確認したうえで送付すれば、書類の信頼性を保ちながら、受け手に「丁寧で誠実な対応」と感じてもらえます。送付状のチェックリストは社内テンプレートとして保存し、全社員が共通の基準で確認できるようにしておくと、ミスを未然に防ぐ仕組みづくりにもつながります。
適切な送付状の作成でビジネスコミュニケーションのきっかけづくりに活用しよう
送付状は、ビジネスコミュニケーションにおいて相手に好印象を与える重要なツールです。送付物の内容を簡潔に説明し、丁寧な挨拶やフォローアップの姿勢を示すことで、スムーズなやり取りのきっかけにもなるでしょう。プレスリリースや取材依頼、製品サンプルの送付などさまざまなシーンに適したテンプレートを活用することで、ビジネスマナーを守りつつ効率的なコミュニケーションが図りやすくなります。適切な送付状を作成し、信頼関係構築のきっかけづくりに役立ててみてはいかがでしょうか。
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