自社で開発・生産した商品を消費者と直接取引するD2C。インターネットを介してブランドの認知を拡大し、売上を作らなければならないため、計画的な情報発信が重要です。広報担当者はその重要な役割を担っています。
本記事ではD2C企業の広報業務に興味がある方や、どんなことをしたらいいのかわからない方に向けて、D2C企業の広報業務の特徴やミッションを解説します。
D2C企業の広報業務の特徴とは?
D2Cとは「Direct to Consumer(ダイレクト トゥ コンシューマー)」の略で、自社で開発・生産した商品を消費者と直接取引するビジネスモデルのことを指します。D2C企業は基本的に店舗を持つことは少なく、自社ECなどを利用して消費者に商品を届けるのが特徴です。
小売店を持たない分、消費者の元に商品が届くまでの流通の仕組み作りが必須です。特に立ち上げ時には、認知拡大のための広報業務が非常に重要です。競合が多い場合は軌道にのせるまでに時間はかかりますが、消費者との距離が近いため、ブランドのコンセプトやビジョンに共感したコアなファンを獲得しやすいというメリットもあります。
D2C企業の広報担当者のミッションとは?
D2C企業では、ブランドの認知拡大および安定した売上を確保するためのブランドコミュニティを形成することが重要です。
ブランドコミュニケティの形成には、消費者とともにブランドを育てていくという意識が大切です。D2C企業の特徴は、企業と生活者が近い距離でコミュニケーションできる分、商品の購入者からリアルな声が届き、その内容を商品開発や商品の改善に素早く反映できることです。
生活者の意見を商品に積極的に反映したり、要望に応える商品を販売したりすることが、ブランドへの熱量を高めることにつながっていきます。D2C企業の広報担当者は、ブランドと、生活者の架け橋となり、ブランドへの高い興味関心を維持するために、消費者と積極的なコミュニケーションを取ることがミッションだといえます。
D2C企業において広報担当者に求められる役割とは?
D2C企業の広報担当者に求められるのは、消費者とのコミュニケーションだけではありません。ブランディング、ステークホルダーとの関係性の強化、マーケティング面でのサポートも行います。
次に、D2C企業において広報担当者に求められる4つの役割を解説します。
役割1.消費者とのコミュニケーションハブとしての役割
D2C企業における広報担当者の1つ目の役割は、消費者とのコミュニケーションハブとしての役割です。
企業と消費者の間に小売店を挟んでいる流通小売業などとは違い、D2Cは企業とユーザーの距離が近いのが特徴です。広報担当者には企業と消費者の間に立ち、両者をつなげるコミュニケーションハブとしての役割が求められます。
役割2.ブランディング強化の推進・実行者としての役割
D2C企業における広報担当者の2つ目の役割は、ブランディング強化の推進や実行者としての役割です。
消費者が企業に抱くイメージは、企業の商品やサービス、そして企業が発信する情報を元に作られていきます。それはD2C企業だけでなく、BtoC企業やBtoB企業も同様です。
基本的に、ブランディングは全社で取り組むプロジェクトです。全社の協力なしには、ブランドイメージを作りあげることは不可能です。なかでも商品に関する情報発信を任されている広報担当者は、積極的にブランディング強化を推進する実行者としての役割を求められます。
役割3.ステークホルダーとの信頼関係を構築する役割
D2C企業における広報担当者の3つ目の役割は、ステークホルダーとの信頼関係を構築する役割です。
D2C企業では消費者とのつながりにフォーカスされるため、広報担当者もそちらに集中してしまいがちですが、直接的・間接的ステークホルダーとの関係性を構築するのも広報担当者の重要な役割です。
自社ブランドの認知を拡大し、より素晴らしい商品を世に送り出していくために、消費者とのつながりだけでなく、社会とのつながりも築いていくことを意識しましょう。
役割4.EC担当者との密な連携を行うマーケティングサポートの役割
D2C企業における広報担当者の4つ目の役割は、EC担当者との密な連携を行う、マーケティングサポートの役割です。
消費者に一番近い場所にいる広報担当者は、商品やサービスに関するさまざまな情報を日々受け取ります。一方で、EC担当者はアクセス数から商品の動きを確認できるものの、購入後の声は受け取ることができません。
広報担当者が消費者の反応をEC担当者にフィードバックし、ECに反映させるためのマーケティングサポートを行うことで、消費者によりよい購入体験を提供することが可能になります。
D2C企業の広報担当者の主な仕事内容
D2C企業の広報担当者の業務内容は、一般的な広報業務と、D2C企業ならではの広報業務に分けられます。実際にどのような業務をするのか、主な仕事内容を紹介します。
仕事内容1.メディア対応・プレスリリースの作成などの一般的な広報業務
D2C企業の広報担当者の主な業務の1つ目は、一般的な広報業務です。メディアへの連絡やサンプリングおよび関係構築、プレスリリースの作成、取材対応、PRイベント対応などがあげられます。
これらの業務は、ブランドの立ち上げ初期や、新商品が発売される際に重要です。例えば、アパレルを扱うブランドであれば、プレスリリースを元にメディアでの掲載を狙い、ブランドを立ち上げた背景の取材依頼業務などが考えられます。
コスメやフードなどの商品がある場合は、メディアへの連絡とともにサンプリングもメディア掲載には効果的です。
一般的な広報業務で行う業務は基本的に行うと認識しておくとよいでしょう。
仕事内容2.ペイドパブリシティへの対応
D2C企業の広報担当者の主な業務の2つ目は、ペイドパブリシティへの対応です。ペイドパブリシティとは、企業側がメディアに費用を払い、有料で掲載してもらう広報活動の手法のひとつです。
ペイドパブリシティが狙える媒体としては、テレビ・ラジオ・雑誌・新聞・Webメディア・SNSなどがあげられます。ペイドパブリシティは、企画や編集、取材など制作のほとんどが媒体側に委ねられるため、広告と比べて消費者にリーチさせやすいのが特徴です。
ペイドパブリシティへの対応は、マーケティング担当者が行うことも多いですが、D2C企業では広報担当者が担当するケースもあります。ノンペイドパブリシティとして掲載することが難しい場合、ペイドパブリシティも検討してみるとよいでしょう。
仕事内容3.ブランディング施策の立案・実行
D2C企業の広報担当者の主な業務の3つ目は、ブランディング施策の立案・実行です。自社ブランドがどのように消費者に認識されるべきかを考え、ブランディング施策の立案と実行を行います。
D2C企業では、消費者との間に共感などのより強い関係性を築くことが重要です。ブランドコンセプトの伝え方や、ビジュアルとしての見せ方など、自社ならではのこだわりを反映させることが大切です。施策実行の場所は主に自社サイト・自社SNS・自社商品などがあげられます。
ビジュアルについてはデザイナーが担当する部分ですが、全体的なブランディングについては広報担当者も担当するケースがあると認識しておくとよいでしょう。
仕事内容4.SNSでの情報発信
D2C企業の広報担当者の主な業務の4つ目は、SNSでの情報発信です。
D2Cサービスを展開するうえで、SNSでの情報発信は必要不可欠です。SNSのなかでも特にショッピング機能が搭載されているInstagramや、拡散性の高いX(旧Twitter)は積極的に使用しましょう。
消費者との関係構築が行われる場所でもあるため、情報発信の頻度やその内容、方向性など、社内で十分に話し合ったうえで行うことを意識してください。
仕事内容5.消費者からのフィードバックを収集・コミュニケーションを取る
D2C企業の広報担当者の主な業務の5つ目は、消費者からの反応を収集したり、コミュニケーションを取ったりすることです。
繰り返しになりますが、D2Cの仕組みの特徴は、企業と消費者が比較的近い距離という点です。企業が消費者の反応を拾いやすく、商品開発や商品の改善に役立てられること。そして、インフルエンサーやアーリーアダプター、モニターとのコミュニケーションを通して直接的に参考となる意見を収集することも可能です。
SNSの運用も担当している広報担当者は、日頃から消費者からのフィードバッグに目を通し、収集してデータとしてまとめておくとよいでしょう。商品開発会議などの場で、データを元に建設的な話し合いがしやすくなります。
D2C企業の広報担当者は消費者に寄り添う気持ちを常に忘れない
D2C企業の広報担当者に求められるのは、消費者の気持ちに寄り添う姿勢です。消費者目線で情報を発信し、消費者目線で自社の商品やサービスについて考えることで、同じ熱量を持ってブランドを成長させていくことができるでしょう。
初めてD2Cに携わり広報担当者を任せられた際には、本記事を参考にして広報担当者の役割について改めて考える時間を設けてみてはいかがでしょうか。
D2C企業の広報活動に関するQ&A
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