企業の成長には、社員一人ひとりの共感と自発的な行動を引き出す「インナーブランディング」の重要性が高まっています。ビジョンや価値観の共有を通じて、社員がブランドを体現できるような組織をつくることは、採用力強化や定着率向上、さらには業績への好影響にもつながります。
本記事では、インナーブランディングに成功している企業の事例を10社紹介しながら、取り組みを成功に導くための5つのポイントを解説します。
インナーブランディングの成功事例10選
インナーブランディングは、理念の浸透や社員のエンゲージメント向上を目的に、各社がさまざまな工夫を凝らして取り組んでいます。
ここでは、社内報の活用、全社イベントの開催、制度設計などを通じて、社員の意識や行動を変化させてきた10社の事例を紹介します。業種や企業規模を問わず、多様なアプローチから得られた知見には多くのヒントが詰まっています。施策を検討する際の参考にしてください。

事例1.株式会社古窯ホールディングス
社員が企業成長に貢献していること実感でき、定着率向上につなげている株式会社古窯ホールディングスの事例です。
- インナーブランディングの一環として「フレッシャーズキャンプ」を実施
- ミッション・ビジョンに連動した評価制度を導入
事例2.株式会社マクロミル
従業員に意図した通りの読後感を持ってもらえる社内報『ミルコミ』を実施している株式会社マクロミルの事例です。
- 独自のアンケートツールで事業との関連性も強調
- 企画からデザインまで社内で実施し、従業員の意識変容へにつなげている
参考:マクロミル、社内報『ミルコミ』が「経団連推薦社内報審査」で2年連続優秀賞を受賞
事例3.株式会社ラキール
社員から前向きな声が寄せられた全社集会によって、エンゲージメントやモチベーション向上につなげた株式会社ラキールの事例です。
- 従業員約400名を集めた全社集会「Lighthouse Meeting2025」を開催
- 事業実績や目標、各事業部の戦略を共有し、今後の展望への理解を促進
参考:ラキール、全社集会「Lighthouse Meeting 2025」開催
事例4.株式会社TOKINECT
新しいブランディング・プロモーションツールとして社内報の可能性を追求した株式会社TOKINECTの事例です。
- グループ史上最大となる総製作費400万円を投じて社内報を製作
- 20社にわたるグループの素顔を伝え、社内外の安心を得るツールとして企画・制作
- そのノウハウをもとに、外部のクライアント向けの社内報制作サービスも開始
参考:社内報の常識を変える!総製作費400万円、全198ページに込めた株式会社トキネクトの技術の集大成
事例5.アクロクエストテクノロジー株式会社
通勤形態を問わず全体を巻き込んだ社員の活性化を図っているアクロクエストテクノロジー株式会社の事例です。
- コロナ後も全社員会議や技術教育、新卒採用などをオンラインで継続実施
- 独自の「職場活性化ノウハウ」を公開する「組織いきいき実践勉強会」を開催
参考:組織活性化の新戦略!「第10期 組織いきいき実践勉強会」受講者募集開始
事例6.株式会社サカイ引越センター
自社のターニングポイントとなる出来事を公表し、社員のエンゲージメント向上を叶えた株式会社サカイ引越センターの事例です。
- エリアごとに「ブロック広報員」という広報の役割を担う担当者を1名ずつ配置
- 結果として広報課が広めたい情報が全支社に浸透する一助になった
- 約20年ぶりとなるユニフォームのリニューアル時に、記者発表会を実施
- ユニフォームが変わる意味や世間の注目度を従業員に伝えられた
事例7.株式会社古屋旅館
プレスリリースで自社の独自性や価値を明確に打ち出し、社内の活性化にも寄与した株式会社古屋旅館の事例です。
- 福利厚生関連でも独自の価値を生むものは社外に発信
- プレスリリースを配信した結果、業界では慢性的な人手不足に悩まされるなか新卒者のエントリーが増加
事例8.パイオニア株式会社
部門や役職、階層を超えてコンタクトを取るなど社内コミュニケーションの機会をつくったパイオニア株式会社の事例です。
- 社内の価値観をより深く理解してもらうため、SNSアカウントを解説し、コミュニケーションの機会を創出
- 約200人との1on1を通して入社動機やサービスへの想いをヒアリングし、社員の声を把握
- 社長とグループ会社トップとの対話を社内向けに配信し、社員との心理的距離を縮めた
事例9.株式会社ジェイテクト
プレスリリースの作成を通して、社内のモチベーションアップに貢献した株式会社ジェイテクトの事例です。
- 各事業部の希望に応じた製品と配信時期に基づき、プレスリリースの計画を立案
- 迅速に動けるような体制を整え、関係部署との信頼関係や広報PRに関わる情報の共有体制を構築
- 受賞社員を称える場を設け、インタビューを実施してモチベーション向上につなげた
事例10.株式会社マネーフォワード
プレスリリースをコミュニケーションツールとして活用し、社内に向けたメッセージが社会に対しての価値として提供できた株式会社マネーフォワードの事例です。
- 統合報告書や人事制度を「自社の姿勢を表す情報」として積極的に発信
- メディア以外のステークホルダーにもそのまま届けることを意識し自社らしい表現で発信
- 表現には「ワクワク」「未来志向」など、自社のマインドを反映
- 産休育休ガイドブックの配信により、従業員の自発的なシェアが広がる
- 男性育休取得率は約9割に達し、他社からの問い合わせも増加
インナーブランディングを成功させる5つのポイント
インナーブランディングを成功に導くには、理念やビジョンを伝えるだけでなく、社員一人ひとりの行動に結びつける設計が大切です。共感や参加を促し、企業文化として定着させるための5つの視点をご紹介します。

ポイント1.理念・ビジョンを行動につなげる言葉に翻訳する
企業のビジョンやパーパスは抽象的になりがちです。それを「自分の仕事でどう実践するか」と社員が考えられるよう、具体的な言葉に置き換えることが求められます。
社内報やイントラネット、SNSなどを活用して、「理念が日々の業務にどう関係しているか」を具体的なストーリーとして伝えましょう。たとえば「営業部門がどのようにブランド価値を届けているか」といった事例を紹介することで、部門のリアルを知ることができ、社員が自分ごととして捉えやすくなります。
ポイント2.共創の場として社内コミュニケーションを設計する
一方的な情報発信ではなく、社員が自らかかわる共創型の設計がカギです。イベントやワークショップ、Slack、Teamsなどのツール上で事業やブランドに関する話題が自然と流れるような仕組みをつくり、参加を促せる設計をしましょう。
社員のブランドを体現したエピソードを募集して社内に共有したり、理念に基づいた行動を社内で表彰したりすることで行動変容につながりやすくなります。施策が点ではなく面でつながるよう、社内文化を継続的に育む視点を意識しましょう。
ポイント3.理念を体現している社員を可視化する
理念やビジョンを体現している社員の存在を見える化するのも効果的です。ロールモデルとなるような行動をしている社員をインタビュー記事などで紹介し、社内報やイントラネット、SNSで展開しましょう。
コーポレートブログ、ニュース性がある情報はプレスリリースなどで社外にも伝えることで、社員のモチベーションや誇りを高め、帰属意識の醸成につながります。
ポイント4.見える形で成果を実感させる
インナーブランディングの成果は、数字だけでは測りづらいものです。エンゲージメントスコアや社内へのアンケートなどの定量データに加え、社員の行動や表情、職場の雰囲気といった日常の変化にも注目しましょう。
「自分たちの行動が変化を生み出している」と社員が実感できることが、取り組みへの継続的な参加を後押しします。
ポイント5.社外発信をブランド浸透につなげる
インナーブランディングの成果や取り組みを社外に発信することは、社員のエンゲージメント向上にもつながります。プレスリリース、コーポレートサイト、SNSなどを通じて社会に届けることで、反響が得られ「自分たちの活動が社会に評価されている」という実感が生まれます。
結果として、社員の自発的なブランド体現行動を促し、企業文化の浸透や採用ブランディングにも良い影響をもたらすでしょう。
まとめ:行動と共感で築くインナーブランディング戦略
インナーブランディングは単なる情報共有にとどまらず、社員の意識や行動を変える「企業文化づくり」の中核です。成功している企業は、理念を具体的な行動に落とし込み、共感と参加を促す工夫を重ねています。
社内報やイベント、SNSなどを活用し、ブランドを体感できる場を設け、成果や行動の変化を見える化することで、継続的な取り組みにつながります。また、社外発信を通じて社員の誇りを高める戦略も有効です。本記事で紹介した10社の事例と5つの成功ポイントを参考に、自社らしいインナーブランディングを設計してみてください。
PR TIMESのご利用を希望される方は、以下より企業登録申請をお願いいたします。登録申請方法と料金プランをあわせてご確認ください。
PR TIMESの企業登録申請をするPR TIMESをご利用希望の方はこちら企業登録申請をする