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消費者の行動変容を狙う。ひとりではじめた情報発信文化の浸透|株式会社物語コーポレーション

愛知県豊橋市に本社を置く株式会社物語コーポレーションは、1949年におでん屋「酒房源氏」として創業して以来、さまざまな飲食店を展開。現在では、焼肉やラーメン、お好み焼きなどの13の飲食ブランドを600店舗以上運営しています。

本記事は、営業イノベーション本部 営業企画部 ブランドPRグループ グループ長を務める石田孝太さんにインタビュー。消費者との接点を見直した広報PR活動の変化や、多数のブランドの中から2023年に話題となった2つの成功事例などのお話を伺いました。

株式会社物語コーポレーションの最新のプレスリリースはこちら:株式会社物語コーポレーションのプレスリリース

株式会社物語コーポレーション 営業イノベーション本部 営業企画部 ブランドPRグループ グループ長

石田孝太(Ishida Kota)

1981年生まれ、レストランサービスが好きで飲食店で働き始め、業態開発、ワイン、食材のバイヤーを経験。その後ベンチャー企業でマーケティングの企画・コンサルティングを経て、2019年5月、株式会社物語コーポレーションに入社。開発企画・デジタルマーケティング部を経て、新設のブランドPRグループを立ち上げ、コラボ企画やメディアへの投げ込みなど幅広く手掛ける。

メディアを通じて消費者の行動変容を促したい

ゼロからの情報発信

──本日はよろしくお願いします。まず、広報PR活動のチームについて教えていただけますでしょうか。

はい、よろしくお願いします。

当社では、私たち「ブランドPRグループ」、IRを含めた会社に関する情報を扱う「コーポレート広報」の2つのチームに分かれて活動しています。

ブランドPRグループは、現在3名(産休中の方を含めると4名)。「焼肉きんぐ」「丸源ラーメン」をはじめとする13の外食事業ブランドの情報発信や、メディア対応などを担っています。情報の正確さや精度を高めるため、完全にブランドごとの担当制を敷き、プレスリリースの場合ですと、各担当ブランドの2名で制作、私はチェックをする立場として業務を進めています。

──「焼肉きんぐ」「ゆず庵」「丸源ラーメン」など、多いブランドですと年間50件以上の情報発信をされていますよね。

そうですね。全体で600を超える店舗があるわけですが、全ブランドの情報発信のスケジュールを見て、プレスリリースは1日2件に収まるように調整しています。

プレスリリースの配信件数については、工数という点だけではなく、受け取る側の情報過多になって興味・関心が分散されないように計画しているんです。

──店舗数、売り上げが順調に伸びてくると、情報発信する機会も増えていきますよね。成長する中、ブランドPRのターニングポイントはありましたか。

実は、物語コーポレーションにはもともと情報を発信する文化がなく、約5年前に私が入社したのを機に、ブランドPRやマーケティングに関することをスタートしています。

そこで、「まずは情報を発信しましょう」と始めたのがプレスリリースでした。入社当時は、メディア掲載や転載、取材につなげようにも情報を発信していない状況。まずは、プレスリリースを出して、メディア関係者や消費者との接点を作ることからでしたね。

そういう意味で、ターニングポイントのひとつは約5年前にプレスリリースを始めたタイミングでしょうか。

1年で「情報発信の文化」を浸透

──情報を発信する文化がなかった社内で、プレスリリースを始める際、苦労されたこともあったのではないでしょうか。

はい。最初は私ひとりでスタートしたのですが、プレスリリースを配信することが当たり前になるまでに1年近くかかったと思います。

店舗開発の担当者や各ブランドの事業部と連携し、出店の計画、メニュー変更の計画など、店舗全体にかかわる情報をしっかりとキャッチアップ。何をニュースとして出すべきかをわれわれのチームで一から作っていたんです。

PR TIMESで配信すると、転載数、PV数などが見えるので「何もしなかったら、ここには出ていなかった情報です」「実際にこのくらい見られています」と社内でコミュニケーションができたのもよかったと思います。これまで情報を発信する文化がなかった社員も、自身がいつも見ているニュースに自社の情報が出ているのを見かけることが増えてきたときに、実感をしてくれたようでした。

より多くの消費者との接点ができ、認知・行動変容が起こり、売り上げにつながる

そのことが少しずつ浸透し、理解を得られ、プレスリリースを配信することが当たり前になってきました。

──消費者に情報が届いているのを実感したことは大きそうですね。出店の計画、新しいメニューの計画、キャンペーンなどたくさんの情報が日々出てくると思いますが、石田さんたちがそれらの情報を出すか出さないか選別しているのでしょうか。

以前は私たちで精査していましたが、今はニュースとして出すための情報が精査された状態で店舗開発の担当者や各ブランドの事業部から挙がってきます。管理ツール上で「こんなことやりますよ」と情報を受け取り、それをわれわれのチームでプレスリリースを作成するようになってます。

プレスリリースを配信するまでのスケジュールや各部署との連携など、この辺りの仕組みは今産休中のメンバーが入社して整えてくれたんです。

株式会社物語コーポレーションインタビュー01

すべてのブランドで業界1位を目指す

──先ほど「消費者との接点」とお話をいただきましたが、情報を発信する際「消費者向け」「メディア向け」など届ける相手によって変えていることはありますか。

情報の伝わり方として、ブランドが直接消費者に情報を伝えるよりも、第三者の力を借りて客観的な言葉で消費者に情報が伝わっていくほうが望ましいと思っています。

──メディアなどを介してということですね。

はい。私たちが最終的に届けたい先は多くの消費者の方々です。ただ、プレスリリースでは、消費者の方に客観的な言葉で、より広く発信してくれるメディア、ときどきインフルエンサーに対しても届けられるように発信しています。

──さまざまな配信機会でプレスリリースを活用されていますが、こだわりやチームとして徹底していることなど教えていただけますでしょうか。

「メインビジュアル」と「タイトル」でしっかりと情報を伝えることです。プレスリリースを上から下まで読まなければ理解できないものにするのではなく、全体のアウトラインがわかることを前提に制作しています。

例えば、メインビジュアルの場合、写真だけで「美味しそう」が伝わるようにする。料理の写真を撮影する際は、メニュー開発する担当部署と連携し、時には撮り直しの依頼もしながら進めているのですが、できる限り写真のみで情報が伝わるように努めています。

また、私たちはそれぞれのブランドで業界1位を目指していて、「焼肉きんぐ」を運営している物語コーポレーションが「丸源ラーメン」を運営している、など横のつながりは一切出していません。それぞれのブランド名(業態名)を覚えていただけるよう、タイトルには必ず隅付き括弧でブランド名を出してます。

物語コーポレーションの2023年広報PR成功事例

事例1.お好み焼本舗「スーパーカップ アップルパイもんじゃ」

──2023年でうまくいった広報PR活動を教えていただけますでしょうか。

「お好み焼き本舗」で行った、明治さんとのコラボレーション企画ですね。新デザート「スーパーカップ アップルパイもんじゃ」というものを企画し、数量限定で提供したのですが、プレスリリースを見たテレビ局から取材が2件入るなど大きな反響がありました。

事例1.お好み焼本舗「スーパーカップ アップルパイもんじゃ」01

参考:【お好み焼本舗】新商品!熱冷コラボレーション「スーパーカップ アップルパイもんじゃ」が2023年12月5日より販売開始

|お好み焼本舗「スーパーカップ アップルパイもんじゃ」プレスリリースのポイント

「開発秘話」には、自社の商品開発部の夏山さん、仲を取り持ったアイス研究家(専門家)の荒井さん、明治 エッセルスーパーカップ担当の吉岡さんの声をそれぞれの立場から掲載。この商品が生まれた背景や乗り越えた経験など当事者だから語れるストーリーが記されています。開発までの思考、アイス研究家が発起人という点を伝えることで、商品への期待も高まる内容です。(PR TIMES 取材担当者より)

事例1.お好み焼本舗「スーパーカップ アップルパイもんじゃ」02
『【お好み焼本舗】新商品!熱冷コラボレーション「スーパーカップ アップルパイもんじゃ」が2023年12月5日より販売開始』より

事例2.丸源ラーメン「熟成醤油ラーメン 肉そば カップ麺 再販決定」

──3者の思いが綴られた開発秘話、すてきですね。

ありがとうございます。

もう一つ、「丸源ラーメン」では、2年目の企画となる「熟成醤油ラーメン 肉そば」カップ麺もうまくいったと思っています。1年目の売り上げが非常によく、再販の話が挙がったのですが、地元である愛知県安城市の方々からの応援によって成功した企画であり、PRだと感じています。

「丸源ラーメン」は安城市の店舗が1号店の愛知県発祥のブランド。

1年目に取り扱っていただいた愛知県内のコンビニからは再販のご要望がでるくらい好評だったそうです。実際に、今回も大きな売り場や手作りの装飾がされた売り場を目にしました。

また、「愛知県安城市発祥」と展開していることもあり、安城市役所の方から「企業側が動いてくれるのはありがたい」というお声もいただくことができたんです。

事例2.丸源ラーメン「熟成醤油ラーメン 肉そば カップ麺 再販決定」01

参考:【丸源ラーメン】「熟成醤油ラーメン 肉そば」がカップ麺に!6月26日(月)より再販決定!

|丸源ラーメン「熟成醤油ラーメン 肉そば 再販決定」プレスリリースのポイント

実はこの商品、小学生の女の子から手書きのお手紙をいただいたことが商品化したきっかけだそう。石田さん自ら日清食品さんにアポイントを取り、手紙を持参し提案。商品化の背景がプレスリリースにもしっかり記されています。また、「愛知県」「安城市」という地域性を活かし、広報PRとしても絶大な影響力を持つコンビニを巻き込み、大きな反響を生んでいます。(PR TIMES 取材担当者より)

事例2.丸源ラーメン「熟成醤油ラーメン 肉そば カップ麺 再販決定」02
『【丸源ラーメン】「熟成醤油ラーメン 肉そば」がカップ麺に!6月26日(月)より再販決定!』より

お客さまが興味を持つ第三者からの情報を強化

──たくさんのエピソードをありがとうございます。最後に、より一層強化していきたいことを教えてください。

幅広く訴求できるWebメディアはもちろんですが、やはりテレビというメディアは強いと感じています。テレビ番組を制作している方々はプレスリリースを見て、新しい情報をキャッチアップされてるということが最近は非常によく見えてきました。

また、記者クラブなど直接アプローチできる先も増えてきています。Webメディア、プレスリリースに加えて、自分たちの足を使って情報を広めていきたいと思っています。

そして、メディアを通して、今後新たにお客さまになり得る方や今は少し忘れてしまっている方、もしくはリピートされてないお客さまに対し、興味を持っていただくきっかけをつくれるよう、着実な広報PRをしていきたいですね。

株式会社物語コーポレーションインタビュー02

客観的メッセージで各ブランドの魅力を発信

多くの飲食店のブランドPRを手掛ける石田さんに、広報PRにおける情報発信文化の重要性について伺いました。

物語コーポレーションの各ブランドで「業界1位」を目指すうえで大切にする広報PR活動ポイントは3つ。

  • 情報の正確さや精度を高める担当制
  • すべてを読まずに理解できるプレスリリース
  • メディアなど第三者を介した客観的情報

プレスリリースの配信を活用し、社内に情報を発信することを浸透させた広報PRに対する考え方と行動力。これから新たに広報PR活動に取り組んでいく方の参考にしていただける事例ではないでしょうか。

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