営業の新規顧客開拓は、ビジネスを成長させるための事業戦略に欠かせない要素のひとつです。一方で、その手法は多岐にわたるため、どのようなアプローチを選ぶべきか迷うこともあるでしょう。業界や業界内でのポジション、組織体制や企業フェーズによっても選択する施策は異なりますが、経験の浅い方や新たに営業、営業企画を担うことになった方は、まず基本的な知識を押さえることが大切です。
本記事では、営業の基本となる新規顧客開拓の効果的なアプローチ方法や施策、注意点、成功させるポイントなどを解説します。
営業の新規顧客開拓とは
営業における新規顧客開拓とは、自社の商品やサービスを購入したことがない、または取引関係にない潜在的な顧客を見つけ、アポイントを取得し、取引関係を構築するための活動です。ここでは、新規顧客が重要な理由と、「アウトバウンド型」「インバウンド型」という2種類の営業手法について紹介します。

新規顧客開拓が重要な理由
企業経営において、既存顧客は自社の商品・サービスへの理解や信頼がすでにあるため、安定した売り上げにつながる貴重な存在です。一方で、市場の変化や既存顧客の購買力低下といったリスクに備えるためには、新たな顧客層へのアプローチも重要な戦略となります。既存顧客を大切にしつつ、新規顧客を積極的に取り込むことで、売り上げの拡大だけでなく、事業全体の安定感や成長余地を高めることができるのです。
アウトバウンド型とインバウンド型
新規顧客開拓の手法は アウトバウンド型とインバウンド型の2つに分けられます。まずアウトバウンド型は、企業側から積極的に顧客にアプローチし、興味を持ってもらう手法です。
対象顧客に直接リーチするため、短期間での成果が期待できる反面、広告費や営業コストがかかることが多いとされています。
一方インバウンド型は、顧客の興味・関心を引きつけ、自然な形で問い合わせや購入につなげる手法です。広告出稿や直接営業を行うのではなく、資料のダウンロードやセミナーへの参加、ホームページからの問い合わせなど、顧客が自ら興味を持ってアクションを起こす仕組みを作るのがポイントとなります。企業からの情報発信もそのひとつで、プレスリリース配信も顧客の関心付けのきっかけとなります。
富山銘菓で有名な日の出屋製菓産業株式会社では、コロナ禍で店舗での売り上げが厳しくなったことをきっかけに、それまで大切にしてきた店舗での「地上戦」メインから、Webを主体とした「空中戦」との合わせ技でブランディングするように。プレスリリースの配信を強化したことで、それを見た小売店の方や生活者の方からの問い合わせが増え、プレスリリースが強力な営業ツールとして役立っています。
以下の記事では、同社がどのようにインバウンド型の営業を工夫しているのか書かれていますので、参考にしてみてください。
【BtoB向け】新規顧客開拓に効果的な10のアプローチ方法・施策
BtoBにおける新規顧客の開拓は、BtoCに比べてアウトバウンド型の営業も多いことが特徴です。ここではBtoB向けの新規顧客開拓に効果的なアプローチ方法や施策を紹介します。これらを参考に、商材や業界に合わせた戦略を検討してみましょう。
手法1.フィールドセールス
フィールドセールスとは営業担当者が企業に直接訪問し、対面で商談を行う営業手法です。オンラインでは伝えにくい商品の価値やサービスの強みを直接説明できるため、顧客の反応をリアルタイムに確認しながら、柔軟に提案を調整できるというメリットがあります。また、継続的なフォローを行うことで、リピーターや紹介顧客につなげやすいため、専門的な説明やカスタマイズ提案が求められるBtoB事業においては、特に有効な営業手法です。
手法2.インサイドセールス
フィールドセールスとは反対に、訪問せずに電話やメール、Webなどを活用し、非対面でアプローチする営業手法で、社内で行うことからインサイドセールスと呼ばれています。見込み顧客の育成に重点を置き、いきなり商談を行うのではなく、関心を高めながら成約へと導くのが特徴。Web広告や資料ダウンロード、セミナー参加などから獲得したリードに対して営業がフォローを行い、商談につなげることも。非対面で商談を進めるため、交通費や訪問時間を削減でき、効率的に営業活動ができます。
一方で、複雑なカスタマイズが必要とされるビジネスでは特に、対面でのコミュニケーションではない分、顧客と認識のずれがないようにする必要があります。どのタイミングで誰がカスタマイズ箇所の判断を行ったかを記録するなど、より丁寧な対応が求められるでしょう。
顧客のニーズや行動に合わせて段階的にメールを配信するマーケティング手法のひとつとして、「ステップメール」があります。インサイドセールスや広報PRの現場に取り入れて活用することも可能ですので併せてご覧ください。
手法3.テレフォンアポインター(テレアポ)
電話でアポイントを獲得する営業手法で、目的は商談の機会をつくることであり、必ずしもその場で契約を取ることがゴールではないのが特徴です。BtoBの営業で広く活用されており、短期間で多くの見込み客にアプローチできる一方で警戒する企業も多く、アポ取得率があまり高くないという課題も。
テレアポを成功させるためには対象企業を選定し、決裁者や担当者の情報を収集したうえで、顧客リストを作成することが重要です。さらに電話口でのスクリプトや想定問答集を用意しておくと、スムーズにコミュニケーションできます。
手法4.ダイレクトメール
手紙やはがき、冊子などを使い、企業に直接アプローチする営業手法。EメールやWeb広告に比べて手元に残るため、記憶に残りやすいのが特徴です。また、Eメールよりも開封率が高いのもメリットのひとつ。
対象者を細かくセグメントできるため、「業界」「地域」「過去の履歴」などに基づいて、最適な企業にアプローチできます。ただ、ダイレクトメールの制作費や郵送費などのコスト管理が必要となります。
ダイレクトメールの活用については、以下の記事をご参照ください。
手法5.リファラル営業(紹介)
リファラルとは本来、「紹介」「推薦」の意味を持つ言葉で、「リファラル採用」として人材領域でよく耳にしますが、営業の場でも使われることがあります。既存顧客やパートナー企業、従業員からの紹介を通じて新規顧客を獲得する手法で、専門性の高いBtoBや高単価商材のビジネスにおいて、高い成約率を持つのが特徴です。すでに興味がある顧客が紹介されるため、リードタイムが短縮され、広告や飛び込み営業と比べて営業のハードルが低いというメリットも。また、紹介者の信頼をベースにしているので、解約リスクも低いとされています。ただし制度を設計しないと紹介が発生しにくいため、いかにインセンティブを作るかがポイントになります。
手法6.プレスリリース
新規顧客開拓において、プレスリリースも営業活動を支援する重要な役割を果たします。プレスリリースの配信によって自社の情報がメディアに掲載されれば、広範囲の見込み顧客にアプローチすることができ、知名度が低い段階でも新市場での認知を獲得できるためです。
また、プレスリリースは企業の公式情報として発信するため、ブランドの信頼性を担保でき、メディアという「第三者」がそれを報じることで説得力が高まるのもメリット。プレスリリースを読んだ企業の担当者が興味を持ち、問い合わせにつながることも期待できます。
以下の記事は、ラピュタロボティクス株式会社がプレスリリースを営業活動に用いた事例です。ぜひ参考にしてみてください。
手法7.Web広告
インターネット上で対象者に直接アプローチできるマーケティング手法で、検索エンジン広告、SNS広告、ディスプレイ広告、動画広告など、さまざまな種類があります。関心のあるテーマを設定して対象を絞り込めるため、特定の業界や業種へアプローチすることも可能。適切な見込み客に広告を配信できるため無駄な広告費を削減でき、少額予算でも運用できるため、成果が出たら追加投資をしやすい点も魅力です。広告を配信したらすぐにユーザーに届き反応を得られるため、スピーディに営業施策を行いたい場合に最適です。
手法8.オウンドメディア
オウンドメディアとは、企業が自ら運営するブログ、コラム、Webマガジン、動画サイトなどのメディアのことで、SEO(検索エンジン最適化)を施すことでGoogleやYahoo!の検索結果に上位表示されるようになります。その結果、新規顧客が自然に流入するようになり、コンテンツに説得力があれば問い合わせや購入にもつながります。
Web広告は配信を止めると集客も止まりますが、オウンドメディアは一度作ったコンテンツが資産になり、継続的に新規顧客を集めることができるのも特徴。また、業界の知識・ノウハウを発信することで、企業の専門性を伝えることもできます。
オウンドメディアの成功事例をまとめた記事をご紹介。ぜひご参照ください。
手法9.セミナー・ウェビナー
対面型のセミナーや、オンライン型のウェビナーを通じて、専門的な知識や業界の最新情報を提供することで、見込み顧客の関心を引き、商談や契約へとつなげる営業手法です。参加者はすでにセミナーのテーマに関心を持っており、学ぶことが目的なので、営業への警戒心が低い状態で接触できるというメリットがあります。また、セミナーを開催できるということは、その分野のプロフェッショナルであることの証明となるため、企業への信頼感が高まり、競合との差別化もできます。申し込み時に個人情報を登録してもらうことで、リード情報を獲得することも可能です。
セミナーの集客方法の施策例は、以下の記事も参考にしてみてください。
手法10.展示会・カンファレンス
自社でイベントを開催したり、業界の展示会・カンファレンスに出展・参加したりすることで、見込み顧客と接点を持ち、商談や成約につなげることが期待できます。イベントにはすでに関心を持っている顧客が集まるため、アポイントにつなげやすいという特徴があります。また、オンラインでは得られないリアルなコミュニケーションができるため、深い関係を築くきっかけになりやすいというのもメリット。その場で名刺交換やQRコード登録をしてもらうこともできるため、見込み顧客の情報収集の場としても有効です。
展示会に出店する際のプレスリリースの書き方は、以下の記事を参照ください。
【BtoC向け】新規顧客開拓に効果的な10のアプローチ方法・施策
BtoCの新規顧客開拓では、対象者のニーズや行動パターンを理解し、魅力的なオファーを発信するのが効果的です。そのため近年では、特にデジタルツールによるパーソナライズされたアプローチが広く活用されるようになっています。ここでは、BtoC向けの新規顧客に有効なアプローチ方法や施策を紹介します。
手法1.SNS公式アカウント
近年は生活者が商品やサービスの購入を検討する際、SNSを通して検索することが非常に増えており、SNSは新規顧客を獲得するためにも、既存顧客とのつながりを深めるためにも、強力なツールになっています。基本的には無料でアカウント運用ができるため、広告費なしでもアプローチできるのがメリット。一方通行ではなく双方向のやりとりができるため、ユーザーとの距離を縮めて信頼関係を築くことで、ファンになってもらうことも可能です。また、シェア・リツイート・いいねなどの機能により、短期間で爆発的に拡散される可能性があるのも大きな魅力。SNSごとにユーザー層が異なるため、ビジネスに合わせて最適なプラットフォームを選ぶのがポイントです。
以下の記事では、企業アカウントでのSNSの運用について解説しています。
手法2.UGC(ユーザー生成コンテンツ)
SNSなどで、ユーザーが商品・サービスのレビューや体験談を画像や動画のコンテンツとして発信してくれることがあります。近年ではこれをUGC(ユーザー生成コンテンツ)と呼び、購買へ大きな影響力を持つようになっています。UGCはSNSでの見せ方を熟知したユーザーによって作成されるため、流行を取り入れたリアルなコンテンツとして注目されやすく、購入につながる可能性が高いのも特徴です。また、SNSだけでなくレビューサイトやランキングサイトにも多く投稿されており、UGCを促進する企業の取り組みも活発になっています。
株式会社コマースフォースが配信したプレスリリースでは、化粧品やペット用食品の販売でUGCを活用し、売り上げを拡大した事例を紹介しています。UGCの内容や効果がイメージしやすいので、参考にしてみてください。
参考:名古屋の化粧品D2C「I’m PINTCH(アイムピンチ)」がUGCクリエイティブを導入し、レビュー・写真・動画のUGCを活用してCVR向上に成功
多くの企業のSNSコンサルティングをされている株式会社ホットリンクのインタビュー記事も、併せてご覧ください。
手法3.インフルエンサー
インフルエンサーマーケティング は、SNSやYouTubeなどで影響力を持つ著名人を活用し、顧客を獲得する手法です。UGCが自然発生に任せるものであるのに比べ、インフルエンサーマーケティングは広告案件として依頼するのが基本です。人気のインフルエンサーはフォロワーとの強い信頼関係を築いているため、「信頼している人のおすすめ」が強い訴求力を持ち、購買意欲につながりやすいのがメリット。インフルエンサーごとにフォロワーの属性(年齢・性別・趣味・ライフスタイル)が明確なので、対象者に合ったインフルエンサーを選べば、新規顧客を効率よく獲得することが期待できます。
一般社団法人 ましこラボが配信したプレスリリースでは、栃木県益子町への観光客の誘致において、インフルエンサーのプロデュースを導入したことを紹介しています。インフルエンサーとのコラボの仕方として参考になるので、ぜひご覧ください。
参考:益子町×インフルエンサーとのコラボで新モデルコースを作成!益子町観光をもっと楽しく!
インフルエンサーを起用するメリットやポイントについては、以下の記事をご覧ください。
手法4.動画コンテンツ
動画コンテンツは商品やサービスの魅力を視覚的にわかりやすく伝え、感情に訴えやすいのが特徴です。YouTube、TikTok、Instagramリール、X(旧 Twitter)動画、Facebookなど、さまざまなプラットフォームで活用でき、特に最近はショート動画が注目され、多くの企業が取り入れるようになっています。また、動画コンテンツはSNSでの拡散が活発で、新規顧客の目に留まれば購買につながる可能性も高いです。動画の中ではストーリーを表現しやすいため、ブランドの「想い」や「価値観」も伝えやすく、ブランディングのツールとしても有効です。
僕と私と株式会社が配信したプレスリリースでは、「TOEIC®」のマーケティングにショート動画を活用していることを紹介。共感を生むストーリーの取り入れ方として参考になる事例です。
参考:TOEIC®公式TikTok総再生1,000万回突破!Z世代が抱える葛藤をショートドラマへ。英語で切り開く“未来の可能性”を示唆
以下の記事では、広報動画のメリットや動画を作成するうえでのポイントなどを紹介しています。
手法5.キャンペーン
期間限定で商品の割引や特別なサービスを提供する販促活動で、短期間で新規顧客を獲得し、素早く認知度を向上させたいときに有効な手法です。SNS、Webサイト、店舗、イベントなどさまざまなチャネルで展開でき、幅広い生活者の関心を引けるのがメリット。初回割引や紹介特典、送料無料などのわかりやすいお得感を訴求したり、映画やアニメなど話題のコンテンツや著名人とコラボし、特定のファンにアプローチしたりするケースも多いです。また、キャンペーンをプレスリリースで発信することでメディアの目に留まり、そこから拡散されることも。フックとなる要素を入れたキャンペーンにすると、より効果的です。
株式会社モスフードサービスは、規格外野菜を使ったドリンクを東武東上線「池袋駅」の改札内で販売するに当たり、PASMOとのコラボキャンペーンを実施することをプレスリリースで紹介。ユーザーにとってのメリットが具体的でわかりやすく、エシカルという要素も注目されるフックとなっています。
参考:規格外の“もったいない”野菜を中心としたエシカルな新業態「Stand by Mos 」 交通系電子マネー決済で10%割引&ドリンクチャーム進呈
キャンペーン情報のプレスリリースの書き方は、以下の記事も参考にしてみてください。
手法6.プレスリリース
プレスリリースはもともとメディアに向けた公式文書を指しますが、近年はWeb上での配信が増えたことで生活者が直接アクセスすることも増えました。そのため、企業が生活者に直接情報を届ける手法としても有効です。生活者も読むことを前提に、新商品・サービスの発表などの事実だけでなく、「どんな問題を解決するのか」といったストーリー性を持たせると、より訴求力が高まります。また、高品質な画像・動画などの視覚的な要素を加えるのも効果的。配信後に自社のSNSや公式サイトでも発信すると、広範囲へのアプローチができます。
創業70周年を迎えた老舗菓子メーカー株式会社鎌倉紅谷は、親しみやすい広報PRで多くのファンを獲得している企業です。新商品の発売やイベントがあるときなどには必ずプレスリリースを配信しており、生活者の目線を意識したわかりやすい書き方には、真似したくなるヒントがたくさんあります。特に周年記念限定の商品を伝えるプレスリリースでは、開発や製造担当者の思いやこだわりといったストーリーも掲載し、読者をワクワクさせるアイディアを盛り込んでいます。
以下の記事では同社のプレスリリース配信の工夫について書かれているので、ぜひ参考にしてみてください。
手法7.Web広告
インターネット上のSNSやメール、Webメディアなどに掲載して、対象者に直接アプローチできるマーケティング手法で、BtoBだけでなくBtoCにも有効です。検索エンジン広告、SNS広告、ディスプレイ広告、リスティング広告など、さまざまな種類があり、性別・年齢・居住エリアなどで対象を絞り込めるため、狙った層へピンポイントに出稿できるのがメリット。SNS公式アカウントやUGCと組み合わせることで、より効果的な新規顧客の獲得が見込めます。
手法8.オウンドメディア
BtoBと同様に、BtoCにおいてもオウンドメディアの運営は有効です。オウンドメディアとは企業が自ら運営するブログやコラムなどのことで、SEO(検索エンジン最適化)を意識したコンテンツを作れば、広告なしでも新規顧客の流入を増やせるのがメリットです。広告では購入してもらうことが主な目的になりますが、オウンドメディアは価値ある情報を提供することでブランドへの信頼感を醸成し、ファンを増やすこともできます。ECサイトと連動させれば、その場で購入につなげることも期待できます。
化粧品メーカーの株式会社アジュバンコスメジャパンは、運営するオウンドメディアで、新連載をスタートすることをプレスリリースで告知。商品のランナップとともに、さまざまな業界で活躍する女性のインタビューを掲載し、ブランドへの共感を高める施策になっています。
参考:“もっと肌トークしよう”をテーマに女性ゲストへインタビューをするWEB連載コンテンツの配信を開始。
以下の記事では、オウンドメディアの成功事例を紹介していますので、併せて参考にしてみてください。
手法9.サンプリング
サンプリングとは試供品の配布のことで、新規顧客の獲得や商品認知度の向上に有効な手法です。生活者が実際に商品を試すことで、品質や使い心地を実感できるため、食品・飲料、化粧品、日用品など幅広いジャンルで活用されています。特に新しい商品に対しては、「試してよかったから買おう」という動機付けがしやすく、購入への心理的ハードルを下げる効果も期待できます。また、実際に使用した生活者がレビューやSNSで感想を発信することでUGCとして拡散され、さらなる認知拡大につながる可能性も。試供品の配布方法としては、応募型の無料サンプルキャンペーン、店頭やイベント会場での配布・試食・試飲などがあります。
株式会社ヴァーチェは、料理教室で化粧品のサンプルを配布したことをプレスリリースで紹介しています。配布先として自社のターゲット層が多い場所を選定しており、サンプリングの実施例として参考になります。
参考:ABCクッキングスタジオの16店舗にて、レッスン受講者を対象に「マルラオイル」のサンプリングを実施しました
手法10.イベント
イベントを開催することで、Web広告やSNSでは伝わりにくい商品の手触りや香り、味、使用感などを実際に体験してもらえるため、購買意欲を高める効果が期待できます。さらに、商品に関する疑問や不安をその場で解消できるため、購入へのハードルを下げることにもつながります。その場で参加者の連絡先を取得することもできるため、当日購入に至らなかったユーザーにも、ダイレクトメールなどを活用して継続的にアプローチできる点もメリットです。
KURAND株式会社は、通常はオンラインでのみ展開しているサービスを、リアルな場で体験できるポップアップストアを開催するとプレスリリースで発表。オンラインとリアルをつなげるイベントとして、参考になる事例です。
参考:【2/18~3/4】東京ソラマチで、SNSで話題の「酒ガチャ」のイベント「クランド 酒ガチャ POP UP STORE」を開催
イベントの集客方法については、以下の記事もご参照ください。
新規顧客開拓を実施するときの注意点
新規顧客の開拓はビジネスの成長に不可欠な取り組みですが、戦略を誤るとコストばかりがかかって成果が出なかったり、リピートにつながらず単発の取引で終わってしまったりといったリスクも。そのため、新規顧客獲得時のコストを適正に管理するとともに、購入後のフォローやアップセル・クロスセルなど、リピーターを増やすための戦略をしっかりと組み立てることが重要です。また、強引な営業によってブランドイメージを損なう恐れもあるため、どのようにコミュニケーションすればよいかをじっくり検討したうえで接触することも重要です。
新規顧客開拓を成功させる5つのポイント
新規顧客の開拓は売上に直結する重要な取り組みですが、その一方で多くのコストを伴い、戦略を誤ると大きなリスクにもつながります。そのため、成功に必要な要素をしっかり押さえたうえで、戦略的に進めることが不可欠です。そこで、最後に新規顧客開拓を成功させるためのポイントを5つご紹介します。

ポイント1.顧客リストの整備
新規顧客開拓の基盤となるのが「顧客リスト」です。豊富な顧客リストがあれば、年齢・性別・購買履歴から細かくセグメントでき、対象者に合った情報を適切に提供することができます。ただ、リストを整備するためにはそもそも顧客情報を取得する必要があります。取得する方法はたくさんあるため、ご紹介したアプローチ方法を参考に、顧客接点を増やす工夫をしてみるのがおすすめです。ただし、むやみにアプローチするとブランドへの信頼感を損なうため、慎重に計画・実行することが肝心です。
ポイント2.綿密な顧客リサーチ
新規顧客を開拓する際には、「誰が対象となるのか」「どのようなニーズや課題を抱えているのか」を正確に把握することが不可欠です。こうした綿密な顧客リサーチを通じて、顧客が本当に求めているものや、抱えている悩みを明確にできるかどうかが、アプローチの成否を左右します。BtoBの場合は、既存顧客や見込み顧客へのヒアリング、セミナー開催を通じて課題を吸い上げる手法が有効です。BtoCの場合は、Webアンケートの実施や、SNS投稿を分析してニーズを探る「ソーシャルリスニング」が役立ちます。
ポイント3.広報PRとの連携とPR施策
新規顧客の開拓というと、営業活動に重点を置きがちですが、広報PRと連携した情報発信も有効な手法のひとつです。実際に新規顧客獲得に成功している企業の多くは、プレスリリースや公式サイトを活用した積極的な情報発信を行っています。広報PRを組み合わせる最大のメリットは、営業色が薄く、生活者やメディアの関心を引きやすい点です。多様な切り口で情報を発信することで、メディアに取り上げられる可能性も高まり、第三者からの紹介という形で信頼感や説得力を高める効果も期待できます。
また、広報PRと連携する際には、中期的な目標を共有し、さらにKPIなどの指標を含めた短期的な目標も明確にしておくことが重要です。目指すゴールを営業・広報PRの双方が理解しておくことで、より効果的な連携が可能になります。加えて、広報PR視点での新たなアプローチや施策のアイデアが得られることも大きなメリット。営業担当だけでは気づきにくい視点や、広報PRならではの手法を取り入れることで、新規顧客へのアプローチの幅が広がるでしょう。
ポイント4.社内を横断したノウハウ共有
新規顧客の開拓は、営業・マーケティング・カスタマーサポートなど、複数の部門が連携して取り組むべき業務です。社内でノウハウを共有することで、業務の効率化や成約率の向上、さらには顧客満足度の向上にもつながります。しかし、多くの企業では、成功事例が十分に共有されていなかったり、営業活動が属人的になっていたり、連携が不十分だったりといった課題を抱えています。その結果、新規顧客開拓の成果が十分に引き出せていないケースも少なくありません。こうした状況を改善するためにも、営業活動と並行して連携強化に積極的に取り組むことが、新規顧客獲得の成功につながります。
ポイント5.マーケティングツールの活用
新規顧客の開拓には、データ収集やターゲティング、リード管理、営業支援など、複数のプロセスが関わります。これらを効率化し、成果を最大化するために、マーケティングツールの活用も有効です。近年は、MA(マーケティングオートメーション)ツール、メールマーケティングツール、SFA(営業支援ツール)、CRM(顧客管理ツール)など、多様なツールが登場しています。自社の課題や目的に合ったツールを選び、それを使いこなすことで、新規顧客開拓の業務がより一層効率化されるでしょう。
まとめ:自社に合う方法で新規顧客開拓を成功させよう
新規顧客の開拓は、ビジネスの成長に不可欠なプロセスであり、戦略的なアプローチが成果を左右します。成功するためには、綿密なリサーチをもとに対象者を明確化し、課題やニーズをしっかり把握することが第一歩です。さらに自社に合った営業手法を選定し、効果的な施策を行うことが必要です。
また、BtoBとBtoCではアプローチ方法が異なるため、対象とする層に合わせてどんな戦略が効果的なのかをしっかり検討することも重要です。コスト増やイメージダウンというリスクに注意しながら、効果的な新規顧客の開拓を実践してみてください。
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