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ニュースレターとは?作り方・ネタ例・作成時の5つのポイントを紹介【テンプレートあり】

ニュースレターとは?作り方・ネタ例・作成時の5つのポイントを紹介【テンプレートあり】

広報PRに携わる人の多くは、「ニュースレター」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。ニュースレターは、ステークホルダーと継続的に接点を生み出す手段としてマーケティングや広報PR活動において活用されています。

本記事では、ニュースレターの作り方や「ニュースリリース」「プレスリリース」との違い、作成時の5つのポイントなどをご紹介します。最後に、ニュースレターのテンプレートも紹介しているので、ぜひ参考に作成してみてください。

目次
  1. ニュースレターとは?

  2. ニュースレターの対象者別の役割

  3. ニュースレターの種類

  4. ニュースレターを配信する意味・メリット

  5. ニュースレターの作り方(書き方)4ステップ

  6. ニュースレターのネタ例7つの切り口

  7. ニュースレターを作成するときの3つのポイント

  8. ニュースレターのテンプレート

  9. 配信前に押さえる注意点:法務と運用の基本

  10. 成果を継続的に伸ばす!ニュースレターの分析・改善フロー

  11. ステークホルダーとの関係性継続のためのツールとして、ニュースレターを活用しよう

  12. ニュースレターに関するQ&A

ニュースレターとは?

ニュースレターとは、ファンづくりのためのコミュニケーションとして定期的にメールや郵送で配信されるコンテンツのことをいいます。

生活者や株主、従業員やメディア関係者など、顧客だけでなくさまざまなステークホルダーに向けて送られます。

広告・宣伝としての目的が強いDM(ダイレクトメール)とは違い、読者にとっての利益や企業に対して親しみを持ってもらうことに重きを置いていることが特徴です。

ニュースレターとメルマガ・DMの違い:販促ではなく信頼と想起を積み上げる

ニュースレター、メルマガ、DMはどれも「届ける」点では似ていますが、読者が受け取る体験と期待値が異なります。メルマガは商品情報やキャンペーンなど、比較的タイムリーな告知や更新情報を届ける運用が多く、短期の反応(クリック・購入)を取りにいく設計になりやすい傾向があります。DMはさらに販促色が強く、割引や同梱チラシのように「行動喚起」が中心になるケースが一般的でしょう。

これに対してニュースレターは、売り込みを前面に出さずに「読む価値」を提供し、企業や担当者への信頼を積み上げる設計が肝になります。結果として、すぐのCVを狙うよりも、相手の頭の中で「次に思い出される企業」になること、つまり想起と関係性の蓄積が成果として現れやすくなります。

ニュースレターとプレスリリースの違い:新規情報の有無と目的が異なる

ニュースレターは「継続的な関係づくり」を主目的に、相手にとっての学びや便利さ、企業理解の深まりを積み上げるコンテンツです。一方でプレスリリースは「ニュースとして取り上げてもらう」ことを前提に、企業の新規情報を公式に伝える文書として機能します。つまり、ニュースレターは必ずしも新規情報がなくても成立し、読み手の関心に合わせて既存の取り組みを再編集して価値化できる点が特徴です。

対してプレスリリースは、公開タイミングや独自性、社会的な意義といったニュース性が要件になりやすく、配信して終わりではなく報道文脈に乗る設計が重要になります。広報実務では、プレスリリースで「新しい事実」を出し、ニュースレターで「文脈と理解」を補うと役割分担が明確になり、社内の情報発信も整理しやすくなります。

ニュースレターが向いているケース:新規情報が少なくても接点を作りたいとき

ニュースレターが特に向いているのは、プレスリリースのように「毎回の新規情報」を用意しづらい一方で、顧客やメディア、採用候補者などと継続的な接点を持ちたいケースです。たとえば、プロダクトの大型アップデートが頻繁にないBtoB企業、季節ごとの需要変動がある業界、あるいは中長期で検討される商材などは、単発のニュースだけでは関係が途切れがちになります。

そこでニュースレターを使い、業界動向の解説、現場の学び、データの読み解き、よくある質問への回答などを定期的に届けると、「この会社の発信は役に立つ」という認識が積み上がります。結果的に、問い合わせや取材の再接触、採用応募などの「遅れて効く成果」が出やすくなるため、短期施策だけでは作れない関係資産として機能します。

ニュースレターの対象者別の役割

「ニュースレター」という言葉の意味は、誰を対象としているかで役割や内容も変わってきます。次に、ニュースレターの送付を検討されることの多い対象として「生活者」と「メディア関係者」についてご紹介します。

生活者向けのニュースレター

生活者向けのニュースレターは、日本企業においてはDM(ダイレクトメール)やメールマガジンより「新規性」が高い内容のものを指して使われていることが多いようです。

例えば、クラウドファンディングサービス「Makuake」は、登録会員に対し「ニュースレター」として週ごとの人気プロジェクトなどをメール配信しています(2022年現在)。

Makuakeニュースレター

新聞社が、Web版の登録会員向けにその日の新着記事をまとめ「ニュースレター」と題して配信しているケースもあります。

このように、日本企業において生活者(顧客)向けにニュースレターを送付する場合、自社事業やコンテンツに関する「ニュース」をまとめて伝える役割を持っていることが多いと言えます。

また、海外では「有識者や人気クリエイターなどがクローズドに発信する有料コンテンツ」を「ニュースレター」と呼ぶことが多いようです。日本で言うところのオンラインサロンに近い感覚で、興味のある人のニュースレターを購読するというビジネスが広まっています。

メディア関係者向けのニュースレター

メディア関係者向けのニュースレターは、「ニュースリリース(プレスリリース)」と言葉は似ているものの、意味は明確に異なります。

「メディア関係者向けのお知らせ」のための資料であり、新商品の発表など新規性のある情報が必要なプレスリリースと違い、ニュースレターは「メディア関係者とコミュニケーションを増やす」ための資料であり、新規情報が含まれている必要はありません。

例えば、「1年前に発売された商品を、時事ネタに絡めてあらためてニュースレターで紹介する」といったことも可能となります。

「PR TIMES」をはじめとするプレスリリース配信サービスでも、通常は新規情報が記載されたプレスリリースのみ配信を行っています。プレスリリースに新規情報が見受けられなかったり、記載の情報が1ヵ月以前と古かったりする場合、個別に連絡し新規情報の追記をお願いしています。

このように、メディア関係者に送付する前提で「ニュースレター」という言葉が使われる場合、「新規情報の有無」でプレスリリースと区別することができます。

なお、プレスリリース配信サービス「PR TIMES」では、ニュースレターを配信したい場合、公開範囲を「一般公開」ではなく「メディア限定公開」とすることで可能です。

DM、ニュースリリースの詳細について知りたい方は、以下の記事からご確認ください。

ニュースレターの種類

ニュースレターには決まったフォーマットがあるわけではありません。

企業によってさまざまな形式で配信されていますが、ここでは大まかに3つの型に分けて解説していきます。

1.キュレーション型

1つ目は、キュレーション型のニュースレターです。「梅雨」「クリスマス」など時節に合わせた内容や、SNSやメディアで話題になっている時事ネタを取り入れたテーマを設定し、テーマに合った自社商品などをまとめて配信します。情報をピックアップするだけでなく、自社による解説を入れることもあります。

キュレーション型は、トレンドや時節をネタにでき、執筆のボリュームが少なくても成立するため、配信しやすい形式と言えます。

2.ニュース型

2つ目は、ニュース型のニュースレターです。企業に関する新たな動きを紹介します。

例えば、イベントなどを開催している場合はそのイベントに関する最新情報、イベント中に起きた出来事や参加者の様子などを配信するとよいでしょう。

プレスリリースとして配信するには関係者の範囲が狭すぎる情報や、プレスリリースとして配信できないコンテンツ更新(「公式YouTubeに新たな動画をアップしました」など)に関する情報は、ニュースレターとして配信することで活用できます。

3.ブログ・ストーリー型

3つ目は、社員の考えや社内でのエピソードなど、企業に関する内容をコラムやブログ形式で語るブログ型のニュースレターです。具体的には、社員インタビューや開発秘話、ロングセラー商品の歴史などを振り返るといった内容が挙げられます。

ストーリー性のある内容にすることで、文字数が多くても読みやすくなります。また、企業や企業内で働く人に対して親近感を持ってもらう効果が期待できます。

ブログ型の内容のニュースレターは、PR TIMES STORYなどのサービスを使うことでメディア関係者・生活者に広く発信することもできます。

開発の秘話をコンテンツの制作方法と、発信する際のポイントや注意点は、以下の記事でも細かく解説しています。

ニュースレターを配信する意味・メリット

プレスリリースと異なり、ニュースレターは新規情報がなくても成立します。そのため、新規情報の有無に左右されず、継続的にメディア関係者とコミュニケーションする機会をつくれるのがメリットです。

また、専門性の高い内容や、クオリティの高いコンテンツが提供できれば、企業としての信頼性向上や好感度アップに寄与することも期待できます。

次に、ニュースレターを配信する具体的な3つのメリットを解説します。

メリット1.顧客・読者との信頼関係構築

ニュースレターは、継続的に情報を届けることで企業と読者との間に信頼関係を築く役割を果たします。売り込み一辺倒の内容ではなく、相手にとって有益な情報を届けることで「この企業の発信は読む価値がある」と認識され、ブランドへの親近感が醸成されます。

メリット2.ブランド認知の強化

ニュースレターは、企業やサービスの考え方、取り組み、トーン&マナーを伝える場としても有効です。自社の「らしさ」を定期的に伝えることで、ブランドのイメージ定着や競合との差別化につながります。SNSでは伝えきれない深い文脈を共有できる点も特徴です。

メリット3.リード育成と継続エンゲージメント

見込み顧客(リード)に対し、ニュースレターを通じて定期的に接点を持つことは、関係性を温めて購買行動へと導く有効な施策であり、マーケティング観点で実施されることが多いです。

興味関心に合わせたコンテンツ提供により、段階的に関心を高め、資料請求やサービス利用といったアクションへとつなげられます。

ニュースレターの作り方(書き方)4ステップ

では、ニュースレターを作成する際には、どのように進めていけばよいのでしょうか。4つのステップに沿ってご紹介します。

STEP1.配信の目的・指標を決める

まずは、ニュースレターを配信する目的を決めることから始めましょう。目的やニュースレターを通して伝えたいことを明確にした後は、目的達成の度合いを測る指標(KGI)を何とするかを定めます。例えば、メールの開封率や返信率はひとつの指標とすることができます。

また、目的達成のために行動した度合いを測る指標(KPI)も設けましょう。こちらは、メールの送付数や関わった社員数などを指標として置くことが考えられます。

<ニュースレター配信前に決定しておきたい項目>

  • 配信の目的とKGI
  • このニュースレターを通して伝えたいメッセージ
  • 対象となるターゲット
  • ターゲットを読者層に持つメディア
  • 配信の目的・KGIに紐づいたKPI

STEP2.ターゲットとテーマ、形式の決定

「伝えたいメッセージをターゲットに届けられるか」「メディア視点でほしい情報か」を判断軸に、ニュースレターのテーマを決定しましょう。

例えば、「エディブルフラワー(食用花)を使った商品について知ってほしい」というメッセージがある場合、「時節」というメディアフック(★)を取り入れ、「コスモスも食欲も満開!お花も美食も同時に楽しめる、秋にぴったりな商品をご紹介」といったテーマなどが考えられます。

テーマが決定したら、そのテーマがもっとも効果的に伝わるようなニュースレターの形式を選びます。形式に応じて、誰が書くのか、誰に協力してもらうのかを検討し調整しましょう。

★メディアフック……メディアがニュースとして取り上げたくなる 「情報の切り口」のこと。詳細は「メディアフックとは?大きな2つの要素や、プレスリリースに取り入れるコツを解説」で紹介しています。

STEP3.コンテンツの具体化と制作

具体的なコンテンツとして何を制作するかを決定します。

ニュースレターはプレスリリースよりも新規性の要素が薄い分、コンテンツとしての質が重要です。

読み手に「面白い」「読んでよかった」と思ってもらえれば関係性の深化やブランドイメージ向上にもつながるため、情報収集などの準備や制作時間は十分に確保できると良いでしょう。

STEP4.ニュースレターのデザインと配信・レイアウト

コンテンツができあがったら、見やすいようにデザインしましょう。ニュースレターはメールで送信することが多いので、HTML形式でメール文面に装飾を施すか、メールでは簡単に内容をまとめて添付のPDFドキュメントに詳細を記載する形をおすすめします。

多忙なメディア関係者にとって読みやすいよう、情報が整理されているか、一目で目を引くインパクトがあるかなど、デザインやレイアウトにもぜひこだわってみてください。

ニュースレターのネタ例7つの切り口

ニュースレターを継続的に配信していると、ネタに困ってしまうこともあるのではないでしょうか。そんなときは、以下のニュースレターのネタ例をぜひ参考にしてみてください。

ニュースレターネタ イメージ

1.トレンドや時事ネタ

トレンド時事ネタなど、話題になっているトピックスに絡めた内容はメディアに興味を持ってもらいやすいです。業界を代表する立場として自社でアンケートやインタビュー調査を行い、その結果を発表するのもよいでしょう。

参考例:メルカリニュースレター>電気料金値上げ対策で不要品を売る!30代から50代の年代別8〜9月売上額(中央値)を公開。30代・8月単月の一人当たり売上額は3,100円

  • フリマアプリサービス「メルカリ」は、「電気料金の値上げ」が盛んに報道されているタイミングで、自社データと絡めた内容のニュースレターを配信しています。

「『8月に売れやすい商品ランキングTOP10』を作成した」ことが新規情報とみなされ、プレスリリースとしても配信可能だったケースです。

2.社員紹介

「人」を通じて自社の魅力や企業理念を伝えることができる社員紹介。コーポレートサイトや採用サイト以外にも、ニュースレターとして発信することもできます。ユニークな経歴を持っている社員などであれば、メディアから取材先として検討してもらえる可能性もあります。

参考例:地域を「食」で支えたい――薬局で奮闘する管理栄養士にインタビューしてみた!

  • 福島県を中心に薬局を多数展開する株式会社会喜は、若手社員へのインタビューを発信。まだ知名度の低い存在である「薬局に所属する管理栄養士」について伝えています。

3.顧客の成功事例

自社商品やサービスを活用している顧客の成功事例は、業界や社会の動向を示すものとしてメディアに注目してもらえることもあります。単なる自社の宣伝としての導入事例にならないよう、顧客が抱えるどのような課題をどのように解決したのか、具体的かつ中立的にまとめることが重要となります。

参考例:呼び出し機能付き配送ロボット「HolaBot」初となるホテルでの採用が決定!渋谷ストリームエクセルホテル東急にて導入

  • Pudu Technology Inc.は、同社が開発した呼び出し機能付き配送ロボットがホテル業界に初めて導入されたことを発表。ホテルの業務において配送ロボットがどのように役立っているのかを具体的に記載しています。

「業界初」という新規性の観点から、プレスリリースとしての配信が可能だったケースです。

4.開発秘話や商品・サービスの歴史

開発秘話や、商品・サービスが発売●周年を迎えたタイミングもニュースレターを配信する良い機会です。ただ事実をまとめるだけでなく、社外には広く知られていない、意外性のあるエピソードや、社会背景を反映していることがわかる情報を加えることで読み手の満足度が大いに高まるでしょう。

参考例:2022年4月26日で誕生から10,000日!

  • 森永乳業株式会社の「森永アロエヨーグルト」は、2022年4月26日に誕生から10,000日を迎えたことを発表。発売当時は社内から不評であったという意外なエピソードや、知られていないちょっとしたデータなどを多数まとめています。

「2022年4月にパッケージをリニューアルした」という新規情報が含まれているため、プレスリリースとして配信できているケースです。

5.Q&A・FAQ特集

読者からよく寄せられる質問や、商品・サービスに関する疑問に答える「Q&A特集」は、実用的かつ信頼感を高める人気コンテンツです。

ユーザーサポートにもつながり、「悩みに答えてくれる企業」という印象づけにも有効のため、定期的にアップデートして継続掲載するとよいでしょう。

6. 調査・データ:一次データで引用されやすい素材を作る

ニュースレターでメディア掲載獲得や信頼醸成を狙うなら、一次データを含む「調査・データ型」は強力です。ポイントは、データそのものよりも「読み手が使える形」に編集することにあります。たとえば、顧客アンケートの結果を単に羅列するのではなく、結論→背景→示唆→活用例の順に整理し、メディアや読者が引用しやすい見出しや図表の要点を添えます。

特にBtoB領域では、業界の「実態」を示す数字はコンテンツとしての寿命が長く、ニュースレターで届けた素材が、後日の取材相談やホワイトペーパーの核になるケースも多いでしょう。継続運用では、毎回大規模調査を行う必要はなく、定点観測として同じ設問を少数サンプルで回すだけでも、トレンドの変化として価値が生まれます。

7. 季節・記念日:行動や意思決定が動く時期に絞る

季節やいわゆる「記念日」は企画の切り口として使いやすい一方、

安易に当てはめると、他社と差のない内容になり、ニュースレターの価値が下がりやすくなります。ここで重要なのは、祝日やイベントそのものではなく、読者の行動や判断が動く“節目のタイミング”を捉えることです。

たとえば、年度末・期初、法改正の施行時期、制度更新の期限、業界の繁忙期などは、読者にとって「準備が必要」「判断を迫られる」タイミングになります。こうした時期に、見落としやすいポイントや実務チェックリストを提示することで、記念日寄せではなく、意思決定を支援するコンテンツとして価値を持たせることができます。

また、季節を切り口にする場合も、「自社が伝えたい話題」ではなく、「その時期に読者が困りやすいこと・迷いやすいこと」を起点に設計することで、宣伝色を抑えつつ実用性の高い内容になります。結果として、単発の季節ネタではなく、継続購読の理由になるニュースレターへとつなげやすくなります。

ニュースレターを作成するときの3つのポイント

次に、魅力的なニュースレターを作成する上で、意識しておきたい3つのポイントをご紹介します。

1.継続可能な仕組みを整える

ニュースレターはメディア関係者とコミュニケーションをとるための手段です。読み手に自社への親近感を持ってもらい、自社を想起してもらえる機会を増やすためにも、継続することが重要です。

数回の配信で終了とならないよう、継続可能な仕組みを整えましょう。事前に上司とすり合わせを行い業務時間や予算を確保するだけでなく、向こう半年~1年間のテーマを決めておけるとベストです。

2.読み手のニーズに応える

ニュースレターを配信しても、読んでもらえなければ意味がありません。読み手となるメディア関係者が今どのような情報・コンテンツを求めているのか把握し、反映させることを心がけましょう。自社の言いたいことばかり書いていては、宣伝色が強くなりチラシや広告のようになってしまいます。

ニーズに応えられているかどうかは、メールの開封率などの指標から判断できます。また、業界内外の関係者やメディア関係者と日頃から積極的にコミュニケーションをとり、情報収集を行いましょう。

3.独自性のあるコンテンツにする

「このニュースレターでしか読めない!」と思わせるようなコンテンツがあれば、ニュースレターを継続的に読んでもらうことができます。

経営者や社員など、「人」にフォーカスしたエピソードを取り入れたり、開発秘話など社外に普段知られないような情報を入れたりと、自社らしさが伝わる内容にすることが重要です。

他社のニュースレターや、Webメディアがどのような企画を立てているかを参考にしながら独自性を発揮していきましょう。

実際の広報担当者が心がけているポイント

実際にニュースレターを作成・配信されている広報PR担当者が心がけているポイントやプレスリリースとの使い分けについても気になるところ。

こちらのニュースレターをPR TIMESで配信されたキユーピー株式会社の広報部に、ニュースレター配信をどのように行っているかを聞いてみました。

── ニュースレターとプレスリリース(ニュースリリース)の役割をどのように使い分けていらっしゃいますか。

プレスリリースは、新商品の発売、研究成果の公表、各種受賞の報告など、会社として公式な情報伝達の手段として活用しています。一方、ニュースレターは「●●の日」といった記念日やイースターなどの行事、制度施行のタイミングなど、世の中の動きと合わせた報道を狙って発行しています。

── ニュースレターの発行頻度を教えてください。

現在は、年間に10本~12本程度、平均すると月に1本弱です。

── ニュースレターのネタをどのように決定しているか教えてください。

「プレスリリースを発表するほどのネタではないが、広く世の中に知らせたい」という情報を社内で掴んだ際に、効果的なタイミングを探してネタにしています。「●●の日」や新制度の施行日などは、それ自体がニュースになることが多いため、そこにうまく絡めて露出を狙う、というスタンスです。

── ニュースレターの作成時に気を付けていることなどあれば教えてください。

プレスリリースはA41枚で収まらないことがほとんどですが、ニュースレターの場合は必ずPDFでA41枚に収めるようにしています。また、タイトルも、プレスリリースよりもさらにキャッチーになるよう心がけています。コンパクトかつ一目で伝わるように工夫し、掲載率アップを目指しています。

ニュースレターのテンプレート

ニュースレターを配信する際には、あらかじめテンプレートを作成しておけるとよいでしょう。

デザインにかける工数が押さえられ、その分コンテンツの準備に時間を確保できます。テンプレートをもとに、自社らしさが伝わるようアレンジしてみてください。

Wordファイルのテンプレート

上述の通りニュースレターには決まった形式がなく、プレスリリースよりも自由に作成することができるのがポイントです。一方で、多忙なメディア関係者に目を留めてもらうためには、プレスリリースと同様に端的な内容かつ目を引くデザインにする必要があります。

あくまで一例ではありますが、Wordファイルでニュースレターを作成する場合のテンプレートをご紹介します。もちろんこれが正解というわけではありませんのであくまでベースとしてアレンジして使ってみてください。

WordファイルではなくPowerPointを使ったり、Canvaなどのデザインツールを使用してみるのもよいでしょう。

配信前に押さえる注意点:法務と運用の基本

ニュースレターは関係性を積み上げる手段である一方、運用体制が整っていないと信頼を一気に失うリスクもあります。特に配信リストや素材利用、解除導線などは、相手にとって「不快」「不安」「面倒」の要因になりやすく、開封率やブランドイメージに直結します。だからこそ、配信前に最低限の法務と運用の基本を押さえ、安心して受け取れる体験を整えることが重要です。

加えて、メール配信においては「特定電子メール法」の考え方が実務上の基準になります。広告・宣伝を目的とするメールは、原則として事前同意(オプトイン)が必要であり、誰に・どの経路で同意を得たのかを説明できない運用は、苦情や通報を招きやすくなります。

法令対応は難解な解釈よりも、取得経路が説明できるリスト運用、解除しやすい導線、送信者情報の明示、素材の権利確認、そして到達性の担保といった「事故を防ぐ設計」を揃えることが本質です。これらの基本事項をテンプレートやチェックリストに落とし込めば、担当者が変わっても品質が維持され、ニュースレターが資産として積み上がっていきます。

同意と配信停止:受信者の意思を尊重し、解除導線を明確にする

受信者が「読みたい」と思って受け取れる状態を作るには、配信の同意と配信停止の導線が明確であることが前提になります。登録の経緯が曖昧だと、受信者は警戒し、たとえ内容が良くても読む前に離脱しがちです。特定電子メール法の観点でも、広告・宣伝メールは原則オプトインであり、「問い合わせをした」「名刺交換をした」という事実だけでは、ニュースレター配信への同意とイコールにならないケースが出てきます。

運用としては、フォームやイベント申込などで同意文言を明記し、同意取得日時・同意方法・同意内容を記録しておくことが安全です。また、配信停止はワンクリックで完了できる程度に簡易化し、停止後に再度の手続きを強要しない設計にしておくと、苦情の抑制とリスト健全化の両方に効きます。

さらに、メール本文内に「配信停止(解除)」の導線を分かりやすく置き、受信者の選択を尊重する姿勢を見せることは、短期の離脱を受け入れる代わりに長期の信頼を守る実務判断です。結果として不要な配信先が減り、開封率の健全化にもつながるため、指標改善の観点でも重要な設計になります。

個人情報と送付リスト:取得経路と利用目的を整理して運用する

ニュースレターの成果は「誰に送るか」で大きく変わりますが、同時に送付リストは最も事故が起きやすい領域でもあります。名刺交換、問い合わせ、イベント参加、既存顧客など、取得経路が混在すると、本人の認識と企業側の運用がズレやすくなります。そのため、リストには最低限、取得日、取得経路、利用目的、同意の有無(特定電子メール法の観点で広告・宣伝メールとして送ってよい状態か)、配信対象区分(顧客、見込み、メディア、採用など)を紐づけ、説明責任を果たせる形で管理することが重要です。

特に「過去に一度接点があった人」を一括で追加する運用は、同意不備・配信停止対応の遅れ・苦情増加につながり、結果的に到達性も毀損します。さらに、配信先を無差別に増やすよりも、読者像に合う層に絞り、内容と一致するセグメントに届けたほうが、反応も信頼も上がります。

運用の整備は地味ですが、法令リスクとマーケティング成果の両方を守りながらニュースレターを継続して資産化するための土台になります。

送信者情報の明示:誰からのメールかを一目で分かる形にする

特定電子メール法では、受信者が送信者を誤認しないようにする観点が重視され、実務では「差出人が分かりにくい」「どこから入手したアドレスか分からない」という状態が苦情の引き金になります。ニュースレターでは、差出人名を個人名だけにせず会社名や部署名を併記し、本文内にも送信主体(会社名)と連絡先、配信理由(どのような経緯で配信しているか)を簡潔に示すと、受信者の不安を下げられます。

また、ブランドやサービス名を前面に出す場合でも、運営会社が分かる情報をセットで置くことで、迷惑メール認定のリスクや問い合わせ対応コストを抑えやすくなります。法令対応というより、受信者の心理的ハードルを下げて「安心して読む」状態を作る設計として捉えると運用に落とし込みやすいはずです。

引用と画像素材:転載可否とクレジットを確認して使う

ニュースレターは編集コンテンツである以上、外部情報の引用や画像利用が発生します。ここで権利確認が不十分だと、後から訂正や削除が必要になり、社内外への信用影響が大きくなります。運用としては、引用する文章は必要最小限に留め、出典を明示し、引用の範囲が適切かを事前に確認する姿勢が重要です。

画像や図表は特に注意が必要で、フリー素材であっても利用条件やクレジット要否が異なるため、テンプレとして「素材の出典・利用条件・利用可否の根拠」を記録する欄を設けると事故を減らせます。特定電子メール法とは別の論点ですが、ニュースレターは「企業が公式に発信した証拠」が残る媒体でもあるため、権利処理の甘さがそのまま企業姿勢の評価につながります。メディア向けに素材提供を意図する場合も、転載条件を明記しておくことで、相手が安心して使える状態を作れます。

メール到達性:迷惑メール判定を避ける基本設定を整える

内容が良くても、届かなければ成果は出ません。特に企業ドメインからの一斉配信は、設定や運用次第で迷惑メール判定を受けやすく、到達率の低下がそのまま開封率の悪化として現れます。最低限の対策としては、配信ドメインの認証設定を整え、送信者名や件名の運用ルールを定め、リンクや画像の比率が極端にならないように設計することが実務的です。

また、特定電子メール法の観点で同意のない配信や解除しにくい運用が続くと、苦情・迷惑メール報告が増えやすくなり、結果として到達性をさらに悪化させる悪循環に入ります。配信先の反応が低い状態で大量送信を続けるのではなく、休眠読者を整理し、同意が確認できる健全なリストに保つことが、法務面の安全性と配信品質の両方に効きます。

到達性は「技術」だけでなく「運用」でも決まるため、配信前のチェックリストに「同意確認」「解除導線」「送信者情報」「苦情率のモニタリング」まで組み込み、毎回の品質として担保するのが安全です。

成果を継続的に伸ばす!ニュースレターの分析・改善フロー

最後に、ニュースレターの成果を継続的に伸ばしていくためのポイントについて解説します。

開封率・クリック率をトラッキングする

配信したニュースレターの効果は、開封率やクリック率を通じて測定できます。件名や送信時間の違いによる反応の差を確認することで、次回の配信内容やタイミングの改善につながるため、データを計測できるような体制を整えましょう。データの蓄積と可視化が、PDCAの基盤となります。

ABテストで件名や配信タイミングを最適化する

内容は同じニュースレターであっても、件名や送信時間帯によって開封率が大きく変動することがあります。ABテストを実施することで、どの表現や条件が最も効果的かを検証し、改善に活かすことが可能です。

少数サンプルでテストし、結果を本配信に反映させる方法が一般的です。ABテストを実施する際には、メール配信ツールを利用すると配信から計測まで一気通貫で行えます。

アンケートで読者の声を収集し次号に反映

読者の満足度やニーズを知るには、定期的なアンケートが有効です。読みたい内容や頻度、フォーマットへの意見を反映することで、ニュースレターの質を高め、読者ロイヤリティの向上にもつながります。回答への謝礼や簡易な設問で回収率を上げる工夫も有効です。

ステークホルダーとの関係性継続のためのツールとして、ニュースレターを活用しよう

本記事では、ニュースレターの役割について解説しました。

  • ニュースレターは、ステークホルダーと継続的にコミュニケーションを行うための手段
  • メディア向けニュースレターの特徴は、プレスリリースと異なり新規情報がなくても配信できること
  • ニュースレターを作成するポイントは、「継続的に配信できる仕組み」と「読み手の興味に基づいたテーマ設定」、「自社ならではの独自性があるコンテンツ」

上記のポイントを押さえ、ご紹介したネタや事例、テンプレートを参考に、ぜひニュースレターを配信してみてください。ニュースレターを活用し、ステークホルダーとより良い関係を築きましょう。

<編集:PR TIMES MAGAZINE編集部>

ニュースレターに関するQ&A

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この記事のライター

野崎 有希

野崎 有希

PR Agency、HR TechにてPRとマーケティングを経験したのち、現在は通販会社(ショップジャパン)の広報部に所属。コーポレートPR、プロダクトPR、採用PRの戦略立案に従事。社会人キャリアはずっとコミュニケーションに関わる仕事をしています。人生のミッションは、「みんなの応援団」!周りの方が幸せになるきっかけをPRの力で作りたい。‟その人“の魅力を引き出すインタビュー記事は、読むのも書くのも好き。

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