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記者クラブとはどんな組織?活用方法や投げ込みの仕組みを解説

記者クラブという組織を聞いたことがあるでしょうか。「なんとなく言葉は知っているけれど……」という方は多いかと思います。詳しくどんな組織なのか、その仕組みまで知っているという方は少ないかもしれませんね。

そこで本記事では、記者クラブとはどんな組織なのか、その種類や活用方法、投げ込みの仕組みなどについてまとめてご紹介します。

記者クラブとはどんな組織なの?

記者クラブとは、大手メディア(新聞社・通信社・テレビ局など)から派遣された記者が取材のために常駐している拠点、あるいは記者の任意団体そのものを指します

記者クラブの拠点の多くは各官庁や財界・業界団体などによって運営・管理されており、各官庁や財界・業界団体の所有施設内に設置されています。(参考:『2021年度版 広報・PR概説』公益社団法人 日本パブリックリレーションズ協会 編)

多くの記者が在籍する大規模な記者クラブだと、事務担当者がいるケースもありますが、基本的に記者クラブは、輪番制で加盟社が単独・あるいは複数が「幹事社」を担当します。記者会見や「レク(レクチャー)」の実施要望、取材上の要望など、全社的な対応・調整が必要な事案の際に、対外的な窓口になるのが幹事社です。

記者クラブの種類

では、記者クラブには具体的にどのような種類があるのでしょうか。前提として、記者クラブは報道関係者による任意団体であるため、所在や連絡先などが公に周知されているわけではありません。

下記情報はあくまで編集部調べ(2022年10月時点)となる点にご注意ください。

1. 業界・経済団体関連の記者クラブ

多く企業の広報担当者にとってもっとも関わりが深いのは、業界・経済団体関連の記者クラブです。

【業界・経済団体関連の記者クラブ例】

  • 「兜倶楽部」
    東京証券取引所における上場、上場企業の決算発表や株価に重要な影響を及ぼすような出来事について取材する記者が所属しています。
  • 「重工業研究会(重工クラブ)」
    重工業だけでなく、非鉄金属、化学、繊維、ゴム、紙、ガラス、化粧品、日用品、医薬品、アパレルなど幅広い範囲の担当記者が所属しています。

2. 官公庁関連の記者クラブ

続いて、官公庁関連の記者クラブが挙げられます。

【官公庁関連の記者クラブ例】

  • 「永田クラブ(内閣記者会)」

首相官邸で内閣総理大臣、官房長官および内閣官房の政府高官の取材を担当しています。内閣官房長官の記者会見は通例、平日午前・午後の2回開催しています。

  • 「霞クラブ」

外務省を担当し、外交の動きを取材する記者が所属します。

そのほか、基本的には各省庁ごとに記者クラブが存在します。

  • 「日銀クラブ」

日本銀行の政策決定に加え、銀行、保険など民間金融機関を取材する経済部記者が所属します。

  • 「司法記者クラブ」

裁判、および検察の捜査動向について取材する社会部記者が所属します。

このほか、総務省、国土交通省、農林水産省、内閣府などに置かれており、大手メディアに所属する政治部、経済部、社会部などの記者が混成しているケースがあります。

また、都道府県庁、都道府県警察本部にもそれぞれ記者クラブが存在しており、それぞれNHK・全国紙の地方拠点および地方紙・地方テレビの担当記者が所属しています。地方の都市部では、商工会議所など経済団体あるいは、県庁所在地の市役所に経済担当記者による記者クラブが置かれていることがあります。

また、政令市や中核市規模の自治体には、県庁とは別に記者クラブが置かれているケースがあります。周辺自治体に関する取材も担当しており、当該地域に関するプレスリリースを出す際は、そうした自治体の広報課に尋ねると投げ込みなどを教えてくれます。

政府や法規制に関する発表を行う企業や、首都圏以外で事業を行う企業にとっては官公庁系の記者クラブも重要な存在です。

3. 政党関連の記者クラブ

3つ目は、政党関連の記者クラブです。

企業の広報担当者が関わりを持つことは少ないかもしれませんが、自民党や公明党を取材する記者が所属する「平河クラブ」、立憲民主党や日本共産党などを取材する記者が所属する「野党クラブ」などがあります。両方とも、記者の常駐スペースは政党本部や国会内にあります。

(参考:『2021年度版 広報・PR概説』(公益社団法人 日本パブリックリレーションズ協会 編 )

各記者クラブには「分室」が置かれており、クラブによっては現場の記者はほとんど分室にいるケースもあります。クローズドな組織なので情報を入手しにくいですが、正確な情報はできるだけメディア関係者に直接確認したほうがいいかと思います。(元政治部記者・Aさん)

記者クラブの役割

では、記者クラブにはどのような役割があるのでしょうか。

歴史をさかのぼると、情報発表に消極的な公的機関に対して、記者クラブとして会見を求め実現させてきたという事例があります。

加盟しているメディアにとっては、公的機関や政治家の取材拒否に対しても、個人ではなく、団体としてアプローチできるというメリットがあります。また、公的機関の内部や企業からの情報提供を一括して引き受ける窓口として、迅速かつ公平な報道の一助を担っている面もあります。

排他性や複雑な組織構造が批判されることはあるものの、記者クラブは、公的組織と国民をつなぐ「コミュニケーション回路」としての役割を持つ組織であるといえます。

(参考:『2021年度版 広報・PR概説』(公益社団法人 日本パブリックリレーションズ協会 編 )

記者クラブの歴史

実は、記者クラブは日本独特の制度です。

日本における記者クラブの歴史は、明治時代にまで遡ります。1890年に第1回帝国議会が開催されましたが、議会側は新聞記者取材禁止の方針を示しました。それに対し、「時事新報」の記者らが主導して「議会出入記者団」を結成し、取材のための協力を図ったのが始まりです。

第二次世界大戦や連合国軍総司令部(GHQ)による占領期など、社会情勢に応じて記者クラブの役割は変化があったものの、1997年には、日本新聞協会が記者クラブを「公的機関が保有する情報へのアクセスを容易にする『取材のための拠点』」と定義。閉鎖性に対する批判を受けオープン化を進めるなど、記者クラブを改革する動きも見られ始めています。

(参考:『記者クラブ解体新書』(浅野健一)

記者クラブへの「投げ込み」とは

企業から記者クラブへ情報を提供する行為を、「(プレスリリースの)投げ込み」と言います。「投げ込み」は、広報の業界用語で、企業や行政、団体・個人が、記者クラブへ直接プレスリリースを持ち込むことを意味しています

物理的にプレスリリースを持ち込む「投げ込み」を行うことで、メールや配信サービスを利用する場合よりも記者の目に留めてもらえる可能性が高まります。また、自社の業種・業態を専門としているメディア関係者に絞ってアプローチできることや、新聞社・テレビ局などマスメディアの担当者に一括でプレスリリースを届けられることもメリットです。

記者クラブへの「投げ込み」

投げ込みの方法

投げ込みを行う際には、まず記者クラブへ電話連絡をし、投げ込み方法や日時を確認しましょう。

投げ込みの方法は所属機関によってさまざまです。記者クラブ内の専用ポストに投函する場合もあれば、受付で事務員に渡す場合もあります。また、投げ込み方法と併せてプレスリリースの必要部数も確認しましょう。

その後は、確認した方法と日時に則って、記者クラブにプレスリリースを持参します。

記者クラブによって雰囲気や方法も異なるため、広報担当者やメディア関係者から事前に情報収集をしておけると良いでしょう。

投げ込みに関する詳細は、下記の記事で解説しています。

記者クラブを活用するときのポイント

最後に、記者クラブの活用方法についてご紹介します。

ポイント

1.  社会的意義のあるプレスリリースを投げ込む

自社の宣伝色が強いプレスリリースは、そもそも投げ込みを受け付けてもらえない可能性があります。事前に電話連絡をする際は、プレスリリースの内容について、社会性や公共性といったポイントを押さえて簡潔に内容を説明できるようにしておきましょう。

上述したように、記者クラブは公的な情報発信を請け負う立場にあります。記者クラブを活用するためには、社会的意義のあるプレスリリースの投げ込みを行いましょう。

2.該当機関に関連するプレスリリースを投げ込む

上述のように、記者クラブにはそれぞれの担当部門があるため、プレスリリースの内容と関連性の高い記者クラブに情報を持ち込む必要があります。

例えば、株価に関連する上場企業の取り組みなら「兜倶楽部」、都庁との取り組みであれば都庁の記者クラブに持っていくなどが考えられます。

所属記者に興味を持ってもらうためには、発表の内容に合った記者クラブへ持っていくことが重要です。

記者クラブを通じて世の中に伝わる情報は多い

本記事では、

  • 記者クラブとはどんな組織なのか
  • 記者クラブの役割
  • 投げ込みの方法や注意点

についてまとめてご紹介しました。

現代は、インターネットを通じて誰もが情報を発信できる時代になりましたが、記者クラブを通じて世の中に伝わる情報は今なお多くあります。

記者クラブの仕組みや特徴を理解したうえでうまく活用し、適切に情報を届けましょう。

<編集:PR TIMES MAGAZINE編集部>

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