企業が新たな価値を生み出すために行う「業務提携」や「協業」は、事業戦略上の大きな節目となる発表です。その意義や目的を社外に伝える際に有効なのが、プレスリリースの配信です。単に提携の事実を知らせるだけでなく、自社の将来性や社会への貢献姿勢を示す場としても活用でき、ステークホルダーからの信頼醸成にもつながります。
本記事では業務提携・協業に関するプレスリリース作成時に、必ず盛り込みたい内容や注意点などを、PR TIMES社員の監修のもと細かく解説。参考になるプレスリリース事例を含めてご紹介します。
また、業務提携や協業に関するプレスリリースのテンプレートも無料ダウンロードできるので、ぜひプレスリリース作成にお役立てください。
ダウンロードファイルは、「解説付きWordのテンプレート」と「PR Editorのテンプレート」の2種類。活用方法については、「Wordファイルインポート機能とは?使い方とメリット・注意点」をご覧ください。
業務提携・協業のプレスリリースを配信するメリット
業務提携や協業は、企業にとって大きな転機であり、事業の成長やブランド強化を示す重要なニュースです。その発表を効果的に社会へ届ける手段がプレスリリースです。提携の内容を正しく伝えることで、メディア露出を通じた認知拡大だけでなく、企業の将来性や信頼性を示すことにもつながります。さらに、ステークホルダーとの新しい接点を生み出す機会にもなり得ます。
まずは、業務提携・協業に関するプレスリリースを配信することで得られる主なメリットを解説します。
メリット1.自社の製品・サービスのさらなる認知促進が図れる
業務提携や協業に関するプレスリリースは、自社製品やサービスの認知促進の機会となります。今回の業務提携や協業が企業や製品にどのような影響を与えるのかを具体的に伝えることで、自社の製品やサービスの有効性がさらに拡大したことを訴求できるでしょう。また、業務提携先企業も同時にプレスリリース発信をする場合は先方のニュースソースやコミュニティに情報拡散され、より広い範囲に情報を届けることが可能になります。
メリット2.企業としての将来性を訴求できる
業務提携は今後の事業拡大への布石であり、より積極的な事業活動を期待させます。新しい分野への進出や事業拡大への布石として発表することで、企業が次のステージを見据えていることを社内外に伝えられます。投資家や取引先にとっても、協業を通じて広がる可能性は将来性の裏付けとなり、信頼や期待を高める材料となるでしょう。
メリット3.新たなステークホルダーとつながるきっかけになる
業務提携・協業のプレスリリースは、提携先のステークホルダーをはじめとする新しい読者層に届く契機となります。提携先に関心を持つ投資家やメディア、顧客がニュースをきっかけに自社を認知し、以降の動向を注視するようになることで、新たな関係構築の機会が生まれます。
さらに、提携によって価値が高まった商品やサービスに新しく関心を寄せる生活者とも接点を持てるため、顧客基盤の拡大にもつながります。
メリット4.メディア露出やSNS拡散による信頼獲得
提携・協業のニュースは、社会的な関心が高く、メディアに取り上げられやすいテーマです。記事化されることで第三者視点からの信用力が加わり、企業の信頼度向上に直結します。
さらに、ニュース記事やリリースがSNSで拡散されれば、これまで接点のなかった潜在顧客や業界関係者にまで情報が届きます。オンライン上の波及効果を見据え、拡散を前提とした素材やビジュアルを準備することが効果的です。
業務提携・協業のプレスリリースに必ず盛り込みたい内容5つのポイント
では、業務提携や協業に関するプレスリリースではどのような内容を訴求するべきなのでしょうか。必ず入れたい5つの要素について紹介します。
ポイント1.業務提携・協業により実現することを明記する
今回の業務提携・協業で実施すること、そのうえで実現することを明確に記載します。また、業務提携に至った社会的背景や両社の強み・メリットなどをわかりやすく伝えることで、今回の取り組みの必要性をより訴求できます
ポイント2.業務提携・協業の対象となる事業の概要を記載する
業務提携・協業の対象となる事業の概要を記載しましょう。従来製品・サービスで可能だったことに加えて、業務提携や協業により変更(効果)が生じるポイントをわかりやすく説明することが大切です。業務提携や協業によってもたらされるメリットが、より具体的に伝わります。
ポイント3.目指す将来像についても記載する
業務提携や協業により実現する事とともに、自社が今後目指す姿について記載しましょう。目指す将来像のマイルストーンとしての必要性を訴求することは、計画的に事業を進めていることを印象付けます。
ポイント4.提携にかける想いを伝える
業務提携・協業の相手企業と自社からのコメントを掲載するのもおすすめです。今回の取り組みに対する両社の想いや強み、業務提携がもたらす将来性などを、それぞれの言葉で伝えましょう。
ポイント5.提携する両社の企業情報を記載する
プレスリリースの後半に、今回提携・協業する企業の情報を記載します。それぞれの企業の事業を簡潔に説明するとともに、代表者や所在地、会社HPのURLなどの基本情報を掲載するとよいでしょう。
業務提携・協業のプレスリリース作成にあたり注意すること
業務提携・協業のプレスリリース作成にあたり注意することのプレスリリース作成の際に注意したいポイントについて見ていきましょう。ここでは特に注意したい3点を紹介します。
1.業務提携の内容は正確に伝える
業務提携に関する情報を正確に記載しましょう。業務提携が影響する範囲や内容、提携によって実現されることなどを、誤解のないように伝えます。過度な表現などで大きな期待や誤解を与えないようにしましょう。
2.提携先と密に連携しながら準備をする
業務提携を発表する際は、提携先企業との密な連携が必要です。日時や送付先メディアをはじめとして、プレスリリース配信だけにするのか記者発表形式にするのか、原稿は連名なのかそれぞれからの発信にするのか、あらゆる事項に同意を取りながら行うようにしましょう。
3.画像などを取り入れ視覚での認知促進も図る
両社のロゴや提携に際しての契約締結式などの写真があれば、それを掲載するのもよいでしょう。テキストだけだと無機質になりがちですが、画像を通して協業しているイメージが伝わります。また、両社の代表者のプロフィールなどを写真とともに掲載するのもおすすめです。今回の提携に関するコメントがあれば併載しましょう。
4.株主や取引先への影響も意識する
業務提携や協業は、単なるニュース発表にとどまらず、株主・投資家・取引先に大きな影響を与える情報です。そのため、発表内容が誤解を招かないように、経営方針や財務状況との整合性を意識する必要があります。
また、株主総会や決算発表との時期が重なる場合は、情報の優先度や開示ルールを調整することも重要です。事前にIR部門や法務部門と連携し、信頼性と透明性を確保しましょう。
業務提携・協業のプレスリリースのNG例
業務提携のプレスリリースに関するポイントと注意点を紹介しました。次に、よく陥りがちなNG例についても解説します。
主語がなく、どちらの企業が何をしたのかわからない
業務提携のプレスリリースで主語が明確でないと、どちらの企業がどのような行動を取ったのかが曖昧になります。例えば、「新しいサービスを開始しました」とだけ記載されている場合、読み手はどの企業がサービスを提供しているのか理解できません。必ず「〇〇株式会社は〇〇株式会社と提携し、新しいサービスを開始しました」といった形で、主語を明確にし、具体的な行動を説明することが重要です。
要点がまとまらず何が変わったのかわからない
要点が散漫でまとまっていないプレスリリースは、読み手にとって何が重要なのかを理解しにくくします。提携の目的や具体的な変化を明確に伝えることが重要です。
「今回の提携により、〇〇株式会社は〇〇株式会社の技術を活用し、サービスの質を向上させました」といった形で、提携の結果として何が変わるのかを具体的に述べることで、読み手にとっての価値を明確にしましょう。
提携した各社の概要がない
提携した各社の概要がないと、読み手はどのような企業が提携したのかを理解できず、リリースの信頼性や重要性が伝わりません。リリース内で各社の簡単な紹介を含めることが必要です。
「〇〇株式会社は、〇〇年設立の〇〇分野に強みを持つ企業です。〇〇株式会社は、〇〇年設立の〇〇サービスを提供しています」といった形で、各社の背景や強みを簡潔に紹介することで、提携の意義がより明確になります。
担当者推薦!プレスリリース配信事例4選
PR TIMESにて実際に配信されたプレスリリースの中から、参考にしたい配信事例をご紹介します。いずれもわかりやすく伝えるよう工夫された配信事例ばかりですので、ぜひ作成の際の参考にご覧ください。
事例1.クロスマート株式会社
- 業務提携で実現されることをリード文で簡潔に記載
- 地域のDX促進など、提携に至った背景・目的について項目を設けて説明
- 自社のサービスを図表などを用いてわかりやすく紹介
参考:食品流通のDXを推進するクロスマート、仙台銀行との業務提携を開始
事例2.株式会社キャブステーション
- 提携に至る背景をデータともにわかりやすく説明
- サービスのキャプチャを用いて提携内容を明確に記載
- 提携先のコメントを通じて提携のメリットを訴求
参考:福井県トラック協会がドライバー安全教育eラーニングサービス「グッドラーニング!」と業務提携。働き方改革を見据え、初任運転者講習に活用。
事例3.株式会社ICHIGO
- 業務提携で実現することをタイトルにて訴求
- 今回の提携に関する情報を項目別に簡潔に記載
参考:ICHIGO、菓子メーカーの販路拡大支援 横浜信用金庫と連携
事例4.株式会社Ridge-i
- 業務提携の内容をタイトルで簡潔に伝えている
- 業務提携により新たに展開するサービスをわかりやすく説明している
- 今回の取り組みに際しての両社代表者のコメントを記載
参考:3次元点群モデリング事業でRidge-iとクモノスコーポレーションが業務提携開始
プレスリリース作成の基礎知識
プレスリリース作成にあたり大切なことは、行動した人の想いを込めることです。しかし、見せ方にも工夫は必要です。
どのようなプレスリリースにもあてはまる、プレスリリース作成の基礎知識をご紹介します。

POINT解説付き!テンプレートダウンロードはこちら

テンプレートを使ったインポート機能の詳細は、以下の記事をご覧ください。
業務提携・協業プレスリリースの活用方法
業務提携や協業に関するプレスリリースは、配信して終わりではなく、その後の活用次第で効果をさらに拡大できます。営業現場や投資家への説明資料、SNSやオウンドメディアでの情報発信、さらには採用広報のコンテンツとしても再利用することで、単なるニュース発表以上の価値を生み出せます。
最後に、プレスリリースの具体的な二次活用の方法を解説します。
営業資料や投資家向け資料として二次利用
配信したプレスリリースは、メディアへの発信だけでなく営業資料や投資家向けの説明資料としても再利用できます。特に提携の背景や意義、今後の展望といった要素は、ビジネスパートナーへの信頼醸成に直結します。
実際の配信文をベースに補足情報を加えれば、短期間で高品質な営業資料を整えることができます。
SNSやオウンドメディアでの拡散
プレスリリースをオウンドメディアやSNSに転載・要約して発信することで、直接顧客や生活者にリーチできます。特にSNSではビジュアル素材や短いキャッチコピーを添えることで拡散力が高まり、ブランド認知度向上に貢献します。社内外の人にシェアしやすい形式に工夫するのもポイントです。
採用広報に活かす方法
業務提携や協業は「挑戦的な企業姿勢」を示す好機でもあります。これを採用広報に活かし、会社説明会や求人ページで「他社と連携しながら新しい価値を創出している企業」として打ち出すことで、求職者に魅力的に映ります。
特に若手人材やチャレンジ精神を持つ人材の採用につなげる効果が期待できます。
業務提携のプレスリリースでは主語を意識し、わかりやすさを大切に
届けたい相手に、想いを届ける。そのための必須スキルのひとつとしてプレスリリース作成のスキルが挙げられます。
数え切れないほどのプレスリリースが日々配信され、インターネット上には多くの新しい情報が増えています。受け取る側にとっても正しい情報、自身が本当に知りたい情報と出会い、見極めることが必要になっているといえるでしょう。
届けたい相手である、メディアや生活者一人ひとりに自社の想いを届けることは、決して容易ではありません。情報を詳細かつ届けたい相手にとってわかりやすく、そして魅力が伝わるプレスリリースにすることが求められます。
ひとつでも多くの企業の想いをのせたプレスリリースが配信され、届けたい相手に想いを届けるためにお役立ていただけると嬉しいです。
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業務提携のプレスリリースに関するQ&A
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