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実務経験を積んだ広報PR担当者におすすめの、実務につながる本10選【上級編】

PR TIMES MAGAZINEでは、広報担当者になった方やこれから経験を積んでいく方向けに、広報PRの基礎知識やノウハウが学べる書籍を紹介しました。

本記事では実務経験を積んでいる広報担当者向けに、広報PR活動の実践に役立つ書籍を広報ジャンル以外にも、「経営」「社会課題」「マーケティング」「ブランディング」「デザイン思考」の5つのジャンルに分けて10冊紹介します。

書籍を選ぶ手間を省き、実務につながる本との出会いを楽しむ

実務経験を積んでいる広報担当者の中には、広報PR分野以外にも、経営やブランディングなどの分野に興味が出てきている人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、各分野で活躍する方々からおすすめの書籍を伺い、その中から広報PR業務に役立ちそうな書籍を厳選して紹介します。

読書の時間がとれないほど忙しい方や、時間があっても心の余裕がなく本を手に取るのは億劫という方もいるかもしれません。もちろん1冊を通して読むことで理解が深まりますが、概要を見るだけでも新しい知識との接点ができるので、気楽に目を通してみてください。

広報に関するおすすめの本・書籍

広報業務について解説する本はたくさんありますが、実務経験を積んでいる方が直面する課題に合わせ、より具体的な事例や解説がされている書籍を紹介します。

広報担当者

広報の仕掛け人たち

広報の仕掛け人たち』は、大手企業のブランディング・地域活性化・ガバメントリレーションズ・危機管理広報といった11のPRプロジェクトが紹介されています。「まだ実績がなく、内容もターゲットもわかりづらいイベントをどうPRするか」といった、具体的な課題には共感できる事例があるはず。

SDGsを始め、注目が集まる社会課題をどうPR施策に落とし込んでいくのかといった事例も参考になります。新型コロナウイルス感染拡大後に出版されたこともあり、コロナ禍でのPR事例にも言及されている、参考になる点が多い書籍です。

広報がうまい会社や施策など、成功事例を耳にすることはよくありますが、成功するまでにいたる課題、苦労、取組み、失敗といった情報はあまり公にはなりにくいもの。明確な課題に対して行き詰っている、もっとよいアイディアはないかと情報収集をしている広報担当者には特におすすめの書籍です。

広報の達人になる法

『広報の達人になる法』は、戦略的な広報PR活動のための88の鉄則を元に、「広報力」と「人間力」を高め、「広報の達人」に近づくために必要な教えが詰め込まれています。企画を考える方法、記事の出し方、プレスリリース作成・配信のコツ、メディア対応、危機管理など各業務の細部のテクニックを網羅的に指南する書籍です。

27社の企業幹部が語る、理想の広報像や印象深い広報担当者の話などが事例として紹介されていることが特徴です。広報PR業務を一定理解している人が、答え合わせや新たなヒントを得るために、広報の達人と会話をしているような感覚で読み進められるでしょう。

2005年に出版され、世に出てから時が経過していますが、色褪せないメッセージから広報の原則を学べるおすすめの一冊です。

経営分野に関するおすすめの本・書籍

広報担当者は、経営方針を把握するだけではなく、時に提案をしながら経営陣と共に業務を遂行することもあるでしょう。経営者と視線を合わせるためにも、経営を学ぶことは意義があり、事業成長のプロセスを把握することで経営陣とのコミュニケーションが円滑になることが期待できます。

そこで次に、経営分野でおすすめの書籍を紹介します。

経営陣とのコミュニケーション

起業の科学

資金調達、業務提携、採用活動、社員の定着と、広報目標はフェーズによって変化します。施策の幅も広く、広報PRは経営活動といっても過言ではありません。特にスタートアップに勤めている広報担当者の場合、事業拡大プロセスのスピードが早く変化が激しいので、経営指標やフレームワークの把握が広報活動に役立つといえます。

『起業の科学』は、事業の立ち上げから事業拡大に必要な手法を20のステップで解説しています。行動指標が具体的なだけでなく、スタートアップ企業がつまずきやすいポイントも紹介されていることが特徴。「現在自社がどのフェーズにいるのか」「より事業を拡大をするにはどうしたらよいのか」など、経営陣が頭を悩ませる課題を把握することで、広報PR業務で貢献できる点も見つかりやすくなるでしょう。

社会課題・文化に関するおすすめの本・書籍

環境・社会・企業統治に配慮する企業への投資を行う「ESG投資」が活発になっているように、社会課題への取り組みの重要性が増しています。ステークホルダーの共感を呼ぶためにも、広報戦略の立案のためにも、経営環境の変化をマクロ的に理解することは欠かせません。

次に、社会課題を把握するためにおすすめの書籍を紹介します。

「環境を守る」とはどういうことかー環境思想入門

『「環境を守る」とはどういうことかー環境思想入門』は、各分野の研究者が各章ごとに、自然破壊、コモンズ、環境正義、原発、クジラなど多様なキーワードから環境問題を論じている書籍です。

少し学術寄りですが、言葉の定義を明確にしてから問題提起や解決策に言及する論法や思考方法が学べます。環境について自分の頭で考えるヒントが詰まっており、信頼性、網羅性、読みやすさという点でおすすめできる1冊です。

広報担当者として、言葉の定義を把握することは大切なことです。特に「環境」という前提条件や定義が複数ある言葉は、聞き手によって解釈が異なる可能性があります。世の中が社会課題に目を向けている今こそ、「環境」という言葉が内包する意味を学び、ステークホルダーと誤解のないコミュニケーションを心がけていきましょう。

SDGsビジネス戦略-企業と社会が共発展を遂げるための指南書

社会課題を巡る議論においてSDGsの視点は欠かせなくなっています。SDGsには海の環境を守る、自然環境を守るといった環境保護と直結する目標がいくつか入っていますが、企業がこれを実践しようとすると「具体的にどうしたらいいの?」という壁にぶつかります。この壁を突破する方策が書かれているのが『SDGsビジネス戦略-企業と社会が共発展を遂げるための指南書』です。

特に重要な12の目標については、各界の有識者らによる詳細な解説があるだけでなく、会社の取り組みにどこまでSDGsの視点が取り入れられているかチェックシートもついていることが特徴です。

広報活動においてSDGsの視点は重要性を増しています。SDGsの理念やコンセプト、具体的方策、事例をセットで理解し、優先課題の決定、目標設定、事業戦略への落とし込み方を学ぶことで、より環境問題を始めとした社会課題を意識した事業や広報が行えるようになるでしょう。

お金の流れでわかる世界の歴史

「本当に歴史を動かしているのは、政治や戦争ではない。お金、経済なのである。」衝撃的なメッセージを打ち出すのは、元国税調査官であり『お金の流れでわかる世界の歴史』の著者である大村大次郎氏。お金を視点に歴史の流れを解説する本書は、経済、歴史、宗教の紐づきをお金をテーマにマクロ的に理解することができる一冊となっています。

グローバル課題を視野に入れ、地球全体で物事を考える潮流にある現代社会では、文化形成に紐づく歴史を理解することが必要不可欠になってきました。どのような組織でも広い視野を持つことは重要ですが、特にグローバル企業に勤めていて日常的に海外との取引がある広報担当者には文化理解を促進する面白い観点として学びがありそうです。

マーケティングに関するおすすめの本・書籍

多くの方に情報を届けるためには、マーケティングの考え方が役に立ちます。マーケティングの考え方は社外向けでけでなく、社内に向けても活用できます。

次に、マーケティングに関するおすすめの本・書籍を紹介します。

マーケティングの目線

マーケティングとは「組織革命」である。

ユニバーサルスタジオジャパン(合同会社ユー・エス・ジェイ)の業績をV字回復させた森岡毅氏による『マーケティングとは「組織革命」である。』は、人の専門性や力を生かすための組織作り、自分が起点となり社内を動かす、社内マーケティングの方法について書かれた書籍です。人間の本質に言及しながら人の動かし方を解説している本書からは、多くの人を動かす仕組みや方法が学べます。

人間の本質を理解した上で人を動かす話はあらゆる組織でも参考になりますが、実体験に基づく話でもあるため、著者のように大きな組織に属する方は特に一読の価値があるでしょう。組織課題を解決したい、もしくは広報施策を立てたものの、社内や利害関係者の協力が得られずプロジェクトが円滑に進まないという広報担当者に具体的な解決策を提示する一冊となるでしょう。

ブランディングに関するおすすめの本・書籍

発信するメッセージや施策に一貫性を生み、生活者の認知形成に影響するブランディング。有効な施策を意識的に打てるようになるためにも、広報担当者としてブランディングを体系的に学ぶことは大変意義があります。

ブランド戦略論

中央大学ビジネススクール教授であり、ビジネスの最前線で実務経験を積んできた田中洋氏が2017年に発行した『ブランド戦略論』は、「ブランドについてはこの一冊だけ読めばよい」と言っても過言ではないほど網羅性がある一冊です。理論篇、戦略篇、実践篇、事例篇と4部構成になっており、分厚く学術的なので一から読むには時間がかかるため、必要に応じて辞典のように利用することをおすすめします。

事例篇では、8カテゴリ30社が幅広く紹介されているため、自社の取り組みや課題に近い、参考になる案件と出会えるかもしれません。実践篇では、ブランド価値を高めるためのフレームワークも紹介されています。企業の方向性やブランド価値を見直したいと考えている広報担当者には心強い一冊になるはずです。

デザイン思考に関するおすすめの本・書籍

デザイン思考は、商品やサービスの体験価値を高めるために用いる思考法です。利用者に焦点をあてた体験を設計するため、ぜひ学びたい分野です。

最後にデザイン思考に関するおすすめの本を紹介します。

デザイン思考を高める

UXデザインの教科書

ユーザーエクスペリエンス(UX)とは、ユーザーが製品やサービスを使うときの体験を指します。『UXデザインの教科書』では、UXをデザインするための理論とプロセス、手法を体系的に解説しています。

本書は、人間中心デザインプロセスを体系的に学べるだけではなく、UXデザインを実践するために必要な調査、コンセプトデザイン、プロトタイプ、評価、提供という全体の流れを分解し、具体的な方法を丁寧に紹介しています。

顧客インサイトを引き出すための調査手法を学ぶことで、企画につながるアイディアを偶然に頼るのではなく、体系的に導き出すことが可能になります。ユーザー体験を中心にサービスやメッセージを設計できる手法を学べるため、広報担当者として事業開発に携わっている方に最適な一冊です。

誰のためのデザイン?

多くのデザイナーが手にしたことがある、デザインの教科書的な一冊としておすすめなのが『誰のためのデザイン?』です。認知科学者によるデザイン論は、人間が物事を認知する仕組みを紐解き、事業やデザインとして反映する方法論を解説しています。「デザイン思考はデザイナーだけの独占物ではない。すべての偉大なイノベーターは知らず知らずにあれこれを実践している」と著者が本書で語るように、あらゆる職種で活用できる考え方です。

文化やテクノロジー、時代によって我々を取り巻く環境は変わる一方、人間心理は変わりません。あらゆるステークホルダーとの関係性を築いていく広報担当者にとって、認知心理学をベースにしたデザイン論を学んでおくことは、実務に役立つことでしょう。

興味のある内容をインプットして広報PR業務に活かそう

職域が広い広報業務は、学ぶ対象も幅広く存在します。ステークホルダーとの関係を築いていく上で、会社を取り巻く環境や課題を理解することが重要なだけでなく、マーケティング、ブランディング、デザインなどの分野の知識を学ぶことで、広報に役立つヒントが得られるでしょう。

読書をするためには、時間はもちろん、新しいことをインプットする心の余裕も必要です。「学ぶことが多すぎる」と焦らずに、実務や課題感、興味がある書籍から手に取ってみてはいかがでしょうか。

広報上級者におすすめの本に関するQ&A

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この記事のライター

坂下 彩花

坂下 彩花

合同会社KOUYO代表。スタートアップ企業で広報と人事を兼務しながら、広報業務を一通り経験。提供する情報がない中での企画作り、メディアアプローチが強みです。これまでの広報経験を生かして広報担当者さんの役に立ちたいと思いPRTIMES MAGAZINEに参画。現在シェアハウスの愉快な仲間たちと賑やかに暮らしています。

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