プレスリリースは、企業活動の成果とその発表に至るまでの過程、担当者の思いなどを表明するパブリック・リレーションズの発信手法のひとつです。
そのため、「何を発信するか」がとても重要となりますが、他にも検討すべき要素がいくつかあります。例えば、どのメディアに配信するかや、どのタイミングで発信するかなどもそのひとつ。さらに、「誰が(誰として)発信するか」も大切な要素になります。
「自社のプレスリリースなんだから、自社の社名で配信するものでは?」と思われる方も多いと思います。しかし、社名 / ブランド名 / 団体名など、読み手にとって最も伝わりやすい発信主体を決めることができるのです。
PR TIMESでは、この配信元企業名を変更するための「略称」を設定する機能があります。今回は、この略称機能の使い方や設定方法、実際に活用している企業の事例をご紹介いたします。
サービス名・ブランド名発信の略称機能とは?
上述した通り、PR TIMESには、配信元企業名を変更する「略称設定」の機能があります。
PR TIMESに新規の企業登録をする際は、正式な社名でアカウント発行する必要がありますが、登録完了後に始めて設定変更できる略称は、主要サービス名やブランド名などでプレスリリース上の表示を変更することができます。新規の企業登録の申請方法については以下の記事を参考にしてみてください。
サービス名・ブランド名発信の略称機能の使い方
では、略称機能はどのように利用すればいいのでしょうか。具体的な設定方法を3ステップでご紹介いたします。
STEP1.まずは企業登録を行おう
まず、PR TIMESでプレスリリースの配信を行うためには、企業登録申請が必要です。この企業登録の時点では、略称の入力項目はありません。企業名は、登記している正式な社名で登録を行いましょう。
この企業登録が完了すると、自社専用の「管理画面」が発行され、配信先メディアの指定や、プレスリリースの新規登録、そして法人名略称を設定できます。
STEP2.「企業情報」から略称を設定しよう
企業登録が済んだら、管理画面内のサイドメニューにある「設定」から企業情報の編集を行いましょう。「法人名(略称)」の項目があるので、プレスリリースの発信元として指定したい略称名を設定できます。このとき、必ず保存することを忘れずに。
STEP3.略称が反映される箇所を事前確認しよう
企業情報の編集から設定した略称は、以下3箇所に反映されます。正しく反映されているかどうか、新規のプレスリリース配信時にはそれぞれ確認をしましょう。
- メディア関係者へのリリースメールのタイトル・本文
- PR TIMES上で公開されるプレスリリースページ
- パートナーメディアへのプレスリリース原文転載ページ
①メディア関係者へのリリースメールのタイトル・本文
まず、プレスリリース配信と同時に送られるメディア関係者へのメール文面に反映されます。プレスリリース作成時にメールタイトルに社名反映のチェックをいれている場合は、タイトルの書き出しにも反映されるので、とても大切ですね。なお、メールタイトルの社名表記は、入力ボックスになっているので書き換えが可能です。
忙しい記者・編集者は、メールを1通ずつ開く時間がとれない場合も多く、メールタイトルを見て、自分自身の関心領域に近い話題なのかどうかを判断することもしばしば。プレスリリース内容を端的に書くと同時に、もし社名よりもブランド名のほうが一般に認知されている場合は、略称でブランド名を設定し、「ピンときてもらいやすい」発信ができると良いでしょう。
またメールタイトルだけでなく、最上部の「○○のプレスリリース」の箇所と、報道関係者各位の下のスペースにも、同様の略称が挿入されます。
②PR TIMES上で公開されるプレスリリースページ
続いて、略称はPR TIMES上で公開されるプレスリリースページにも反映されます。タイトルのすぐ下にある、配信主体の表示が略称になります。
ただし覚えておきたいのは、ページ下部の「会社概要」には正式な会社名が反映されるという点です。これは、略称にどのような設定をしようとも、配信主体である正式な企業名が、メディアにとって必要な情報となるためです。
また、メディア関係者だけでなく、私たち一生活者にとっても、気になる商品があったらどの会社が出しているのか知りたくなることがありますよね。読み手にとって正しい情報を伝えるというポリシーから、表示上は略称が反映されるものの、会社概要では会社名が反映されるようになっています。
パートナーメディアへのプレスリリース原文転載ページ
最後に、略称はPR TIMESが提携しているパートナーメディアでも反映されます。PR TIMESで配信すると、20媒体以上、プレスリリース原文が掲載(転載)され、こちらのページでも略称が表示されるのです。
これら3つの反映箇所は略称設定によって自動反映されますが、設定変更後、最初のプレスリリース時に確認をし、客観的に見て伝わりやすいものになっているかチェックしましょう。
企業名以外でプレスリリースを配信したい場合に押さえておきたい3つのこと
では、企業名以外の略称を設定する際は、どのように進めていくのがよいのでしょうか。何度も変えるようなものではないからこそ、適切な手順で、押さえるべきポイントを踏まえて進めたいですね。ここでは必要な3つのポイントをご紹介します。
1.「誰」として配信するのがベストか社内で検討
プレスリリースは、基本的は会社名で配信するものです。その前提の上で、そのほかの配信元の選択肢として以下などがあります。
- ブランド名
- サービス名
- サイト名
- 委員会・事務局名
- 有志団体名
この意志決定には、経営層を巻き込むことが大切です。なぜなら、プレスリリースは宣伝ではなく、良好な関係を築くパブリック・リレーション活動の一環であり、ひとつひとつの発信は、マーケティングや採用、ブランディングにも寄与するからです。どのような目的で情報発信をするのかを突き詰めるこのプロセスは、広報PRについて経営層と視点を合わせることにも寄与すると言えます。もちろん他部署や現場から意見を得るのもいいですね。
2.全社へ周知し、必要に応じて全社対応を起案
方針が決まったら、上述した「略称機能の使い方」を参考に設定を進めていきます。社内に向けた事前周知も必ずおこないましょう。
プレスリリースの配信元を企業名以外にすることの影響範囲は、メディアリレーションだけに留まりません。STEP1でもご紹介したように、一つひとつの発信は、企業活動を支える重要なブランディングにも繋がるのです。
広報としてベストを判断し、全社的に方針を共有することが大切です。その上でプレスリリース問い合わせ対応や個人のSNS発信など、全社的に対応していきたい事柄があれば広報PRからの起案機会にするのも良いですね。
3.配信元候補が複数ある場合は、使用ルールを決める
社内を巻き込んで企業名以外の配信を検討した結果、事業やプロダクトによって、複数の候補があげられることもあるでしょう。そのようなときは無理に絞らず、複数活用する前提で、チーム共通の使用ルールを決める必要があります。
PR TIMESでは事業ごとに配信したい場合は、企業登録をそれぞれで行い、異なるアカウントとして略称を設定し配信するという方法があります。
ただ1点注意したいのは、略称は何度も変えるようなものではないということ。設定変更はいつでもできてしまいますが、リリースの度に変わるようなことがあると、読み手を困惑させたり、一貫した立場で様々な話題を積み上げていくという点で効果が弱くなってしまいます。複数活用するにしても、一定期間しっかり取り組むことが大切です。
法人名略称をうまく活用している企業事例5つ
1.ローラ メルシエ ジャパン(資生堂ジャパン株式会社)
最初の事例は、資生堂ジャパン株式会社のケースです。同社が日本代理店を務める米国メーキャップブランド「ローラ メルシエ(laura mercier)」の配信を、ローラ メルシエ ジャパンの名称で配信しています。
ブランドとして日本に上陸した2017年時点から、継続してブランド名で配信をおこなっています。資生堂として多数のブランドを有しているからこそ、ブランド個別のアカウントを持ち配信するのは、効果的な方法のひとつと言えます。
2.JAF(一般社団法人 日本自動車連盟)
続いてのケースは、一般社団法人 日本自動車連盟の事例。世間的にも「ロードサービスといえばJAF(ジャフ)」という認知が圧倒的に高く、プレスリリースの配信でもより認識されやすいJAFの略称を活用しています。
実は、1980年代までは「ジェイエイエフ」という呼び名が主流だったそう。TV-CMなどでも聞き馴染みがあり、私たち生活者もピンときやすいので、納得の略称設定ですね。
3.ヴィレッジヴァンガード(株式会社ヴィレッジヴァンガードコーポレーション)
続いては、株式会社ヴィレッジヴァンガードコーポレーションのケースをご紹介。全国に多数の店舗を持ち、「ヴィレンヴァン」の通称でも知られる同社は、ヴィレッジヴァンガードの略称で配信をおこなっています。
社名が長い場合、メールタイトルの書き出しに社名を反映すると、発表内容を書ける文字数が限られてしまうこともあります。一般的に認知されている店舗名のみで設定するのは、ベストな選択です。PR TIMESの利用企業の中でも、「株式会社」を取った略称に設定している企業は多数あります。
4.FC東京(東京フットボールクラブ株式会社)
4つ目のケースは、東京フットボールクラブ株式会社。社名ではピンと来づらいかもしれませんが、チーム名である「FC東京」の略称は、多くの人に馴染みがあります。
スポーツチームの場合は、社名よりもチーム名のほうが知られているケースが多いでしょう。メディア関係者だけでなく、サポーターにとっても嬉しい発信になりますね。
5.DeNA(株式会社ディー・エヌ・エー)
最後のケースは、株式会社ディー・エヌ・エーです。同社の正式な社名はカタカナ表記ですが、略称では英分名のDeNAとして配信しています。
略称は文字数を短くできるだけでなく、自社をどのような名称で認識され、世の中と良い関係値を築こうとしているかの意志表明にもなります。
略称はメールタイトルなど重要箇所にも反映
今回は、PR TIMESの略称機能についてご紹介しました。PR TIMESの企業登録時には正式な社名で申請を行い、その後管理画面の「企業情報」より略称設定ができるようになります。
略称機能は、企業情報の編集時にしかない項目のため、実は知らない方も多いかもしれません。企業名以外の発信名称を意思決定するにあたり、社内で議論することも重要なプロセスです。経営視点も交えて決定し、ぜひ活用してみましょう。
ときにはリレーションのあるメディア関係者や、取引先などから客観的な意見を聞いてみるのも良いかもしれませんね。メールのタイトルなど、必ず目にされる重要な場所にも反映されるので、是非活用してみてくださいね。
サービス名・ブランド名発信の略称機能に関するQ&A
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