情報発信のプラットフォームとして注目されている動画共有サービス「YouTube」。数々の有名YouTuberが登場するほか、最近では公式YouTubeチャンネルを開設する企業も増えています。
本記事では、チャンネル開設からその運用方法、運用のメリット、KPI、成功事例までを一挙にご紹介します。
企業がYouTubeチャンネルを開設する目的と3つのメリット
企業がYouTubeチャンネルを開設する目的は、画像にはない映像ならではのコンテンツを提供することや、従来のSNSでは接触できなかった層へのリーチなどさまざま。以下で紹介するように、導入には3つのメリットもあります。チャンネル開設で得られる効果を確認して、自社のチャンネル開設の参考にしてみてくださいね。
1.ユーザーにわかりやすく情報提供できる
映像と音声でわかりやすく情報発信できるのがYouTubeの最大の特徴です。FacebookやX(旧 Twitter)、InstagramといったSNSでも動画の投稿は可能ですが、動画に特化していないプラットフォームの特性上、長尺のコンテンツは投稿できなかったり、ユーザーの閲覧ニーズとマッチしなかったりします。
「動画共有サービス」であるYouTubeなら、企業や製品に関する情報やメッセージをビジュアルや音声、音楽を用いて発信することが可能です。テキストのみの情報発信と比べ、ユーザーにとってわかりやすい伝え方ができるのは、ほかのSNSにはない強みですね。
2.若者含む幅広い年齢層にリーチしやすくなる
総務省の「令和3年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、YouTubeは、10~30代を中心に広く利用されているプラットフォーム。年代別の利用率は10〜30代で約97%、50代で約82%と高い利用率であることがわかります。幅広い年齢層へのリーチを増やすのにぴったりといえるでしょう。
若者向けSNSというとTikTokやInstagram、X(旧 Twitter)を思い浮かべるかもしれませんが、YouTubeも10〜30代に向けた情報発信で積極的に活用したいプラットフォームなのです。
3.SEO対策としても有効
YouTubeチャンネルの運用は、実はSEO対策としても有効です。動画コンテンツに特化した「動画SEO(VSEO:Video Search Engine Optimization)」によって、検索エンジンで動画コンテンツを上位表示させるための最適化が行われます。
例えばYouTubeにアップした動画に自社サイトへの動線を置くことで、通常のSEO対策との相乗効果が生まれ、自社サイトなどへの流入増が見込めるでしょう。
企業がYouTubeアカウントを開設する方法・アカウントの作り方5ステップ
さまざまなメリットのあるYouTubeチャンネルの活用ですが、そのアカウントはどのように作成するのでしょうか。ここでは、アカウント開設に必要な手順を解説します。
STEP1.Googleアカウントを作成する
YouTubeチャンネルを開設するには、Googleアカウントが必要です。すでにGoogleアカウントを持っている場合はそこからチャンネル開設が可能ですが、持っていない場合は新しく作成しましょう。
STEP2.1で作成したGoogleアカウントを使ってYouTubeにログインする
新しく作成したGoogleアカウント、もしくは既存のGoogleアカウントを使ってYouTubeにログインします。YouTubeページを開くと、右上にログインのボタンがあります。
右上のログインボタンをクリックし、STEP1で作成したGoogleアカウントの情報を入力するとログインできます。
STEP3.チャンネルを開設する
ログインしたYouTubeページで右上のアイコンをクリックすると、写真のような管理画面が表示されます。
「設定」をクリックすると、次のような設定画面に移行します。
「新しいチャンネルを作成する」をクリックすると、チャンネル開設ができます。
STEP4.ブランドアカウントを作成する
「新しいチャンネルを作成する」ボタンを押すと、ブランドアカウントの設定ができるので、新しく開設するYouTubeチャンネルのチャンネル名を設定します。
企業アカウントなので、「企業名」は入れておくといいでしょう。また、一目見たときにどんなYouTubeチャンネルなのかわかりやすいネーミングにすることもポイントです。
チャンネル名は後から変更可能です。
STEP5.ブランドアカウントの詳細を設定する
チャンネルが開設できたら、詳細の設定をしていきます。
上の画像の「チャンネルをカスタマイズ」をクリックすると、アイコンやチャンネルの説明文、チャンネルアートなどが設定できます。
「ブランディング」ではアイコン設定、「基本情報」では説明文が入力できます。オリジナルの画像や説明文の設定で、自社らしいYouTubeチャンネルを作ってみてください。
企業がYouTubeアカウントを開設するときの注意点
企業がYouTubeアカウントを開設するとき、どんな注意点があるのでしょうか。企業アカウントと一般ユーザーが使うアカウントとの違いや、公式チャンネルにする方法を解説します。
一般ユーザーとビジネス用のアカウントの差は少ない
YouTubeでは、ユーザーが閲覧する際に一般ユーザー用とビジネス用に分かれて表示されることがありません。そのため、先述の「ブランドアカウント名」を企業名にするなど、企業の公式チャンネルであることを必ずわかりやすい場所に表示しましょう。
公式ブランドチャンネルはGoogleアカウントチームに問い合わせる
YouTubeには、通常のブランドアカウントとは別に、一部の大手企業などが開設できる「公式ブランドチャンネル」というものがあります。
「公式ブランドチャンネル」では、通常のブランドアカウントとは異なるプロモーション機能を利用できますが、利用料金や申し込み方法は明記されていません。「公式ブランドチャンネル」の開設については、Google側の問い合わせ窓口「Googleアカウントチーム」に問い合わせて確認しましょう。
企業がYouTubeチャンネルを運用するときのポイント
企業のYouTubeチャンネルを運用するとき、どんなポイントを押さえておけばいいのでしょうか。YouTubeは、ほかのSNSとは運用のポイントが大きく異なります。ここで紹介する3つのポイントを確認して、費用対効果を最大化してくださいね。
ポイント1.チャンネルの目的・コンセプトを設計する
運用を開始する前に、チャンネルを開設する目的とコンセプトを定めましょう。
目的は、企業自体の知名度の向上や新しい社員の採用、自社製品・サービスの売上アップやファンづくりなどが挙げられます。また、制作する動画を使って「誰に、何を、どのように」届けるのかというコンセプトもしっかりと設計しておきましょう。
目的とコンセプトが定まったチャンネルにすることで、ユーザーへ発信するメッセージに一貫性が生まれ、結果的にファンが増えたり定着したりしやすくなります。
ポイント2.撮影や編集のスケジュールを立てる
動画制作で大切なのが、撮影や編集のスケジュールづくり。動画の撮影・編集には多くの工数がかかります。動画の公開予定日から逆算して、すべての作業のマイルストーンを設定し、関係者に共有するとよいでしょう。
特に、自社内ではなく外部のパートナーに作業を依頼する場合には、自社の担当者と外部の委託先との間でスケジュールのコンセンサスを確実に取っておきましょう。
ポイント3.人件費や機材費を加味して予算を組む
動画制作には人手が要りますし、当然ながら人件費もかかります。また、新たに撮影・編集機材を揃えるとなればその費用もかかります。ロケを実施する場合には、交通費なども必要になります。
費用が多額になる可能性もあるので、人件費や機材費などをすべて洗い出して予算を組みましょう。万が一、追加費用が発生してもいいように余裕を持って予算を設計しておくと安心です。
企業がYouTubeチャンネルを運用するときのKPI
チャンネル運用の目的を定めたら、それを達成できているか測るための指標が必要ですね。KPIを設計して重要指標の達成度合いをモニタリングしながら、的確かつ迅速にPDCAを回しましょう。
【KPIの一例】
チャンネル登録者数
動画の視聴数 /コメント数 /いいね数 /再生時間
チャンネル・動画から自社サイトへの流入数
動画をきっかけとした売上
企業のYouTubeチャンネルの成功事例5選
企業のYouTubeチャンネルを開設・運営する際に参考にしたい、成功事例をご紹介します。BtoC企業とBtoB企業それぞれの事例から、チャンネル運営成功のヒントを見つけましょう。
無印良品|株式会社良品計画【BtoC企業】
無印良品のYouTubeチャンネル(MUJIglobal)は、30秒から2分程度の短い尺で商品や体験を紹介する動画を中心に運営されています。
シズル感のある無印良品らしい動画で商品の魅力を伝えているほか、環境に配慮したサステナブルなものづくりをアピールする動画も多数あります。商品のプロモーションと同時に、企業理念の発信も担うチャンネルであることがわかりますね。商品と企業、両方のファンを増やすチャンネル運用の参考にしてみてください。
読売ジャイアンツ|株式会社読売巨人軍【BtoC企業】
多くの球団が公式YouTubeチャンネルを作成している中、読売ジャイアンツのチャンネル登録者数は60.5万人(2023年6月時点)と、人気アカウントです。
選手を身近に感じられるようなインタビュー動画や、普段の練習風景など、ジャイアンツファンにとってはたまらない情報を発信してくれています。コロナ禍で球場には足を運びにくい中でも、野球を観戦しているような気分になれるコンテンツです。
サムネイルや字幕もわかりやすく面白いため、思わず繰り返し見てしまうような設計になっています。
北欧、暮らしの道具店|株式会社クラシコム【BtoC企業】
BtoC企業の中で、工夫されたYouTubeチャンネル(北欧、暮らしの道具店)を運用しているのが、北欧、暮らしの道具店です。掲載しているのは「料理ドラマ」「モーニングルーティン」「暮らしの本音」などをテーマにした動画で、視聴者のライフスタイルの中に自然と「北欧、暮らしの道具店」が存在することを想像できるような仕組みになっています。
Sansan株式会社【BtoB企業】
クラウド名刺管理のSansan株式会社のYouTubeチャンネル(Sansan,Inc.)は、サービスの導入企業へのインタビュー動画と、スポンサーを務めるラジオ番組の動画を中心に運営されています。
インタビュー動画では、業種・業界を問わず幅広い企業で導入され、実際に効果を生み出していることを発信。ラジオ番組の動画では、「世界を変えたイノベーションを生んだ、誰かと誰かの『出会い』」をテーマに企業理念に沿ったコンテンツを発信。企業理念への共感者を増やしながら、サービス導入企業も拡大するためのチャンネル運営が行われています。
KDDI|KDDI株式会社【BtoB企業】
携帯通信大手ブランドauを運営しているKDDI株式会社のYouTubeチャンネル(KDDIofficial)は、法人向けカスタマーサポートの情報のほか、auのテレビCMなどのコンテンツや端末の使い方ガイドなどの動画を多く掲載しています。
質の高いコンテンツ配信を継続できる体制で運用することが肝心
YouTubeの企業チャンネルの運営は、手間も費用もかかるもの。一朝一夕で効果を出せるプラットフォームではありません。
チャンネル運営の目的とKPI、予算などを照らし合わせながら、地道ながらも着実に効果を出せるよう、質の高いコンテンツの配信とそれを継続できる体制を構築しましょう。
<編集:PR TIMES MAGAZINE編集部>
YouTubeの企業アカウント開設に関するQ&A
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