これまでPR TIMES上で配信されたプレスリリースの動向を振り返り、紐解いていく月間PR TIMESプレスリリースウォッチ総評。
今回は、昨年の2019年5月に配信されたプレスリリースをもとに2020年5月のプレスリリース配信に役立つ情報やノウハウを見つけていきたいと思います。新年度の勢いそのままに、イベントごとが増えていく5月。年度方針や目標が定まったであろうこの時期の情報発信が、向こう1年間の広報活動の基準値となる人も少なくないでしょう。
2019年5月のトレンド振り返り総評
5月は大型連休のゴールデンウィークから始まり、新緑を感じられる気候の穏やかな季節です。月初には「みどりの日」や「こどもの日」といった祝日や、第二日曜日の「母の日」など行事があります。市場の盛り上がりに合わせたイベントやフェア、ギフトなどのプレスリリースが、4月中旬からゴールデンウィーク期間中に集中的に配信されます。
しかしゴールデンウィーク明けに気持ちがガクッと落ち込む「五月病」と呼ばれる症状が出るなど、5月は生活者の心情もアップダウンのある時期でもあります。
中旬以降は連休や国民的記念日などもなく、市場もやや低迷傾向を辿るため、中旬~下旬にかけては自社ならではの企画や「今日は何の日」を活用して新たな施策を行うなど、能動的な情報発信ができると良いでしょう。6月の梅雨シーズンに備えて気持ちが前向きになるようなキーワードも需要が高まるかもしれません。
新型コロナウイルスもいまだ収束の目途が立たず、外出自粛要請やリモートワークなどがいつまで続くのか不透明な現状では、政府の発令にも引き続き注視しましょう。今年のゴールデンウィークは例年のような「おでかけ」を促す企画提案が難しいですが、いまだからこそ困っている誰かにそっと寄り添えるような、自社らしい明るいニュースを発信していきたいですね。
(PR TIMES編集部)
1年前のPR TIMESにみる5月のプレスリリース配信タイミング
2019年のプレスリリース配信数の推移から、2020年同月の配信タイミングのヒントとなりそうな動向をピックアップし、考察していきます。プレスリリース配信数に関する2019年5月の注目ポイントは以下の4点でした。
2019年5月のプレスリリース配信本数におけるデイリー最多は31日(金)、次いで30日(木)となっています。
大型連休で月末月初の配信本数が大きく変動
毎月月末と月初に配信本数が伸びる傾向にありますが、5月は月初が大型連休のため配信本数が少なく月末に配信が寄りやすくなります。同じ1日でも月曜日だった2019年4月1日の配信本数に対し、祝日である2019年5月1日はおよそ15%ほど。多くの企業が5月初旬に配信予定だったものを、祝日を避けて4月最後の平日である26日に配信したと考えられます。その影響もあってか、2019年4月26日の配信本数が過去最高を記録しました。
新元号に関連するプレスリリースも
ところが、5月1日のプレスリリース配信数は他の祝日や週末に比べると2~6倍ほど多いことも判明しています。これは新元号に変わった「令和の初日」だったことが関係しているでしょう。「令和最初の」や「平成から令和へ」など元号を絡めたタイトルのプレスリリースが目立ちました。
新生活シーズンだった4月に比べ、5月は生活環境が落ち着いてきます。特にゴールデンウィークを過ぎた中旬以降は市場自体も落ち着くタイミング。プレスリリースの配信本数も市場の動きと比例しており、4月中旬は平日配信本数の平均が570本超であるのに対し、5月中旬の平日配信本数の平均は約510本でした。広報トピックスが相対的に少ない時期といえるかもしれません。
ただ、配信本数が落ち着くタイミングこそ、メディアも生活者も情報を求める時期とも言えます。自社の新たな動きがない場合は、臨機応変にオンタイムで活用できる情報を発信すると良いでしょう。
2019年5月に注目を集めたリリースPickUp
2019年5月当時、パソコンまたはスマートフォンでPV数やエンゲージメント率が高かったプレスリリースの中から、PR TIMES MAGAZINE編集部が独自にPick Up!プレスリリース事例から見る一言ノウハウについて、解説していきます。
平安伸銅工業株式会社のプレスリリース事例
~日本国民の9割は、突っ張り棒の使い方を間違っている!?~突っ張り棒の平安伸銅工業、ブチギレ社長が“ツッパリ嬢” に大変身!怒りのあまり、ホームセンターを大占拠!?
突っ張り棒の業界トップシェアメーカーの社長が”ツッパリ嬢”に変身して、「正しい突っ張り棒の使い方」を伝えるべくホームセンターをポスターで占拠する、という内容のプレスリリースです。
パソコン、スマートフォンどちらからの閲覧数も高く、Facebookのいいね!数が8,500超、Twitterの総シェア数も800超とSNSのエンゲージメント率も非常に高いのが特徴です。2019年5月14日に配信され、翌15日に集計した時点で3,500を超えるいいね!がついていました。話題が話題を呼び拡散され続けることで閲覧数・シェア数が伸び続けたようです。
<事例から見る一言ノウハウ>
ヤンキーを指す「ツッパリ」と「突っ張り棒」をかけたユーモアのある企画にインパクト抜群な画像が印象に残ります。ポスターの種類も豊富で、秀逸なコピーも相まってSNSで拡散されました。キーワードも「突っ張り棒」「つっぱり」「つっぱり棒」とゆらぎを想定して複数登録されているのも参考になります。
オフショット付きの撮影エピソードも添えられ、アットホームかつユーモア溢れる雰囲気に統一されているのも読み手のシェア心を揺さぶるポイントです。
ちなみに、プレスリリースにはPDF版も添付されていました。PR TIMESの登録画面より自由度が高いPDFファイルも有効活用されています。時節キーワードが少ない5月中旬以降で参考にしたい、自社らしい企画のプレスリリースでした。
mplusplus株式会社のプレスリリース事例
【mplusplus自主開発PJ第二弾】ディスプレイのように制御可能な旗、”LED VISION FLAG”
LEDを使用したダンスパフォーマンスシステムの開発・演出・テクニカルディレクションを行っている企業が、LEDを搭載した旗を開発したというプレスリリースです。
ライブなどのパフォーマンスに活用できる、まさに「映える」旗。思わず目を奪われるグラフィックの効果もあり、Twitterシェア数が6,100超と話題になりました。
<事例から見る一言ノウハウ>
視覚に訴える商品だからこそ、プレスリリースのテキスト情報は最小限にとどめ、動画でその魅力を余すことなく伝えています。
PR TIMESの本文内では動画のみ掲載されていますが、ダウンロード可能なプレスリリース素材には画像もしっかり登録されています。そのおかげでSNSのタイムラインにも画像がしっかりと反映されていました。媒体の特性を熟知した細かな配慮が感じられる点が好ポイントです。
ライブでの導入実績を述べて生活者に活用シーンをイメージさせるだけでなく、「今後の展開」でイベント業界や演出・制作企業にもアピール。誰に読んで欲しいのかが明確なプレスリリースでした。
株式会社ネコリパブリックのプレスリリース事例
5月25日はホゴネコの日!ホゴネコを家族に迎える文化を、そして保護猫活動についての理解をもっと日本に広める目的で、ネコリパブリックが申請し、日本記念日協会が正式に制定!
保護猫カフェを運営する企業が「ホゴネコの日」を設定し、一般社団法人日本記念日協会によって正式に日本の記念日として認定されたというプレスリリース。Twitterでの400超のシェア数に加え、Facebookで3,000超のいいね!がつきました。
社会的メッセージ性の強いプレスリリースはFacebookでのエンゲージメント率が高まる傾向がありますが、このプレスリリースは、「猫」という親しみやすいテーマのおかげか、Twitterでのシェア数も伸びていました。
<事例から見る一言ノウハウ>
「ホ(0)ゴ(5)ネ(2)コ(5)」の語呂合わせから5月25日をホゴネコの日と、自ら記念日を設定するというアクションこそ、何よりも見習いたいポイントです。
さまざまなイベントを通して保護猫活動を知ってもらうきっかけ作りを行っていくという今後の展望も添えられていることで、記念日制定にあたっての理念や意志の強さが感じられます。
プレスリリースにキーワードで「ねこ」「ネコ」「保護猫」とバリエーション豊富に登録されているのも、よりリーチを広げられたポイントではないでしょうか。
5月の新定番になりそうな注目のプレスリリース
今回は、PV数やSNSのエンゲージメント率以外の観点でチェックすべきプレスリリースをPR TIMES MAGAZINE編集部が独自にピックアップしてご紹介します!
株式会社そごう・西武のプレスリリース事例
近年市場規模が縮小傾向にある「母の日」商戦を盛り上げるべく、そごう・西武が2018年に開催した「全国一斉母の日テスト」。お母さんにまつわる問題を母子同時に回答し、採点。成績優秀な3組にプレゼントが贈られる企画です。
母親自身がもらって嬉しいものとして挙げられる「コミュニケーション」や「感謝の気持ち」につながるいい機会として多くの反響を呼びました。「東大生にも解けない難問」というフレーズの効いた動画は再生数が130万回を超えたり、翌2019年には書籍化されるなどそごう・西武も関連リリースを積極的に配信。
SNSでも話題となり、2019年5月にはPR TIMESへの流入において「母の日テスト」の検索ワードも上昇。母の日の新定番になりそうな注目企画です。
<母の日テストに関連するプレスリリース>
東大生でも意外と解けないテスト?!「2018年全国一斉母の日テスト」開催!(2018年4月23日配信)
昨年話題になった「母の日テスト」が書籍化!そごう・西武で母の日プロモーション開催(2019年4月3日配信)
母の日の新定番!?「母の日テスト」が今年も泣ける!「2019年全国一斉母の日テスト」開催(2019年4月16日配信)
【そごう大宮店】母の日イベント開催(2019年5月5日配信)
【西武池袋本店】ご好評につき今年2回目の「全国一斉母の日テスト」開催(2019年5月10日配信)
<事例から見る注目ポイント>
企画が始動した2018年のプレスリリースでは企画の背景や意図がまとめられ、タイトルに「東大生でも意外と解けないテスト?!」とインパクトを持たせることで読み手の興味を引いています。半面、プレスリリース内の動画は真面目なトーンでのメッセージ発信とし、興味から共感までの流れを綺麗に設計されていました。
2019年に配信された4本の関連リリースでは、動画再生回数など数字で実績を見せたり、書籍化によるギフト施策を発表したりと、仕掛けを定番化させるための多彩な発信が目立ちました。
たとえ短いスパンでの同一プロジェクトのプレスリリースであっても、画像やテキストひとつひとつに手を抜かない姿勢と、どのプレスリリースから読み始めても読み手に企画意図が伝わる工夫は、多くの企業で参考になるでしょう。
いくら社会で下火となった行事でも、自分達次第でムーブメントは起こせるもの。自ら積極的に仕掛けていく姿勢はお手本にしたいものです。
2020年5月のトレンド予測
キーワードが豊富な4月と異なり、5月は祝日や記念日が上旬に集中し、中旬以降はやや落ち着きムード。わたしたち生活者の気持ちの面でもアップダウンが訪れやすい月です。
上旬の恒例行事や祝日などは4月から情報発信し、5月に入ってからは6月の梅雨に向けて気分転換になるようなフレッシュな情報提供や企画を心掛けると良いですね。
コロナ禍で外出自粛要請が発出された今年は、ゴールデンウィークの賑わいも例年通りとはいかないでしょう。その分、新たな機会を提案してみたり、恒例行事であっても普段と異なるアプローチを考えたりと、アイデアと工夫が求められることでしょう。ご紹介したプレスリリースを参考に、今年ならではの情報発信にチャレンジしてみてください。
2020年5月の広報PRの準備はこちらからどうぞ!
【2020年5月版】広報PRトレンドウォッチ!変化する生活者にフレッシュな提案を
<編集/岡 陽香>
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