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ブランド評価とは?評価の指標や測定方法、ブランド価値を高める5つの方法を解説

「ブランド評価の具体的な測定方法がわからない」「どの施策がブランド価値向上につながっているか判断しにくい」といった、ブランド評価についての課題を抱える広報PR担当者も多いのではないでしょうか。

本記事では、ブランド評価の指標や測定方法をはじめ、評価を高める具体的な方法などについても詳しく解説します。広報PR活動のヒントとして、ぜひ参考にしてください。

ブランド評価とは

ブランド評価とは、企業や製品のブランドが市場や生活者にどのように認識され、どのような影響を与えているかを測るための指標です。

ブランドの「売上」や「認知度」などの定量的な評価と、「口コミ」や「レビュー」、「SNSでの反応」といった定性的な評価や期待値を含めて総合的に分析します。

ブランド評価が高まると、集客や売り上げにつながるだけでなく、長期的な顧客との関係性構築もでき、価格競争からの脱却も期待できます。持続的な成長を目指すためには、注目すべき重要な指標のひとつです。

ブランド評価とは

ブランド評価が重要な理由

ブランド評価は、企業の成長に直結し、競争力を高める重要な要素です。評価が高いブランドは生活者に安心感を与え、信頼されやすくなります。そのため、価格が多少高くても選ばれることが多く、前述の通り価格競争に巻き込まれにくいメリットもあります。

さらに、評価が高いブランドは、生活者や取引先からの信頼を得やすく、リピート購入や長期的な関係が構築しやすい点もポイントです。メディアに取り上げられる機会も増え、SNSや口コミでのポジティブな評価が拡散されることで、ブランドの成長を促す好循環が生まれやすくなります。

一方で、ブランド評価は定量・定性的な要素が複雑に絡み合うため、明確な指標づくりや進捗の可視化が難しいという側面もあります。そのため、広報PR担当者やマーケティング担当者の目標があいまいになりやすく、日々の業務の方向性に迷いが生じることもあるでしょう。こうした評価の曖昧さは、従業員の業務意欲やパフォーマンスにも影響を与える可能性があるため、ブランド評価の設計には注意が必要です。

ブランド評価の指標・要素

ブランド評価には、数値で測定できる「量的な評価」と、ブランドに対する顧客の感情やイメージを測る「質的な評価」という指標があります。どちらか一方だけでは評価内容を正しく把握しにくいため、2つの評価指標をバランス良く活用することが大切です。ここでは、ブランド評価の2つの指標について詳しく解説します。

量的な評価

量的な評価とは、データや数値で測定できるブランドの指標を指します。客観的な判断ができるため、ブランドの成長や市場での影響力を把握しやすいのが特徴です。

代表的な指標は、以下の通りです。

  • 売上 ※
  • 市場シェア率 ※
  • ブランド認知度
  • 指名検索数
  • プレスリリースの閲覧数
  • Webサイトの訪問数
  • 顧客満足度
  • SNSフォロワー数
  • メディア露出量

ブランド力によって価格競争に巻き込まれずに商品が選ばれている場合、売り上げやシェアに表れることもあるため「売上(※)」や「市場シェア率(※)」といった業績面の指標も、ブランド価値の成果として量的評価に含めることができます。これらのデータを分析することで、他社ブランドとの比較ができるだけでなく、ブランドの強みや課題を明確にすることができます。たとえば、ブランド認知度が想定より低い場合、新規顧客向けの施策やプロモーションを強化するなど、柔軟な対応にもつながるでしょう。

質的な評価

質的な評価とは、ブランドのイメージや顧客からの共感度など感情的な評価を測る指標であり、数値化が難しいのが特徴です。

生活者の心理に関わる評価のため、以下のような内容が主な指標になります。

  • SNSでの投稿内容
  • 口コミ、レビューの投稿内容
  • アンケートの自由記述欄の回答

これらはブランドの信頼性やファン度合いを示すもので、広報PR活動の成果を測るうえで欠かせません。ブランドに感じている魅力や改善点などの具体的な内容をより深く理解できるでしょう。

たとえば、「このブランドは環境に配慮している」という内容の口コミが増えている場合、エコ意識の高い生活者に向けた広報PR活動を強化することで、ブランドの価値をさらに高めることができます。質的な評価だけではなく、量的な評価も組み合わせて分析することで、より効果的なブランド戦略を立案できるでしょう。

ブランド評価の2つの視点

ブランド評価には、測定の軸として「どこから評価するか」という視点も大切です。ブランド評価を高めるには、「コスト(企業の投資)」と「市場(マーケット)」の両方を意識しておくことで広報PR活動の目的や改善点がより明確になり、戦略的にブランド価値を向上させていくことができます。

コストベースのブランド評価

コストベースのブランド評価とは、ブランドの構築や維持にかかったコストや商標・ロゴなどの資産価値を基準に評価する方法です。

たとえば、広告宣伝費や製品開発費、パッケージデザイン費など、ブランドに関わる投資額を算出し、そのブランドがどれくらいの価値を持つのかを測ります。この評価は、企業の財務管理や投資判断に役立つため、特に経営層や財務部門にとって重要です。実際にかかったコストを基準にするため、客観的な数値で評価できるのも特徴。広報PRの観点では、この視点が「どれだけ戦略的に投資し、資産化できたか」を測る手がかりとなります。

また、ブランド毀損に対する損失の可視化にも有効で、広報PR担当者がリスクマネジメントに関与する際にも参考となる評価軸です。

ただし、この方法はあくまでもコストのみに基づくため、生活者の評価や市場での影響力が反映されにくい懸念点もあります。そのため、次に説明するマーケットベースの評価と組み合わせ、総合的にブランド価値を判断していくことが大切です。

マーケットベースのブランド評価

マーケットベースのブランド評価は、市場(マーケット)の視点からブランド価値を測る方法です。

生活者のブランド認知度やロイヤルティ(ブランドへの愛着や継続利用の意向など)、競争力などを指標として評価します。たとえば、ブランドのファンが多く、SNSや口コミで高評価が広がっている場合、そのブランドの市場価値は高いと判断できます。また、市場の状況や競合ブランドと比較しながら評価を行うため、ブランドの強みや改善点も同時に把握できるのもメリットです。

この評価方法は、広報PR活動の効果を測定する際にも有効です。生活者の反応を分析しながらブランド価値をより高める施策を検討するのにも役立つでしょう。コストベースの評価と組み合わせることで、より現実的なブランド評価が可能です。

ブランド評価を測定する5つの方法

ブランド評価を正しく把握するためには、複数の指標を活用することが大切です。数値で表せる定量的なデータだけでなく、生活者の感情やブランドの印象を分析する定性的なデータも必要です。ここでは、ブランド評価を測定する代表的な5つの方法について解説します。

ブランド評価を測定する5つの方法

方法1.ブランド認知度調査

ブランド認知度調査は、自社のブランドが市場でどれだけ認知されているのかを測る方法です。たとえば、特定の層に「このブランドを知っていますか」とアンケートを実施し、認知度を数値化することで、ブランドの影響力を把握できます。「純粋想起(名前を見て思い出せる)」と「助成想起(ブランド名を自発的に答えられる)」を分け、程度を測る際にも有効です。

また、競合ブランドと比較することで、自社の強みや課題を分析するのにも役立ちます。調査結果は、広報PR活動のアプローチポイントを見直したり、対象者層に応じたプロモーション戦略を検討したりする際に役立つでしょう。

以下は、ブランド認知の測定方法などについて詳しく書かれた記事ですので、ぜひ参考にしてみてください。

方法2.NPS®調査

NPS®(ネット・プロモーター・スコア)は、顧客のブランドへのロイヤルティを測る指標です。

「このブランドを友人や知人にどの程度すすめたいと思いますか?」といった質問に対し、0〜10のスコアで評価をしてもらいます。スコアが高いほど、ブランドへの愛着が強く、リピート利用や口コミによる新規顧客獲得も期待できます。

NPS®調査は、新商品発売後やキャンペーン実施後の効果測定に活用でき、施策によるブランド評価の変化を把握しやすい点がメリットです。

以下は、NPS®の測定方法やポイントなどについて詳しく書かれた記事です。調査実施を検討している場合は、参考にしてみてください。

方法3.顧客満足度調査(CS調査)

顧客満足度調査は、ブランドや商品、サービスに対する顧客の満足度を測る方法です。

アンケートを活用し、「価格に満足していますか?」「サービスの質はいかがでしたか?」といった質問を通じて、定量的なデータを取得します。また、自由回答形式のアンケートやグループインタビューを活用すると、顧客のより深い意見や感情などを把握でき、定性的な調査結果を得られます。

満足度の高いブランドは、リピート利用やポジティブな口コミが増えやすく、結果的にブランド評価が高くなる傾向があります。

以下は、顧客満足度について書かれた記事です。調査・測定方法や満足度向上のための具体的な取り組みについても解説されていますので、ぜひチェックしてみてください。

方法4.SNS・口コミ分析

SNSの投稿や口コミは即時性が高く、生活者のリアルな声をもとにブランド評価を把握できるのが特徴です。

たとえば、「このブランドの商品はおしゃれ」「サポート対応が良かった」といった投稿が増えていれば、ブランドの評価が向上していると考えられます。一方、「価格が高い」「使いにくい」といった声が目立つ場合は、改善点を見直す機会になるでしょう。

特に、SNSの投稿は即時性が高いため、随時チェックし、投稿内容の傾向も把握しながら広報PR戦略を迅速に調整することが重要です。

方法5.検索データ・Webサイト分析

検索データを活用すれば、ブランド名や関連キーワードの検索数を分析し、生活者の関心度を数値化できます。たとえば、プレスリリース配信後にブランド名の指名検索数が増えた場合、認知度向上に影響があったと判断できるでしょう。

Webサイト分析では、訪問者数やページの滞在時間、閲覧されたコンテンツなどを分析し、ブランドへの興味・関心の度合いを測れます。記事の閲覧数を追跡すれば、どのコンテンツが響いているのかを把握でき、施策の最適化にもつなげられるでしょう。

ブランド評価を高める5つの手段

ブランド評価を高めるには、戦略的な広報PR活動が欠かせません。単に知名度を上げるだけでなく、生活者や市場に対してブランドの価値を適切に伝え、信頼を得ることが重要です。ここでは、ブランド評価を高める具体的な方法を紹介します。

手段1.プレスリリースの配信

プレスリリースの配信は、ブランドの認知度を高め、信頼性を向上させるきっかけとなる有効な方法のひとつです。

新商品や新サービスの発表だけでなく、企業の取り組みや社会貢献活動について発信することで、ブランドイメージが強化され、評価向上につながります。

たとえば、環境に配慮した製品を発売した際に、開発背景や企業のビジョンも伝えることで、メディア関係者をはじめ生活者の関心・共感を得られます。適切なタイミングでプレスリリースを配信することで、ブランドストーリーが生活者に浸透し、ブランド評価が向上しやすくなるでしょう。

以下の記事では、効果的なプレスリリースの書き方やコツについて詳しく解説されていますので、ぜひチェックしてみてください。

手段2.ブランドSTORYを発信する

ブランドの価値や想いを生活者に伝えるには、ブランドSTORYの発信が重要です。企業のミッションやビジョン、創業背景、製品に込めた想いなどをストーリーとして言語化・可視化することで、生活者との感情的なつながりが生まれます。

たとえば、環境保護を掲げるブランドが「サステナブルな未来へ」という一貫したメッセージを、SNS・プレスリリース・Webサイトなど多様な手段で発信すれば、その世界観が伝わりやすくなり、共感を得やすくなるでしょう。

ブランドSTORYは単なる情報発信ではなく、ブランドの本質を伝えるものです。内容に一貫性を持たせることで、信頼性が高まり、生活者の中でのブランド評価向上にもつながるでしょう。

手段3.SNS・オウンドメディアの運用強化

SNSやオウンドメディアを活用すれば、生活者との接点が増え、ブランド評価の向上につながります。

公式SNSでは、ブランドメッセージを反映した投稿を定期的に行いながら、ハッシュタグキャンペーンやユーザー生成コンテンツ(UGC)なども活用すると、エンゲージメントを高めやすくなります。また、ブランドとの親和性が高いインフルエンサーを起用したコラボレーション企画は、ブランドの認知拡大にも有効です。

オウンドメディアでは、製品開発の裏話や企業の専門知識を活かしたノウハウ記事を公開することで、ブランドの信頼性を高め、顧客ロイヤリティの向上にもつながります。

手段4.企業の社会的責任(CSR)活動の推進

CSR活動を通じた社会貢献は、ブランドの価値や信頼性を高め、ブランド評価向上に寄与します。特に、環境問題への取り組みや地域貢献活動など、社会的に意義のあるプロジェクトについて発信することで、信頼性の高いブランドとして認知されやすくなるでしょう。

たとえば、プラスチック削減のためにエコ包装を採用した場合、その背景や取り組みの意義をSNSやオウンドメディア、プレスリリースなどで発信すれば、ブランドの社会的評価の向上にもつながります。さらに、メディアの注目を集めることで掲載機会も増え、認知度のさらなる向上にもつながるでしょう。

手段5.顧客とのタッチポイントを最適化

ブランド評価を高めるには、顧客との接点(タッチポイント)を増やすだけでなく、質の向上も大切。対象となるのは、お問い合わせ対応、ニュースレターの設計、Web上での導線整備などさまざまです。

また、オンラインだけでなく、オフラインでの接点も意識することで、ブランド体験をより深められます。たとえば、ポップアップイベントを開催し、実際に商品やサービスを直接体験できる機会を提供すれば、ブランドへの愛着が強まりやすくなります。

また、購入・利用後のフォローアップメールやアフターサービスの充実も効果的です。顧客一人ひとりに適した情報を提供することで、ブランドへの信頼が高まり、長期的な評価向上につながります。

以下の記事では、タッチポイントの設計方法やポイントを詳しく解説しています。ぜひチェックしてみてください。

まとめ:ブランド評価を高めるにはブランド価値向上に向けた広報PR活動がポイント

ブランド評価を高めるには、多角的な視点を取り入れた広報PR活動が欠かせません。

適切な広報PR活動を通じてブランドの価値やストーリーを発信し、生活者や市場の評価を高めていくことが大切です。一貫したブランドメッセージやストーリーなどを、プレスリリースやオウンドメディアなど複数のチャネルで発信することで、ブランド認知度の向上や信頼獲得にもつながります。

また、CSR活動の推進や顧客とのタッチポイントの最適化などにも取り組むことで、ブランドの社会的評価や顧客ロイヤリティの強化も期待できるでしょう。これらの施策を戦略的に実施し、ブランド価値を高めていくことで、持続的な成長につながります。

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この記事のライター

熊谷英恵

熊谷英恵

フリーランスのSEOライター。2005年にアパレル業界に入社し、販売やEC運営、管理職を中心にプレス業務にも携わる。2020年に副業でWebライティングを開始し、2023年より専業ライターとして独立。toB向けメディアを中心に執筆活動を行い、企業の情報発信をサポートしています。現在は子育てを通じて子どもの心理に関心が広がり、チャイルドコーチング資格の取得に向け勉強中です。

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