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GTM(ゴートゥーマーケット)とは?重要な理由や進め方、指標など基礎知識を解説

GTM(Go-to-Market / ゴートゥーマーケット)とは、商品やサービスを顧客に届けるまでの戦略のことです。単なる販売戦略にとどまらず、市場調査やターゲット設定、顧客獲得から維持までを網羅する重要なプロセスです。マーケティング担当者だけではなく、広報PR担当者にとっても、学びになる点は多いでしょう。

本記事では、GTMの重要性や具体的な進め方の8つのステップ、策定に使える指標を解説。市場参入するための戦略を学びたい方、事業の成長を加速させたい方、効果的なマーケティング戦略を立案したい方はぜひ参考にしてみてください。

GTM(ゴートゥーマーケット)とは

GTM(Go-to-Market)とは、商品やサービスを顧客に届けるまでの戦略のことです。単なる販売戦略ではなく、市場調査から顧客獲得、顧客維持まで、事業全体を俯瞰した包括的な戦略のことを指します。

マーケティング戦略では、「誰に」「どんな価値を」「どのように」提供していくのかを決めていきますが、GTMは「どのように提供するのか」を決める戦略だといえるでしょう。

市場のニーズを捉え、適切なターゲット顧客に最適な方法で届けるための道筋を示す戦略のため、新商品やサービスの成功を大きく左右する重要な要素だといえます。

GTMの進め方

GTM(Go-to-Market)戦略は、新しい商品やサービスを顧客に届けるために不可欠な計画です。成功の鍵を握る具体的なプロセスとしては、明確なターゲット設定や競合分析、効果的なチャネルの選定が含まれます。

次に、実際にGTMを進めるうえでのステップを順を追って解説します。それぞれのステップごとのポイントを押さえながら実施していきましょう。

ステップ

STEP1.ターゲット市場・ペルソナを決める

最初のステップは、ターゲットとする市場や具体的な顧客増(ペルソナ)を明確にすることです。市場にはどのような課題が存在するのか、顧客にはどのようなニーズがあるのかを分析します。

課題やニーズを明確にすることで、提供すべき商品やサービスの方向性が見えてきます。この段階では、市場調査や顧客インタビューなどを通して、客観的なデータに基づいた問題点の特定を行うことが重要です。

市場にニーズがあるのかどうか見極めるためには、プレスリリースを活用することもおすすめです。新商品・新サービスの発表を行い、メディア関係者や生活者からの反応を収集することで、リアルタイムで市場の関心や期待を把握できます。

そのうえで年齢、性別、職業、趣味、ライフスタイルなどを考慮し、ペルソナを作成します。「このような人に商品やサービスを届ける」と想像する人のイメージを社内で一致させましょう。

STEP2.競合分析

次に、競合他社がどのような商品やサービスを提供しているのか、どのような強みや弱みを持っているのかを分析します。競合と顧客のニーズ調査を通して、自社が市場でどのようなポジションを確立できるのか、どのような価値を提供できるのかを見極めます。

競合分析時にもプレスリリースの活用が有効です。競合他社のプレスリリースを確認することで、どのような商品やサービスを提供しているのか、ターゲット層や訴求ポイント、戦略の方向性を把握できます。

また、反応の良い発表内容や注目を集めたトピックを分析することで、自社の差別化ポイントや市場での優位性を明確にするヒントが得られるでしょう。

STEP3.キーメッセージを決める

次に、ターゲット顧客に伝えるべきキーメッセージを決定します。商品やサービスのどのような点をアピールするのか、どのような言葉で伝えるのかを検討します。

キーメッセージは、顧客が抱える課題を解決する具体的なベネフィットを強調し、ターゲット顧客の心に響く言葉を選ぶことがポイントです。凝った言葉である必要はないので、シンプルでわかりやすく言語化していきましょう。

また、競合との差別化ポイントを含めることで、他社とは異なる自社の魅力を際立たせることができます。

この段階で設定したキーメッセージは、広告やWebサイト、プレゼン資料、SNS投稿など、さまざまなマーケティング活動、また広報PR活動でも一貫して使用されます。そのため、チーム内で十分に議論し、全員が同じ方向性を共有することが成功への鍵となります。シンプルでありながら、心に響く強力なメッセージを練り上げることが重要です。

STEP4.バイヤージャーニーを設計する

顧客が商品やサービスを認知し、購入に至るまでのプロセス(バイヤージャーニー)を設計します。顧客がどのような情報に触れ、どのような思考を経て購入に至るのかを可視化しましょう。

例えば、認知段階では広告やSNSを通じて商品を知ってもらい、検討段階では詳細な情報提供や無料トライアルを提供するなど、段階ごとに異なるアプローチが求められます。バイヤージャーニーを設計することで、顧客体験を向上させるだけでなく、マーケティング施策の効果を最大化することが可能になります。

STEP5.活用するチャネルを決める

ターゲット顧客にリーチするための最適なチャネルを選択します。Webサイト、SNS、広告、イベント、プレスリリースなど、さまざまなチャネルの中から、ターゲット顧客に効果的にリーチできるチャネルを選定します。

チャネル選定においては、ターゲット顧客の属性や行動パターンだけでなく、各チャネルの特性や費用対効果も考慮することが重要です。顧客獲得単価や、次に紹介する指標を使い、適切なチャネルを評価していきましょう。

STEP6.セールスプランを決める

次に、具体的な販売戦略(セールスプラン)を策定します。販売方法(オンライン販売、対面営業など)、価格設定、販売地域、さらには販売体制(営業チームの配置や規模)を決定していきましょう。

このプランが具体的であるほど、実行段階での混乱を防ぐことができます。また、販売目標や見込顧客数の設定もセールスプランの一部です。目標とする販売金額や契約数、見込んでいる顧客生涯価値(LTV)など、数値化した目標を立てておきましょう。

さらに、競合や市場の動向を考慮しながら、柔軟にプランを見直すことも重要です。販売戦略が効果的に機能すれば、収益の最大化が期待できます。

STEP7.目標を設定する

販売戦略を決めた後は、目標を設定します。売上目標、顧客獲得目標、市場シェア目標など、具体的な数値目標を設定することで、戦略の進捗状況を客観的に評価することができます。

目標設定においては、SMART(Specific、Measurable、Achievable、Relevant、Time-bound)の原則に基づき、具体的で測定可能、達成可能、関連性があり、期限が明確な目標を設定することが重要です。

STEP8.GTMのプロセスを決める

最後に、上記で定義した各要素を統合し、具体的なGTMの実行プロセスを決定します。各ステップの担当者、スケジュール、KPIなどを明確にすることで、確実に実行していきましょう。プロセスを具体化することで、チーム間の連携がスムーズになります。責任の所在がわかりやすいように、言語化しておきましょう。

また、GTMのプロセスは、市場の変化や事業の状況に応じて柔軟に見直していくことが重要です。これらのステップを踏むことで、効果的なGTM戦略を策定し、商品やサービスの市場投入を成功に導くことができるでしょう。

GTMの策定に使える指標

GTM(Go-to-Market)戦略の策定には、さまざまな指標が活用できます。これらの指標を分析することで、市場の状況や自社の強み・弱みを客観的に把握し、より効果的な戦略を立てることが可能です。

具体的には、以下のような指標が挙げられます。LTV、CAC、ROIなど基本的な指標をベースにしながら、自社のKPIとなるような指標を組み合わせて施策の効果検証や、戦略の検討を実施してみてはいかがでしょうか。

GTMの策定に使える指標

1. 市場浸透を測る指標

まずは市場浸透を測る指標である「顧客獲得数」「市場シェア率」について解説します。

  • 顧客獲得数(Customer Acquisition)
    新規顧客の獲得数や成長率を測定することで、マーケティングや営業活動の効果を具体的に測定できます。例えば、広告キャンペーンやプロモーション施策の実施後の新規顧客増加数などを測定します。また、月次や四半期ごとの成長率を確認することで、市場浸透の進捗を確認できます。
  • 市場シェア率(Market Share)
    競合他社と比較して、自社がターゲット市場にどれだけ浸透しているかを把握できます。ターゲット市場の全体の売上規模や顧客数に対して、自社が占める割合を測定します。市場シェア率を把握することで、自社の競争力やポジショニングを明確化できるだけでなく、競合他社に対する優位性や課題を特定することができます。さらに、時間の経過とともにシェア率の推移を追うことで、戦略の効果や市場環境の変化を定量的に理解することができます。

これらの指標を定期的にモニタリングすることで、市場浸透の進捗を正確に把握し、必要に応じて戦略の改善を行うことが可能です。顧客獲得数と市場シェア率は、事業成長の基盤を支える重要な指標であり、継続的な分析が成功の鍵となります。

2. 収益性を測る指標

次に、収益性を測る指標として「顧客生涯価値(LTV)」「顧客獲得コスト(CAC)」「月間/年間経常収益(MRR/ARR)」を解説します。

  • 顧客生涯価値(Customer Lifetime Value, CLV / Life Time Value, LTV)
    獲得した顧客がどれだけの価値をもたらすかを測定します。収益性を測るためにもっとも重要な指標のひとつだといえるでしょう。
  • 顧客獲得コスト(Customer Acquisition Cost, CAC)
    顧客1人を獲得するためにかかったコストのこと。CACとLTVの比率(LTV / CAC)が収益性を測るために重要です。
  • 月間/年間経常収益(MRR / ARR)
    サブスクリプション型ビジネスでは特に重要になる、成長のトレンドを把握する指標です。

3. マーケティング指標

マーケティング指標としては、「リード獲得数」「コンバージョン率」をKPIにすることが一般的です。

  • リード獲得数(Leads Generated)
    リード(見込み顧客)の質と量を測定します。有効リード数や、リード転換率も合わせて確認することで、マーケティング施策の評価を行いましょう。リードの質を評価する「有効リード数」をあわせて確認しておくことで、施策の効果をより正確に評価できます。
  • コンバージョン率(Conversion Rate)
    見込み客が実際に顧客化する割合のこと。LP(ランディングページ)や広告などの効果測定に役立ちます。コンテンツの改善点を特定し、効果を最大化させるための最適化を進めるために重要な指標です。

4. 製品が市場・顧客のニーズに合っているかを表す指標

製品が市場・顧客のニーズに合っているかを表す指標としては、「NPS®」「チャーンレート」「製品利用率」などを測定します。

  • Net Promoter Score(NPS®)
    顧客が製品やサービスを他者に推奨する意向を測る指標。製品の市場適合性を把握できます。具体的には、「あなたはこの製品を友人や同僚にどの程度推奨しますか?」という質問に対し、0~10のスコアで回答してもらい、その結果を「推奨者(Promoters)」「中立者(Passives)」「批判者(Detractors)」の3つのカテゴリに分類します。NPSが高いほど、顧客が満足しており、製品が市場ニーズに合致していることを示します。
  • チャーンレート(Churn Rate)
    顧客が離れる・解約する割合のこと。プロダクトの継続利用性や満足度を示します。この数値が高い場合、顧客が製品やサービスに満足していない可能性があるため、リテンション向上やサービス改善が必要です。
  • 製品利用率(Product Adoption Rate)
    製品や機能がどれだけ利用されているかを測定します。特定の機能の利用率が低い場合、その機能が十分に価値を伝えられていない、または顧客ニーズに合っていない可能性があります。

5. 営業指標

営業指標としては、「営業プロセスのサイクルタイム」や「成約率」が挙げられます。

  • 営業プロセスのサイクルタイム(Sales Cycle Time)
    初期接触から契約締結までにかかる時間のこと。サイクルタイムが長い場合、見込み顧客のニーズを正確に把握できていない、または意思決定プロセスでの課題がある可能性が考えられます。
  • 営業案件の成約率(Win Rate)
    営業が実施した案件のうち、実際に契約に至った割合。成約率が低い場合は、見込み顧客のターゲティングや提案内容の見直しが必要です。また、営業プロセスのどの段階で失敗が多いのかを分析することで、具体的な改善策を立案することが可能です。

6. 運用効率指標

運用効率の指標としては、「ROI」や「OKR / KPIの達成率」などを測定します。

  • 費用対効果(ROI)
    GTM活動全体の投資対収益率は、もっとも重要な指標のひとつです。各施策やキャンペーンがどれだけ収益に寄与したかを定量的に評価できます。ROIを算出する際には、施策ごとのコストとそれにより得られた利益を正確に把握することが不可欠です。例えば、広告キャンペーンやセールスプロモーションに対して費用を投資し、そこから得られたリードや売上を比較することで、効果的な施策と改善が必要な施策を明確にすることができます。ROIを定期的にモニタリングし、投資の優先順位を最適化することで、運用効率を高めることが可能です。
  • パフォーマンス指標(OKR / KPI達成率)
    チームや個人の目標がどれだけ達成されているかを把握できます。

7. 地域別やチャネル別パフォーマンス

上記の指標を、地域別やチャネル別で細分化することで、特定市場の成功要因や課題を特定できます。

特に、地域別のパフォーマンス分析では各エリアの市場規模、顧客の嗜好、競合状況などを考慮しながら、成果を測定します。

例えば、同じ広告キャンペーンでも、都市部と地方では効果に違いが出ることがあります。都市部ではデジタル広告が効果的であっても、地方では紙媒体や口コミの影響力が高い場合もあるでしょう。

このような違いを把握することで、各地域に最適化されたアプローチを採用することが可能です。また、地域別のリソース配分を見直し、パフォーマンスが高い地域への投資を強化する判断材料にもなります。

GTMを意識し商品やサービスを世に送り出そう

GTMは、単なる販売戦略ではなく、市場調査から顧客獲得、顧客維持までを含む、事業全体を俯瞰した包括的な計画です。綿密なGTM戦略は、商品やサービスの市場投入を成功に導き、事業の成長を大きく加速させる力となります。

市場のニーズを的確に捉え、最適な方法で顧客に届けることで、ビジネスは大きく飛躍します。その中で、プレスリリースを活用していくことは効果的です。商品やサービスの魅力を広く効果的に伝えるための手段となるだけではなく、メディアを通じた認知拡大や、ターゲット顧客へのリーチにつながる可能性もあります。さらに、ブランドの信頼性を高め、市場での存在感の強化にもつながるでしょう。

本記事でご紹介したステップと各種指標を参考に、自社の商品やサービスに最適なGTM戦略を策定し、市場で成功を収めましょう。

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この記事のライター

海地 円香

海地 円香

PR TIMES MAGAZINEのディレクター兼SEO担当。韓国在住のフリーランスとして、日本国総領事館の広報や、SEO、マーケティング、データ分析、Webディレクションなどをしています。PRMAGのコンテンツが、みなさまの新しい発見や、行動のきっかけになれば嬉しいです✾

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