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ハッカソンとは?実施の流れから、採用につなげるための5つの施策を解説

目まぐるしく進化する技術領域において、新たな創造や変革を実現するためにさまざまなハッカソンが開催されています。短期間にチームで開発作業を行い成果を競い合うハッカソンは、優秀なエンジニアやプログラマーが集まる場。人材の採用につなげようと開催を検討する企業も少なくありません。

この記事では、ハッカソンの進め方や採用に活用するために押さえておくべきポイントを解説しています。実際にハッカソンを開催している企業の事例も併せて紹介します。

ハッカソンとは?

「ハッカソン(hackathon)」とは、「ハック(hack)」とマラソン(marathon)」を掛け合わせた造語です。プログラマーや設計者などのソフトウエア開発の関係者がチームをつくり、数時間から数日間、マラソンのように集中的に開発作業を行って成果を競い合うイベントのことを指します。

1999年ごろにアメリカ合衆国で生まれたとされ、日本においては2011年に、東日本大震災の復興支援として、ITコミュニティがハッカソンを行ったことをきっかけに、国内でも広く知られるようになったといわれています。

ハッカソンとは?

ハッカソンとアイデアソンの違い

似たような言葉に「アイデアソン(Ideathon)」があります。こちらはアイデア(Idea)とマラソン(Marathon)を組み合わせた造語です。商品やサービス、ビジネスモデルなどの特定のテーマに関して、チームごとにアイデアを出し合ってプランニングするイベントです。

本来アイデアソンは、ハッカソンの事前準備として行われていました。「チームをつくる」「短期間に集中して行う」「成果を競い合う」点はハッカソンと同様ですが、技術者だけではなく、さまざまな業種の人が参加できるのが特徴です。アイデアソンでは、新たな視点でアイデアを生み出すことをゴールとしています。

ハッカソンを実施する目的・企業のメリット

企業がハッカソンを実施することには、いったいどのような目的やメリットがあるのでしょうか。ここでは、ハッカソンを実施する目的と得られる効果について紹介します。

1.新規事業や商品の創出

ハッカソンの大きな目的は、新規事業や新商品の創出です。それぞれ知識やスキルを持った人材が集まり議論し合うことで、これまで得られなかった新たな発想が生まれます。近年では、自社以外の組織が有するノウハウや技術を取り込み、新たなビジネスモデル・サービスを生み出す「オープンイノベーション」の議論が活発になってきています。ハッカソンもオープンイノベーションの手法のひとつといえるでしょう。

2.コミュニティの構築

ハッカソン終了後、参加者同士で定期的な情報交換が行われるケースも多く、社内外を問わず、新たなコミュニティがつくられるきっかけとなります。ハッカソンに参加したメンバーの中から特に優秀な人材を発掘してスカウトする等、ダイレクトリクルーティングなどの採用活動にも役立ちます。

3.社内人材の育成

社内人材がほかの参加者と交流することで、より専門的な技術や知識を吸収することができます。ハッカソンは新たな知識を直接レクチャーしてもらえる場にもなるため、有意義な時間を過ごせます。また、適度な競争の中で新たなものを作り上げる経験が積めるハッカソンは、モチベーションを上げながらスキルアップが望める場として、人材の育成にもつながるでしょう。

4.自社のPRによる知名度の向上

社外の人を招いたり、自社のサービスにちなんだ開発テーマを発表したりするハッカソンは、自社ブランドの知名度を向上するきっかけにもなります。ハッカソンのテーマを提供しながら自社の商品・サービスに関する情報を発信することによって、他社と比べた違いやサービスの特徴などを知ってもらえます。興味を持ってくれた参加者の間でファンを増やしつつ、自社の採用候補者として確保するきっかけを増やすこともできるでしょう。

ハッカソンを実施する流れの5ステップ

開催する内容や目的によってハッカソンの進め方は変わりますが、大まかな流れは決まっています。基本的には次のステップに沿って実施します。

STEP1.テーマを決める

どのようなテーマでハッカソンを実施するのかを考えます。このときに、自社で採用したい領域の人材が集まりそうなテーマを設定することで、採用活動に有効活用できるでしょう。企画が固まったら参加者を募ります。開催案内の際に、実施するハッカソンの目的や詳細情報などをわかりやすく展開し、事前準備を促しておくことも大切です。

STEP2.インプットセミナーを行う

ハッカソンをスムーズに進めるため、その目的や意図などを説明するインプットセミナーを実施します。インプットすべき内容を曖昧に提示してしまうと、主催者側が期待する成果が得られない可能性が高まります。参加者も主催者が意図するゴールを把握しきれないまま、開発のアイデア出しや作業を進めてしまうことにもなりかねません。ハッカソンを成功させるためにも、インプットセミナーの内容は綿密に企画することが重要です。

STEP3.チームを分ける

ハッカソンの開催期間中に協働するチームを決めます。1チーム5〜6人が目安で、知識やスキルに偏りが生じないようにバランスを見ながら分けることが重要です。顔合わせの段階では緊張している参加者もいるかもしれません。円滑なコミュニケーションを図れるよう、自己紹介や簡単なゲームでアイスブレイクする機会を設けるとよいでしょう。

STEP4.ハッカソンを実施する

ここからハッカソンを実施していきます。テーマに対して解決すべき課題をチーム内で洗い出します。課題をひとつに絞り込み、複数の解決策を検討し、最終的に実装する機能を決めていきます。解決策が決まったら、必要となるタスクを洗い出して工数を見積もり、担当者を割り振ります。あとは、期限までにメンバー同士で協力しながら開発を進めていきます。一般的にハッカソンは発表まで数日間かけて行うため、中間発表の場などを設けておくと、チームごとの雰囲気や進捗状況の確認ができます。

STEP5.発表と評価を行う

チームごとに成果をプレゼンテーションし、評価者間や参加者同士で評価を行います。プレゼンテーションの形式や所要時間などのルールについては、運営側で事前に決めておく必要があります。投票や最優秀チームへの表彰などを実施すれば、参加者のモチベーション向上につなげることができるでしょう。

ハッカソンを採用につなげるための5つの施策

近年では、ハッカソンを自社の採用につなげる「ハッカソン型インターンシップ制度」を設ける企業も増えつつあります。ハッカソンを自社採用につなげるためには、どのような施策が効果的なのでしょうか。

ハッカソンイメージ

施策1.自社を深く知ってもらえそうなテーマにする

ハッカソンを活用した採用活動を行う場合、自社のことを知ってもらえそうなテーマを設定することが大切です。就職先として自社を候補に挙げてもらうためには、サービスや商品、業界そのものについて深い理解を得てもらえそうなテーマでハッカソンを実施するとよいでしょう。自社全体での取り組みや現場の雰囲気などをより理解してもらうために、社員との交流の場を設けるのも重要です。

施策2.スキルを意欲的に発揮できる環境を提供する

参加者同士がアイデアの否定や批判をして討論になり、ネガティブな印象を抱いてしまうような雰囲気は避けるべきです。主催者が居心地のよい場を提供し、アイデアを出しやすい環境をつくるようにすると、参加者は意欲的に開発を進められます。知識やスキルを十分に発揮できる環境が整うことで、参加者のモチベーションが向上し、斬新なアイデアを生み出しやすくなります。自社に対してポジティブなイメージも抱きやすくなるでしょう。

施策3.一般採用との差別化を図る

ハッカソンから人材を採用する場合、給与や勤怠に関する待遇を中途採用と同等にするなどし、一般的な新卒採用とは明確な差別化を図ることも必要です。ハッカソンに参加する人は、自社において即戦力となる人材といえます。優秀な人材を確保するためには、高待遇でリモート勤務の環境が整っているなど、魅力的な条件を提示することが有効です。実務で使うツールなど、開発環境も時代遅れのものとならないように気を配りましょう。

施策4.既存社員の協力を得る

ハッカソンを採用につなげたいと考える場合、社員に講師や評価者になってもらうのも効果的です。社内のリアルなデータを使用した講義を実施できるため、参加者は職場の雰囲気を感じたり、具体的な業務をイメージしたりしやすくなります。社員にも自社の施策に参加しているという意識が芽生えるため、採用活動に協力してもらいやすくなるでしょう。質の高い講義や評価が期待できるだけでなく、人事と現場の採用におけるミスマッチを減らす効果も期待できます。

施策5.定期的なフォローアップを行う

ハッカソンの開催により優秀な人材を見つけても、自社に興味を持ってもらえなければ採用は難しいでしょう。開催後は積極的なフォローアップを行う必要があります。定期的にアプローチすることで、自社をさらに知ってもらう機会をつくることができます。担当者と接する機会が増えれば、参加者もハッカソン当日の熱が冷めにくくなり、入社意欲が芽生える可能性も高まります。

ハッカソンの実施例

新たな創造や変革をもたらすハッカソンは、今では多くの企業によりさまざまなテーマで実施されています。ここでは、実際に採用活動にハッカソンを活用している企業の例を紹介します。

事例1.東京都 都知事杯オープンデータ・ハッカソン

東京都は、行政が保有するデータを積極的に公開してシビックテックや民間企業等が新たなサービスを創出することで、都民の利便性向上につなげる取り組みを進めています。その一環で、東京都オープンデータカタログサイトに掲載されているオープンデータを活用し、行政課題の解決に向けたデジタルサービスを企画・開発するハッカソンとアイデアソンを開催しています。

2022年度はFinal Stageへ10チームが進出し、7つのサービスが社会実装に至ったとのことです。社会に大きなインパクトを与える開発や企画に携わりたい人のニーズにマッチしたイベントといえるでしょう。

参考:都知事杯オープンデータ・ハッカソン2023の開催について

事例2.LINE株式会社 技術職 ハッカソンコース

LINE株式会社では、自社の文化や実務の進め方などを実際に体験してもらうことを目的として、4職種(技術・デザイン・企画・セールス)7コースのインターンシップ制度を設けています(2022年時点)。技術職のハッカソンコースは、13日間にわたりオンラインでチーム開発に取り組み、LINE株式会社におけるエンジニアの雰囲気やノウハウ、チーム開発の具体的なおもしろさや難しさを体感できる内容となっています。

このほかにも、6週間にわたって実際の業務を行う技術職就業型コース、2日間で企画立案から提案まで取り組む企画職のアイデアソンなど、さまざまなコースを用意し、サービス開発やビジネス構築の現場を肌で感じてもらえるインターンシップ制度となっているのが特徴です。

参考:LINE、2022年夏のインターンシップ参加者募集開始のお知らせ 技術、デザイン、企画、セールス、4職種7コースで受付

事例3.株式会社博報堂キースリー 学生向けハッカソン

株式会社博報堂キースリーは、2023年8月5日(土)~27日(日)に日本最大級の学生向けWeb3ハッカソン「HR3 HACKATHON」を開催。このハッカソンでは「Dream career〜未来の学生キャリアを開発しよう〜」をテーマに、ブロックチェーンのテクノロジーを使った学生による学生のためのWeb3プロダクトを募集しました。

同社は、学生生活においては授業、ゼミ、ボランティア、インターン、サークルなど豊かな経験を手に入れる機会が多く存在することに着目。学生時代のこのような貴重な経験を「ゼロキャリア」と捉え、ブロックチェーンのテクノロジーによるゼロキャリアの可能性を解き放つWeb3プロダクトの開発につなげようとする取り組みです。

ハッカソンの最後には、デモデイがあるのも特徴です。各チームが開発したDapps(分散型アプリ)を、審査員が革新性、ユーザビリティ、拡張性などの基準に基づいて評価します。上位チームには、総額100万円の資金提供、Web3アクセラレーターへのアクセス、投資家や業界専門家との交流の機会など、さまざまな賞品が贈られます。加えて、提出されたweb3プロダクトは博報堂グループが正式リリースまでの開発を支援。ビジネスの現場経験なども身につけながら参加できるハッカソンといえるでしょう。

参考:博報堂キースリー、学生向けweb3ハッカソン「HR3 HACKATHON」を8月5日(土)から開催

ハッカソンを通じて即戦力となる人材を採用しよう

自社の採用を目的にハッカソンを開催することで、即戦力となる優秀な人材を確保できる可能性が高まります。また期間中、実際に現場で働く社員との接点を持つことで、入社後をリアルにイメージしてもらいやすくなります。

ただの交流イベントで終わらせるのではなく、明確な目的を設定したうえでハッカソンを実施すれば、採用だけでなくさまざまな効果を得られることでしょう。

<編集:PR TIMES MAGAZINE編集部>

ハッカソンに関するQ&A

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この記事のライター

椙本しのぶ

椙本しのぶ

マーケティング・人事・不動産の記事を書くフリーライターとして活動した後、新しい分野にチャレンジしたいと考え、2022年PR TIMESへジョイン。日々の学びを活かした役立つ記事を提供したいと思っています。プライベートでは現役・引退競走馬の支援活動をしています。

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