自社の情報が詰まったプレスリリース。より多くの人に興味を持ってもらうためには、プロダクトの新情報をまとめるだけでなく、時節やトレンド情報もうまく活用したいところです。時節やトレンド情報を交えることでプレスリリースの注目度が上がり、メディア関係者だけでなく、生活者にも情報が届く可能性が高まります。
本記事では「インフルエンザ」をピックアップ。家庭用医薬品や風邪予防グッズなどを取り扱う企業の方は特に活用しやすい情報です。プレスリリース作成に重要なポイントを解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
「インフルエンザ」をプレスリリースに活用するSTEP
空気が乾燥した冬の寒い季節に流行するインフルエンザ。2024年は新型コロナウイルスによる規制もなくなりましたが、季節性インフルエンザの予防意識はこれまで通り必要といえます。
2024年末から2025年にかけて流行が懸念されるインフルエンザですが、「どのような予防対策が有効なのか」「感染した場合はどうするべきか」など、多くの生活者に不安や迷いがあるのではないでしょうか。
インフルエンザなどのウイルス対策や予防グッズを販売する企業にとっても「どのような情報を、どのように届けたらよいのか」「どのようなタイミングで情報を発信したら効果的なのか」など、プレスリリース作成において悩む点もあるでしょう。
そのような悩みにお答えすべく、「インフルエンザ」を活用したプレスリリースの作成について解説します。
基本の8ステップは以下です。
基本となるステップについては以下のこちらの記事で解説しています。参考にしてみてください。
情報収集して傾向をチェック
インフルエンザは気温が下がり、空気が乾燥する冬を中心に毎年流行しますが、年ごとの変化はあるのでしょうか。まずは、今年ならではの傾向を調べることが重要です。
さまざまな角度から今年ならではの傾向を捉える
その年によって流行する時期にも若干の変化がありますが、基本的にはインフルエンザの罹患者は冬に集中します。厚生労働省では毎年9〜4月にかけてインフルエンザの発生状況を資料として公表しているため、「今年は〇月頃から罹患者が現れ始めており、昨年よりも感染者が増加しそうだ」「今年の〇月は昨年よりも罹患者が〇%少ないので、流行の規模は小さくなりそうだ」などある程度の予測を立てられます。
Googleトレンドを活用し、人々がどのタイミングで「インフルエンザ」に関心を持つのかを知ることも大切です。
ここ1年ほどの「インフルエンザ」のネット検索数の推移を見てみると、夏の終わり頃から徐々に人々の関心が高まりはじめ、10月後半〜12月にかけて検索数のピークを迎えています。今年の傾向に関する情報と組み合わせることで、生活者がインフルエンザについて検索する頃には、自社からの有益な情報を提供することが可能です。
今年ならではのインフルエンザの傾向を予測することで、プレスリリースの配信スケジュールを最適なタイミングで立てやすくなります。併せて、自社プロダクトにおいてどのような情報を添えたら訴求力が高まるのか、生活者にどのように伝えたらよいのか、なども検討していきましょう。
<調査を踏まえて発信したい情報例>
- いつ頃からインフルエンザ予防が必要なのか
- 昨年は何月頃からインフルエンザが猛威を振るっていたのか
- 昨年と比較して今年はどの程度の流行が予想されるのか
- インフルエンザと同時流行が懸念されるほかのウイルスはあるのか
- (自社の情報発信が9月以降であれば)現在はどのような状況なのか
調査の結果をもとに、「既に流行しているから注意しよう」なのか「今のうちに予防しよう」なのか、生活者に呼びかける内容も変わってくるでしょう。
こちらのプレスリリースは、インフルエンザが猛威を振るっていることを踏まえて、有効な対策について動画公開情報とともに発信しています。
生活者の声を聞く
需要に沿った情報発信をするためには、自社の顧客を対象にアンケートを実施するのも一案です。インフルエンザに対してどのような意識を持っているのか、生活者の声に耳を傾けることで、ニーズにマッチした訴求方法を検討できるでしょう。また、調査結果は数字で表すことができるのでプレスリリースにも説得力が加わります。今回はタイミングが合わなかったという場合は、次回に活かせるよう、ぜひ参考にしてください。
<調査項目の例>
- インフルエンザへの予防や対策を行っているか
- インフルエンザへの予防や対策はいつごろから行っている、もしくは行う予定か
- ほかのウイルスの感染拡大を受けてインフルエンザへの意識の変化はあるか
調査結果をプレスリリースで発表したり、プレスリリース内で引用して紹介したりといった活用ができます。人々がインフルエンザについて関心を高める11月初旬頃には結果を公表できるよう、10月頃までに調査を行うとよいでしょう。
<インフルエンザに関する意識調査の例>
2023年11月から2024年2月にかけて感染症対策を行った人を対象にアンケート調査を実施し、その結果から「対策をしても罹患の可能性は十分にある」と注意喚起しています。
参考:~「昨年冬の世帯感染率調査※1・2」を実施~対策をしていた世帯の約6割が感染症を発症! 冬場の感染症を防ぎきれていない実態が明らかに
また以下のプレスリリースでは、新型コロナウイルスやマイコプラズマ肺炎といった感染症のうち、相談件数が多かった病気や今後の予測を発表しました。
参考:【「みんなの家庭の医学」健康相談レポート/2024年4-9月】病気に関する相談件数は、コロナ関連が依然としてトップ。手足口病、マイコプラズマ肺炎などの感染症は流行とともに増加が顕著に
<あわせて読みたいPR TIMES MAGAZINEノウハウ記事>
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ペルソナをイメージ
プレスリリースの作成では、ペルソナ設定が重要です。対象者によって要点の届け方や画像の見せ方も変わります。自社プロダクトを誰に届けたいのか、どのような人がこの情報を必要としているのかを整理して設定しましょう。
また、自社のプロダクトを明確に必要としている生活者だけでなく、視野を広げ、一見情報を必要としていない潜在的ステークホルダーについて考えることも大切です。情報発信の表現や届け方など細部に工夫を施すことで、時には思わぬ層にも需要を感じてもらえる可能性もあります。
届けたい情報を以下のように整理し、ペルソナを設定します。
- インフルエンザ予防を目的とした人に向けた情報なのか
- インフルエンザにかかった人に向けた情報なのか
- インフルエンザ以外のウイルスを意識する人にもインフルエンザ予防を啓蒙する情報なのか
- インフルエンザを意識していない人にも気づきを与える情報なのか
ペルソナが設定できたら次はどのような提案の仕方がベストなのかを考えます。対象者によって届け方・見せ方は異なるため、自社プロダクトの提案内容や切り口、表現など、ペルソナに合わせたプレスリリースの作成を心がけましょう。
<ペルソナごとの提案例>
インフルエンザに罹患するリスクを少しでも低減させたい
→インフルエンザやノロウイルスなどの感染症予防対策に役立つ除菌液や噴霧器の導入を提案
参考:冬の感染症予防に!除菌・消臭液『クリンデオ』
これまで感染したことはないが、もしインフルエンザにかかったら……と不安に感じている
→自分が重症化しやすい体質かどうかを知り、予防策を検討しやすくなる検査キットを提案
参考:<新発売>高熱時の重症化リスクを可視化する”体質検査キット”
インフルエンザに罹患してしまったときの金銭面が気になる
→アプリで申込・請求ができ、治療保険金や入院保険金が支払われる保険プラン「インフルエンザお見舞金」を提案
参考:【PayPayほけん】PayPayアプリで加入できる「インフルエンザお見舞い金」今年の加入件数が初速約3週間で昨年対比1.5倍の1.7万件を突破
インフルエンザとほかのウイルスの同時流行を不安に感じており、予防策を知りたい
→「インフルエンザ」をテーマに、3回にわたって症状・予防を解説する動画コンテンツを提案
参考:【動画公開】インフルエンザ#1~症状と予防について~/教えて医誠会
また、以下は野菜と果物が摂れる子供向けのスムージーに関するプレスリリースですが、インフルエンザや感染性胃腸炎が流行するシーズンを前に配信することで「野菜が苦手な子供でも手軽に予防できる」という点を伝えています。自社製品と季節性を組み合わせて、子育て世代を中心に予防意識への気付きを与えた事例です。
参考:風邪に負けない冬支度!『スムージーレンジャー』で手軽に野菜と果物をチャージ!
基本知識を調べる
プレスリリースを作成するにあたって、インフルエンザとは何か、風邪との違いは何か、など基本となる知識を理解することも大切です。
医薬品を扱う企業では、常に専門的な知識の提供を心がけていることも多いでしょう。マスクやティッシュなど身近な消耗品を扱う企業は、インフルエンザが流行る時期に特に需要が高くなることも。改めて正確な知識を学ぶことで、情報を正しく発信しやすくなります。
調べた情報を箇条書きで整理
プレスリリースを作成するにあたって、自社プロダクトの優れた特徴をまとめるだけでなく、情勢下におけるメリットについても的確に伝わるようにアピールポイントを整理しておくとよいでしょう。
例えば次のような社会の動きを捉えた場合、どのようなアピールポイントが挙げられるかを見てみましょう。
<社会の動き>
2020年から2022年にかけてはコロナ禍によってマスク着用が徹底されていたほか、まん延防止等重点措置などにより、複数人数が集まることを避ける傾向にあった。そのため、インフルエンザ罹患者が減少したという説がある。
しかし2023年5月に新型コロナウイルスは5類感染症へ移行され、行動制限がなくなったことでマスクをしない人が増加。2024~2025年は季節性インフルエンザや新型コロナ感染症のほか、マイコプラズマ肺炎の流行も予想されている。
<アピールポイントの例>
- マスク着用がウイルス予防に有効であることを述べ、自社商品が不快感の少ないマスクであることをアピール
- 加湿がウイルス対策に効果的であることを伝え、自社商品の加湿器がオフィスデスクに設置できるサイズであることをアピール
- イベントを楽しめるよう、スタッフのマスク着用や空気清浄機の設置による換気などでウイルス対策を徹底している店舗であることをアピール
- 万全な対策でも感染する可能性はあるため、万が一に備えて受診方法や保険商品を確認するのも重要となることをアピール
アピールポイントに活用できそうな情報は、インターネット検索やSNS、意識調査など多方面から集めることが大切です。また、新たな切り口を探す際は、無理やり関連付けていないかも注意。社内の第三者にも目を通してもらい、違和感がないか、納得感があるかを確認してもらいましょう。
プレスリリース作成にあたって注意すべき点
「インフルエンザ」に関する情報をプレスリリースに活用する場合、法律に抵触しないように注意しなければなりません。第一に挙げられるのは「薬機法」です。「薬機法」とは、「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」「医療機器」「再生医療等製品」の品質と有効性および安全性を確保するため、製造から販売、市販後の安全対策まで一貫した規制を行い定められている法律です。
薬機法では、事実に反する虚偽の表現や誇張した表現で、生活者に誤った認識を与えることを禁止しています。そのため、プレスリリースの作成にあたって、表現の仕方や選ぶ単語などには注意が必要です。
また、薬機法以外にも「景品表示法」「医薬品等適正広告基準」「特定商取引法」など確認・意識しておきたいルールは多岐にわたります。
医薬品などを扱う企業はもちろんですが、そのほかの製品を扱う企業においても「インフルエンザ」に絡めたプレスリリースを配信する場合は、読み手に誤解を与える表現になっていないかなど必ず確認しましょう。
参考までに、PR TIMESでは配信することができないプレスリリースの表現例をいくつか紹介します。
効能効果・安全性を保証する表現
例:「これさえあれば」「安全性は確認済み」「赤ちゃんにも安心」など、性別、年齢などを問わず効能効果の確実性や安全性を保証するような表現
効果効能や安全性に関する最大級表現
例:「最高の効果」「ほかにはない効果」「絶対安全」などの表現
効果効能や安全性を示す体験談
例:「私も使っています」など体験談的な内容で医薬品などの効果効能や安全性を訴求した表現
※ただし、使用方法・使用感・香りのイメージなどに関しては、使用者の感想の範囲であれば表現可能
恐怖感や不安感を与える画像や表現
例:「あなたはすでに〇〇ウイルスに感染しています」など読み手の恐怖感や不安感を煽る表現
PR TIMESでプレスリリースを配信する際は、PR TIMESコンテンツ基準をご参照ください。
<あわせて読みたいPR TIMES MAGAZINEノウハウ記事>
広報担当者が知っておきたい「薬機法」に関する8つのこと
化粧品・コスメの広報で気をつけたい薬機法とは?知っておきたい10のこと
プレスリリースで「日本初」はOK?最上級表現をするときに確認する3つのこと
今年の流行の傾向を予測し、生活者の意識に沿った情報を届けよう
毎年流行するインフルエンザだからといって、例年と同じ情報・タイミングでプレスリリースを配信すればいい、ということではありません。流行規模や同時流行の懸念など、その年のインフルエンザの傾向を捉え、どのような情報を配信すべきなのかを検討していくことが大切です。
予防したい人、すでに罹患した人、ほかのウイルスとの同時流行を気にしている人、まったく気にしていない人など、人々のインフルエンザの捉え方はさまざま。自社プロダクトの効能や特性を伝えるだけでなく「誰に利用してもらいたいのか」を念頭に置き、ペルソナに合った情報発信を行いましょう。
<編集:PR TIMES MAGAZINE編集部>
インフルエンザのプレスリリースの書き方に関するQ&A
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