広報部門を率いて、広報の視点から経営をサポートする「広報部長」。広報チームにとってだけではなく、企業にとっても重要な役割を担っています。情報の流れが複雑化していく現代で、広報部長に求められることは何があるのでしょうか。
また、広報部門にはどのような役職があるのでしょうか。
本記事では広報部長の基本的な役割や業務内容、必要なスキルをご紹介していきます。
広報部門の役職とは?
広報PR部門の役職は、企業の規模や組織構造によって異なりますが、一般的には「部長」「マネージャー」「担当者」の3段階での役職が設定されることが多いです。
その他、メディアリレーションズ担当、SNS担当、社内広報担当、CSR担当など、ステークホルダーや媒体ごとに担当者がつくこともあります。
本記事では、広報部門の役職の中でも最上位である広報部長について解説していきます。
広報部長の役割とは?
企業の今後の経営方針を決定するために、ステークホルダーとの関係構築、社外とのコミュニケーションの強化は欠かせません。それらを戦略的に取り組みながら、自社の広報マネジメントも行うポジションが広報部長です。
まずは、広報部長に求められる4つの役割をご紹介します。
1.経営トップの補佐をする
広報部長に求められる1つ目の役割は、経営トップの補佐役です。広報部長は、企業における情報参謀を務めています。世の中の動き、自社とステークホルダーとの関係がどうなっているのかを把握し、経営トップの判断材料として提供する、重要な役目を担っています。
より精度の高い情報を把握するためには、社外とのコミュニケーションを取ることが必要です。広報の視点だけではなく、経営者の視点をも持って、情報を取捨選択することが求められます。
2.社内外のキーパーソンとの関係構築
広報部長に求められる2つ目の役割は、社内外のキーパーソンとの関係構築です。
社内外での人脈作りは、広報の業務を進めるにあたり、もっとも重要な部分と言っても過言ではありません。キーパーソンとの良好な関係が、スピード感を持って広報活動を行う際の要となるからです。
ニュースになりそうな社内の情報を効率良く集めるために、インナーコミュニケーションの活性化も重要な役割です。
3.企業の危機管理
広報部長に求められる3つ目の役割は、企業の危機管理です。事業を展開している限り、どの企業も不測の事態に遭遇する可能性があります。
企業内の危機管理委員会に属する広報部長は、リスクの洗い出しから緊急時における対応マニュアルの作成、緊急時の対応などを担当することが多いでしょう。定期的な見直しやシミュレーションを行い、緊急事態に備えておくことも大切な役割です。
4.広報PR活動における目標とゴール設計
広報部長に求められる4つ目の役割は、広報PR活動における目標、ゴール設計です。
広報担当者がどのように行動すれば良いかを明確にするため、KPIやOKRなどの目標の設定はマストです。広報活動において何を目標に設定するのかは企業によって異なります。例えば3つのKPIを設定する企業もあります。
- 活動KPI…インタビュー数、プレスリリースの配信数などの数
- 露出KPI…メディアへの露出件数
- 結果KPI…企業の認知度の変化などを調査して把握する
自社の広報部門で何を目標とするのが最適なのか、事業フェーズに合わせて更新していくことも重要な業務です。
広報部長はどんな仕事をしているの?主な3つの業務内容
広報部長の仕事は、経営者視点と、いち広報担当者としての視点を交えながら仕事を行っていることがわかりました。
では、広報部長は実際にどのような業務を行っているのでしょうか。
次に、広報部長の主な3つの業務についてご紹介します。
1.事業戦略に合わせた広報計画の策定
広報部長の主な業務の1つ目は、広報計画の策定です。広報計画は企業の成長に欠かせません。経営トップが作成した年単位の事業計画・事業戦略に合わせて、効果的な広報計画を策定するのは広報部長の仕事のひとつです。
世の中の動きを読みながら、事業計画通りに事業を拡大させていくにはどんな活動が必要なのか。具体的な施策も合わせて広報計画を策定します。
2.メディア対応
広報部長の主な業務の2つ目は、メディア対応です。役職の有無に関わらず、メディア対応は広報担当者の基本的な仕事です。
企業の成長に伴い、テレビや新聞、海外メディアでの掲載と露出の規模は大きくなっていきます。経営トップへの取材申込、露出のコントロールは広報部長が担当することが多いでしょう。
3.広報マインドの育成
広報部長の主な業務の3つ目は、広報マインドの育成です。広報部長は、広報のスペシャリストとしての高い知見と、世の中の動きを的確に把握する感度を備えています。
これらの広報の現場で培った知識や経験は、広報部門全体で共有し、チーム全体の底上げをすることが広報部長の仕事です。長期的な視点で企業の利益になるよう、広報部署に所属する社員の広報マインドの育成、ナレッジの共有は広報部長の重要な業務のひとつだといえるでしょう。
広報部長を目指すために必要なスキル7選
時代に合わせて、広報に求められるスキルは変化していきます。情報の量もスピードも早い現代では、以前より多くのスキルや知識を積極的に吸収する姿勢が大切です。
次に、広報部長を目指すために必要なスキルを7つご紹介します。
これから広報としてスキルアップを目指す場合は、これらのスキルを意識的に身に着けるといいでしょう。
1.ブランディング設計力
広報部門を束ね、自社のブランディングに関わる広報部長になるには、高いブランディング設計力が必要です。企業戦略を軸にしながらも社内外の様々な情報を取り入れ、どのような見せ方が適しているのかを判断し、年間の広報計画を作成します。
2.コミュニケーション能力
広報部長だけでなく、一広報担当者としても欠かせないのがコミュニケーション能力です。
広報は企業の顔と呼ばれることもあり、企業へのイメージを左右する重要なポジションにいます。自社にとって適切なタイミングでのメディア露出を狙うには、日頃から良好な関係を築く必要があります。
その際、外部との関係を一から築く高いコミュニケーション能力と、インナーコミュニケーションを円滑に進める能力は欠かせません。
3.時流を読み取る力
広報部長を目指すにあたり、時流を読み取る力はもはや必須スキルです。SNSの普及により、現代はスピード感を持った取り組みが非常に重要となっています。
世の中の流れをデータや空気感から読み取り、流行りはじめているものは何か、アップデートするべき価値観は何かなどを判断し、自社の広報活動に取り入れられるスキルが必要です。
4.文章力
広報部長を目指すならば、高い文章力も身につける必要があるでしょう。
メディアやステークホルダーとのコミュニケーションは、基本的に文章で行います。プレスリリースの作成や、メディアへの自社取材の打診など、相手の心を動かし、興味を持ってもらうためには、自社の想いを他者に伝えられる文章力も重要となります。
5.課題設定力・課題解決能力
広報の仕事を行ううえで、課題設定力・課題解決能力は鍛えておきましょう。
広報部門の仕事は誰かに与えられるものではなく、自ら課題を発見し、解決していかなくてはなりません。自社にどんな課題があり、どんな手法で解決へ導くのか。課題設定から解決方法を見出し、実行に移せる行動力は必須スキルです。
6.情報を拡散させる知識
情報を拡散させるためのノウハウは、これから広報部長を目指す方にはぜひ身につけておいてほしいスキルです。
膨大な量の情報が企業・個人から発信される現代において、情報の流れをデザインできるスキルは重宝されます。届けたい人に届けるために適した媒体は何か、社外の関係者にどんな協力を仰ぐのか。発信する情報によって最適な手段を選べるよう、知識は常にアップデートしていきましょう。
7.リスクマネジメント能力
広報部長として、リスクマネジメント能力は間違いなく必要なスキルです。SNSが広く普及した現代では、企業のネガティブな情報は一気に拡散されていきます。
リスクをゼロにすることは難しいですが、危機に備えて準備することは大切です。リスクを減らすためにSNSでの社員の発言をルール化したり、日頃から世の中の動きをチェックするリスクマネジメント能力も身につけておきましょう。
広報部長を目指す場合、広報実績を数値化していこう
広報部長は、自社の動きと世の中の流れを数値で把握しながら、経営トップの補佐として様々な情報を提供し、広報チームを牽引するのが大きな役目です。定性的な部分も把握しながら、広報部門の活動の方向性を決定付けるため、実績を数値で積み上げていくことも忘れてはいけません。
広報部長を目指している方は、本記事で紹介した身に付けたい7つのスキルを参考にしながら、企業の戦略的広報やマーケティングをリードする広報部長を目標にしてみてはいかがでしょうか。
広報部長の役割に関するQ&A
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