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価格改定・値上げのプレスリリースの書き方とは?3つのポイント・広報事例を紹介

商品やサービスの価格改定・値上げに関する情報は、メディア関係者をはじめ、生活者からも大きな関心を寄せられるのではないでしょうか。

本記事では、価格改定・値上げのプレスリリースを書くときに必要な項目から作成時のポイントまでを解説。実際にプレスリリースを配信された価格改定・値上げの事例や、広報PR担当者が意識して取り入れたい施策も紹介します。

価格改定・値上げ時にプレスリリースを配信する意味

商品やサービスの価格改定・値上げが決定したら、できるだけ早く生活者をはじめとするステークホルダーへ情報を届ける必要があります。

例えば、いつも手に取っている商品が、何の説明もないまま価格の改定や値上げがされていたら驚く人もいるのではないでしょうか。特に値上げの場合はなおさらです。昨今、ステルス値上げが話題になり、実質的な値上げだとして企業・団体側が想定していなかった拡散をされた事例もあります。こうしたことを防ぐためにも、商品・サービスの内容を少しでも変更した際の情報発信として、プレスリリースを活用することは有効です。

社会情勢の変化や企業・団体の努力、今後の展望など、価格改定・値上げにおける背景や企業・団体としての取り組みを真摯に伝え、価格改定・値上げを好意的に受け入れてもらうことがプレスリリースの大きな役割のひとつといえるでしょう。

価格改定のプレスリリースに含めておきたい5つの項目

価格改定のプレスリリースには、どのような情報を盛り込めばよいのでしょうか。次に紹介する5つの項目を含め、価格改定のプレスリリースを作成しましょう。

プレスリリースイメージ

項目1.価格改定日

価格改定のプレスリリースには、価格改定日を必ず明記します。重要事項であるため、いつから価格改定するのかを明確に記し、本文の冒頭で伝えましょう。プレスリリースの中間部や下部には価格改定の詳細をまとめ、あらためて価格改定する日時を記載するとよいでしょう。

【例】
序文
〇〇株式会社は〇月〇日(〇)より、一部商品の価格改定を実施します。
本文
改定内容
価格改定実施日:〇年〇月〇日(〇)より

項目2.価格改定の対象商品・サービス名

価格改定する対象商品名やサービス名を正しく表記します。すべての商品で〇%値上げをする場合、一部商品で〇円値上げをする場合にかかわらず、価格改定の対象をわかりやすく記載するようにしましょう。

特に多くの商品を取り扱う飲食店や食品メーカーなど、一部の商品に値上げを適用するのであれば、値上げ対象商品をリストにして発表すると親切です。ただし対象商品が多すぎる場合は、プレスリリースには主な商品の改定価格のみをピックアップし、別のページですべての対象商品こともできます。

項目3.価格改定後の価格・価格改定率

価格改定のプレスリリースに価格改定後の価格情報は必須です。改定後の価格を記載する際は、比較しやすいように改定前と改定後の価格を両方記し、何%の価格改定率なのかわかるとよりよいでしょう。

なお、価格は税込価格を記載。飲食店の価格改定の場合はイートイン・テイクアウトの両方の価格表記を行います。

項目4.価格改定の理由・背景

価格改定の理由や背景は、プレスリリースに必要な情報です。例えば、昨今の世界情勢や円安によるエネルギーコストや原材料の高騰は多くの方が知るところ。多くの方が理解できる背景を組み込むことで、値上げに対する生活者の納得感を得やすくなります。

また、値上げに至るまでの企業・団体側の理由とともにブランドの維持・強化の戦略を伝えることで、単なる値上げではなくアップグレードとして受け止めてもらえるでしょうか。

項目5.価格改定に関する問い合わせ先

価格改定・値上げに関するプレスリリースは、メディア関係者だけではなく、生活者からの問い合わせが増えることも考えられます。問い合わせに対してよりスムーズに対応するために可能であればメディア関係者用の問い合わせ先と分けてお客様相談室やカスタマーサポートの問い合わせ先を掲載するとよいでしょう。

【生活者用のプレスリリースの記載例】
この件に関する一般のお客様からのお問い合わせ先:
〇〇株式会社 お客様相談室:
電話番号:
受付時間:

価格改定に関するプレスリリース作成時の3つのポイント

プレスリリースに含めたい項目を確認したら、次はプレスリリースを作成します。この項目では、価格改定・値上げに関するプレスリリース作成時に押さえておきたいポイントを紹介。3つのポイントをチェックしながら作成してみてくださいね。

ポイント1.価格改定に至るまでの背景を客観的に伝える

例えば、物価高騰や輸送コスト増などによる価格改定の背景は客観的に伝えましょう。プレスリリースはあくまで企業・団体が発信する公式文書であり、ステークホルダーに価格改定・値上げに対する理解を求めるものではありません。

特に、値上げ時の価格改定をプレスリリースで発表する際は、企業・団体の事情を記すことも大切ですが、それだけではなく、社会情勢のような誰もが理解できる背景を簡潔に説明するとよいでしょう。主観ではなく客観的な視点で詳細を記載することと、長文にならないように2〜3行でまとめることがポイントです。

ポイント2.商品・サービスがどう変化するかを記載する

価格改定・値上げによって、その商品、サービスの何がどう変わるのかを伝えることが大切です。

価格改定・値上げのプレスリリースには企業・団体のブランドを印象づけるプラスアルファの情報を加えます。品質向上への努力として研究を実施している事実を紹介するのもよいのではないでしょうか。価格改定や値上げによる商品やサービスの付加価値を示すことで、企業・団体のブランドの保持や強化にもつながります。また、価格改定・値上げの場合も「〇年ぶりの値上げ」や「値上げをしてもワンコインに抑える努力を継続」など、企業・団体の努力が伝わるようにしましょう。

ポイント3.企業・団体の代表や担当者のコメントを掲載する

価格改定・値上げのプレスリリースに、企業・団体の代表や担当者のコメントを掲載することもポイントのひとつです。代表のコメントでは、一貫した企業・団体の方向性を示すことが可能であると同時に、投資家や取引先の理解を得られやすくします。また、代表のコメントを入れることで社内への経営方針周知にもつながるでしょう。

企業・団体の代表や担当者のコメントは、記事にする際の参考になり、メディア関係者の目に留まりやすい傾向があります。値上げのニュースに留まらず、価格改定以外の経営戦略など、違う角度から企業・団体に注目してもらうきっかけになるかもしれません。

価格改定に関するプレスリリース事例3選

価格改定・値上げに関する実際のプレスリリースを例として3つ紹介します。

それぞれ企業・団体のブランドを活かした発信をしているため、プレスリリース作成時の参考にしてみてください。

事例1.タリーズコーヒージャパン株式会社

タリーズコーヒージャパン株式会社は価格改定のプレスリリースに次の2点を加えて発信しています。

  • 従来のサービス拡充
  • こだわり原材料の生産から生活者に届くまでの一貫した品質維持・管理

生活者に有益なプラスアルファの情報を加え、商品価値を高めることでポジティブな値上げという印象に。お客様相談室の明記も生活者への配慮が感じられます。

参考:一部商品価格改定のお知らせ

事例2.フィード・ワン株式会社

配合飼料の生産会社であるフィード・ワン株式会社は、次の2点を加えて発信しています。

  • 値上げの背景
  • 食品リサイクルや地球環境を考えた配合飼料の研究開発への取り組み

社会的意義を盛り込み、持続可能なサプライチェーンの維持を目的とした価格改定の正当性が理解できる内容になっています。

参考:【フィード・ワン】畜産用配合飼料の価格改定のお知らせ

事例3.ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク

世界的ジュエリーブランドであるティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インクは、次の2点を加えて発信しています。

  • クラフトマンシップによる卓越したカットの技術
  • 普遍的なアイコニックデザインとプラスアルファの情報

価格改定のお知らせとともにブライダルフェアの情報を発信し、ブライダルにおけるブランドの市場価値を決定づけています。

参考:ティファニー、価格改定および、「ティファニー ブライダル フェア」開催のお知らせ

価格改定時に広報PR担当者が行いたい3つの広報PR施策

プレスリリースの配信以外に、価格改定・値上げ時に行いたい3つの広報PR施策を紹介します。

1.既存顧客・取引先への個別連絡

既存顧客や取引先へは、メールなどで個別に連絡します。価格改定は既存顧客や取引先に直結する問題です。前もって連絡し誠実な姿勢を見せましょう。

価格改定・値上げに関するメールの件名には、要件がわかるタイトルを付け、本文には次の項目を入れるようにしてみてください。

【メールに入れる項目例】
・宛名
・あいさつ
・要旨(価格改定・値上げの内容、実施日時)
・価格改定・値上げの背景や経緯
・結び(感謝)
・署名

価格改定・値上げについてメディアや店舗先で知ることにならないよう、既存顧客や取引先への連絡のタイミングに気をつけてお知らせすることがポイントです。

2.SNSを活用し、ステークホルダーとの関係を構築する

価格改定・値上げに関しての情報発信は、SNSなども活用しましょう。SNSは、段階を踏んで情報を届けるツールとしてだけでなく、生活者の反応をダイレクトに確かめられて、比較的早く対応もできるため、その活用はステークホルダーとの関係構築やマーケティングとしても有用です。

またSNSでは、改定前の対策を講じることが可能です。例えば、事前にSNSでアンケート調査をし、ステークホルダーとのコミュニケーションを図るのも一案です。発表後のネガティブな意見に対しては、個別の対応を行うとよいでしょう。

3.一定の周知期間を設ける

価格改定・値上げのプレスリリースや情報発信は、変更日まで一定の余裕を持って行います。価格改定・値上げまでにある程度の猶予期間があれば、価格が変わる前にまとめて購入したり、他商品と比較検討したりすることができ、生活者側に価格改定を受け入れる時間と見てもらえます。値上げ直前に発表をするなどし、信頼を損なわないようにしましょう。

また、改定日までの期間に余裕を持ったうえでプレスリリースを配信することで、実施日までにキャンペーンなど、企業・団体側がさまざまな情報を発信することも可能です。

価格改定・値上げのプレスリリース配信で生活者の理解を得よう

この記事では、価格改定・値上げのプレスリリースを書くときに必要な項目から作成時のポイントまでを解説しました。

価格改定・値上げは、企業・団体にとっても商品・サービスを利用する生活者にとっても重要な問題です。企業・団体側は、どうして価格改定・値上げすることになったのか、それによってどのように商品・サービスが変化するのかを正しく伝える必要があります。よりよいステークホルダーとの関係を築くためにも、これらのポイントを参考にしてみてくださいね。

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