プレスリリース配信後の結果を、「PVが多いから成功」「転載が少ないから失敗」といった表面的な数値だけで振り返ってしまったことはないでしょうか。実際には、配信する目的や届けたい相手によって「成功」の基準は変わります。認知拡大、信頼の獲得、社内外への影響──。効果を正しく評価するには、もう少し多角的な視点が必要です。
本記事では、PR TIMESの管理画面で確認できるデータをもとに、配信後の結果を次の打ち手へと活かすための3つの視点を解説します。
プレスリリース配信後のデータを次の成果につなげる3つのポイント
データを活用するには、ただ数字を追うだけではなく「そこから何を読み解くか」が重要です。特に、自社の結果だけで判断するのではなく、業界全体の動きと照らし合わせることで成果を客観的に評価できます。
ここでは、PR TIMESの管理画面で確認できるデータを中心に、次の施策につなげるための3つの視点を紹介します。
1.PVの変化から読む配信効果
プレスリリースの効果を測るうえで、PV(ページビュー)の変化はもっとも基本かつ重要な指標です。
PVが前回より大きく伸びている場合は、タイトルやメイン画像が関心を集めた可能性があります。「なぜ伸びたのか」を把握しておくことで、次回以降の配信内容に反映しやすくなります。タイトルや配信タイミングなどの要因を掘り下げて検証してみましょう。
PVが伸びた際の分析ポイントは、成功要因を特定し、次回に再現できる形で整理すること。以下のような点がポイントです。
- 掲載されたいメディアが注目するキーワードを分析する
- ニュースバリュー、9つのメディアフックを意識する
- タイトル、メイン画像、配信タイミングを見直す
プレスリリースのタイトルの作成ポイントは、こちらの記事をご覧ください。
また、同時期に近しいテーマのプレスリリースが多い場合、関心が分散してPVが伸び悩むこともあれば、相乗効果で検索流入が増えるケースもあります。競合や業界内の動向を視野に入れることで、自社データの意味をより正確に読み解くことができます。相乗効果を生み出せるよう、キーワード設定のポイントも見直してみてください。
2.転載先・参照元から確認する情報拡散の質
プレスリリース配信後に、どのように記事が広がったのかを把握することは、成果の質を見極めるうえで欠かせません。
まず転載数とは、PR TIMESと提携しているパートナーメディアに掲載される「原文転載数」を指します。配信内容と親和性の高い媒体へ転載され、情報が広く届く仕組みです。
一方、メディアが独自に記事化した件数や報道数は、発表内容への関心度を測るうえで有効な指標です。これらは、企業名やキーワードで検索すれば確認できますし、より網羅的に把握したい場合には、オプションサービスの「Webクリッピング」も活用できます。
また、転載先が少ない場合でも、検索経由やSNS経由の流入が多いケースがあります。そのような場合は、検索結果からの偶発的な流入やユーザー自身のシェアによって情報拡散につながったと判断できます。特に、Google検索からのアクセスが多いケースでは、プレスリリースが“見つけてもらいやすい状態”にあり、思わぬ層へ届いている証拠です。
検索やSNS経由の流入が中心となっている場合は、タイトルやリード文以上に、画像・引用文・ハッシュタグなど、検索されやすいキーワード選定やSNS向けの工夫が功を奏しているかもしれません。例えば、参照元のSNS比率を見るなど、拡散を促した要素を特定して次回の設計に反映しましょう。
さらに、業界全体の動きや他社のプレスリリースの配信状況と比較することで、成果をより客観的に評価できます。
3.ヒートマップから読む読み手の行動
ヒートマップは、ユーザーがプレスリリースをどのように読み進めたのかを可視化するツールです。
冒頭での離脱率が高い場合は、導入文が長すぎる、またはプレスリリース冒頭に関心を引く要素が不足している可能性があります。ニュースバリューや社会性など、メディアやそのほかのユーザーが知りたいポイントを前半に置くことで改善が見込めます。
一方、特定の画像や見出しでスクロールが止まっている場合は、その部分が強い注目を集めたサインです。「なぜ注目されたのか」を分析すると、次回配信のプレスリリースの構成づくりに活かすことができます。
分析ポイント
・冒頭離脱率高:導入文を簡潔にし、読み手の興味を喚起する
・スクロール停止箇所が明確:画像・見出しなど注目された構成を次回に応用する
また、他社データは直接確認できませんが、公開されている類似したプレスリリースと比較するだけでも傾向はつかめます。タイトルの付け方、構成や導入文の長さなど、一般的な読みやすい型を把握し、成果改善するだけでも十分参考になるでしょう。
PR TIMES「分析データ」の数値の確認方法・見方
データの活用の際に大切なのは、「数値を確認して終わり」ではなく、改善につなげるために「どこを見るべきか」を知ることです。ここでは、PR TIMESの管理画面で確認できる主要指標と、その見方を紹介します。
PV・UUの確認方法
PR TIMES管理画面の「分析データ」では、指定期間内のプレスリリースの総PV数を確認できます。
各プレスリリースのレポートページでは、以下の指標が表示されます。
表示内容
①PV(ページビュー):指定期間内の総PV数
②UU(訪問者数):プレスリリースを閲覧した人数
③転載サイト:期間内の原文転載数(プレスリリース1件あたり20媒体への転載を保証しています)
あわせて、日別推移も閲覧できるため、配信初日・翌日・数日後を比較することで、読まれやすいタイミングを検証しましょう。
レポート上部ではグラフで推移を確認でき、全体の動きを視覚的にとらえることも可能。レポートのデフォルト表示は直近1ヵ月ですが、期間変更も可能です。

転載先・参照元の確認方法
転載先・参照元も、「分析データ」から確認できます。
PR TIMESでは、配信されたプレスリリース内容に応じて、親和性の高いパートナーメディアへ掲載される仕組みです。そのため、転載数の増減にとらわれすぎず、「届くべき相手に届いているか」を指標としてください。
プレスリリースごとのPV・訪問者数・転載サイトは、以下のように表示されます。
各指標の見方
①参照サイト:どこから流入したかを把握(件数クリックで一覧表示)
②デバイス別アクセス:パソコン/スマホ/タブレット比率

さらに、「提携オンラインメディア」タブでは、転載先一覧も確認できます。掲載期限はメディアにより異なるため注意しましょう。

プレスリリースが転載された内訳の確認方法の詳細は、こちらをご参照ください。
参照元サイト一覧では、「どこからプレスリリースに流入しているのかが把握できる」「PV数が伸びた要因や閲覧者の属性の推測にも役立つ」ため、今後の配信を届ける先の参考としてご活用いただくことができます。

ヒートマップの見方
ヒートマップは、読み手がプレスリリースをどのように閲覧したかを可視化するものです。
- 赤い部分:注視された箇所
- 青い部分:注視されなかった箇所
- 黒の点線:読了率(例:読了率が75%の位置であれば、その時点まで読み手の75%が読み進め、25%が離脱したことを意味する)
このように、ヒートマップでは「どの要素が注目されているか(注目度)」と「どこで離脱されているか(読了率)」の両方を確認できるため、導入文や見出し、構成を改善する際の指針として活用できます。

ヒートマップの確認方法の詳細は、下記の記事もご参照ください。
【PR TIMES】配信後のサポートについて
PR TIMESでは、ご利用企業さまに向けて、プレスリリースの準備から配信後の振り返りまで学べる勉強会を開催しています。
プレスリリースの配信ネタや作成方法といった基礎から、継続的に配信するための工夫、さらに良いプレスリリースを届けるためのポイントまで、フェーズごとに解説しています。
- 配信ネタ編
- 作成編
- サービス説明編
- 振り返り編
今回のように、プレスリリースの内容や見せ方を振り返り、改善点を整理したい場合は、「振り返り編」をご覧ください。より伝わる構成や表現の工夫など、次回の発信に生かせるポイントを確認できます。
どの会を受講するか迷った際は、こちらをご参照ください。
参考:PR TIMES 勉強会ガイド -あなたにおすすめの勉強会をご紹介します
まとめ:プレスリリース「分析データ」を振り返る習慣を
分析の本質は「数値を眺めること」ではなく、その背景を読み解き、次の改善へつなげることにあります。単なる数値の増減に一喜一憂するのではなく、「なぜその結果になったのかを探ること」が成果向上の第一歩です。
本記事で紹介したように、
- PVの推移から読まれ方の傾向を整理する
- 転載先・参照元から、どこを起点に読まれているのかを把握する
- ヒートマップによる注目点・離脱ポイントを特定する
といった多角的な振り返りを行うことで、具体的な改善策が見えてきます。
データを起点に仮説を立て、検証し、次の配信に反映する。このサイクルを回すことで、プレスリリースの成果は着実に積み上がっていきます。ぜひ、PR TIMESの管理画面の「分析データ」や勉強会を活用し、日々の広報PR活動に役立ててください。
PR TIMESのご利用を希望される方は、以下より企業登録申請をお願いいたします。登録申請方法と料金プランをあわせてご確認ください。
PR TIMESの企業登録申請をするPR TIMESをご利用希望の方はこちら企業登録申請をするこのシリーズの記事
- あわせて読みたい記事【PR TIMESノウハウ】IPアドレス制限とは?メリットと設定方法を紹介

- まだ読んでいない方は、こちらから【PR TIMESノウハウ】配信後に修正・訂正できる?プレスリリースのミス対応

- このシリーズの記事一覧へ

