観光関連のプレスリリース、今どう発信すべき?事例や注意すべきポイントを紹介

新型コロナウイルスの影響により、観光業界は深刻な打撃を受けました。緊急事態宣言が明け、休業要請が解除されつつあるものの、従来の経済活動が復活するまでには至っていません。

しかし、このような状況下でも情報を届けることは大切な意味を持ちます。観光地を過去に訪れてくれた人、いつか観光したいな、と思っている人々は観光地の明るいリアルを求めています。

このような状況下で旅行者に向けた観光関連の情報は、どのように企画し、発信していけば良いのでしょうか?今回は、TBWA\HAKUHODO、PR TIMES、FUKKODESIGNの3団体が共同発表する「新しい時代に対応する観光復興ガイド  – SNSから見える企画のタネ – 」の連動記事として、観光業界の方々が情報発信をしていくための企画やフレームワーク、またそれらをプレスリリースとして発信する際の書き方や注意点などについて本稿でご紹介していきます。

コロナ禍でキャンセルや旅行者の「不安」が生まれる

2020年1月下旬、新型コロナウイルス感染拡大のニュースとともに、訪日観光客が減少し始め、各地で旅行・観光のキャンセルも相継ぎました。緊急事態宣言が発令されてからは、全国的な外出自粛により、観光業界へのダメージがより深刻なものとなっています。

TBWA\HAKUHODOによるSNSでの会話量調査においても、2019年春と2020年春を比較した場合「旅行」「旅」「観光」といった話題が減少する結果となりました。さらにTwitterで「不安」の気持ちを表現するツイートも多く見られていることから、人々も観光・旅行に関する話題に対して、センシティブな状況が続いています。

不安の中には、社会全体として旅行の目処が立たないことへの不安から「旅行先の感染対策がどれだけされているのか」「混雑状況はどれくらいなのか」といった具体的なものも上がっています。

日々刻々と変わる状況の中で、現在の最善策や先行きの見通しは見えづらい状況が続きますが、このような状況下だからこそ、自ら情報をつくり発信することによって、リアルを届けていくことが必要です。

このような背景の中でTBWA\HAKUHODO、PR TIMES、FUKKODESIGNの3団体は、今回コロナ禍で打撃を受けた観光業界の方々が、前向きに自社の魅力や想いを発信していける土壌をつくり、復興の足がかりを築くサポートができればと考え、本プロジェクトを提起するに至りました。

コロナ禍で生まれた20の兆し

こうした先の見えない状況の中で観光業界復興のための兆しを見つけられないか、という文脈のもとTBWA\HAKUHODOを主体としてSNS発信の分析を実施しました。

観光にまつわるSNS投稿の中でも、現状一定のボリュームが計測され、将来的に増加傾向があると判断した人々の旅行へのニーズをピックアップ。旅行意欲を高める「20の兆し」としてキーワードをまとめました。

長期間の外出自粛によるストレスもあり、蜜にならない山や海、川へいって羽を伸ばしたいという人々の願望が現れた「大自然」というキーワード。また、コロナ感染拡大に伴い急速に広まったリモートワークに関連する「ワーケーション」など、具体的なキーワードが並びます。

20の兆しを活かす観光業界発のプレスリリースの書き方

社会の変化の中で生まれたこれらの生活者ニーズに応え、新しい生活様式に沿った観光・旅行のあり方について、「自分たちならどんなことができるだろう」と考えてみることが第一歩です。

そしてその企画は、情報を求めている誰かのためにぜひ発信をしましょう。プレスリリースやSNSでの情報発信をおこなうことで、旅行者の方々へコミュニケーションをとるきっかけづくりになります。

この章では、旅行業界においてコロナ禍でどのように情報発信をしていけば良いのか、ガイドで紹介している「企画を考える公式」に沿って、プレスリースの書き方と共にご紹介していきます。

1, 20の兆しで当てはまるものを選ぶ

まずは、「20の兆し」の中から1つ、自社と親和性の高い兆しをピックアップしてみましょう。自社に影響を与えるものや自社に近しいものを選択するようにすると良いでしょう。

複数ある場合は、この時点では複数選択しても問題ありません。

(例1)海沿いの宿泊施設の場合:
宿泊施設の平日利用や、空いているスペース活用の観点から「ワーケーション」を選択する。

(例2)地域の土産物店の場合:
地域ならではの特産品を取り扱っているという点から「応援」を選択する。

2,  自社の資産を整理する

次に、自分たちが今の状況下で現実的に取り組むことができること、使えることのできる資産を「モノ」「ヒト」「情報」の3つの観点で整理してみましょう。自分たちにとっては当たり前のことのように思えるものでも、他の人や旅行者からみたら魅力になることもたくさんあります。

このときの考え方としては、「今までと違う考え方」をしてみるのがポイントです。思いつくものをすべて洗い出し、その上でピックアップしてみるのが有効です。

(モノの資産例)
自社SNSアカウント、導入した外部サービス、実店舗の立地、プライベートブランド、オリジナル商品、車・バスなど交通の手段 など

(ヒトの資産例)
スタッフのホスピタリティ、地元の料理人、販売スタッフの特徴、ガイドさんのプロフィール など

(情報の資産例)
これまでのお客様属性、サービス提供のノウハウ、秘伝のレシピや伝統料理、提供できる観光知識、公共交通のレア度 など

3, 選んだ兆しと資産をかけあわせて企画する

続いて、ここまででピックアップした「兆し」と「自社の資産」をかけあわせ、思わず旅行にいきたくなるような企画を考えてみましょう。

様々な「兆し」と「資産」で上がったキーワードを組み合わせてみて、新たな企画が生まれそうにないか試してみます。企画に活用する資産を選ぶコツはその資産がどう役立つかを考えることです。

○○の兆しに△△の資産は□□に役立つ」という一文を完成させるイメージを持つとキーワードの繋がりが見えてきやすいでしょう。

<宿泊施設が「大自然」の兆しを選んだ場合>

モノ資産を掛け合わせる例: ×「SNSアカウント」
⇒ 「大自然」の兆しに「SNSアカウント」は「地元のありのままの自然」を知ってもらうのに役立つ

ヒト資産を掛け合わせる例:  ×「周辺に詳しいスタッフ」
⇒ 「大自然」の兆しに「施設周辺に詳しいスタッフ」は「スキマ時間の近所の散歩コースを案内する」のに役立つ

情報資産を掛け合わせる例: ×「近所の芝生スポット」
⇒ 「大自然」の兆しに「近所の芝生スポットの知識」は「ピクニック機会の提供」に役立つ

また考えるときには「みんなで話し合う」のがおすすめです。多様な視点の意見を受け入れ、たくさんの意見が出ることで良い意見が出やすくなります。

4,プレスリリースを書いてみる

企画が決まったら、SNSでの発信や、実際にプレスリリースを書くことにトライしてみましょう。プレスリリースで抑えるべきポイントは以下の3つです。

  • この企画を考えた意図・背景
  • 自社のスタッフなどの思いやコメント
  • 自社の資産などがわかる写真

情報をなるべくわかりやすく伝えるのはもちろん、観光先・旅行先をビジュアル的にも伝えられるよう、画像や動画を活用するのも重要な要素です。プレスリリースのタイトルや本文を作成するポイントをまとめた基本の書式解説の記事もぜひ参考にしてみてください。

また、企画に至った「想い」をより詳しく伝えたい方は、PR TIMES STORYを活用し、企画者の人物像も紹介しながら伝えるという方法もあります。

その他、プレスリリースの書き方について参考になりそうな6つの記事をまとめました。自社の課題に応じて是非参考にしてみてください。

1、位置情報を登録し地域に届ける:
https://prtimes.jp/magazine/location-information/

2、良い画像が準備できない場合は無料のフォトストックサービスを活用:
https://prtimes.jp/magazine/image-insert/

3、初めてのプレスリリースに。20種類のテンプレート紹介:
https://prtimes.jp/magazine/pressrelease-template/

4、配信のベストなタイミングを検討したい場合:
https://prtimes.jp/magazine/delivery-timing/

5、メディア関係者限定で公開範囲を制限しプレスリリースを配信する方法:
https://prtimes.jp/magazine/disclosure-restrictions/

6、プレスリリース配信後の効果測定について:
https://prtimes.jp/magazine/effect-measurement/

5,  メディアやSNSへのアプローチ

プレスリリースを配信するだけでは多くの情報の中に埋もれてしまう可能性があります。せっかく書いたプレスリリースをもとにメディアやSNSで拡散してより多くの人に企画を知ってもらうことが大切です。

その際は概要だけでなくこの企画を考えた背景や真意を伝えるように意識します。発信したあとにお問い合わせやリアクションがあったら、コメントなどで丁寧に対応するようにしましょう。

また、ツイッターでは「観光復興ガイド」の関連ハッシュタグをつけて、より多くの人の目に留まるよう工夫すると良いでしょう。関係各社にメールで個別連絡することも有効です。

【例文付き】プレスリリースをメールで送る方法とポイント・注意点

観光業界発のプレスリリース事例3選

観光業界発のプレスリリースには、実際どのようなものがあるのでしょうか。前項でご紹介した「企画を考える公式」に沿って、PR TIMESで直近配信されている事例をいくつか見ていきましょう。

事例1, 埼玉県比企郡ときがわ町が仕掛ける「ヘリコプター直行便」

埼玉県比企郡ときがわ町にある株式会社温泉道場は、空の交通デジタルプラットフォームを開発する株式会社AirXと業務提携し、東京から25分のヘリコプター直行便のサービスを企画し、プレスリリースで発表しています。

同社プレスリリース素材より。プライベート空間は移動の3密回避に。

これを今回の「企画を考える公式」に当てはめると、以下のようになります。

兆し:マイクロツーリズム × 資産:移動手段としてのヘリ 
= 企画:3密を回避するプライベート空間のヘリコプター直行便 

プレスリリース冒頭では、発表の概要に触れたのち、①背景、②旅行プランの詳細、③キャンペーン期間などの概要 を紹介するかたちで、様々な画像と共に紹介されています。

決して文字数の多いプレスリリースではありませんが、重要なのは「なぜやるのか」の背景が旅行者に伝わるものになっていること。一読しただけで企画の概要が把握できるとてもわかりやすいプレスリリースです。

事例2, 白馬村が届ける、北アルプスの大自然のなかでの新しい働き方提案

長野県北安曇郡白馬村にある白馬観光開発株式会社は、白馬岩岳エリアの大自然や各施設を「ワークスペース」として活用できる新プラン『白馬リゾートテレワーク』を個人・法人向けに提供開始することを、プレスリリースで発表しています。

プレスリリース素材より。白馬マウンテンハーバーからの雄大な景色。

こちらの場合は、以下のような掛け合わせになるでしょう。

兆し:大自然&ワーケーション × 資産:白馬村の雄大な自然 
= 企画:仕事と休暇を両立させる「リゾートテレワーク」の新プラン

このプレスリリースのGOODなポイントは、「ワーケーション」という新たな概念から一歩踏み込み、白馬観光開発として新たに「リゾートテレワーク」の概念を打ち出し、その上で企画した新プランであることを順序だてて伝えている点です。

ワーキングスポットとして、森のオフィスや新しいゲストハウスなど実際の写真と共に紹介している点も、旅行者が具体的なイメージを持ちながら「ここで仕事したい」という気持ちを掻き立てるという点で見習いたいポイントです。

事例3, 加賀市全体の売上拡大を目指して。前売りチケットも購入できるECサイト公開

石川県加賀市山代温泉北部にある合同会社加賀温泉は、加賀温泉郷にある温泉宿泊施設、飲食店、小売店などを支援するため、ECサイト「かいねや加賀」のプレオープンをプレスリリースで発表。同時に8月のグランドオープンも告知しています。

プレスリリース素材より。ここでしか手に入らないオリジナルの「おたのしみ箱」も。

こちらの掛け合わせは、以下のようなもの。既存のECサイトを運営している企業・団体はヒントになるかもしれません。

兆し:応援 × 資産:加賀温泉郷のネットワークとECサイト 
= 企画:加賀温泉郷で利用できる前売りのチケット「みらい宿泊券」

こちらの企画のユニークな点は、「みらい宿泊券」や「みらい飲食店」など未来に利用できる前払いのチケットを販売していること。旅行客に対して「いつか安全にお越しいただきたい」という思いが込められたネーミングです。

また、「合同会社加賀温泉」のプレスリリースを「加賀の國」として発表し、加賀市全体が受けた売上減少などの影響を、地域一丸となって乗り越えていこうとする企画と発信は、とても心動かされるメッセージです。

観光業界発のプレスリリースを書く時の注意点

1.受け手の不安を煽らないようにする

先の見えないコロナ禍のなかで、人々は今も多くの不安を抱えています。「本当は旅行にいきたいけど、迷っている人」に向けて、不安を解消できる内容になっているか、一つひとつの言葉を注意して選ぶようにしましょう。過剰に集客を煽るような文脈や、根拠のない「絶対」という文言などは、極力使用しないことをおすすめします。

2.概要をしっかり書く

安心して旅行が検討できるよう、施設の営業状況や概要、感染対策において取り組んでいるスタンスをしっかり書くようにしましょう。

興味を持った方がお問合せをしてきそうなことを、あらかじめFAQとして情報整理し、関係するメンバーに共有しておくことも大切です。

3.文章以外の要素で現状を丁寧に伝える

どんな場所なのか、どんな人がいるのか、ビジュアルで分かりやすくなることで、より読み手のイメージを膨らませることができます。自社の資産(人や場所、商品)の写真を挿入し、旅行者へ情報を伝えましょう。

20の兆しと自社の強みを生かし、新しい観光の提案をしよう

本記事では、『新しい時代に対応する観光復興ガイド‐SNSから見える企画のタネ‐』に連動してコロナ禍で観光業界の方々がプレスリリースを発信する際の書き方や注意点についてお伝えしてきました。

本プロジェクトでは、復興支援の文脈にて先着100団体へ無料のプレスリリース配信も実施しています。いまだからこそ、と一歩踏み出す方々はぜひ以下のフォームからプロジェクトにご参加ください。

「観光復興ガイド」PR TIMES特別プラン申込フォーム
https://tayori.com/form/41800a312861a297f29dc0be1e7904040221c288

大きな価値転換が起きている時代のなかで、人々の旅行に対するニーズに新しいアプローチを実践していく必要性が求められています。

今回ご紹介したプレスリリースの書き方をもとに、日々変わりゆく人々のニーズを捉え、自社の強みをフル活用しましょう。

この記事のライター

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PR TIMES MAGAZINE編集部

株式会社PR TIMESのカスタマーサクセス、社内広報、社外広報、イベント運営など8年以上広報PRと向き合うメンバーが在籍しています。日本最大のプレスリリース配信サービス「PR TIMES」を運営すること12年。さまざまな広報担当者からのお問い合わせやPRのご相談への対応経験を活かし、すべての広報PRパーソンに捧げるノウハウ記事を執筆中

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