企業の従業員、そしてその家族に向けて情報を届け、相互理解と信頼関係を育てていく「社内広報」は、社外向けのPR活動と同じく、企業活動の土台を支える重要な広報PR活動の一つです。経営方針や企業理念を正しく伝えるだけでなく、日々の業務の背景や想いを共有し、組織としての一体感や納得感をつくる役割も担っています。近年は働き方の多様化やリモートワークの普及により、社内の情報伝達や関係構築のあり方が見直される中で、その重要性が一層高まっています。
一方で、社外広報と比べて社内広報は外部から見えにくく、「具体的に何をすればよいのか」「どのような施策が成果につながるのか」がイメージしづらい分野でもあります。他社の取り組みを参考にしにくく、手探りのまま運用している広報PR担当者も少なくありません。そこで本記事では、社内広報の目的や役割を整理したうえで、実務として取り組まれている具体的な仕事内容を解説し、あわせて実際に成果を上げている社内広報の成功事例を7つ紹介します。これから社内広報に取り組む方や、既存施策を見直したい方にとって、判断や改善のヒントとなる内容をまとめていますので、社内広報の導入や改善にお役立てください。
社内広報とは?
社内広報とは、従業員のモチベーションを高め、生産性の向上や組織の持続的な成長につなげることを目的に、従業員およびその家族と良好な関係を築くためのコミュニケーション活動を指します。
※参考:山見 博康『新版 広報・PRの基本』
企業にとって従業員は、事業活動を支える最も重要なステークホルダーの一つです。企業が持続的に成長していくためには、従業員一人ひとりが企業理念や事業方針を正しく理解し、自身の役割や行動を主体的に考えながら業務に取り組める状態をつくる必要があります。社内広報は、その前提となる理解や共感を育み、従業員が自律的に行動できる環境を支える役割を担っています。こうした従業員との関係性づくりの取り組みは、「エンプロイー・リレーションズ(Employee Relations)」と呼ばれることもあります。
近年では「インナーコミュニケーション」「インターナルコミュニケーション」といった言葉で語られるケースも増えてきました。名称は異なっていても、本質的には企業と従業員の間にある情報の非対称性を解消し、相互理解と信頼関係を築くことを目的としている点は共通しています。雇用の流動化や働き方の多様化が進み、組織と個人の関係性が変化する中で、社内広報は企業と従業員をつなぐ重要な基盤として、これまで以上に注目を集めている取り組みだといえるでしょう。

社内広報と社外広報の違い
社内広報と社外広報は、コミュニケーションの対象者に違いがあります。
社内広報は、従業員やその家族といった社内関係者を対象に、組織の内側に向けて行われる広報活動です。一方、社外広報は、顧客・メディア・投資家・地域社会など、企業の外部に存在するステークホルダーを対象としています。
コミュニケーションの対象が異なることで、広報活動の目的や伝えるべき情報、適切な手段、成果の測り方も大きく変わってきます。社内広報と社外広報の主な違いは、以下の通り整理できます。
| 項目 | 社内広報 | 社外広報 |
| 対象者 | 従業員・その家族など社内関係者 | 顧客・メディア・投資家・地域社会などのステークホルダー |
| 主な目的 | エンゲージメント向上、企業理念の浸透など | 認知度拡大、ブランド価値向上、信頼構築など |
| 発信する情報 | 経営方針、人事情報、成功事例、社内イベントなど | プレスリリース、商品情報、企業ニュースなど |
| 主な施策・手段 | 社内報、イントラネット、社内イベントなど | メディア対応、記者会見、SNS、PR記事など |
| 成果の評価指標 | 満足度調査、社内報の読了率、離職率など | メディア露出数、Webトラフィック、売上貢献等 |
社内広報の目的・役割
社内広報の目的や役割は、大まかに以下の3つに分けられます。
- 企業理念や経営方針の浸透
- 社内情報の共有
- 従業員のエンゲージメント向上
いずれも単独で完結するものではなく、相互に作用しながら、組織の持続的な成長を支える基盤となるものです。以下では、それぞれの目的について詳しく解説します。
目的1.企業理念や経営方針の浸透
企業の使命を言語化したものが「企業理念」です。さまざまなバックグラウンドや個性を持ったメンバーが同じ方向に進んでいくために必要な共通の目標であり、創業者の想いや企業の歴史、経営方針と密接に紐付いています。企業としての文化や価値観を形成するためには、企業理念の浸透が必要不可欠です。
社内広報の役割は、理念や方針を単に「伝える」ことではありません。社員一人ひとりが日々の業務の中で「この判断は自社の理念に沿っているか」「経営の意図とずれていないか」と考えられる状態まで落とし込むことが求められます。経営メッセージの背景や意思決定の理由を丁寧に伝え続けることで、理念が現場の行動と結びつき、企業文化として定着していきます。
目的2.社内情報の共有
部署やチームを越えて、必要な情報が適切なタイミングで共有されているかどうかは、業務効率や意思決定の質に大きな影響を与えます。例えば外部の調査会社や代行会社に調べてもらったデータが、社内の他チームがすでに所持している内容であった場合などを考えてみてください。
社内広報は、「誰が何を知っているのか」「今、社内で何が起きているのか」を可視化し、情報の偏在や分断を防ぐ役割を担います。情報共有が進むことで、無駄なコストの削減につながるだけでなく、社員同士が相談しやすくなり、異なる知見や経験を掛け合わせた新たなアイデアや改善策が生まれやすくなります。結果として、組織全体の生産性や創造性の向上にも寄与します。
目的3.従業員のエンゲージメント向上
働き方の多様化や雇用の流動化、リモートワークの一定の定着などを受け、企業と従業員を取り巻く環境は大きく変化しています。優秀な人材を獲得し、定着させ、継続的に力を発揮してもらうためには、給与や制度だけでなく、「この会社で働き続けたい」と思える心理的なつながりが不可欠です。
社内広報は、企業の取り組みや将来のビジョン、社会的な意義などを伝えることで、従業員の理解と共感を育む役割を果たします。また、社内イベントや双方向のコミュニケーションを通じて、社員同士や経営との距離を縮め、情緒的なつながりを生み出すことも重要な目的のひとつです。こうした積み重ねが、企業への信頼感や帰属意識を高め、結果として従業員エンゲージメントの向上につながります。
企業が社内広報に注力する3つのメリット
企業が社内広報に力を入れることは、単に「社内にお知らせを回す」ためではありません。情報の流れを整え、従業員の納得感と一体感を高め、結果として事業推進や対外的な信頼にも波及させるための投資です。ここでは、社内広報を強化することで得られる代表的なメリットを3つ紹介します。

1.社内の情報収集が円滑に行える
社内広報に注力するメリットの1つ目は、社内の情報収集と情報集約がスムーズになり、必要な情報へアクセスしやすくなることです。情報が散在している状態では、担当者が「探す」「聞く」「確認する」だけで時間を消耗し、場合によっては外部リサーチに頼って余計なコストが発生します。社内広報がハブとして機能すると、情報の所在が明確になり、検索性や共有スピードが上がるため、業務効率の改善に直結します。
また、社内の情報収集を円滑に行うことは社外向けの広報PR活動にも有益です。社従業員が日常的に「この情報は共有してよいか」「広報PRチームに渡す価値があるか」を意識するようになると、現場では当たり前に見えていた出来事の中から、社会に伝えるべき価値ある一次情報が集まりやすくなります。プレスリリースのネタや、オウンドメディアの企画精度向上にもつながり、結果として対外発信の質と量を底上げできます
社内からの情報収集を行うための具体的な方法は下記の記事で紹介しています。
2.従業員のエンゲージメント向上が見込める
社内広報に注力するメリットの2つ目は、従業員のエンゲージメント向上が見込めることです。従業員が「会社は何を目指しているのか」「自分の仕事はどこにつながっているのか」を理解し、納得感を持って働ける状態は、日々の改善行動や主体性を引き出します。結果として、組織全体の推進力が上がり、業績やサービス品質にも好影響をもたらします。
そのために社内広報が担うのは、情報を一方的に流すことではなく、コミュニケーションを通じて信頼と安心を積み上げることです。例えば、部署間の取り組みや背景を共有することで相互理解が進み、組織の心理的安全性が高まりやすくなります。経営陣の意思決定の理由や、現場で成果を出している従業員の工夫を丁寧に伝えることも、「自分ごと化」や誇りにつながり、エンゲージメントを押し上げる要因になります。
エンゲージメントに関する考え方として、下記の記事も参考にしてみてください。
3.企業全体のブランディング強化につながる
社内広報に注力するメリットの3つ目は、企業全体のブランディング強化につながることです。ブランドは広告表現だけで形成されるものではなく、従業員のふるまいや顧客対応、意思決定の一貫性など、日々の行動の積み重ねによって形づくられます。スターバックスコーヒーやアップルストアなどは従業員に独特の接客スタイルを教育しているのも、従業員にブランド価値を浸透させ、体験として顧客に届ける設計を徹底しているからです。
社内広報は、企業理念や価値観、行動指針を従業員に「理解」させるだけでなく、現場で再現可能な状態に落とし込む役割を担います。取り組みの背景や意図、望ましい行動例を継続的に共有することで、従業員の判断や行動の質が揃い、顧客体験や社外コミュニケーションにも一貫性が生まれます。その結果、「らしさ」が強いブランドとして認識されやすくなり、採用や取引、社会的評価においてもプラスに働きます。
社内広報の主な6つの仕事内容
社内広報の仕事内容は多岐にわたります。具体的な業務の例を5つご紹介します。
1.社内報の発行
社内報は、社内の各部署で行われている取り組みや情報を共有し、組織の一体感を高める役割を持っています。企業によっては社員のパーソナルな部分を深掘りするコンテンツを用意し、社内コミュニケーションの活性化に役立てているところもあります。
社内報は、発行するだけでは効果がありません。日頃の情報収集やアンケートを通じて社員が気になっているトピックスをリサーチし、読まれる企画を練りましょう。Web上で社内報を作成・発信できるツールのなかには、読了率や読み手の属性などのデータを取得できるものもあるので、自社の状況に応じて導入を検討してみてもよいでしょう。
また、従業員の家族も重要なステークホルダーと考え、家族に向けたコンテンツを発信している企業もあります。
2.メディア掲載情報の報告
企業やサービス・商品、従業員がメディアに取材・掲載されるということは、企業が世間から注目されている証拠です。メディアへの掲載情報を全社に周知することで、従業員のモチベーションも向上します。さらに、営業担当者がメディアに掲載された事実や内容を商談の際に活用できます。
メディア掲載情報は積極的に共有しましょう。
3.外部からのフィードバック・調査結果の共有
広報PR担当者は、メディア関係者など社外のステークホルダーと日々コミュニケーションをとっているため、自社に対する社外からの評価が耳に入りやすいです。また、情報を発信するにあたり、事前に自社や業界・社会全体に関する調査などを行うこともあるでしょう。
獲得した外部からのフィードバックや調査結果などの情報は広報PR部門のみで活用するのではなく、社内に広く展開することで、さまざまな関係部署で重宝される可能性があります。
4.社内向けイベントの企画・運営
社内の一体感の醸成や従業員同士のコミュニケーション活性化には、イベントの実施も有効な手段です。目的にあわせて、人事・総務など関係部署と連携しながらイベントを企画しましょう。例えば、企業理念や経営方針の浸透を目的とするのであれば、全社を挙げた総会やミーティング、社内コンペなどが考えられます。エンゲージメントの向上を目的とするのであれば、シャッフルランチやファミリーデイなど、さまざまな従業員とカジュアルに交流できるイベントが適しているでしょう。
また、社内イベントを行ったことはプレスリリースやオウンドメディアを通じて積極的に発信することで、採用広報や企業ブランディングにつなげることもできます。
5.社内で広報PR勉強会を実施
社内に広報PR視点を浸透させることで、広報PR担当者に社内の情報が集まりやすくなったり、取材対応などに協力してもらいやすくなったりといった効果が期待できます。また、従業員一人ひとりが広報PR視点を持つことは、間接的に事業にも良い影響をもたらすでしょう。
社内に広報PR視点を浸透させるためのひとつの手法として有効なのが広報PR勉強会です。広報PRと広告の違いや、広報PR活動を行う意義や役割といった基本的な概念から、他社や自社の取り組みなど具体的な事例までシェアできるとよいでしょう。
広報PR活動の成功事例については、PR TIMES MAGAZINEのインタビュー記事をぜひ参考にしてみてください。
6.オンライン社内コミュニティの運営
リモートワークの普及に伴い、従業員同士の雑談や偶発的なコミュニケーションが減少しがちになっている中、社内SNSやチャットツールを活用した「オンライン社内コミュニティ」は、部署や役職を越えた交流の場として注目されています。
たとえば、趣味に関する雑談スレッド、業務改善アイデアの共有チャンネル、新人向けのQ&A板などを通じて、社員同士の信頼関係やエンゲージメントを醸成できます。コミュニティは一方通行ではなく、「投稿したくなる」「反応が返ってくる」場であることが重要であり、運営側の工夫とファシリテーションが鍵となり、社内広報が重要な役割を果たします。
社内広報の効果を測定する3つの指標
社内広報の成果を評価する基準は、社内広報を通じて解決したい課題や社内広報の施策に応じて設定します。例えば、従業員のエンゲージメント向上が目的であれば、離職率もひとつの指標となり得るでしょう。下記はあくまで例ですが、3つの指標をご紹介します。
1.企業理念・経営方針の浸透率
企業理念や経営方針の浸透を目的とする場合は、そのまま企業理念・経営方針の浸透率を評価基準にできます。
アンケートフォームやサーベイを行うツールを活用し、
- 企業理念や経営方針を理解しているか
- 企業理念や経営方針に共感しているか
- 企業理念や経営方針を意識して仕事をしているか
といった項目に答えてもらいましょう。
2.従業員満足度
社員のエンゲージメント向上が目的の場合、企業に対する従業員満足度は重要な指標となります。
アンケートやインタビューを通じ、
- 仕事内容
- 職場環境
- 上司との関係性
- 給与や待遇
などに対する満足度を調査しましょう。
3.社内報のPV数や読了率
社内全体の情報の共有や従業員同士のつながり創出を目的としている場合、社内報の発行は有効な手段です。ただ、発行した後に従業員にどれだけ読んでもらえたか、どれだけポジティブに受け止めてもらえたかを測定することが非常に重要です。紙の社内報を発行している場合は配布が完了したかどうかまでしか追跡できませんが、Web社内報であればPV数を測定できます。また、ツールによっては読了率を追跡したり、属性ごとにデータを算出したりできるものもあります。
数値目標に加えて、社内報の各記事に対しどのようなリアクションが寄せられたかという定性的な効果も測定できるとよいでしょう。。コメントの投稿数や読了後のアンケートの実施などで計測可能です。
社内広報の成功事例7選
社内広報の施策には、社内報の発行やイベントの開催などさまざまな種類があります。自社の課題や目指す状態によって最適な手段を選択するようにしましょう。
社内広報の成功事例を7つご紹介しますので、参考になるアイデアを見つけてみてください。
事例1.アフラック生命保険株式会社:動画・Web・冊子を組み合わせた社内報
アフラック生命保険株式会社は、社内広報施策の一環として動画、Web、冊子(PDF)を組み合わせた社内報を制作しています。
動画社内報は、社内のニュースを10~15分程度の動画にまとめ発信しているもの。経営陣からのメッセージなど、経営戦略や企業文化の浸透を目的とした内容となっています。
1994年から28年の長きにわたり実施しており、かつては各部署で集合し視聴されていましたが、コロナ禍を機に2020年からストリーミング配信に変更。社員が各自の端末でいつでも視聴できるようになりました。
動画社内報では紹介しきれない取り組みを活字で詳しく紹介するWeb・冊子の社内報も2019年から毎週発信しています。中期経営戦略や経営戦術に関する内容や、リレー形式での部署紹介や社員紹介などカジュアルな記事もあります。
参考:「社内報アワード2023」における「ゴールド賞」の2年連続受賞について | アフラック生命保険株式会社のプレスリリース
事例2.株式会社BLAM:社内ラジオ
大阪・京都・兵庫・東京で「あい鍼灸院・接骨院」を運営する株式会社あい・グループは、スタッフ参加型のコミュニケーションツールとして社内報を活用しています。2023年4月から紙媒体・Webの両方で社内報を運用。
スタートから半年間はWeb閲覧数に伸び悩んでいましたが、「ネタ提供窓口」を用意してスタッフ参加型にすることで、閲覧数は目標の60%を達成しました。社内報をきっかけに、スタッフ間のコミュニケーションを深めています。
参考:【株式会社あい・グループ】社内報をスタッフ参加型のコミュニケーションツールへと育てています。
事例3.SB C&S株式会社:社内外に向けた独自の映像コンテンツ
IT関連商品の製造販売やサービス提供を手掛けるSB C&S株式会社は、社内報や勉強会、全社ミーティングといった情報を独自の映像コンテンツで発信しています。2013年ごろに開始した取り組みで、2023年9月時点で提供総数3,000本を突破。
自社が持つ映像制作機能を活かした社内外への発信により、広報PR活動におけるコスト削減につなげているのも特徴です。IT業界で技術的な強みを持つ企業ならではの事例ともいえるでしょう。
参考:社内外へ向けたSB C&S独自の映像コンテンツ提供総数が3,000本を突破!
事例4.パンチ工業株式会社:人材育成方針を制定
金型部品の製造・販売と付属品販売を担うパンチ工業株式会社は、プレスリリースで「人財育成方針」の制定を発表しました。社員が個性・能力を発揮できる職場を実現するため、「チャレンジ」「創意工夫」「自由闊達」の3つのキーワードで展開している取り組みです。
男性社員の育児休業・育児休暇取得率は、目標の30%を上回り100%を達成。制度をまとめたハンドブックを配布したり、取得者の体験談を社内報に掲載したりといった工夫が、目標達成に寄与した事例です。
社内制度として取り入れるだけでなく、経過や結果を社内で共有することで認知拡大効果を高めています。
参考:「パンチスピリット」あふれる人財育成を目指して 金型部品のパンチ工業「人財育成方針」等を制定
事例5.キャップクラウド株式会社:多様な働き方を受け入れる仕組み
クラウドソリューション事業、地方創生テレワーク事業を手掛けるキャップクラウド株式会社は、多様な働き方を受け入れる仕組みを積極的に導入しています。テレワークに適した環境を整えるための面積・照度・換気方法などをまとめた説明書類を配布し、ストレスフリーで働きやすいメンタルヘルス対策も実施。
こういった取り組みが評価され、厚生労働省から「テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰(輝くテレワーク賞)」の特別奨励賞を受賞しました。働き方の視点から差別化することで、社員がより働きやすくなるのはもちろん、求人を見つけてもらいやすくなるという効果も発揮しています。
参考:厚生労働省より<令和5年度「テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰(輝くテレワーク賞)」特別奨励賞>を受賞 | キャップクラウド株式会社のプレスリリース
事例6.リソルホールディングス株式会社:サークル活動制度
ホテルやゴルフ場などの施設運営と投資再生事業を展開する、リソルホールディングス株式会社の事例です。2023年9月1日から、「RESOLサークル活動制度」と名付けたサークル団体活動の支援制度がスタートしました。
グループ全体でのコミュニケーション促進を目的としており、一定の条件を満たすと所属メンバー1人あたり年間5,000円の補助金が出るというユニークな制度です。部門や事業所を限定せず従業員同士がつながりやすい場を提供することで、企業全体でのサービス向上にも寄与しています。
参考:リソルグループ、社内コミュニケーション活性化のため、2023年9月より「RESOLサークル活動制度」を発足
事例7.株式会社サンゲツ:LGBTQ+への取り組み
床材やファブリックなどを企画・開発・販売する株式会社サンゲツは、LGBTQ+への取り組みを評価する「PRIDE指標2023」でゴールド認定を獲得。ダイバーシティ・マネジメント推進に取り組む企業として積極的な活動が評価されました。
社員への定期的なLGBTQ+研修をはじめ、社内外両方での取り組みを続けているのが特徴です。2023年度には社内規定を改定し、同性パートナーシップ制度の導入も予定しています。
参考:「PRIDE指標2023」において、最高評価「ゴールド」の初認定 | 株式会社サンゲツのプレスリリース
社内広報を効果的に行うためにおすすめのツール3選
施策の進め方や効果の測り方が難しい社内広報。社内広報に特化してサポートしてくれるサービスやツールを活用することで、より効果的に社内広報を実施できます。ここでは、社内広報に活用できるおすすめのツールを3つご紹介します。
ourly

1つ目にご紹介するツールは、ourly株式会社が運営するWeb社内報プラットフォーム「ourly」です。
Web上で社内報を簡単に作成・公開できるサービスはいくつかありますが、ourlyは特に分析機能に強みがあります。PV数などの基本数値はもちろん、記事ごとに閲覧率・読了率・リアクション率などの指標で分析できるほか、部署別・役職別・職種別など、さまざまなセグメントに分けて閲覧状況を確認できます。
加えて、情報の公開範囲を自由にカスタマイズできる機能も登場しました。エビデンスに基づいて、社内広報を効率的に改善していきたいという場合におすすめのツールです。
参考:Web社内報ツール「ourly」、記事の“公開範囲カスタマイズ機能”をリリース!
SOLANOWA

2つ目にご紹介するツールは、株式会社スカイアークが運営するWeb社内報アプリ「SOLANOWA」です。
SOLANOWAの特徴は、企業ごとのカスタマイズ自由度が高いこと。独自ドメインを利用ができたり、常設で表示されるドメインロゴを自社のものに変更ができたりします。
そのほか、アンケート機能・グループ別閲覧制限・多言語対応などさまざまな機能が充実。「誰でもログイン機能」を使えば、家族やステークホルダーがメールアドレス不要でログインできます。特に大規模な企業や国際的な企業など、社内の複雑なルールに対応する必要がある場合におすすめです。
参考:【SOLANOWA】メールアドレス不要の「誰でもログイン機能」をリリース!家族もOB・OGもみんなが読者に
TUNAG

3つ目にご紹介するツールは、株式会社スタメンが運営する社内SNS「TUNAG」です。
TUNAGは社内の文化醸成や制度の浸透に特化したSNSで、従業員が個人でアカウントを持ち、ログインするとタイムラインにさまざまな投稿が表示されます。
汎用性が高く、社内報を作成・配信する以外にも、日報・週報やサンクスメッセージを広く社内に公開することが可能。
導入実績はすでに700社を超えており、組織としての一体感をより強化したい場合や、オープンな企業風土を育みたい場合におすすめのツールです。
参考:現場の業務DXからエンゲージメント向上まで実現する「TUNAG」、利用企業数が700社を突破!
導入から定着まで、社内広報を強化する3ステップ
社内広報は、単なる情報発信にとどまらず、経営方針の浸透や従業員のエンゲージメント向上といった組織の基盤づくりに直結すると解説していきました。とはいえ、いきなり大規模な施策を始めるのではなく、段階的に取り組むことが成功の鍵です。
最後に、社内広報を導入・強化し、継続的な取り組みとして定着させるための3つのステップを解説します。企業規模や状況に応じて柔軟に活用してください。
STEP1.経営陣の巻き込みと全社戦略への掲示
社内広報の活動を単なる「お知らせ係」で終わらせないためには、まず経営層の理解と協力が不可欠です。社内広報が「企業の成長戦略にどう貢献するのか」を経営目線で言語化し、ミッション・ビジョンとの接点を明確にします。
さらに、社内広報の目的や意義を社内ポータルや説明会などを通じて全社に共有することで、「経営からのメッセージ」としての重みが加わり、社内での受容性が高まります。
STEP2.試験的に小さな取り組みからスタート
いきなり大規模な施策を展開するのではなく、小さな成功体験を積み重ねることがポイントです。たとえば「週1回の社内ニュース配信」や「Slackでの社員紹介企画」など、短期間で実行・効果確認ができる施策から始めましょう。これにより、関係者からのフィードバックが得やすくなり、継続への理解と協力も得られやすくなります。
小さく始めることで、改善しながら自社にフィットした広報の型を築くことができます。
STEP3.データを元に改善を続け定着化へ
施策を実施した後はやりっぱなしにせず、必ず効果測定と振り返りを行いましょう。
社内報のPV数やリアクション数、アンケートによる理解度・共感度の把握など、定量・定性の両面から社内広報の成果を可視化します。
そのうえで改善ポイントを明確にし、PDCAを回し続けることで、社内広報が単発ではなく「組織の文化」として定着していきます。担当者だけでなく、現場社員やマネジメント層を巻き込んだ仕組み化も効果的です。
組織を強くするために、社内広報に取り組もう
今回は、社内広報の目的や役割、具体的な仕事内容についてご紹介しました。
企業が継続的に成長していくためには、社員全員が共通の意識を持ち、行動することが重要です。社員が現在働いている企業に対して、どれだけ信頼を寄せているか、どれだけ貢献したいと考えているかが業績にも反映されるのです。社外広報による企業の認知度向上やブランディングだけではなく、社内広報にもしっかり取り組めるとよいでしょう。
社内広報の手法は多岐にわたり、どこから進めるか、どこまで範囲を広げるかは、企業の段階や課題によって変わります。まずは自社の課題がどこにあるのかを明らかにし、活動内容を決めていきましょう。施策を実行して終わりではなく、社員とコミュニケーションをとって振り返りを実施することも大切です。ぜひ、自社らしい社内広報に取り組んでみてください。
<編集:PR TIMES MAGAZINE編集部>
社内広報の意味や目的・役割・仕事内容に関するQ&A
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