企業にとって「内定式」とは、単に内定者を迎え入れるイベントというだけでなく、対外的にその内容を配信することで企業カルチャーを広く伝える絶好の機会でもあります。
「内定式」を実施していても、内定式の内容をプレスリリース配信している採用広報はまだ多くはありません。
本記事では内定式についてプレスリリースや事後レポートを配信するメリットや、盛り込みたい5つの内容について事例を含めて紹介します。
採用広報が内定式のプレスリリース・事後レポートを配信する意味・役割
内定式は、企業が内定者に自社のカルチャーを紹介する場。入社後のモチベーションが上がるように、また辞退者が出ないようになど、各社さまざまな趣向を凝らして実施しているのではないでしょうか。
内定式は、社内向けのイベントといった位置づけをされることが多く、社外に向けての発信をしている企業は多くありません。しかし、内定式をプレスリリース、事後レポートとして配信することで、会社の魅力や文化を社外にも伝え、来期以降の採用の活性化にもつなげることができます。
次に、内定式を社外に発信する意味や役割、メリットについて紹介します。
1.企業の認知度を高める
内定式を発信する1つ目のメリットは、企業の認知度を高められることです。
内定式は、実務的・形式的な式典というだけでなく、企業と内定者のビジョンやミッションの共有の場として行われます。このような企業精神やカルチャーの共有にまつわる催しは、企業のイメージアップにつながるため、配信する価値のあるメッセージになります。
また、内定式の魅力的なコンテンツは、会社の企画力や制作力の証明です。採用広報として内容をしっかり伝えることで、企業の認知度や対外的評価を高める結果につながります。
2.採用の透明性を上げる
内定式を発信する2つ目のメリットは、採用の透明性を上げられることです。
内定式の様子を配信することで、企業と内定者の交流がわかりやすく現れ、採用の透明性があがり、対外的に会社のイメージをアップできます。入社後のイメージが伝わりやすいため、来期以降の採用広報としても見映えのよいトピックといえるでしょう。
3.内定者フォローにつながる
内定式を発信する3つ目のメリットは、内定者フォローにつながることです。
内定式の後でも、内定ブルーやモチベーションの低下によって内定辞退となるケースもあります。内定式の実施をリリースしたり事後レポートとして配信したりすると、内定者にとって改めて企業カルチャーを思い出す契機となり、モチベーション維持も期待できるでしょう。
内定式が行われる時期は、ほとんどの内定者がまだ就学期間中であるため、内定式の記事が学生の間で話題になることでホワイト企業としてのアピールにもなります。
内定式のプレスリリース・事後レポートに盛り込みたい5つの内容
内定式のプレスリリースや事後レポートは、採用広報として採用率を高める役割と取引先や一般的な生活者に向けて企業情報を改めて配信する機会となります。
では、具体的に内定式のプレスリリースや事後レポートではどのような内容を配信するべきなのでしょうか。次に、配信を効果的にするために盛り込みたい5つの内容を紹介します。
1.内定通知書の授与
内定式のハイライトともいえる内定通知書の授与はリリース・レポートに欠かせない要素です。企業の代表と内定者が触れ合う瞬間であり、内定者が採用試験通過の証明である通知書を受け取ることで改めて入社を実感して喜びを感じ、気持ちを引き締める場面で、内定式の様子が伝わりやすいシーンです。
【ポイント】
代表や内定者一人ひとりの表情が読み取れる写真を撮り、会場の雰囲気が伝わるようにすることがポイント。内定式がオンライン開催の場合でも、画面を通じて代表と内定者の交流が行われる様子をスクリーンショットなどでうまく表現するとよいでしょう。
2.社長・役員、人事などの祝辞
社長や役員、人事などからの祝辞や講話は、授与式と並んで式典の重要なシーン。企業カルチャーや代表のポリシーを直接的に伝えられるコンテンツであり、内定式のプレスリリースにおいてもメインとなる内容です。
【ポイント】
企業カルチャーや今後の展望を伝えるプレスリリースにおいては、授与式以上に重要な要素といえます。取引先や生活者の目線を意識しながら、企業のイメージアップに結びつくように、そのメッセージの内容をこぼさないよう大切に構成を練りながらリリースを作成しましょう。
3.事業内容・ビジョンなどの説明
内定式では、内定者のモチベーションを高め、実際に働くときのイメージが湧くように、事業内容の説明を行ったり、これからの事業のビジョンなどを紹介したりする企業もあるでしょう。企業のイメージアップにつながる内容が詰まっている内容のため、スライドなどがあればそのビジュアルも含めて配信すると、より興味を惹きつける記事になります。
【ポイント】
ただの事業紹介ではなく、あくまで内定式における事業紹介のため、内定者の反応や感想などを記事内に盛り込むことで臨場感のある魅力的なリリース・レポートになるでしょう。
4.内定者社内見学・研修
オンラインで内定式を行う企業も増えていますが、オフラインで開催する場合は、内定式に社内見学のプログラムが含まれている場合があります。
内定者が見学や研修を通じて業務を体験している場面をレポートすることで、企業としての取り組みにフォーカスできます。
【ポイント】
社内見学は、会社の雰囲気を直接的に伝える場面です。内定者と社内の人たちとの交流を表現することで、学生はもちろん、取引先や生活者に対しても安心感のある企業イメージを発信できます。また、インターンシップや研修などを実施している場合は、併せて紹介するのも効果的です。
5.内定者懇談会(交流、レクリエーション)
内定者同士や先輩たちと触れ合う懇談会は、これからともに働き、切磋琢磨していく仲間とのコミュニケーションが取れる最初の場です。また社風に合ったユニークなレクリエーションを行っている企業もあるでしょう。
交流の場面をリリースやレポートとして配信することは、事業内容と異なる企業カルチャーを対外的に紹介するよいチャンスです。
【ポイント】
企業の雰囲気を伝えるとともに、内定者の記念撮影やお祝いの空気感をしっかり盛り込むことが大切です。こうした場面に採用広報として参加した場合は、内定者に積極的に話しかけてリラックスしてもらうことや、パーソナリティを把握することを意識しましょう。一人ひとりのキャラクターを把握することで、今後の広報活動にもつながります。
広報担当者が内定式当日に行いたい3つのこと
内定式当日は、プレスリリースや事後レポートになる内容を準備できるような行動が求められます。採用広報として欠かせない、当日に行いたい3つのことを確認しておきましょう。
1.内定式の進行
広報担当者は、企業を盛り上げる裏方ともいえるポジションです。内定進行のメインは人事部が行いますが、滞りなく進められるように連携をして進行のサポートを行いたいところ。内定者が楽しんで参加でき、企業の印象がポジティブなものになるように努めましょう。
2.内定式の記録
内定式のプレスリリースや社内ブログなどで事後レポートをするために内容の記録、動画や写真などの撮影を行うことは必須です。
雰囲気をしっかり伝えるために、重要な場面の聞き逃し、撮り逃しがないよう事前にスケジュールを把握しておきましょう。
3.内定者のパーソナリティをチェック
当日は、内定者と積極的にコミュニケーションを取り、内定者一人ひとりの特徴やパーソナリティを覚えておくことも採用広報として大切です。
事後の記事作成の際のヒントとして活用できるだけでなく、入社後の活躍を発信していく際にも、その人物のスタート地点を知っていることが活きてきます。
内定式のプレスリリース・事後レポートの事例
最後に、単なる内定式の報告だけにとどまらず、採用広報につながるようなカルチャーを配信しているプレスリリースや事後レポート、最新の2023年発表事例から紹介します。
GOOD事例をもとに、自社の内定式の発信方法について検討してみてはいかがでしょうか。
事例1.内定者へのサービス提供、交流会などを訴求
ビジネス特化型オンライン英会話事業「Bizmates」を運営するビズメイツ株式会社は、2024年度入社予定者の内定式を実施し、事後レポートとして配信しました。当日の様子がわかる写真を掲載し、代表取締役からの激励の言葉も紹介。
また、同社の運営サービスが利用できるIDを内定者に付与したことや、チームビルディングの実施内容なども記事内でピックアップしています。特に、内定者の成長につながるサービス提供は、企業への関心を高めるだけでなく、採用の透明性を高める結果にも寄与したといえるでしょう。
事例2.自社ならではの「青空内定式」の様子を紹介
飲食店の経営やフランチャイズ加盟店の指導などを手掛ける株式会社ワンダーテーブルは、ニューヨーク料理「ユニオン スクエア トウキョウ」で内定式を開催したことをプレスリリースで配信。飲食店ならではの実施内容に着目し、テラス式で展開したのが特徴です。
「内定式のスタイルを一新するチャレンジ」という文言の通り、これまでの課題を解決するための取り組みや、内定者に向けたお題など、自社特有のユニークなポイントを複数挙げています。また、プレスリリース内では、新卒1年目や内定者の表情がわかるよう、レクリエーションの様子を写真で紹介しました。
参考:【ワンダーテーブル】飲食店ならではのユニークな青空内定式を開催
事例3.昼食を兼ねたレクリエーションで企業への関心を高める
総合小売業として全国に店舗を展開する株式会社平和堂のプレスリリースです。2024年度新卒採用予定者を対象に開催した、内定式のレポートを配信しました。
内定証交付や社長講話の様子を「フォトレポート」として紹介するほか、レクリエーションについても訴求。昼食を兼ねて、内定者自らが加工したバーガーを食べるというユニークな企画を積極的に発信することで企業の取り組みを透明化し、内定者のフォローにもつなげています。
参考:【株式会社平和堂】2024年度新卒採用予定者 内定式を開催
事例4.先輩社員と謎解きで仲を深める自主企画イベント
採用コンサルティング事業を中心に展開する株式会社アールナインは、2023年10月2日に開催した内定式のレポートを配信しました。内定者14人が参加した内定式では、ランチ懇談会のほか、「アールナインに眠る、開かずの宝箱〜12の謎を解き明かし古のカギを手に入れよ〜」と題したイベントも実施。
年の近い先輩社員とチームを組んで謎を解いていく、ユニークな自主企画イベントです。プレスリリースでは、当日の実際の様子を写真と文章で紹介。内定者にアンケートを取った結果を「内定者の感想」としてピックアップし、生の声を積極的に発信することで、親しみやすい自社の雰囲気を知ってもらうきっかけにもなっています。
事例5.自分らしい格好での参加を呼び掛けた内定式
理美容・化粧品事業やデンタル・メディカル事業を手掛けるタカラベルモント株式会社は、2024年4月入社予定者の内定式を行いました。ダイバーシティ&インクルージョンの流れにならって、「一番自分らしい髪型や髪色、服装での内定式参加」を呼びかけたのが特徴的です。
プレスリリースでは、実際に参加した内定者の集合写真などを掲載。自分らしい髪型や髪色での参加を促した理由として、自社の理念や取り組みについても触れています。企業のパーパスと時代の流れを汲み取った採用広報により、内定者フォローだけでなく、社外へのアプローチにもつながった事例です。
内定式の事後レポートは企業カルチャーの発信機会としても積極的に活用しよう
内定式の内容をプレスリリース・事後レポートとして配信することは、採用広報として多くのメリットがあります。内定辞退を防ぎ、内定者の入社への思いを強めるだけではなく、採用背景と企業カルチャーを同時に伝えられる絶好の機会ともいえるでしょう。
内定式を実施しているがプレスリリースは配信したことがないという広報担当者は、本記事で紹介したポイントをもとに、積極的に機会を活用し、自社の魅力を存分にアピールしてみてはいかがでしょうか。
<編集:PR TIMES MAGAZINE編集部>
内定式を広報が発信する意味に関するQ&A
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