広報担当者は、マーケティングや広告宣伝担当者と違って、メディアへの出稿を行うことが少ない分「広報=お金がかからない」という認識を社内で持たれる経験をした方も多いのではないでしょうか。
もちろんノーコストで行える広報活動もありますが、広報活動の幅は日々広がっているにもかかわらず、希望の予算が通らないと悩んでいる広報担当者も多いのではないでしょうか。予算をかけなければ、活動の幅に限界もあるでしょう。
この記事では、広報予算の目安や用途、予算を獲得するための方法や予算の決め方についてご紹介します。
広報予算の目安や、主な用途とは?
まず、確認したいのは予算の決め方です。広報予算は何を目安に決めていけばよいのでしょうか。
広報予算の目安は、用途によって異なります。広報活動において考えられる予算は、大きく以下の5つの用途に分けられます。
1.企画費
広報活動の1つ目の予算は「企画費」です。主に記者発表会やPRイベントなどの企画にかかる費用のことを指します。企画実施のための会場費やアサインするゲストへの登壇費、演出にかかる費用などが含まれます。企画の規模感にあわせて予算の目安を考えるとよいでしょう。
また、自社のみで運営するのではなく、PR会社や広告代理店などの外部パートナーに委託して実施する場合には、業務委託費が発生するため、これも予算に組み込まなければなりません。
2.制作費
広報活動の2つ目の予算は「制作費」です。広報誌やPR動画、プレスキットなど、企業や商品・サービスの広報を行う上で必要なコンテンツをつくるための制作費のことを指します。
印刷物やモノの制作であれば、必要な個数に応じて費用が変わってくるため、予算決めの段階で把握しておくことが大切です。
3.媒体費
広報活動の3つ目の予算は「媒体費」です。企業によって異なりますが、タイアップ広告を広報が担当する場合があり、メディアへの出稿費がかかってきます。目的にあわせて、どのメディアにどのくらいの量を投下すべきなのかメディアプランを行い、予算を決めていく必要があります。
4.ツール利用費
広報活動の4つ目の予算は「ツール利用費」です。プレスリリース配信プラットフォームやクリッピングサービスなど、外部のツールを利用する際の費用のことを指します。
社内リソースで補えないサービスであれば外注する必要があるため、この費用を予算に組み込むことを忘れないようにしましょう。
5.物品購入や出張などの実費
広報活動の5つ目の予算は「実費」です。メディア研究のための新聞・雑誌の購入や、地方出張の際の出張費など、広報活動を行う上で細かな実費が発生します。だいたいどのくらいの費用が毎月発生するのか想定して予算を決めるとよいでしょう。
広報予算の決め方とは?予算を決めるときに考慮される要素
5つの項目から広報予算を検討しても「なかなか希望通りの予算が通らない」と、悩んでいる広報担当者も多いのではないでしょうか。
では、広報予算はどのように決まっているのでしょうか。次に、広報予算を決めるときに考慮される3つの要素を紹介するので、広報担当者として把握しておきましょう。
要素1.売上に対して割ける広報PR予算
広報PR活動は売上に直結するわけではなく、間接的な活動です。そのため、必要経費とならないことが多く、企業が売上規模に対してどのくらい広報PRに予算が割けるのか、経営判断が必要となります。
また、売上といっても企業の規模・人件費・商品原価によって残る利益がかわってくるため、一概に売上の〇%と決めてしまうのは危険です。財務部門と一緒に予算を決めていくことをおすすめします。
要素2.広報活動の目的
ROI(費用対効果)が見込めると判断されることによって予算が決まるケースもあります。
予算をつけてもらうためには、広報PRが経営課題のどこに貢献できるのか、広報活動の目的を明確にする必要があります。また、経営層と握り合いながら、方針を決められると安心です。
要素3.年間広報プラン
予算を決める際には、年間または半年といった長期単位で決める企業が多いです。そのため、年間でどのような広報活動を行うのかプランニングし、必要な予算を算出しなければなりません。「広報活動の目的」のために実施すべき活動が何なのか逆算していきましょう。
広報予算を増額したい!予算を獲得するために行うべき5つのこと
広報予算を獲得するためには、上記の項目で予算を検討していることを把握した上で会社を説得する必要があります。最後に、説得する際に有効な5つの要素をご紹介します。
1.広報活動の成果の明確化
予算を獲得するためにまず行いたいのは、広報活動の「成果の明確化」です。昨年度に行った広報活動に対する成果を、予算獲得のための説得材料にするとよいでしょう。
ROIが見込めた活動は、引き続きブラッシュアップしながら継続したり、成果がなかった活動についてはシュリンク(縮小)させていくなど、広報プランを組み立てる上でも、振り返りは重要です。
効果測定については以下の記事も参考にしてみてください。
【合わせて読みたい】
▶ 広報における効果測定とは?指標の決め方・8つの効果測定方法・ポイントを紹介
2.社内への広報理解浸透
予算の獲得とは一見関係ないようにも思われがちですが、「社内の広報活動に対する理解の浸透」も予算獲得に重要です。社内の理解が得られていなかったり、広報の重要性が低いと社内で認識されてしまうと、予算を割いてもらえないという状況に陥ってしまいます。
社内コミュニケーションを活性化させ、広報の重要性をアピールするようにしましょう。
3.各事業部との連携
予算を獲得する際には、他の事業部との連携も重要です。各事業部と連携し、広報へのリクエストがないかヒアリングするようにしましょう。
各事業部が広報活動を必要と感じていれば、各事業部のリクエストにあわせた広報PRプランを組み立て、そのための必要予算を会社に説得するようにしましょう。
4.効率化のためのツール選定
ついつい広報PR施策に必要な予算を獲得することに目を向けがちですが、広報活動自体の効率化も重要な仕事のひとつです。
社内リソースを割くよりも効率化できるツールがあるならば、積極的に活用すべきです。どのくらい効率化できるのか数字で可視化し、ツール導入に必要な予算を獲得していきましょう。
5.PR会社など外部パートナーからの提案
予算獲得をするためには、外部の視点も取り入れるのもよいでしょう。
ニュースバリューのある広報PR活動にしていくには、社会情勢やトレンド情報を取り入れたり、社会から自社がどう見られているのか確認をしたりしていくことが大切です。しかし、社内の調整に追われて、外部の視点がつい抜け落ちてしまうことも。
時には、PR会社を始め、知見のある外部パートナーから、現在の自社における広報PR活動の課題や実施すべき施策を提案してもらうことも有効な手段となります。実施すべき施策提案であれば、それにともなう予算獲得もしやすくなるでしょう。
広報活動の幅を広げるために、根拠を持った説得を行い予算を獲得しよう
本記事では、広報予算の目安や用途、予算を獲得するための方法、予算の決め方についてご紹介しました。
広報PR活動のひとつである「パブリシティ獲得」が、広報PR活動のメインであると捉えられ、広告費がかからない分、コストのかからない活動と認識されてしまうことも多いようです。しかしながら、この「パブリシティ獲得」のためには、記者発表会やPRイベントを行うことで得られるものかもしれませんし、コンテンツの制作が必要になるかもしれません。
また、広報PR活動は売上に直結する活動ではないため、効果が見えづらく予算の判断がしにくい部分もあるでしょう。広報活動が経営課題のどの部分に貢献していくのか、広報担当者は広報活動の目的を社内に理解してもらうことから始めていくようにしましょう。
効果的な広報PR活動を行うために、必要な予算を根拠を持って示し、説得できるように努めましょう。
広報予算に関するQ&A
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