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事業譲渡のプレスリリースの書き方は?5つの項目・ポイント・広報PR事例を紹介

事業の一部またはすべてをほかの会社に売却する「事業譲渡」。企業にとって大きな経営戦略であるため、対外的な発信は欠かせません。代表的な広報PR施策としてプレスリリース配信がありますが、必要な記載項目や注意点など、配慮すべき点もあります。

本記事では事業譲渡に関するプレスリリース作成時に押さえておきたいポイントなどを、「PR TIMES」社員の監修のもと細かく解説。参考になるプレスリリース事例も含めて紹介します。

事業譲渡の際にプレスリリースを配信するメリット

事業譲渡の理由は企業によってさまざまですが、プレスリリースできちんと背景や目的を伝えることで、ステークホルダーへの信頼を担保できます。また、事業売却によって得た資金を負債の返済や新事業への投資、メイン事業への注力にあてられるようになるため、経営の安定化や企業としての将来性を伝えるよい機会になるでしょう。

さらにプレスリリースがメディアに掲載されれば、自社製品やサービスを広く認知してもらうきっかけにもなります。譲渡先の企業も同時にプレスリリースを配信する場合は、先方のニュースソースやコミュニティにも情報が拡散され、より広い範囲に情報を届けられます。新たに自社に興味を持つステークホルダーとの出会いにつながるかもしれません。

プレスリリースを配信するメリット

事業譲渡に関するプレスリリースに含めたい5つの項目

では、事業譲渡に関するプレスリリースでは、どのような内容を記載すべきなのでしょうか。必ず入れたい項目や、入れるとより効果的な項目について、5つ紹介します。

項目1.事業譲渡の背景や目的

まず必ず記載したいのが、業を譲渡するに至った背景や目的の説明です。ほとんどの事業譲渡のプレスリリースに記載されていますが、詳細に記載している場合もあれば、あえて明示しない場合もあるなど、いろいろなパターンがあります。自社の事情に合わせて可能な範囲で説明しましょう。

また、譲渡先の企業を選定した理由も併せて記載することで、説得力が高まります。その際、双方の代表者のコメントとして、事業譲渡によって実現することや、自社が目指す将来像などを加えると、より一層経営戦略への期待が高まるでしょう。

項目2.譲渡対象となる事業の概要

次に必須なのは、譲渡対象となる事業の概要です。製品やサービスの説明はもちろんのこと、例えば譲渡先が関連会社であったり、事業の一部が自社に残存したりする場合などは、譲渡する範囲も明確に記載する必要があります。また、従来製品・サービスでは可能だったことで、譲渡により変更が生じるポイントがあれば、それをわかりやすく説明することも重要です。

特に複雑なビジネスモデルや関係者の多い事業である場合、概念図やイラストなども活用して説明するとよいでしょう。

項目3.譲渡前後のスケジュール

事業譲渡に関するプレスリリースは、譲渡前に配信する場合と、譲渡完了後に配信する場合があります。譲渡前に配信する場合は、譲渡日までの流れやスケジュールを記載することもあり、特にサービスの移管などが発生するケースではスケジュールを周知する必要があります。

また、企業によっては取締役会決議日や基本合意書締結日などを記載し、きちんと段階を踏んで実施したことを明示するケースもあります。自社ではスケジュールの記載が必要かどうか、確認するとよいでしょう。

項目4.両社の企業情報

プレスリリースの後半に、事業譲渡側の企業と譲渡先の企業の情報を記載します。それぞれの企業の事業を簡潔に説明するとともに、代表者や所在地、企業公式サイトのURLなどの基本情報を掲載するとよいでしょう。

項目5.  譲渡に関する問い合わせ先

最後に今回の事業譲渡に関する問い合わせ先を記載します。メディアによってはすぐに連絡を取りたい場合もあるため、電話番号とメールアドレスの両方を記載しておくと安心です。その際、取材対応の可否や取材担当者も明記しておくとよいでしょう。

また、事業譲渡に関しての問い合わせではなく、製品やサービス自体に興味を持った方へ向けて、事業内容に関する問い合わせ先や担当者を記載しておくのもおすすめです。

事業譲渡に関するプレスリリース作成時の3つのポイント

事業譲渡に関するプレスリリースを作成するときには、どのようなことに留意すればよいでしょうか。3つのポイントを押さえて、確実に伝わるプレスリリースを作成しましょう。

ポイント

ポイント1.譲渡先企業と密に連携しながら準備する

事業譲渡を発表する際は、譲渡先の企業との密な連携が不可欠です。発表日時やプレスリリースの送付先メディアをはじめ、原稿は連名なのか、個別に発信するのかなど、あらゆる事項に合意を得ながら行う必要があります。

特にステークホルダーへの影響が想定される場合、すでに懸念点について検討のうえでの実施であること、そして仮に懸念される事態が起きた際に、どのように対応するかなどを明記することも、リスクマネジメントの観点からは重要になります。また、プレスリリースだけでなく記者発表会を行うのかなど、そのほかの広報PR施策についても連携して進めるとよいでしょう。

ポイント2.譲渡の背景や目的がわかるタイトルにする

事業譲渡や業務提携などのコーポレート情報を伝えるプレスリリースは、メディアに取り上げられにくい傾向があります。その理由として、タイトルに「企業名」と「事業譲渡」の要素しかない場合がほとんどで、譲渡の意図がイメージできないことが考えられます。

もちろん「企業名」と「事業譲渡」は必須ですが、その背景や目的などの要素を含んだタイトルにすると、より目に留まりやすくなり、掲載につながる可能性が高まります。なお、「譲渡契約締結」というワードを選んでいるケースも多いのですが、これではどちらの企業が譲渡側・譲受側かが不明のため、一目でわかる表現にするとより伝わりやすいでしょう。

ポイント3.画像などを取り入れ視覚的にも伝わりやすくする

事業譲渡に関するプレスリリースは、テキストだけでは無機質になりがちですが、画像などを取り入れることで目に留まりやすくなり、内容も効果的に伝わることが期待できます。特に両社の企業ロゴはメディア側でも使いやすいので、素材として用意しておくのがおすすめです。

加えて譲渡側と譲渡先の代表者が一緒に写っている写真があれば、好印象を与えることができます。また、事業の説明においても複雑なビジネスモデルの場合は図解すると親切です。譲渡の前後で体制などが変更になる場合は、ビフォアーアフターのイメージを掲載するとよいでしょう。

事業譲渡に関するプレスリリース事例3選

「PR TIMES」にて実際に配信された事業譲渡に関するプレスリリースの中から、参考にしたい事例を3つ紹介します。いずれも効果的に伝わるよう工夫された事例ですので、ぜひ作成の際の参考にしてみてください。

事例1.ペツルジャパン株式会社

  • 事業譲渡側のメンバーと譲受側の代表との写真が冒頭に掲載されている
  • 事業への思いやこれまでの歴史が丁寧に記載されている
  • 事業を表す印象的な写真や動画が紹介されている

参考:アルテリアからペツルへの事業譲渡

事例2.株式会社newn

  • 事業譲渡先の企業を選んだ理由に説得力がある
  • 譲渡側と譲受側の代表が写った画像を掲載している
  • 両社の代表のコメントを記載している

参考:newn、小柄女性向けブランド「COHINA(コヒナ)」をサザビーリーグに事業譲渡

事例3.花王株式会社

  • 事業譲渡を知らせるキャンペーン施策を行い、その施策を伝えるプレスリリースを配信している
  • 譲渡の経緯だけでなく、製品への思いやお客様へのメッセージを伝えている
  • 両社のロゴで事業譲渡を表現している
  • 製品のこれまでの歴史を画像で紹介している

参考:「ヘルシア事業の譲渡」で伝えたいこと。花王の想いをキリンのみなさんへ! メッセージトレイン運行

なお、譲受側のキリンホールディングス株式会社もプレスリリースを配信しています。併せて参考としてご覧ください。

参考:花王株式会社の茶カテキン飲料「ヘルシア」に関する事業譲受について

事業譲渡時に広報PR担当者が行いたい3つの広報PR施策

事業譲渡の際には、プレスリリース配信以外の広報PR施策も併せて行うことで、より効果的に情報発信することができます。広報PR担当者が行いたい3つの広報PR施策を紹介するので、プレスリリースの準備と並行して、施策の準備も進めておきましょう。ここでも譲渡先の企業と連携して進めることがポイントになります。

1.取引先への挨拶状を送る

事業譲渡が決まると、その事業の担当者が取引先に個別に連絡するのが一般的です。一方で、会社としても関連各所へ挨拶状を出すのが通例とされる業界も多いため、その場合は事業部と連携して挨拶状を作成し、発送します。

また、譲渡先の企業も新たな取引先として挨拶状を出す可能性があるため、認識を合わせておきましょう。発送するタイミングはプレスリリースの配信前後、または同日などさまざまなパターンがあります。自社や譲渡先の企業の事情に合わせて、適切なタイミングで行いましょう。

2.  記者発表会を開催する

メディア関係者に向けた記者発表会を開催する場合は、譲渡先の企業と合同で行うため、連携して準備する必要があります。記者発表会の日時・会場の決定から当日のタイムスケジュール、資料や備品の手配など、準備することは盛りだくさんです。また、当日はさまざまな質問がくると想定されるため、譲渡の背景だけでなく市場への影響などの数字やデータを用意し、しっかり回答できるようにしておくこともポイントです。

記者発表会で広報PR担当者が準備したい項目の詳細は、こちらの記事をご覧ください。

3.自社のWebサイトに掲載する

事業譲渡のプレスリリースを配信するタイミングで、自社のWebサイトの「ニュース」や「最新情報」のページにも同じ内容を掲載しましょう。これにより、株主や関連企業などメディア以外のステークホルダーにも情報を届けることができます。また、プレスリリースの配信をきっかけにWebサイトを訪れた方へ向けて、さらに詳しい情報を掲載するケースもあります。例えば、事業譲渡の経緯についての代表者や部門担当者のインタビューや、譲渡先の代表との対談などです。これらはプレスリリース配信前に準備しておくのがおすすめです。

より詳細なプレスリリースを自社のWebサイトに掲載する際のポイントは、以下の記事を参照ください。

まとめ:背景や目的が明確に伝わる書き方を意識する

事業譲渡に関するプレスリリースは、最低限の情報のみ掲載するケースが多い傾向があります。しかし、事業譲渡は重要な経営戦略なので、株主や関連業界などから注目を集めやすい機会です。メディアに取り上げられれば、企業や事業についての認知度を高めるきっかけになるかもしれません。本記事で紹介した項目やポイントを盛り込みながら情報密度を高めることで、メディアに与える印象はかなり変わるはずです。

そして何より事業譲渡の広報PRで重視すべきなのは、譲渡先の企業との連携です。一つひとつ合意を得ながら丁寧に進めることで、効果的な施策を行うことができるでしょう。

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この記事のライター

PR TIMES MAGAZINE執筆担当

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『PR TIMES MAGAZINE』は、プレスリリース配信サービス「PR TIMES」等を運営する株式会社 PR TIMESのオウンドメディアです。日々多数のプレスリリースを目にし、広報・PR担当者と密に関わっている編集部メンバーが監修、編集、執筆を担当しています。

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